開業資金ゼロの人は起業できるのか?

「個人事業主として独立したい」「法人として会社設立したい」など、独立や開業を考えている人の中には、開業資金がゼロの人もいますよね。その際、開業資金がゼロでも起業できるのかどうかを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、開業資金ゼロの人は起業できるのかどうかを解説していきます。開業資金の集め方や資金調達の方法も紹介しているため、事業に充てる自己資金がない人は参考にしてみてください。

開業資金ゼロの人が起業できるかどうかは事業内容次第

開業資金ゼロの人が起業できるかどうかは事業内容次第です。起業できるかどうかは一概に言えないため、事業に充てる自己資金がない人はまずはその点を留意しておきましょう。

たとえば、飲食店を開業する場合、厨房機器や調理機器などを購入する設備資金が必要です。家賃や光熱費に加え、食材費や仕入費などの運転資金も必要になるため、開業資金がゼロの人は飲食店を開業できない可能性があります。

また、美容室を開業する場合、セット椅子やシャンプー台などを購入する設備資金が必要です。家賃や光熱費に加え、材料費や仕入費などの運転資金も必要になるため、開業資金がゼロの人は美容室を開業できない可能性があります。

一方、ライターとして開業する場合、パソコンやキーボードなどの設備は必要ですが、使用中のものをそのまま使うことも可能です。インターネット回線も必要ですが、自宅を職場にすることにより、開業資金がゼロの人もライターなら開業できる可能性があります。

これらはあくまでも一例ですが、開業資金ゼロの人が起業できるかどうかは事業内容次第です。事業内容から資金計画を立てることにより、必要となる資金が見えてくるため、事業に充てる自己資金がない人はまずはその前提を留意しておきましょう。

起業費用がかからなかった起業家は一定数いる

「起業費用はかからなかった」としている起業家は一定数います。起業費用がかからなかったということは、開業資金がゼロの状況でも起業できた可能性があるため、事業に充てる自己資金がない人はその点も留意しておきましょう。

日本政策金融公庫総合研究所の「2021年度起業と起業意識に関する調査」によれば、起業費用のアンケート結果として「費用はかからなかった」と回答した起業家は全体の20.6%でした。それにより、開業資金がゼロだった起業家も一定数いることがわかります。

また、事業に充てる時間が1週間あたり35時間未満のパートタイム起業家の場合、同様の回答をしたのは全体の45.6%でした。パートタイム起業家の約半数は費用をかけておらず、開業資金がゼロの状況でも起業できた可能性があります。

開業資金ゼロの人が起業できるかどうかは事業内容次第ですが、開業資金がゼロでも起業できる可能性はあります。事業内容から資金計画を立てる必要はありますが、事業に充てる自己資金がない人は予備知識として覚えておきましょう。

なお、開業資金の目安が知りたい人は、「起業資金はいくら必要?目安となる金額を解説」を参考にしてみてください。

開業資金を抑える方法も選択肢のひとつ

開業資金がゼロの場合には、開業資金を抑える方法から考えてみることも選択肢のひとつです。とくに、業界未経験から始める人やビジネスアイデアが思い浮かばない人は、起業における選択肢を広げられる可能性があるため、開業資金を抑える方法も考えてみましょう。

【開業資金を抑える方法の一例】

  • 移動販売
  • フランチャイズ

たとえば、飲食店を開業する場合、実店舗を持つのではなく、移動販売として開業するやり方もあります。キッチンカーを購入する必要はありますが、実店舗を持つよりも運転資金と設備資金の負担が軽減され、結果として開業資金も抑えられる可能性があります。

また、飲食店を開業する場合、自ら店舗を構えるのではなく、フランチャイズに加盟する方法もあります。開業資金は必要になる傾向がありますが、加盟先の本部が一部負担してくれることにより、自ら店舗を構えるよりも開業資金を抑えられる可能性があります。

