創業融資とは?政策の背景から制度の特徴を解説

独立して開業を目指す人の中には、資金調達を検討している人もいるでしょう。その際、資金調達の方法として創業融資の情報を探している人もいるかもしれません。

当記事では、創業融資における制度の特徴を政策の背景から解説します。創業融資は国の政策と関わりが深い制度となる関係上、その背景から理解することにより、創業融資の特徴を把握できる可能性があるため、創業融資の情報を探している人は参考にしてみてください。

創業融資とは創業時に利用できる融資制度

創業融資とは、創業時に利用できる融資制度です。ある特定の金融機関が提供する融資制度を指すのではなく、さまざまな金融機関や公的機関が創業者を支援する目的のもと、それぞれの融資制度を用意しており、創業時に利用できる融資制度の総称として「創業融資」と呼んでいます。

【創業融資の活用例】

項目 具体例
設備資金 ・店舗の物件取得費用
・店舗の内装工事費用
・事業用の車両購入費用
・WEBサイト作成費用
運転資金 ・仕入れ費用
・人件費や採用にかかる費用
・広告宣伝費用
・備品や消耗品の買い替え費用

創業融資では、創業時の設備資金が借入できます。「店舗の物件取得費用」「事業用の車両購入費用」など、創業にかかる設備費用は多額になりやすい関係上、自己資金だけでまかなうことが難しい傾向があるため、創業融資を利用して設備資金を資金調達することができます。

創業融資では、創業時の運転資金が借入できます。「仕入れ費用」「人件費や採用にかかる費用」など、事業が軌道にのるまでの手元資金が必要になる関係上、資金繰りが安定しない傾向があるため、創業融資を利用して運転資金を調達することができます。

なお、創業融資の対象外となる費用もあります。制度によって異なりますが、「法人設立のための資本金」「支払い済みの設備資金」など、創業融資の対象外となる費用が定められている場合があるため、創業融資を申し込むときは制度の詳細を確認するようにしましょう。

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創業融資は創業後も利用できる場合がある

創業融資は創業後も利用できる場合があります。創業融資は創業時に利用できる融資制度の総称ですが、「創業時」に対する定義がそれぞれの制度によって異なるため、創業してから数年経過していても利用できる場合があります。

【創業融資の対象者要件の例】

制度名 対象者の要件(一部抜粋)
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
全国信用保証協会「創業関連保証」 ・事業を営んでいない個人が事業を開始してから5年未満である
・事業を営んでいない個人が設立した法人で、設立から5年未満である
※一部抜粋

たとえば、日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」の場合、事業開始後7年以内であれば対象となります。「2店舗目の出店費用」「売上拡大に伴う人件費」など、創業後に必要となった運転資金や設備資金も制度の対象となります。

また、全国信用保証協会「創業関連保証」の場合、個人事業主や法人にかかわらず、事業開始後5年未満であれば対象となります。「先行する仕入れ費用」「機械の修理費用」など、創業後に必要となった運転資金や設備資金も対象となります。

なお、創業前と創業後では、審査基準が異なる可能性があります。創業前は事業計画書をもとに審査される傾向にありますが、創業後は事業の実績をもとに審査される傾向があるため、創業融資を検討している人は予備知識として覚えておきましょう。

創業融資は政府が主導し制度を拡充してきた背景がある

創業融資は、政府が主導し制度を拡充してきた背景があります。アベノミクスの政策目標のひとつに「開業率が廃業率を上回る状態を目指すこと」が掲げられていた背景から、公的な性質をもつ機関がさまざまな枠組みで創業を支援する動きが高まっていきました。

【創業支援する公的な機関の例】

  • 日本政策金融公庫
  • 信用保証協会
  • 地方自治体

「日本政策金融公庫」「保証協会」「地方自治体」は創業融資を推進してきた公的な性質をもつ機関です。それぞれの機関の役割や立ち位置を踏まえることにより、創業融資の特徴が理解できるため、それぞれの機関の詳細を確認してみましょう。

