日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資を比較

金融機関から融資を受けることを検討中の人の中には、その選択として日本政策金融公庫と各自治体のどちらを利用すべきか迷っている人もいますよね。とくに、創業時の資金調達先として、「日本政策金融公庫の創業融資」と「信用保証協会の制度融資」のどちらを選択すべきか迷っている人もいるのではないでしょうか。

当記事では、「日本政策金融公庫の創業融資」と「信用保証協会の制度融資」を比較してみました。「日本政策金融公庫の創業融資」と「信用保証協会の制度融資」のいずれかを検討中の人は、ぜひ参考にしてみてください。

日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資の共通点

日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資には、いくつかの共通点があります。その理由としては、日本政策金融公庫も信用保証協会も公的な金融機関だからです。

日本政策金融公庫は国が株式の100%を常時保有する公的な金融機関です。そして、信用保証協会も同様、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達を支援することを目的に設立された公的な金融機関となります。

いずれも公的な金融機関となる関係上、それぞれの融資制度は似た特徴があるため、日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資のどちらを選択すべきか迷っている人は、まずはそれぞれの共通点を把握しておきましょう。

ビジネスローンよりも金利が低い傾向がある

日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資の場合、銀行や消費者金融のビジネスローンよりも金利が低い傾向があります。実際に適用される金利は金融機関や地域ごとに異なりますが、日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資の金利の幅は銀行や消費者金融のビジネスローンよりも低めに設定されています。

項目 日本政策金融公庫 信用保証協会
基準利率 2.41%~2.50%
(R3/6/1現在)
1.9%~2.5%
(東京の場合

※信用保証協会の制度融資は、地域や金融機関ごとに金利の幅が異なります。

日本政策金融公庫の創業融資の金利は、実質年率2.0%前後(2022年6月時点)です。一方、信用保証協会の制度融資の金利は、実質年率1.0%~2.0%前後です。実際の適用金利は返済期間や借入額によっても異なりますが、日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資では、金利の幅は近いものがあります。

なお、銀行や消費者金融のビジネスローンの金利は、日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の制度融資よりも高めに設定されている傾向があるため、返済計画を立てる際に金利による利息負担を計算中の人は、利用を検討している金融機関の上限金利と下限金利を比較してみましょう。

実績のない起業家も審査に通る可能性がある

日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資の場合、いずれも中小企業や小規模事業者を支援する公的な金融機関です。それにより、銀行などの民間の金融機関よりも審査基準が下げられている可能性があります。

金融機関の審査基準は非公開となるため、審査難易度は分からず、それぞれを比較することはできません。しかし、中小企業や小規模事業者の支援を目的としている関係上、銀行などの民間の金融機関よりも審査基準は下げらている可能性はあります。

自己資金を用意し、信用情報に異動情報が記録されているなどの問題がなければ、日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の制度融資の審査に通る可能性はあるため、審査に不安がある人は、まずは利用を検討している金融機関の担当者に相談してみることも検討してみましょう。

日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資の比較

今回はいくつかの項目ごとに日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資を比較してみました。日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資を検討中の人は、ぜひ参考にしてみてください。

今回比較した項目は、以下の通りです。

  1. 貸出期間
  2. 事業内容と住所の制限
  3. 担保・保証人の有無
  4. 勤務経験に関する規定
  5. 手続きにかかる工数
  6. 申し込みから入金までの期間

比較した項目はあくまでも一部の要素ですが、日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資を検討中の人は、利用する金融機関の判断材料として参考にしてみてください。

貸付期間

実際の貸付期間は契約内容によっても異なりますが、日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資の貸付期間は、以下の通りです。

項目 日本政策金融公庫 信用保証協会※東京都の場合
貸付期間 設備資金:10年以内

(うち2年は据置期間)

運転資金:7年以内

(うち1年以内が据置期間)

設備資金:10年以内

(うち1年は据置期間)

運転資金:7年以内

(うち1年以内が据置期間)

日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資の場合、いずれも「設備資金は10年以内」「運転資金は7年以内」に設定されています。また、いずれも利子のみを支払う据置期間が設けられていますが、東京都の制度融資の場合、設備資金の据置期間は日本政策金融公庫の創業融資よりも1年少ないです。

据置期間中は利子のみの支払いとなるため、元金は減りません。しかし、据置期間があることにより、毎月の返済負担を軽減できるため、信用保証協会の制度融資を検討中の人は、各自治体の公式サイトから制度融資の据置期間を確認しておくことも検討してみましょう。

事業内容と住所の制限

日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の制度融資では、事業内容と住所に制限が設けられています。申込者の状況によっても異なりますが、いずれの場合も事業内容や住所によっては申し込めないため、日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の制度融資を検討中の人は事前に確認しておきましょう。