これらはあくまでも一例ですが、開業資金がゼロの人は開業資金を抑える方法も検討してみましょう。なお、フランチャイズに関する内容が知りたい人は、「開業資金ゼロの人はフランチャイズによる独立は可能なのか?」も参考にしてみてください。

開業資金ゼロの人は資金計画を立てるところから始めてみる

開業資金ゼロの状況から起業を考えている人は、まずは資金計画を立てるところから始めてみましょう。資金計画を立てることにより、開業資金がゼロでも起業できるかどうかを知る目安のひとつになるからです。

事業における資金計画とは、必要となる資金をどこから調達し、どのように運用していくのかを計画したものです。資金計画のフォーマットや作成方法はいろいろありますが、起業前の場合は設備資金と運転資金に分けて考える傾向があります。

【Barを想定した資金計画の一例】

必要となる資金 金額 調達方法 金額
設備資金 <内訳>
・店舗保証金
・内装工事
・厨房工事
※ワインセラー含む
<内訳>
80万円
250万円
70万円
自己資金 300万円
借入 100万円
運転資金 <内訳>
・材料費
・人件費
・宣伝費
※バーテンダー含む
<内訳>
100万円
80万円
20万円
自己資金 100万円
借入 100万円

資金計画を立てる際、まずは設備資金と運転資金の内訳を出します。内訳を出した結果、設備資金と運転資金が0円の場合は開業資金がゼロでも起業できる可能性がありますが、収益と費用の兼ね合いから事業が軌道に乗るまでのことを考慮しておく必要があります。

また、設備資金と運転資金が必要になる場合には、それぞれの金額を算出し、それから資金調達の方法を考えることになります。資金調達の方法はいろいろありますが、起業前の場合は自己資金と借入に分けて考える傾向があります。

これらはあくまでも一例ですが、開業資金がゼロでも起業できるかどうかを知るには、資金計画を立てるところから始める必要があります。そして、資金計画は創業計画の一部となるため、資金計画を立てる場合は創業計画を立てることも検討してみましょう。

なお、創業計画書を作成する際には「日本政策金融公庫の融資に必要な創業計画書の書き方まとめ」のページを参考にしてみてください。

資金計画を立てる際は自己資金を貯めることも検討する

開業資金ゼロの人が資金計画を立てる場合には、自己資金を貯めることも検討してみてください。日本政策金融公庫の調査によれば、開業時の注意点として「自己資金が不足していた」と回答している起業家が一定数いるからです。

【自己資金の不足が占める全体の割合】

項目 全体の割合 参考資料 参考記事
飲食店 26.8% 創業の手引+(飲食版) 開業資金ゼロでも飲食店を開けるのか?
美容室 32.9% 創業の手引+(美容版) 開業資金ゼロの人は美容室を開けるのか?

※日本政策金融公庫の資料を参考に株式会社ソラボ作成

創業の手引+(飲食版)」には、「開業時に注意しておけばよかったと感じること」というアンケートに対し、26.8%の起業家が「自己資金が不足していた」と回答しています。これはその他にある項目の中でももっとも多い回答でした。

また、「創業の手引+(美容版)」には、「開業時に注意しておけばよかったと感じること」というアンケートに対し、32.9%の起業家が「自己資金が不足していた」と回答しています。こちらも同様、その他にある項目の中でももっとも多い回答でした。

開業資金がゼロの人も起業できる可能性はありますが、開業してから自己資金を貯めておけばよかったと感じることも考えられます。事業に充てる自己資金がない人は、資金計画を立てながら自己資金を貯めることも検討してみましょう。

開業資金ゼロからはじめる資金調達方法の一例

資金計画を立てた結果、開業資金が必要になる場合には、資金調達することを検討してみましょう。資金調達の方法はいろいろありますが、その一例として「融資を受ける」「支援を受ける」「出資を受ける」といった手段が挙げられます。

