セーフティネット保証とセーフティネット貸付の違いとは?

コロナ融資を調べている際に、セーフティネットという言葉を目にするケースが増えたと思います。融資におけるセーフティネットの制度には、セーフティネット保証とセーフティネット貸付の2つがありますが、両社は異なるものです。
今回の記事ではセーフティネット保証とセーフティネット貸付の違いについて解説していきます。

セーフティネット保証とは?

(1)中小企業者向け資金繰り支援制度

セーフティネット保証制度とは、経営に支障が出ている中小企業者を対象に、資金調達を手助けするために一般の保証協会付き融資とは別枠で保証の対象とすることができる資金繰り支援制度です。

簡単に言うと、融資を受けるときに保証協会が保証人となってくれる制度で、その保証額が制度を使わない保証協会付き融資とは別に、最大で2.8億円まで保証される、という制度です。

セーフティネット保証制度には対象や原因によって1号から8号の種別があり、号によって認定条件や借入債務の保証率などに違いがあります。

1号 連鎖倒産防止
2号 取引先企業のリストラなどの事業活動の制限
3号 突発的災害(事故)
4号 突発的災害(自然災害等)
5号 業績の悪化している業種(全国的)
6号 取引金融機関の破綻
7号 金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
8号 金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡

この1~8号のうち、1~4号と6号については、借入債務の保証率が100%です。

5号、7号、8号は借入債務の保証率が80%までで、残り20%は融資をする金融機関のリスクとなります。

つまり、5号、7号、8号は金融機関にも多少リスクがあるため、他の号に比べると融資の審査が厳しかったり、受けられる融資額が落ちる可能性があるのです。

令和2年新型コロナウイルス感染症において利用が可能なのは、セーフティネット保証4号と5号の2種類になります。

(2)セーフティネット保証4号

セーフティネット保証4号は、一定の地域を対象都市、その地域内の幅広い業種の経営に影響が出ている場合、業種に関係なく売上高が前年同月比で20%以上減少している企業が対象になります。

セーフティネット保証4号は地震や大雨、新型コロナウイルス感染症といった突発的な自然災害によって売上高などが減少している事業者を支援するための措置です。

対象となる企業は、指定の地域で1年間以上継続して事業を行っており、災害等の影響を受けた後の3か月間の売上高等が前年同期比マイナス20%以上の見込みである中小企業者となっています。

新型コロナウイルス感染症対応のため令和2年3月2日から全都道府県が対象となっているので、どの事業者であっても申請することができます。

(3)セーフティネット保証5号

セーフティネット保証5号は、業界全体に重大な影響があり、業績の悪化している業種に属する中小企業者を支援するための措置です。

業績悪化の原因によって(イ)(ロ)の二種類に分かれていて、(イ)は指定業種にあたる事業を行っている事業者で、直近三カ月の売上高が前年同月比で5%以上減少している者、(ロ)は製品原価のうち20%を占める原油などの仕入れ価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品など価格に転嫁できていない者が該当します。

セーフティネット保証5号は新型コロナウイルス感染症対策のため、令和2年5月1日から全業種が指定されています。

セーフティネット貸付

(1)セーフティネット貸付とは

セーフティネット貸付とは、正式には「経営環境変化対応資金」といい、一時的に売り上げが大きく落ちているものの、中期的には回復、かつ発展することが見込まれる中小企業の経営基盤を強化することが目的の制度で、融資を受ける手助けをするのではなく、日本政策金融公庫から直接融資を受けることができる制度です。運転資金、設備資金として借り入れ可能です。

直接融資を受けられるため比較的決まり事も多く、資金の使い道は運転資金、設備資金に限られ、融資限度額は7億2千万円。

貸与機関は設備資金は15年以内、運転資金は8年以内で、そのうち据え置き期間は3年以内、基準金利も中小事業1.11%、国民事業1.91%と明確に定まっています。

(2)セーフティネット貸付の対象者

セーフティネット貸付制度の対象者は以下の条件を満たした者となっています。

  • 最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している方
  • 最近3ヵ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し5%以上減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる方
  • 最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している方
  • 最近の取引条件が回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により、0.1ヵ月以上悪化している方
  • 社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある方
  • 最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じている方
  • 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金及び任意積立金等の合計額を上回る繰越欠損金を有している方
  • 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上である方

引用:日本政策金融公庫ホームページ

ただし、令和2年新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、令和2年2月14日より、特例措置としてセーフティネット貸付の認定要件が緩和されています。

令和2年7月現在では、上記の数値要件に関わらず、新型コロナウイルス感染症の影響が見込まれる事業者はすべて融資対象となっています。

日本政策金融公庫または沖縄振興開発金融公庫に相談できますので、必要な場合は問い合わせをしてみるといいでしょう。

【お問合せ先】

日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル:0120-154-505

沖縄振興開発金融公庫融資第二部中小企業融資第一班:098-941-1785

セーフティネット保証とセーフティネット貸付の違い

(1)制度の内容

セーフティネット保証制度は信用保証協会が保証人になってくれる制度で、融資自体は民間金融機関が行うのに対し、セーフティネット貸付制度は政府系金融機関である「日本政策金融公庫」が直接融資を行う制度となっています。

関係する機関の数が少ないので、セーフティネット貸付制度の方が融資までの時間が短くなりやすい傾向があります。

(2)利用可能時期

セーフティネット保証は各号に応じた利用条件があります。

利用条件に指定された期間を過ぎてしまうと、制度を利用することができません。

セーフティネット貸付に関しては常時利用することが可能で、対象者となる条件さえ満たせばいつでも利用することができます。

また、セーフティネット保証、セーフティネット貸付のどちらにも言えることですが、令和2年コロナウイルス感染症など、事業者に大きな影響が出る場合には対象者認定の条件が緩和されることがあるので、利用したい場合はチェックしておきましょう。

(3)制度目的

セーフティネット保証制度とセーフティネット貸付制度はどちらも中小企業の手助けをするためのものですが、制度の目的が少し違います。

セーフティネット保証制度は一時的に落ち込んでいる企業の業績回復を手助けすることが目的で、セーフティネット貸付制度は回復だけでなく、回復後の成長のために経営基盤強化をすることが目的です。

セーフティネット保証制度の目的は落ち込んでいる企業の救済のため、認定基準が厳しすぎると保証対象になることができなくなってしまいます。

そのため、セーフティネット保証制度の方がセーフティネット貸付制度に比べて少し認定基準が緩い傾向です。逆に成長や経営基盤の強化のために融資を受けることがメインとなるセーフティネット貸付制度の審査は通りにくくなる傾向がみられます。

まとめ

セーフティネット保証制度とセーフティネット貸付制度では、制度内容、制度対象、制度目的が異なります。利用する場合は、自分が受けることができるかどうかを事前によく調べておきましょう。

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