独立開業を目指している人のなかには、一人で事業をはじめたい人もいますよね。近年の独立開業は飲食店やフランチャイズ、美容室のような店舗を構える形式のほかに、自宅を拠点とした形式も一般的になってきている傾向があります。
当記事では、一人でも開業できる仕事を紹介します。それぞれの仕事内容や開業におけるポイントを詳しく解説していくので、開業したい人は参考にしてみてください。
一人でできる仕事や副業でも資金調達を検討してみる
一人で開業できる仕事や副業をする場合でも、資金調達を検討してみるのも選択肢のひとつです。
今回この記事で説明する仕事は、一人でできて初期投資を抑えられるものが多いです。しかし、資金を調達しておくと、利益の出にくい開業初期を乗り越えやすくなります。
また、副業に関しても、仕入れなど運転資金や設備資金の資金を調達できれば、ビジネスチャンスが広がりますので、資金調達ができるならしておく方が良いです。
当サイトではアナタの経歴や自己資金から、補助金や金融機関を利用していくらの開業資金を調達できるか診断できます。
一人で開業できる仕事(自宅でもできる)
まずは、一人で開業できる仕事のうち、自宅で業務を行う仕事から紹介します。
自宅で開業するメリットは次の通りです。
- 初期投資を抑えられる
- 店舗を借りたり改修したりする必要が無く、開業までの期間を短縮できる
- 在庫のない仕事を選べばリスクを軽減でき、気軽に長く続けられる
ただし、開業する以上は、経営戦略を練った上で取り組むことが大切です。特に一人での開業は、自分を売り込むための宣伝・広報のスキルや、顧客のニーズをつかむ力も求められます。
もしはじめから一人で開業するのに自信がなければ、副業からスタートして一定の顧客を得てから開業するのも良いでしょう。
以上をふまえて、まずは自宅でできる一人で開業できる仕事9つをみていきましょう。
ライター・翻訳
記事を作成する「ライター」は、クライアントから依頼された内容に沿って文章を執筆していきます。紙を媒体とする記事であれば、掲載先は書籍や雑誌、フリーペーパーなど。
webを媒体とした文章を手がけるライターは「webライター」と呼ばれます。
また、広告に使用する文言を作成するのが「コピーライター」です。コピーライターには、対象となる企業や商品の魅力を、端的に表現するスキルが求められます。そのためには、広告企画のコンセプトを把握することが必須。市場を見極め、ターゲット層をリサーチすることも仕事のひとつとなります。
さらに、ライターとしてキャリアを積み重ねた後に考えられるのが「編集者」です。ライターが執筆した記事を編集する作業には、自身のライターとしての経験も生きてきます。その上で、ライターとして働くよりも収入のベースアップを期待できる場合もあります。
また、外国語を日本語へと訳す「翻訳家」も自宅を拠点に開業できる仕事です。出版物を翻訳する文芸翻訳のほか、ビジネス用語を訳す実務翻訳や、映画のセリフを訳す映像翻訳など、仕事の内容は多岐にわたります。言語も英語だけでなく、フランス語やスペイン語、中国語などさまざまなニーズがあるのが特徴です。
データ入力・文字おこし
「データ入力」とは、パソコンを使って数字や文字を決められたフォーマットなどに打ち込む仕事です。データ内容は見積書作成や集計など多岐にわたり、ワードやエクセルなどの基本的なパソコンスキルが求められます。クライアントによっては、受発注や出荷業務への対応が必要になることもあるでしょう。
それらに加え、エクセルやアクセスの関数、パワーポイントといったパソコンスキルは、独立開業の強みとなります。英語や簿記のスキルを身につければ、英文事務や経理事務へのキャリアアップも可能。専門事務として仕事を受注しながら開業する道も広がるでしょう。
また、「文字おこし」は録音されたデータを日本語に書き起こし、パソコンに打ち込む仕事です。文章を分かりやすくするため、多くの文字起こしで行われるのが「ケバ取り」。「あー」や「えーと」といった、意味のない言葉は省きながら文章を仕上げていきます。
効率的に文字起こしを行うためには、一定以上のタイピングスキルが必要です。また、耳慣れない専門用語があれば、根気強く繰り返し聞かなくてはいけません。素人では分からない言葉に対応するためには、辞書や用語集が必要になることもあるでしょう。記事の信頼性を高めるためにも、分からないことは丁寧に調べ、正確な情報を執筆する力が求められます。
webデザイナー
より使いやすく、見やすいサイトをデザインするのが「webデザイナー」です。
webデザイナーは、企業やクライアントから依頼された内容をもとに、サイトをデザインしていきます。デザインを作成するためには、「Illustrator(イラストレーター)」や「Photoshop(フォトショップ)」といったグラフィックソフトを使えることが前提になるでしょう。
