接骨院を開業したいと考えている方にとって、どのくらい開業資金が必要なのか気になるところだと思います。今回は弊社に相談いただいたお客様の例も合わせて、接骨院の開業資金がどのくらいかかるのかを説明していきます。
目次
1.接骨院を開業するために必要な資格
整体院の場合には開業において特に資格は必要ありませんが、接骨院の場合には柔道整復師の資格と技術管理者の取得が必要になります。
2.個人経営かフランチャイズ経営か
接骨院を開業する方の中には個人で開業する場合とフランチャイズに加盟して開業する場合があります。
それぞれどちらの経営があなたに合っているかをしっかり考えて選びましょう。
(1)個人で開業する場合
物件から内外装、名前などすべてを自分で決めます。自由な経営ができる反面、何かトラブルなどがあったときにすべて自分で対処する必要があります。
(2)フランチャイズに加盟して開業する場合
加盟するフランチャイズによりますが、一般的には加盟金が必要で、月々の売上に応じて(もしくは固定の)ロイヤリティを支払う契約になるでしょう。
費用がかかる分、開業から集客、経営支援などをしてもらうことができます。
フランチャイズに加盟した方が創業融資を受けやすいのではないかと思っている方もいると思いますが、それは間違いです。
日本政策金融公庫の創業融資の場合、開業する業界での勤務経験と自己資金が融資審査の上で重要になります。そのため、未経験の方がフランチャイズに加盟して始めるから大丈夫だと考える方もいらっしゃいますが、融資を受けるのは簡単ではありません。
十分な勤務経験があれば、個人経営でもフランチャイズ経営でも融資の審査において差はありませんので、自分に合う方を選びましょう。
3.開業場所は自宅か賃貸物件か
接骨院などの店舗系の場合、開業する場所により売上が大きく変わるため、物件選びがとても重要となります。
自宅もしくは賃貸物件で開業するかどうか、賃貸物件でも居抜きなのか、スケルトン(何もない状態)なのかで初期費用は大きく異なります。
4.接骨院の開業資金 何にどのくらい費用がかかるのか
店舗の立地や広さなどによりかかる費用は大きく異なり、100万以内で開業される方もいらしゃれば、1,000万円以上の費用をかけて開業される方もいらっしゃいます。
かかる費用としては「設備資金」と「運転資金」の2つに分けられます。
設備資金 | ポイント | |
物件取得費用 | 保証金 | 家賃の3~12か月分など物件によります |
敷金 | 保証金を敷金としている場合があります | |
仲介手数料 | 不動産業者に支払う手数料のことをいいます | |
内外装費 | ターゲットに合わせた内外装をされると思いますが、資金計画に応じて削ることも考えましょう | |
施術所としての要件があるため、事前に保健所に確認しましょう | ||
複数社から見積もりを取り、費用の交渉を行いましょう | ||
治療機器 | 必要最低限度に抑え、徐々に揃えるのが良いでしょう | |
施術用ベッドなどの備品 | 必要に応じて中古も検討しましょう | |
パソコンなどの電子機器 | 必要に応じて中古も検討しましょう | |
ホームページの制作費用 | 内外装費と同様に複数社から見積もりを取り、費用の交渉を行いましょう | |
フランチャイズ加盟金 | フランチャイズに加盟する場合に必要になります |
運転資金 | ポイント |
家賃 | 駐車場も借りる場合は駐車場代も含めます |
人件費 | 従業員を採用する予定であれば、採用コストも別途かかります |
広告宣伝費 | チラシの作成やエキテンなどの口コミサイトへの掲載するための費用となります |
水道光熱費 | 店舗で使用する電気、ガス、水道代 |
リース料 | リースを多用すると毎月の支払いが重たくなるので、しっかりと考えて利用しましょう |
ロイヤリティ | フランチャイズに加盟する場合に必要になります |
設備資金だけで1,000万円以上かかる場合があり、なかなかすべてを自己資金で賄うのは難しいのではないでしょうか。その際には日本政策金融公庫の創業融資など資金調達を検討しましょう。
もし融資を検討される場合には設備資金に関してはそれぞれ見積もりが必要となります。
また、運転資金は最低でも3ヵ月分を準備しましょう。最初から事業が順調にいくとも限りませんし、保険診療の場合、入金までに数ヵ月かかると思いますので、その間の運転資金は準備しておく必要があります。
5.接骨院を開業したAさんの例
弊社にご相談いただき、日本政策金融公庫から満額800万円の融資を受けることができたAさんの例をもとにどのくらい開業資金がかかったのかを説明します。まずAさんの状況は下記となります。
【Aさんの状況】
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そして下記が接骨院の開業場所の情報となります。
【店舗予定地】
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Aさんが融資を受けることができたのには大きく3つのポイントがあります。
まずは経歴です。15年以上の接骨院での勤務経験があり、Aさんを目当てに来院される方も多くいらっしゃったということで、Aさんが独立しても安定した売上があげられると日本政策金融公庫の担当者に評価されました。
次に自己資金が通帳で貯まっているのが確認できた点です。
Aさんは開業に向けて、毎月給料の中から一定の金額を通帳で積み立てていました。なおかつ積立型の生命保険にも入っていて、堅実に開業に向けて準備してきたことが日本政策金融公庫の担当者に評価されました。
最後に事業計画書の作成を資金調達の専門家に相談し、完成度の高いものを提出できたことです。
創業計画書や事業計画書を作成する上で、大切なポイントは数字をしっかり作成することです。売上はもちろん、資金使途においても設備資金、運転資金でそれぞれいくら必要かしっかりと作成することで、評価されました。
※日本政策金融公庫に提出した創業計画書の資金使途の欄
まとめ
以上が接骨院の開業資金がどのくらいかかるかの説明となります。
接骨院を開業するためには、状況によって多くの費用がかかることがあります。
自己資金だけでは全部を賄うのは難しいと思いますので、資金調達(日本政策金融公庫などから融資を受けること)も検討しましょう。自分だけでは難しいと思われた方は専門家に相談してみるのが良いでしょう。
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