はじめて信用保証協会の信用保証制度を利用する場合、基本的には信用保証協会の担当者との面談があります。
そこで今回は、信用保証協会の面談を受ける際のポイントや注意点について解説します。
1. 信用保証協会へ申し込む流れ
信用保証協会に申し込みをする際には取引がある金融機関経由で申し込む、または各信用保証協会に直接申し込みをする2つの方法があります。
どちらの方法でも金融機関と信用保証協会それぞれの審査が行われます。
2.信用保証協会の面談のポイント
信用保証協会は申込者から提出された書類を基に、面談で申込者の事業に対する姿勢や、信用できる人物であるかなどを見極めます。面談でうまく説明できないと融資を受けられない場合もあります。しっかりと面談のポイントを抑えた上で面談に臨みましょう。
信用保証協会の面談は初回のみ
面談は信用保証協会の各支店、または実態確認のため信用保証協会の担当者が本店所在地または営業所を訪問して行われます。
信用保証協会の面談は初回の取引時だけで、基本的には、2回目以降に信用保証協会付の融資を受ける場合には、面談はない傾向です。
※当社株式会社SoLaboも保証協会付融資を複数回利用していますが、面談は初回のみで、2回目以降の利用時には、面談は免除されました。
オフィスの引っ越し等により、管轄保証協会のエリアが変更になれば、改めて面談になることもあります。
エリアが変わらなければ、初回以外は信用保証協会との面談は基本的にないと考えてもよいでしょう。
3.信用保証協会の面談で質問されるポイント
信用保証協会としては申込者が問題なく返済をしてくれる人物であるかどうか、信用できる人物であるかどうかを確認するために面談します。
創業時とすでに事業を行っている場合では質問されるポイントも異なります。それぞれみていきましょう。
なお、面談時の服装について気にされる人もいます。服装が審査に直接的に影響することはないでしょう。しかし特段理由がないのであれば、スーツで臨むのが無難です。
(1)これから事業を始める(創業)場合
創業計画書を基に下記を質問されますが、創業計画書の内容と矛盾がないように回答する必要があります。
- どのような事業内容を行うのか
保証対象である業種・組織形態であるか、また許認可が必要な業種であれば、許認可を取得しているかどうかを確認します。
- 創業の動機
どういった経緯で創業を決意したのかを確認します。
- 創業する事業の経験
何年経験があり、その間の役職や業務内容、実績などを確認します。
- 強み、セールスポイント
競合他社との優位性、独自性を確認します。
- 販売先や仕入先
どういった取引先を予定しているのかを確認します。
- 資金の使い道
運転資金、設備資金でそれぞれいくら必要なのかを確認します。
設備資金であれば見積もりを準備し、どういったものにいくらかかるのかを伝え、信用保証協会の担当者は設備の必要性、妥当性を含めて審査します。
- 売上の根拠を含めた事業計画
今までの経験を基にした、無理のない現実的な(楽観的になりすぎていない)売上計画であり、融資の返済も考えられた計画であるかを確認します。
創業時の場合、事業計画書が重要です。
事業計画書は行う事業全体の計画を記したもので、事業の詳細な内容だけでなく、将来の予測を立てる上でも非常に重要な書類なので、面談では重点的に質問をされます。
事業計画書には、ビジネスモデルや事業計画の詳細な内容だけでなく、売上予測や集客予測、支出予測などの計画も必要です。
重要なのは、「申込者が事業計画書の数字を理解できているか」という点です。
数字を丸暗記する必要はありませんが、大まかな売上数字、計算根拠は自分で説明できるようにしておきましょう。
業種によっては売上の根拠を示すのは難しい場合がありますが、信用保証協会の担当者からすると、どういった根拠で売上を算出したのかが重要な審査ポイントとなります。
【美容室の場合】
顧客リストを基に売上の根拠を説明すること場合があります。
顧客リストとは、以前働いていたお店での指名客のリストを指します。
美容室を開業する場合、指名客をある程度確保していることでしょう。申込者に指名客が一定数いる場合は、開業場所の条件が悪すぎなければ、固定客の一部が利用してくれる可能性があるでしょう。
そのため、顧客リストがあると売り上げ予測の根拠としてみやすいです。
顧客リストがある場合はこれを根拠にした事業計画を立てていくといいでしょう。
例えば、もともと独立前に次のような条件で、月200万円の売り上げを出していたとします。
- 以前働いていたお店での指名客400人
- 来客頻度は2か月に1度
- 顧客単価平均は1万円
400人✕1/2(2ヶ月に1度の来客)✕1万円=200万円
以前のお店から50%のお客様は確実に集客できるということを、合理的に説明できれば、創業時から200万円×50%=100万円/月 を稼ぐことができると評価されるでしょう。
【飲食店の場合】
飲食店の場合は開業予定地の実地調査で得たデータを売上の根拠にする場合があります。
開業予定地の交通量の調査、ターゲット層の割合、周囲の店舗の客入りや平均顧客単価などといったデータを収集して、それを根拠に事業計画を説明するとよいでしょう。
(2)すでに事業を行っている場合
確定申告書または決算書を基に下記内容を中心に質問をされます。
- どのような事業をしているのか
事業内容の詳細について確認します。申込者が経営者として状況を把握しているのかどうかが重要です。
※配偶者や経理担当が把握しているからという理由で説明できないと、困りますのでご注意ください。
- 申込者の略歴
最終学歴から創業にいたるまでの職務経歴を確認します。
- 事業を行う上で必要な許認可を取得しているのか
信用保証協会は公的機関であるため、法令違反がないかどうかを確認します。
- 取引先、売上の回収サイト・仕入れの支払サイト
お金の流れに不審な点はないかも含めて決算書、通帳をもとに確認をします。
- 資金の使い道
運転資金や設備資金の事業資金が保証の対象です。生活費や教育費、住宅購入資金や投機資金などは対象ではありません。
もし事業資金以外に流用されたことが信用保証協会に知れた場合、資金使途違反となり一括で返済を求められたり、今後信用保証協会の利用が難しくなる可能性があります。
4.信用保証協会の面談時の注意点
(1)持ち物はなるべく当日までにすべて用意して持参する
提出書類が揃っていない場合、後ほど提出もできます。なお、審査が遅くなるのはもちろん、印象もあまり良くありません。
なるべく、持ち物は当日までにきちんと揃えましょう。
また面談時間に遅れると、印象が悪くなる可能性があります。マイナスのイメージを持たれるような行動はしないようにしてください。
(2)質問された内容に対して、冷静に、そして論理的かつ簡潔に回答する
質問された内容には簡潔に答えましょう。はじめての面接は誰しも緊張するものです。
融資担当者は今後事業をサポートしてくれるパートナーだと思って落ち着いて受け答えをしていきましょう。
もし上手く伝えることができないと判断した際には、適当に答えるのではなく、後ほど調べて回答する旨を伝えるとよいです。
つじつまが合わない回答をしてしまうと、担当者は不信感を覚えます。
信用保証協会の審査については下記記事で詳しく解説してますので、ご確認ください。
まとめ
信用保証協会の面談は、申込者が信頼できる人物か、事業で得た利益で返済ができるかを見極めるためのものです。
一度信用保証協会の融資を受けることができれば、基本的には2回目以降の融資では面談が必要なくなります。その分、初回の取引は慎重に進めましょう。
もし不安がある場合は、融資のサポートを行っている認定支援機関に相談するのもいいでしょう。
創業融資ガイドを運営している株式会社SoLaboは、認定支援機関として多くの融資をサポートしてきた実績があります。
信用保証協会の融資面談に不安がある場合は、お気軽にお問い合わせください。