女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)

日本政策金融公庫の貸付を受けるには、まず自分の状況に合った融資制度を選ぶことが重要です。

例えるなら、レストランで食事をするときにメニューを選んで、注文するようなイメージです。

このメニューは人や状況によって利用できる融資制度が異なります。

それはちょうど、お子さまランチが小学生以下でないと頼めなかったり、雨が降ったときだけ注文できるスペシャルメニューがあったりするのと似て、利用するときに利用者の属性や状況などの条件を満たす必要があります。

では「女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)」とは、どんな融資制度なのか?見ていきましょう。

1.利用条件

女性または35歳未満か55歳以上の方が、新たに事業を始めようとしている時または事業を始めて7年以内であれば、利用できる融資制度です。

2.資金の使途

この融資制度は、次のように資金の使い道によって、条件が大きく2つに分かれています。

資金の使途 運転資金 設備資金
融資限度額 4,800万円 7,200万円
返済期間

(据置期間)

7年以内

(2年以内)

20年以内

(2年以内)

利率 ①運転資金[特利A]

②技術・ノウハウなどに新規性が見られる方の運転資金[[特利B]

※その他、返済期間または担保の有無によって異なる

①設備資金(土地取得資金)[基準利率]

②設備資金(土地取得資金を除く)[特利A]

③技術・ノウハウなどに新規性が見られる方の設備資金(土地取得資金を除く)[特利B]

※その他、返済期間または担保の有無によって異なる

担保・保証人 要相談

*日本政策金融公庫の公開情報「国民生活事業」の融資制度の概要を参考に2018年10月に作成

女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)で利用できる資金の使いみちは2つ、「運転資金」と「設備資金」があります。

言葉の定義を確認しておきましょう。

借りた時と異なる使いみちで資金を流用すると、資金使途違反となり、一括返済を求められる他、日本政策金融公庫からの借り入れは二度とできなくなりますので、注意しましょう。

「運転資金」は、事業経営に必要な資金のことを指します。

「運転」というと、機械や自動車を動かすイメージが強いかもしれませんが、組織や団体を動かすことにも使われます。

「ランニングコスト」とも呼ばれます。

事業をスムーズに回すために必要なお金で、具体的には人件費や仕入れ費用はもちろん、文房具や印刷用紙代などの雑費も、運転資金に含まれます。

運転資金は、次の式で算出できます。

運転資金=売上債権+棚卸資産−買入債務

ざっくり身近な言葉で表現すると、次のようになります。

運転資金=売上+在庫-仕入れ

算出式を見てわかる通り、売上が黒字であっても、運転資金が充分とは限りません。

例えば、月に100万円の仕入れをして、売上が150万円の事業を経営しているとします。

会計上は50万円の黒字です。

しかし、通常、現金払いを徹底でもしない限り、仕入れの支払い時期と、売上が懐に入ってくる時期が同じになることはありません。

仕入れの支払いは当月、売上金の回収は翌月という事業サイクルの場合、50万円あっても次の仕入れの代金としては不足で商売が成立しません。

仕入れをして、売り上げて、またその次の仕入れをして、と事業を回していくのに必要なこのお金が運転資金に当たります。

「設備資金」は、設備に必要な資金のことを指します。

設備とは、建物、車、機械設備などの、長期に渡って利用し、事業基盤(インフラ)となる有形固定資産のことです。

事業拡大で多額の初期投資が必要になった場合、その多くは設備資金として扱われるため「イニシャルコスト」と同義です。

設備資金の融資は金額が大きい上、雑費を含む運転資金よりは使いみちの是非を判断しやすいため、追跡調査されることが多々あります。

設備資金の利用時はできるだけ領収書などを保管し、後からいつでも証明できるようにしておくことも重要です。

3.融資限度額

融資限度額は「条件を満たせば、この額まで融資できますよ」という日本政策公庫の設定金額を指します。

あくまで最大の金額なので「運転資金だから4,800万円も貸してもらえる!」という勘違いはしないようにしましょう。

当然、状況によって融資希望額が下回ることもあります。

女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)の場合、運転資金は4,800万円、設備資金は7,200万円の融資限度額が設定されています。

4.返済期間(据置期間)