日本政策金融公庫における創業融資の特徴

創業融資を推進してきた公的な性質をもつ機関のひとつは「日本政策金融公庫」です。日本政策金融公庫は政府が株式を100%保有する政府系金融機関であり、国民の生活を向上させることを目的とし、国の政策を反映させる金融支援を行っています。

【日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金の概要】

項目 概要
利用対象 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
※適正な事業計画を策定し当該計画の遂行能力が十分あると認められる人に限る
資金使途 新規事業または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
返済期間 ≪設備資金≫
20年以内(うち据置期間5年以内)
≪運転資金≫
10年以内(うち据置期間5年以内)
利率(年) 基準利率
※ただし、所定の要件に該当する場合は特別利率
※利益率や雇用に関する一定の目標を達成した場合は創業後目標達成型金利が適用
担保・保証人 要相談
※ただし、新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方は、経営者保証免除特例制度を併用し、原則として無担保・無保証人で融資を受けられる

※日本政策金融公庫の公式サイトを参考に株式会社SoLaboが作成

日本政策金融公庫の創業融資は、2001年度に創設された新創業融資制度から始まった背景があります。この制度の大きな特徴は「無担保・無保証人」での借入が可能な点であり、現在の新規開業・スタートアップ支援資金制度も、創業前と創業後2期以内であれば、原則として無担保・無保証人で借入できます。

また、融資限度額や返済期間の上限が幅広く設計されている点も特徴です。スタートアップ企業の多額な資金調達のニーズや、創業初期の資金繰りが不安定な問題に対応できるように、融資限度額や返済期間が拡充された背景があると考えられます。

なお、日本政策金融公庫は民間の金融機関を補完する役割を担っています。「創業者」「小規模事業者」など、民間の金融機関の支援が届きにくい層へ融資支援を行う立ち位置のため、創業者への融資も行っていることを予備知識として覚えておきましょう。

信用保証協会における創業融資の特徴

創業融資を推進してきた公的な性質をもつ機関のひとつは「信用保証協会」です。信用保証協会は、事業者が金融機関から借入する場合の保証人となることにより、事業者が民間の金融機関から融資を受けやすくすることを目的として設立された公的な保証機関です。

 【全国信用保証協会「創業関連保証」の概要】

項目 概要
対象 次のいずれかに該当する方
(1)事業を営んでいない個人で、1か月以内(※)に事業を開始する具体的計画がある
(2)事業を営んでいない個人で、2か月以内(※)に法人を設立し、事業を開始する具体的計画がある
(3)分社化により別法人を設立して事業を開始する予定の法人
(4)事業を営んでいない個人が事業を開始してから5年未満である
(5)事業を営んでいない個人が設立した法人で、設立から5年未満である
(6)分社化により別法人として新たに設立された法人で、設立から5年未満である
(7)事業を営んでいない個人が開始した事業を法人化し、個人創業時から5年未満である※市区町村が実施する認定特定創業支援等事業により支援を受けて創業する方は6ヶ月以内
保証限度額 3,500万円
返済条件 各信用保証協会が定める
保証料率 各信用保証協会が定める

※全国信用保証協会の公式サイトを参考に株式会社SoLabo作成

 信用保証協会の特徴は「融資ではなく保証する点」です。あくまで融資をするのは民間の金融機関であり、信用保証協会は事業者が金融機関から融資を受けやすくするために、事業者の借入を保証する役割を担っています。

信用保証協会のもうひとつの特徴は「協会ごとに保証制度が異なる点」です。全国信用保証協会の創業関連保証をベースとして、各協会によって返済条件や保証料率などの詳細が定められているため、信用保証協会を利用するときはその地域を管轄する信用保証協会の創業保証を確認します。

 なお、信用保証協会を利用するときは「保証料」が発生します。事業者が返済不能となった場合、信用保証協会が金融機関に対し代位弁済することになるため、事業者は融資を受けるタイミングで信用保証協会へ保証料を支払う点を留意しておきましょう。