デザインの全体像は、クライアントとやり取りし、相談を重ねながら形にしていきます。そのうえで、webサイトを構成するHTMLやCSS、JavaScriptといった言語を用いてコーディングを実行。デザインはミリ単位で調整を行うため、仕事中は作業に向き合う集中力とやり遂げるための根気が必要となるでしょう。
webデザイナーになるためには、独学のほか、スクールに通う方法もあります。一方で、クライアントから多くの仕事を得るためには、一定の実績が求められるでしょう。企業に勤務し経験を重ねながら人脈を広め、フリーランスとして独立するケースもあります。デザインするために必要なソフトや言語は、常に新しいバージョンへ更新されていきますので、いつも情報にアンテナを張っていることも重要です。
システムエンジニア・CADオペレーター
テレビやスマートフォンはもちろん、家電や車、金融機関のATMにもプログラミングが活用されています。それらのプログラムを設計するのが「システムエンジニア」の仕事です。
その他、予算や人員を推算し、進捗管理のマネジメントをするなど、システムエンジニアの役割は実にさまざま。自宅を拠点に開業した場合には、システムを設計し、予算に応じた人員でチームを組みプログラムを納品するまでの工程を請け負います。
さらに、自宅でプログラミングスキルを活かして開業する方法が「プログラマー」です。プログラマーは、システムエンジニアの設計をもとに、実際にプログラムを作成していく仕事。開業では受託プログラマーとして仕事を受注するほか、自身のノウハウをweb媒体で発信していく方法があります。
その他、コンピュータスキルを活かして自宅で開業できる仕事が「CAD」です。CADとは、コンピュータを用いて設計する技術。かつては建築や機械の設計が一般的でしたが、現在は3Dプリンター用のデータもCADによって設計されています。
イラストレーター
「イラストレーター」は、クライアントの依頼に応じ、イラストを制作するのが仕事です。イラストレーターとして開業するためには、仕事を受注できるフィールドを広げておく必要があります。
イラストレーターとクライアントをマッチングするサイトとして知られているのが、SkebやSKIMA。これらのサイトでは、イラストを求めるクライアントから直接仕事を受注することができます。SNSアイコンやキャラクター販売など、販売時の形態もさまざま。クライアントにとっても、求めている雰囲気で絵柄を描けるイラストレーターに仕事を依頼できることは大きなメリットとなるでしょう。
サイトで受注をするためには、まずは自分の作品を知ってもらわなくてはいけません。そのためには、作品をポートフォリオにまとめたり、SNSで発信したりといった営業活動も必要です。
その際に活用したいのが、無料で利用できるポートフォリオサイト。ポートフォリオサイトは自分の作品を一覧で紹介できるほか、他者とコミュニケーションを図れるのが特徴です。SNSアカウントに紐づければ、さらに多くの人に自分の作品を知ってもらうチャンスが得られます。
アフィリエイトサイト運営
「アフィリエイト」とは、インターネット上の広告宣伝ビジネスの一種です。
アフィリエイトの報酬は、webサイトに貼ったリンクを通し、読者が商品を購入することで得られます。言わば、サイトに貼った商品やサービスの紹介料です。報酬を得るために必要となるのが、ASPと呼ばれるアフィリエイトサービス会社への登録。広告企業を紹介するASPは、企業と運営者をつなぐ仲介業者の役割を担っています。
運営者は自身でwebサイトを作り、ASPへ登録。記事内に広告を貼り、サイトを運営しながら報酬を得るのがアフィリエイトの仕組みです。
ここでポイントとなるのが、ただサイトを運営しているだけでは報酬は生まれないということ。読者に商品を購入してもらうためには、広告に合った内容を記載する必要があります。また、検索サイトで上位に表示されるような内容を心掛けることもポイントです。
アフィリエイトで一定の収入を得るためには、サイトが不特定多数の人の目に留まるようになるまでのある程度の時間がかかります。しかし、特別な機材を用意したり、在庫を抱えたりする必要もなく、開業費用を抑えられるのが特徴です。本業の傍らサイトを運営しながら、軌道に乗ったタイミングで独立開業する選択肢を取ることも可能です。
ハンドメイド制作
フリマアプリや販売サイトの充実により、近年注目を集めているのがハンドメイド作家です。人気作家の中には、個人事業主として開業する方も少なくありません。
ハンドメイドで販売される作品は、バッグやピアス、イヤリングといったファッション小物のほか、インテリア雑貨など。minnneやCreemaといった販売サイトには、幅広いジャンルの作品が並びます。
ハンドメイド作家として成功するために大切なのは、自分のセールスポイントを明確にすること。どのような顧客に向け、どのようなこだわりで作成しているのかアピールすることが、ファン獲得へとつながります。ほかにはない「一点モノ」のこだわりこそが、ハンドメイド作品の醍醐味と言えるでしょう。
