創業する人の中には、店舗のない通販やネットサービスで起業する人も多数いらっしゃいます。
実際に店舗という不動産が必要なビジネスと比べ、創業する際の資金は比較的安く済むのが魅力です。
しかし、一方で気軽に始められるネットビジネスは副業や趣味の延長上として捉えられ、創業として認められず公的な事業融資は受けられないのでは?と心配する声も聞かれます。
今回の記事では、ネットビジネスで起業したい方が融資を受けられるのかという点について、解説します。
目次
1.【結論】ネットビジネスでも融資は受けられる
先に結論からお伝えしますが、ネットビジネスで起業したい方でも融資を受けることは充分に可能です。ネットビジネスと一口に言っても、その種類は以下のようにさまざまです。
【個人寄り】
- 転売(ネットオークション)
- アフィリエイト(ブログ運営、YouTuber、ドロップシッピング)
- クラウドソーシング(ライター、画像作成などの受発注)
- FX(ネット投資)
【大衆寄り】
- ECサイト(オンラインショッピングサイト)
- アフィリエイト(複数のポータルサイト運営)
【事業寄り】
- デジタルコンテンツの制作・販売(音源、広告)
- スマートフォンアプリ開発(ゲーム、ツール、マルチメディア)
- Webコンサル、デザイン(広告用メディア、自社ホームページ)
どこからどこまでが融資が可能という線引きは難しいところです。
なぜかと言うと、個人寄りでも売上高の実績が優秀な事業もありますし、Webコンサルをしていても全然お客さんが取れない法人もあるからです。
個人的な投資の場合は事業資金の融資はおりませんが、その他の事業で実際に融資を受けられるかはその事業の売上高や計画と将来性の総合判断となるでしょう。
【ポイント】
日本政策金融公庫からの融資は、事業を行っていなければ受けることができません。
FXなど、投資目的の場合には、融資は受けられません。
2.ネットビジネスに必要な資金はどれくらい?
ネットビジネスをするのに資金は必要ない、という類の記事も多く見受けられますが、要はどの程度の稼ぎが欲しいかということです。
ひと月に生活できる程度のお金が欲しい、会社員をやめて本腰を入れて打ち込みたい、今までの副業での経験を生かして本格的に事業を発展させたい。こんな気持ちで事業をスタートしたいのであれば、事業資金は必要です。
ネットビジネスをする上での初期費用を以下にまとめますと、
【通信・環境】
- ドメイン代:910円
※お名前.comの場合(.comドメイン)
- レンタルサーバー代:年間15,000円くらい(初期費用3,000円+月額費用)
※エックスサーバーXSERVERでHD400GBの場合
- 通信費:月額2,000~4,000円くらい
【PC周辺】
- デスクトップPC:8~20万円くらい
- ノートPC:1台5~10万円くらい
- スキャナ:2~5万円くらい(あれば便利)
- コピー機:1~6万円くらい(あれば便利)
と非常に少額から始められるのが分かります。
しかし、自分以外の人間を雇うとすると最低一人につき月20万円程度の人件費、商品を販売するのであれば商品の仕入れ代金や倉庫のお金。ホームページなどを新たに作成するのであれば平均30万円の作成代金がかかり、個人のおこずかい程度の資金ではとても足りません。
<例>
【仕入れ代金・税金】
- 中国から洋服を月間10万円分
- アメリカから雑貨を月間18万円分
- 仕入れに関わる送料:20kg 2万円ぐらい(中国)、10kg 7500円くらい(アメリカ)
- 仕入れ品に関わる税金:課税対象額=(商品代金+送料+保険料)×60%)
【人件費】
- 平日4時間程度のパート×2名=月間22万円
【Web・広告】
- ホームページ制作で40万円
- アフィリエイト依頼で月間5万円
- リスティング広告で月間7万円
この他にも、人によって必要なものはいろいろ出てくると思います。具体的な数値は、最初はノートなどでもよいので書き留めておきましょう。
最後に事務的な事として、開業するには税務署に開業届を提出する必要があります。
3.実際に融資を受けるにはどこがいい?
創業融資なら日本政策金融公庫
融資を受けるには銀行や信用組合などいくつかの選択肢がありますが、実績がなく初めての事業資金の融資を受けるのであれば、日本政策金融公庫が現実的な選択となるでしょう。
なぜなら、日本政策金融公庫は実績がなく銀行などから相手にされない方(創業者)を支援するという目的から作られた日本政府100%出資の金融機関だからです。
担当者がネットビジネスに詳しくないと仮定する
日本政策金融公庫で実際に融資を受けた業種は、飲食店や美容院や整骨院など実店舗がまだまだ主体になっています。ネットビジネス自体にあまり明るくない担当者が専門用語満載のわかりづらい創業計画書を見たところで、将来の事業性について簡単に把握はできません。
ネットビジネスでの融資を成功させたいのであれば、提出書類にできるだけ実例を入れて分かりやすくするのが必須です。
4.日本政策金融公庫で融資を受ける際に必要な書類2つ
日本政策金融公庫で融資を受けるには、以下の書類を2点用意します。
①借入申込書
融資額や資金の使い道について記入します。印鑑証明と同じ印鑑を押す必要があるので、申込書提出までに印鑑証明を取るようにしましょう。
②創業計画書
創業の動機や事業主の経歴や仕入れや販路、原価率について記入します。
書式については、以下URLよりダウンロードできます。
※上記URLをクリックすると、日本政策金融公庫の公式ページにリンクします
5.店舗のないネットビジネスでは融資担当者は自宅に来る
店舗のある場合は、融資担当者は実際の店舗予定地に赴き、将来採算が取れるのが判断して、融資の決定をします。
しかし、ネットビジネスを自宅利用で行う場合、融資の担当者はあなたの自宅に赴き、事業がしっかりされているのか判断します。そのため、融資を申し込む際には自宅に担当者が来ると覚悟をして申込みをしましょう。
まとめ
ネットビジネスでも創業融資に成功することは可能です。しかし、融資の担当者によってはネットビジネス自体にあまり詳しくない場合もあります。
日々進化するネットビジネス。創業融資を成功させたいのであれば、わかりやすい説明や書類作成をポイントに準備しましょう。