地方自治体における創業融資の特徴

創業融資を推進してきた公的な性質をもつ機関のひとつは「地方自治体」です。平成26年に施行された「産業競争力強化法」に基づき、市区町村が民間の創業支援事業者と連携し、制度融資をはじめとする創業支援を実施する動きが高められてきました。

【地方自治体の制度融資の例:新宿区「創業資金融資制度」

項目 内容
貸付限度額 2,000万円
※ただし、条件によっては1,000万円以内や1,500万円以内になる場合がある。
貸付期間 7年以内(うち据置期間12か月以内)
金利 1.8%
(うち本人負担0・2%以下、区負担1.6%以下)
信用保証料補助 1/2を補助(上限26万円)
留意事項 1回2時間の面談を複数回実施してから金融機関への紹介状をもらう流れ

※新宿区の公式サイトを参考に株式会社SoLabo作成

制度融資の特徴は「自治体と信用保証協会と民間金融機関が3者連携している点」です。創業者は自治体へ申し込んだあと、民間金融機関にあっせんしてもらい、信用保証協会を利用して融資を受ける流れとなります。

制度融資のもうひとつの特徴は「自治体の優遇措置が受けられる点」です。自治体が創業者を支援する一環として、金利や信用保証料を補助してくれる場合があるため、自治体を通さない借入よりも有利な条件で創業融資を受けられる可能性があります。

なお、制度融資の詳細は自治体によって異なります。融資条件や融資を受けるまでの流れも異なるため、制度融資を利用して創業融資を受けたい場合は創業場所を管轄する自治体の公式サイトを確認しましょう。

創業融資に意欲的な民間の金融機関もある

創業融資に意欲的な民間の金融機関もあります。とくに、地域経済の活性化を理念とする地方銀行や信用金庫などの地域金融機関は、創業者への融資も実行する傾向があります。

【地域金融機関の概要】

項目 概要
信用金庫・信用組合 中小企業や地域住民のための協同組織による地域金融機関。会員や利用者ならびに地域のニーズに応えることを経営の基本においている。
地方銀行 地域経済の発展を旨とした株式会社の形態をとった金融機関。中小企業や地域住民の経済活動を支え、地域の発展に貢献することを経営の基本においている。

信用金庫・信用組合は会員による協同組織の形態をとった地域金融機関です。管轄する地域内の事業者に対し金融支援を提供しているため、創業場所を管轄する信用金庫や信用組合に創業融資の相談をすることができます。

地方銀行は株式会社の形態をとった地域金融機関です。地方銀行ごとに管轄規模は異なりますが、管轄する都道府県内の事業者に対し金融支援を提供しているため、創業場所を管轄する地方銀行に創業融資の相談をすることができます。

なお、相談する地域金融機関を決めるときは金融庁の「金融仲介機能のベンチマーク」を参考にしてみましょう。金融仲介機能のベンチマークには創業支援先数が掲載されており、その金融機関が創業融資に意欲的かどうかを測る指標となりえるため、金融仲介機能のベンチマークを公表している地域金融機関があれば確認してみましょう。

まとめ

創業融資とは、創業時に利用できる融資制度です。ある特定の金融機関が提供する融資制度を指すのではなく、さまざまな金融機関や公的機関が創業者を支援する目的のもと、それぞれの融資制度を用意しており、創業時に利用できる融資制度の総称として「創業融資」と呼んでいます。

創業融資は、政府が主導し制度を拡充してきた背景があります。アベノミクスの政策目標のひとつに「開業率が廃業率を上回る状態を目指すこと」が掲げられていた背景から、公的な性質をもつ機関がさまざまな枠組みで創業を支援する動きが高まっていきました。

なお、創業融資に意欲的な民間の金融機関もあります。とくに、地域経済の活性化を理念とする地方銀行や信用金庫などの地域金融機関は、公的な性質をもつ機関と連携を図りながら創業者への融資も実行する傾向があります。

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