返済期間は「日本政策金融公庫が、お金を返し終わるのを待ってくれる期間」のことで、据置期間」は「日本政策金融公庫が、利子の支払いだけで、本格的に返済を始めるのを待ってくれる期間」のことを指します。

返済期間の中に据置期間が含まれるので、注意が必要です。例えば、返済期間が3年で、据置期間が1年だった場合、最初の1年は利子だけ支払って、後の2年で返済することになります。

融資を受けた後、据置期間を設定する、といったことはできないので、それも注意しましょう。具体的な年数は、日本政策金融公庫の担当者との融資面談を通して、利子を決める「利率」とセットで決まります。

女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)では、運転資金は7年以内、設備資金20年以内の返済期間を設定されます。

据置期間は、運転資金も設備資金も2年以内を設定されます。

これらの年数はどれも最大の期間を示しているので、これより短くなる想定をしておくと安全です。

5.利率

融資を受けたときに融資金に上乗せして支払う利子、金利を算出する率のことを「利率」と呼びます。なお、日本政策金融公庫の場合、年間で算出する年利です。

女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)では、資金の使いみちと事業の属性で、利率が3パターンに分かれます。

(1)基準利率

まず1つ、使いみちが土地の取得金である場合、日本政策金融公庫が設定する「基準利率」と呼ばれる一般的な利率が採用されます。

この場合、利率が変わる要素は「担保」と「保証人」です。

具体的な数字は、日本政策金融公庫の担当者との融資面談を通して、返済期間とセットで決まります。

(2)特利・特利A

2つ、使いみちが運転資金、または土地取得金を除いた設備資金の場合、基準利率よりも低い利率の「特利」の「特利A」という利率が採用されます。

(3)特利B

3つ、使いみちが運転資金、または土地取得金を除いた設備資金の場合で、かつ事業内容に技術・ノウハウ等に新規性がみられると認められた場合、特利Aよりも更に低金利の「特利B」が採用されます。

 

具体的な利率は次の通りです。

2018年10月時点での金利情報です。最新の金利情報は、日本政策金融公庫のウェブサイトでご確認ください。

日本政策金融公庫:国民生活事業>主要利率一覧表

基準利率
担保あり・保証人あり 1.16~2.35(年利%)
担保なし・保証人あり 2.06~2.65(年利%)

 

特利A
担保あり・保証人あり 0.76~1.95(年利%)
担保なし・保証人あり 1.66~2.25(年利%)

 

特利B
担保あり・保証人あり 0.51~1.70(年利%)
担保なし・保証人あり 1.41~2.00(年利%)

 

担保あり・保証人なし、担保なし・保証人なしの場合、別の融資制度に変わる可能性が高いため、ここでは割愛します。

6.担保・保証人

「担保」はお金を返せなかったときに没収される財産で、「保証人」は返せなかったときに支払い義務が生じる連帯保証人のことです。

それらを用意することで確実に返済する意思を示すことになり、利息が安くなります。

 

女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)の枠組みで融資に臨む場合、特利の他は「保証人あり」で担保の有無が選べる部分だと言えるでしょう。

「保証人なし」になると別の融資制度になる可能性が高いです。制度が違えば当然、融資限度額や返済期間などの条件面も違ってくるので、注意が必要です。

まとめ

女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)は、新しい企業を育成するための貸付の枠組みではありますが、社会保障の意味合いが強く出ている貸付の一つです。

一般的に、社会的に弱い立場とされる若者や女性、シニアは、他の金融機関から資金を貸してもらいにくいと言われており、その救済のための融資制度となっています。

他の融資制度の場合、特利の条件を満たすのは、そう簡単なことではないケースが多いため、この融資制度を利用できる方は、いろいろ比べてみたところで最終的にこの融資制度が一番条件に合うという結果になるかもしれません。

それでも、「女性、若者/シニア起業家支援資金(新企業育成貸付)」を利用する前に一度、他にも条件のあった融資制度がないか、確認するようにしましょう。

属性や状況によって困っている人がいるパターンの分だけ、融資制度の数があるといっても過言ではありません。

被災をきっかけに離職し、被災地で創業をする方や、被災地で創業して間もない方は、この融資制度にオプションがついたような融資制度なども用意されています。

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