項目 日本政策金融公庫 信用保証協会※東京都の場合
事業内容の制限 金融、投機的事業、水商売関連、マルチ関連は不可 農林水産業、狩猟業、金融・保険業・水商売関連、パチンコ・スロット・競馬などのギャンブル関連、集金業・取立業、学校法人が経営する学校、LLP、宗教・政治・経済・文化団体その他の非営利事業は不可
住所の制限 本社住所がバーチャルオフィスの場合、経営実態の調査がある 本社住所がバーチャルオフィスの場合、経営実態の調査がある

バーチャルオフィスを利用している場合、事業の実態を確認する目的として経営実態の調査が入る可能性があります。バーチャルオフィスは経営実態がつかみにくい関係上、審査の際に厳しい判断をされる場合もありますが、バーチャルオフィスを利用していても審査に通る可能性はあるため、不安な人は金融機関の担当者に相談することも検討してみましょう。

担保・保証人の有無

日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資は、いずれも無担保・無保証人です。ただし、法人として信用保証協会の制度融資を利用する場合、原則として法人代表が連帯保証人になります。

項目 日本政策金融公庫 信用保証協会※東京都の場合
担保・保証人 無担保・無保証でOK 保証人は原則として法人代表者を除き連帯保証人は不要

担保は原則として不要

勤務経験に関する規定

日本政策金融公庫の創業融資には、利用条件として勤務経験に関する規定が定められています。それに対し、信用保証協会の規約には、業界経験については明記されていません。

項目 日本政策金融公庫 信用保証協会
開業予定の業種の勤務経験 同業種に6年以上 規定なし

※代わりに信用保証料が必要

信用保証協会の規約に業界経験が明記されていない理由として考えられるのは、信用保証協会は商工会議所やその他の創業塾のような第三機関と提携している場合があるからです。第三機関と提携していれば、事業主は彼らのアドバイスや研修を受けることになるため、その関係上、信用保証協会の規約に業界経験が明記されていない可能性があります。

ただし、信用保証協会の規約に業界経験は明記されていませんが、提携している機関に業界経験を問われる可能性はあります。業界経験は審査の際に判断材料として用いられる可能性もあるため、その点は留意しておきましょう。

手続きにかかる工数

日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資では、それぞれ手続きにかかる工数が異なります。信用保証協会の制度融資は信用保証協会と金融機関の2つに手続きすることになりますが、日本政策金融公庫の創業融資は日本政策金融公庫のみに手続きすることになります。

項目 日本政策金融公庫 信用保証協会
手続き 【自分】

  • 日本政策金融公庫へ電話
  • 創業計画書、借入申込書、損益計算書などの書類を作成
  • 不動産の契約書、通帳コピーなどの書類を準備
  • 面談

【認定支援機関を経由する場合】

  • 認定支援機関へ相談の電話
  • 認定支援機関の担当者から指示された書類を準備
  • 認定支援機関担当者と打ち合わせ
  • 日本政策金融公庫と面談
【自分】

  • 利用する制度融資の制度と申し込みをする金融機関を決定する
  • 地方自治体で紹介畳をもらう
  • 金融機関の指定する書類を作成、準備
  • 信用保証協会へ保証の申し込み
  • 信用保証協会へ保証料を支払う
  • 信用保証協会の審査・面談
  • 金融機関の審査

日本政策金融公庫の創業融資は日本政策金融公庫のみの手続きとなるため、信用保証協会を通す制度融資よりも手続きにかかる工数は少ない傾向があります。

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申し込みから着金にかかる期間

日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資では、申し込みから着金にかかる期間が異なる傾向があります。その理由としては、日本政策金融公庫の創業融資は審査回数が1回なのに対し、信用保証協会の制度融資は審査回数が2回となるからです。

日本政策金融公庫の創業融資は1か月~1か月半程度かかる傾向がありますが、信用保証協会の制度融資は信用保証協会と金融機関の両方の審査を受けることになるため、申し込みから着金にかかる期間は2か月~2か月半程度かかる傾向があります。

申し込みから着金にかかる期間は申込者の状況によっても異なるため、一概には言えません。しかし、審査回数が2回となる関係上、信用保証協会の制度融資のほうが申し込みから着金にかかる期間は長くなる傾向があるため、早めの融資を希望する人は覚えておきましょう。

まとめ

今回は日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資を比較してきました。いずれも共通点と相違点があるため、日本政策金融公庫の創業融資と信用保証協会の制度融資のどちらを利用するか迷っている人は、いくつかの項目を比較し、分からない点があれば、それぞれの担当者に相談することも検討してみましょう。

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