新型コロナウイルス感染症の影響を受け、これまでどおり事業を継続していくのが困難かつ、これからのニューノーマルに対応した事業を模索している企業が増えてきました。
無利子・無担保融資をはじめ、家賃支援給付金や持続化給付金など、政府がさまざまな対策を行ってきましたが、新たな支援策として「事業再構築補助金」が新設される予定です。
今回は事業再構築補助金とはどのような制度なのか、申請が始まったときにすぐ申し込みができるよう、現時点での情報をお伝えします。
※2021年2月17日追記
2月15日に中小企業庁から事業再構築補助金の事業概要が発表されました。
その詳細については下記記事で詳しく解説しております。
※2021年5月21日追記
事業再構築補助金は令和2年度第3次補正予算成立を前提としたものです。5/20(木)18:00から第二次の応募を開始されました。
二次公募の応募は、5月20日から7月2日までです。中小企業庁のHPによれば申請の受付は、5/26(水)の開始を予定しています。
続報があり次第、当サイトも更新していきます。
目次
1.事業再構築補助金の概要
事業再構築補助金は中小企業が業態転換するために必要な経費を補助する制度です。
例えば、飲食店がテイクアウトやデリバリー専門店に転換するケースやメーカー会社が自社技術を応用して医療機器の製造に参入するケースなど、withコロナに対応し業態転換や事業規模の拡大、新分野への進出などが補助の対象とされています。
経済産業省が作成した事業再構築補助金のパンフレットに記載されている、「ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を支援」という一文にもある通り、これからのニューノーマルに対応しようと、新分野展開や業態転換に向けて挑戦しようとしている事業者をサポートするための補助金制度です。
2.事業再構築補助金の補助額と補助率
12月15日に公表された令和2年度第3次補正予算案の事業概要(PR資料)によると、事業再構築補助金の補助上限額と補助率は次の4つの区分に分けられています。
補助金額 | 補助率 | |
中小企業(通常枠) | 100万円以上6,000万円以下 | 2/3 |
中小企業(卒業枠)※1 | 6,000万円超~1億円以下 | 2/3 |
中堅企業(通常枠) | 100万円以上8,000万円以下 | 1/2(4,000万円超は1/3) |
中堅企業(グローバルV字回復枠)※2 | 8,000万円超~1億円以下 | 1/2 |
※1 中⼩企業(卒業枠):400社限定
※2 中堅企業(グローバルV字回復枠):100社限定
- 卒業枠とは
計画期間内に①組織再編②新規設備投資③グローバル展開のいずれかにより、資本⾦または従業員を増やし、中⼩企業から中堅企業へ成⻑する事業者向けの特別枠。
- グローバルV字回復枠とは
以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠。
- 直前6か⽉間のうち売上⾼の低い3か⽉の合計売上⾼がコロナ以前の同3か⽉の合計売上⾼と⽐較して、15%以上減少している中堅企業。
- 事業終了後3〜5年で、付加価値額⼜は従業員⼀⼈当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること。
- グローバル展開を果たす事業であること。
(5/21追記)事業再構築補助金、特別枠の創設も発表
令和3年2月4日、先に記載した事業再構築補助金の通常枠に加え、特別枠の創設が発表されました。特別枠では、通常枠に比べて補助率も引き上げられ、また審査・採択にかかる時間についても迅速な対応が期待できるでしょう。
■特別枠の対象要件
通常枠の要件に加え、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1~5月のいずれかの月の売上高が対前年(or対前々比)同月比で30%以上減少していること。
従業員数 | 補助上限 | 補助率 |
5人以下 | 500万円 |
中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
6~20人 | 1,000万円 | |
21人以上 | 1,500万円 |
参照:中小企業庁 事業再構築補助金【随時更新】 | ミラサポplus
3.事業再構築補助金の補助対象となる必要経費とは
業務転換による設備投資費用、海外展開費用、企業買収費用などが補助の対象となるようです(参考:読売新聞)。
一般的に土地や建屋まで含めて補助対象経費とする補助金施策はありませんので、例えば工場を新設した場合の土地や建物が補助対象に含まれるかどうかは現時点ではわかりません。