【資金調達の手段】

項目 メリットとデメリット
融資を受ける <一例>
・銀行から融資を受ける
・信用金庫から融資を受ける
・消費者金融から融資を受ける
<メリット>
・利用中の金融機関に相談できる
・入金までの期間が短めの傾向がある
・金融機関の数だけ借入先の候補がある
<デメリット>
・返済義務が生じる
・審査を受ける必要がある
・原則として金利による利息が発生する
支援を受ける <一例>
・補助金による支援を受ける
・助成金による支援を受ける
・給付金による支援を受ける
<メリット>
・金利による利息が発生しない
・原則として返済義務は生じない
・経営上のアドバイスをもらえる可能性がある
<デメリット>
・審査を受ける必要がある
・書類作成に時間がかかる傾向がある
・入金までの期間が長めの傾向がある
出資を受ける <一例>
・個人投資家による出資を受ける
・ベンチャーキャピタルによる出資を受ける
・クラウドファンディングによる出資を受ける
<メリット>
・原則として返済義務が生じない
・原則として資金用途の制限がない
・出資元の協力を得られる可能性がある
<デメリット>
・出資先を探す必要がある
・株主が経営に関与することになる
・配当金として利益の還元が求められる

たとえば、資金調達の方法には、銀行や信用金庫から融資を受ける手段があります。銀行や信用金庫は創業者向けの融資制度を展開しているため、銀行や信用金庫から融資を受ける手段は資金調達におけるひとつの方法となります。

また、資金調達の方法の中には、補助金や助成金などの支援制度を利用する手段もあります。補助金や助成金に関しては、経済産業省や厚生労働省が公募しているものに加え、地方自治体や財団法人が公募しているものもあります。

さらに、個人投資家やベンチャーキャピタルから出資を受ける手段もあります。クラウドファンディングを利用することにより、支援者から資金を集められる可能性があるため、開業資金がゼロでも画期的なビジネスアイデアがある場合は検討の余地があります。

ただし、今回紹介した資金調達の方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。どれも一長一短の側面があるため、資金調達を検討する際には、メリットとデメリットの観点から自身の状況に合わせたものを選択することを留意しておきましょう。

なお、資金調達にお困りの人は、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)に相談することも検討してみてください。4,500件以上の融資サポートの実績がある当社が、現在の状況から資金調達できるかどうかを診断します。

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開業資金がゼロの人は利用できない資金調達方法もある

開業資金がゼロの人は利用できない資金調達方法もあります。とくに、創業者向けの融資制度は自己資金に関する要件が定められている場合があるため、開業資金がゼロの人は注意が必要です。

たとえば、日本政策金融公庫の新創業融資制度は創業者向けの融資制度ですが、利用条件として自己資金に関する要件が定められています。開業資金がゼロの人は原則として利用できず、自己資金を貯めるところから計画しなければならない可能性があります。

また、日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合には、必要書類のひとつとして創業計画書を提出することになります。創業計画書には、自己資金の有無を記載する欄があるため、開業資金がゼロの場合は担当者からその点を指摘される可能性があります。

これらはあくまでも一例ですが、開業資金がゼロの人は自己資金がある人よりも資金調達に苦労するおそれがあります。開業資金がゼロの人は、創業計画を立てながら自己資金を貯めることも検討してみましょう。

なお、日本政策金融公庫と自己資金に関する情報が知りたい人は、「自己資金なしでも日本政策金融公庫から融資を受けられるのか?」を参考にしてみてください。

まとめ

開業資金がゼロの人も起業できる可能性はありますが、事業内容によるところもあるため、起業できるかどうかを一概に言うことはできません。飲食店や美容室など、事業内容によってはどうしても開業資金が必要になります。

フランチャイズに加盟する方法もありますが、加盟条件として開業資金に関する要件が定められている傾向があります。また、開業資金の要件がないところに関しては、本社から開業資金を借り入れることが条件となっている場合もあります。

そのため、開業資金がゼロの人は、まずは創業計画の一部として資金計画を立てることを検討してみてください。そして、資金計画を立てた結果、開業資金が必要になる場合には、自己資金を貯めながら資金調達することを検討してみましょう。

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