また、ハンドメイド作家として利益をあげるためには、原価や手数料を計算したうえで販売価格を設定しなくてはいけません。どれだけ売れても、原価や製作時間に見合う報酬が得られなければ赤字になってしまいます。そのためには、「月に〇円」という目標売上を明確化しておくことがポイント。原価をもとに販売価格を計算し、必要となる個数を洗い出してみましょう。
ハンドメイド作品を販売するサイトは多数あるため、自分の作風にあったものを見極めることも大切です。サイトのユーザー層と作品のマッチング度だけでなく、販売時の手数料も把握しておくとよいでしょう。
ネットショップ
実店舗の運営には、建物を準備した上で内装を施し、商品を陳列するなど、いくつもの手順や費用が必要になります。それらをすべて省いた上で、ネット上で商品を販売するのが「ネットショップ」です。
ネットショップで必要となるのは、パソコンとインターネットに接続できる環境。実店舗で土地や物件にあたるスペースは、ネット上の住所でもあるURLにあたります。専用のシステムを使用し、ネットショップのデザインを整えれば、あとは広告やSNSなどで集客が可能。顧客がショッピングカートにほしい商品をピックアップし、個人情報を入力すれば受注完了です。受注後は商品を梱包し、配送業者へと引き渡します。
また、近年は在庫を持たない「ドロップシッピング」も注目を集めています。
ドロップシッピングとは、在庫管理や梱包作業、発送作業をすべて提携業者が行うネットショップのこと。無在庫で開業できるため、費用負担も少なく、時間や場所を選ばないというメリットもあります。
ドロップシッピングで取られる販売形態は、既存の商品販売型と、オリジナル商品販売型の2パターン。既存の商品販売は気軽に取り組めるため、副業として始める方も多い方法です。
一方、自分の個性を売り出すことができるのが、オリジナル商品販売型。ショップサイトの中には、イラストや画像をアップするだけで、スマホケースやTシャツを作成できるものもあります。受注を受けてから作成し販売する形となっているため、実質的には在庫リスクゼロ。オリジナルパッケージの作成を併用すれば、よりブランド力の強い商品ができあがるでしょう。
動画配信
YouTubeは、今や全世界で19億人が利用する動画共有サービス。国内でも6,000万人以上の人が利用していると言われています。それらの市場規模を活かし、「動画配信」によって報酬を得ているのがYouTuber(ユーチューバー)です。
動画配信の報酬元となるのが、動画に掲載される広告収入。視聴者が広告をクリックするたびに、配信者には収入が振り込まれます。必然的に、再生回数が多い動画ほど多くの収入を得ることができると考えられるでしょう。
収益率をアップするためには、人気や話題を集める動画を継続して作成できることが重要になってくるでしょう。常に新しいネタを考えながら、コンスタントに動画を投稿していかなくてはいけません。市場規模が広いということは、それだけ競争相手が多いということ。動画配信で安定した利益を得るためには、YouTube以外のプラットフォームを利用する方法も考えられます。
例えば、ニコニコ動画の「クリエイター奨励プログラム」は、投稿した作品に対して奨励金が支払われるシステム。YouTubeの広告報酬とは異なり、奨励スコアを獲得することで利益を得ることができます。
一人で開業できる仕事(自宅以外)
自宅での開業に比べ、自宅以外に店舗を持つ形態には初期投資が必要です。資金繰りや集客のためのマーケティングなど、準備する内容もさまざま。実店舗を構えるため、立地をよく検討する必要もあるでしょう。
仕事の中には自宅で開業できるものもあるため、まずは小規模で始め、事業拡大に合わせ店舗を広げるという選択肢も考えられます。
一人で開業できる仕事のうち、自宅以外で業務を行う仕事をみていきましょう。
自宅外で開業する場合、テナントの契約費や備品の購入をするのに費用が掛かりますので、開業資金が必要になります。
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個人講師
自分の知識やスキルを活かせるのが「個人講師」としての開業です。そのジャンルは幅広く、学習塾から外国語会話、芸術教室と多岐にわたります。個人を対象とした小規模のものであれば、自宅を教室として生徒を招くこともできます。その場合、大掛かりな内装工事や設備投資が必要なく、初期投資を抑えられます。
講師業は商品を販売するビジネスではないため、在庫を抱える必要がないことも個人講師の強みです。最低限の教材は必要ですが、生徒の人数次第では一定の利益を残すことができます。一方、生徒の獲得(集客)には懸念があります。特に、開業するジャンルで知名度や実績がない場合には、信頼を得ることが難しいでしょう。