また、企業の買収費用といってもデューデリジェンスにかかる費用や専門家費用等が対象で、株式取得費用に関しては対象外になる可能性が高いです。
4.事業再構築補助金の補助対象要件
事業再構築補助金は新型コロナウイルスの影響を受け、従来の事業の継続が難しくなった企業に対する支援策です。
そのため、一定以上の売上が落ちていることや今後事業を継続しても売上が戻らないことを証明する書類の提出などを求められる可能性があります。
例えば、持続化給付金は給付対象の主な要件として、「新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者であること」が設けられており、申請の際も前年度の確定申告書や売上減少となった月の売上台帳の提出が必要でした。
なお、現在公表されている内容では以下の2点が要件として挙げられています。
- 申請前の直近6か月間のうち、売上高が低い3か月の合計売上高が、コロナ以前の
同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。 - 自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関等と策定した中小企業等。
※中堅企業については売上減少率を含め別途要件があります。
さらに成長目標として事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上の増加が必要となる見込みです。
※事業再構築補助金のご相談をご希望の方は、『補助金』の相談をしたい旨を受付担当にお伝えいただけるとスムーズです。
5.事業再構築補助金の申請受付はいつから始まる?
事業再構築補助金の申請受付は中小企業庁の発行したパンフレットによれば、2021年の5月26日を見込んでいます。
【今後のスケジュール】
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※申請については、電子申請による受付のみを予定しているため、補助金の申請を検討されている方は事前にGビズIDを取得されることをおすすめします。
参照:jGrants
6.事業再構築補助金はいつもらえる?申請から交付までの期間
補助金は申請から交付まで2か月~3か月以上かかるのが一般的です。
小規模事業者持続化補助金の場合、交付決定までは5か月~6か月程度かかっているといわれています。
事業再構築補助金も3か月以上の期間がかかることを想定しておきましょう。
補助金が交付されるまでの間に、さらに資金繰りの悪化が予測されますので、金融機関からの融資を受けることも選択肢のひとつとして検討してみるとよいでしょう。
当社株式会社SoLabo(ソラボ)は認定支援機関として、経営者の皆さまの資金調達サポートを行っております。過去4,500件以上の融資実績をもとに、専門の融資担当者が融資に関する疑問や不安に答えますので、資金調達を検討している方はご相談ください。
なお、事業再構築補助金の相談をご希望の方は、『補助金』の相談をしたい旨を受付担当にお伝えいただけるとスムーズです。
7.事業再構築補助金の気になるポイント
1.事業再構築補助金の活用イメージは?
中小企業庁が発行する事業再構築補助金のパンフレットには、この補助金を用いた活用イメージを下表のとおり紹介しています。いずれも、もともとの事業内容からシフトさせる形で、業態転換や新事業の創出をする例となっていますので、一度目を通しておくとよいでしょう。
業種:事業内容 | 活用イメージ |
飲食業:喫茶店経営の場合 | 店舗の一部を改修し、新たにドライブイン形式での食事のテイクアウト販売を実施。 |
小売業:ガソリン販売の場合 | 新規にフィットネスジムの運営を開始。地域の健康増進ニーズに対応。 |
サービス業:高齢者向けデイサービスの場合 | 一部事業を他社に譲渡。病院向けの給食、事務等の受託サービスを新規に開始。 |
製造業:半導体製造装置部品製造 | 半導体製造装置の技術を応用した洋上風力設備の部品製造を新たに開始。 |
運輸業:タクシー事業 | 新たに一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、食料等の宅配サービスを開始。 |
まとめ
新型コロナウイルスの影響による業態転換を支援するための事業再構築補助金について解説してきました。
事業再構築補助金の公式資料や申請方法、審査のポイントなど、まだ公表されていない情報が多いので、当サイトでも情報が更新され次第、新しい情報をお伝えします。