また、スポーツスクールを開業する場合は、練習場所の確保が必要です。少ない資金でも利用できる練習場所として学校の校庭や体育館、公民館のスポーツ施設などが挙げられます。これらの場所は子どもが通いやすい立地にあるため、児童を対象としたスポーツ教室を開業する際の集客力に期待が持てるでしょう。
スポーツスクールとして人気と知名度を上げるためには、チームの育成に力を注ぐことも重要です。大会に出場して優秀な成績をおさめれば、教室の宣伝効果も期待できます。
サロン経営
美容師やネイリストなど、特別な技術を活かして開業する方法が「サロン経営」です。特に、美容院の開業は、従業員として一定のキャリアを重ねた美容師が、最終的に自分の店を持つ「独立」ということになります。
美容院の開業に必要なのが、物件の取得費や内装工事といった初期投資。シャンプー台のような専門設備や、カラー剤といった薬剤や備品も欠かすことができません。スタッフを雇用して開業する場合には、人件費を含めた当面の運転資金を頭に入れておくことが重要です。もしオーナー兼スタッフとして個人経営する場合には、人件費を大幅に抑えることも可能です。
また、店舗を持つほか、個人宅でも始められるのが「ネイルサロン」の開業です。ネイリストとして開業するためには、特別な資格は必要ありません。しかし、顧客からの信頼を得るためには、スクールに通い技能検定を受け、一定のスキルを身につける必要があるでしょう。
ネイルサロンと同様に、近年ニーズが高まっているのがまつ毛にエクステンションを付けるサロンです。まつ毛エクステの施術を手がけるのが、目もとのスペシャリストとも言われるアイリスト。アイリストには、平成20年から美容師免許の取得が義務付けられています。
目元は非常にデリケートな部位のため、アイリストとして開業するには専門的な知識と技術を有している必要があるでしょう。伝染性疾病がないことを示す、医師の診断書の提出も求められます。その他、営業施設の面積や照明の強さ、消毒設備など、保健所が示す基準を満たさなくてはいけません。
宅配サービス
近年は、オンラインで商品を受注し、宅配で顧客に届ける店舗も数多く見られます。オンラインショップやネットスーパーのほか、クリーニングにお弁当など、宅配で届けられる品物は多数。在宅生活を送る高齢者に向けた「宅配サービス」のニーズもあるでしょう。
宅配サービスとして近年よく見かけるようになったUberEATS(ウーバーイーツ)がデリバリーサービスとして誕生したのは、2016年のこと。配達員は個人事業主としてUberと契約し、配達バッグを揃えれば即日勤務を開始できます。何時からどのように働くのかは、配達員である自分次第。注文が活発なエリアや時間帯を選択し、効率よく動くほど収益アップにつながります。
飲食店や小売販売店に比べ、宅配業は初期投資が抑えられる職種です。一方で、宅配に使用する車両購入費が必要になります。費用に不安がある場合には、車両のレンタルを検討してもよいでしょう。
また、宅配サービスの強みは、立地を気にしなくてもよい点です。むしろ、公共交通機関が整っていなかったり、店舗が密集していなかったりする場所ほど宅配のニーズは高まります。チラシのポスティングや地方紙、SNSを活用しながら、宅配業を広く周知してもらうことが大切です。
「自分で宅配サービスを開業するのは不安」という方であれば、フランチャイズへの加盟も選択肢の一つです。企業によっては研修費や月会費が発生するものの、開業に向けたサポートを受けられるのがメリットです。初期投資を融資してもらえる企業であれば、必要経費を最小限に抑えることもできるでしょう。
一方で、本部が定めたルールやマニュアルを反映した経営を行っていくため、オーナーが自由に経営することが難しいのがデメリットです。
職種の難易度は一概にはいえない
一人で開業できる仕事はさまざまありますが、どの職種が簡単に開業できるかどうかの難易度は一概にはいえません。いずれの職種にも、開業する際のハードルや開業後のメリット、デメリットが異なるためです。
たとえば、資金面では、設備資金や開業後に必要な運転資金なども職種によって異なるため、開業前にどの程度の資金が必要になるかあらかじめ確認しておく必要があります。
なお、開業資金ゼロでも事業をはじめたいという人は「開業資金ゼロの人は起業できるのか?」も参考にしてみてください。
まとめ
一人で開業できる仕事には、さまざまな職種が考えられます。自分の強みを把握した上で開業計画を立てる必要があるでしょう。とくに、初期費用や運転資金としていくら必要になるかを事前によく確認しておくとよいでしょう。
また、趣味や資格を活かした開業は、はじめのうちは副業から取り組んでみるのも選択肢のひとつです。副業からはじめることで、開業後の具体的なイメージを掴むことができます。一定の顧客を得た段階で、自分らしい働き方のひとつとして、開業を検討してみてはいかがでしょうか。