起業を考えているけれど、資金が足りないことがネックになっている方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、起業後に利用できる「助成金」や「補助金」を解説します。
「助成金」と「補助金」の違いは?
一般的に「補助金」のほうが募集期間が短く、受給できる数に上限がある事が多く、「助成金」よりも獲得が難しいと言われています。融資とは異なり、どちらも原則的には返済不要です。
助成金とは | ・厚生労働省が実施している雇用に関するものが一般的 |
・基準を満たしていれば受給できる可能性が高い | |
・申請期間が長期間で設けられていたり、随時募集される場合が多い | |
補助金とは | ・国や自治体が公共団体や会社、個人等に対して、特定の産業を育てたり、施策を推し進めるなどの目的を達成するために交付 |
・経済産業省、農林水産省、中小企業庁等の官公庁が実施 | |
・予算の関係で上限を確定していることが多く、受給できない場合もある | |
・ほとんどが公募で申請期間(公募期間)が1ヵ月程度の場合もある |
起業時に役立つ補助金・助成金
(1)創業補助金(創業・第二創業促進補助金)
起業を考えている起業家や、事業継承で新しい取り組みを検討している企業に対し、創業に関わる経費の一部を助成してくれる制度です。\この補助金の対象となる事業を行う際には、国が行っている補助事業と同じように「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の規定が適用されます。
申請するには、産業競争協力法における認定市区町村または認定連携創業支援事業者による特定支援事業を受ける必要があります。より具体的な内容は「創業・第二創業促進補助金事務局」のホームページをご参照ください。
(2)トライアル雇用奨励金(厚生労働省)
事前にトライアル雇用求人をハローワークに提出し、ハローワークから紹介された人を原則3ヶ月間の有期雇用で雇い入れ、一定の条件を満たすと奨励金が支給されます。このトライアル雇用は、就業規則が法令に基づいていれば特に変更したり作成したりする必要もなく、雇い始めてから3ヶ月後に常用雇用に切り替えるだけで受給が可能です。数か月で需給できるので、従業員雇用の際には検討してみてください。
*注意事項*
・トライアル雇用求人の選考中の人数が求人数の5倍を超える場合は、それ以降のトライアル雇用としての紹介はしてくれません。
- 求人数を超えたトライアル雇用は出来ません。
- トライアル雇用対象の選考は、書類ではなく面接で行うようにしてください。
- トライアル雇用開始日から2週間以内にハローワークに実施契約書を提出が必要です。
- 派遣求人をトライアル雇用求人とすることは出来ません。
(3)キャリアアップ助成金(厚生労働省)
非正規雇用(有期契約労働者、登録型派遣労働者、パートタイム労働者のいずれか1つ以上に当てはまる労働者のことです。)の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するために「正社員化」「人材育成」「処遇改善」の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。この「正社員化」「人材育成」「処遇改善」は従業員のモチベーションアップにも大きく繋がる項目です。従業員が“働きやすい環境”というのは、これからの企業の重要なポイントになると思います。
①対象事業主の条件
助成対象となる事業主の条件は次の通りです。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 雇用保険定期用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
- 雇用保険提供事業所ごとに、対象労働者に対して、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
- キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
②この助成金の示す中小企業の範囲
③助成内容
(4)キャリア形成促進助成金(厚生労働省)
労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練などを計画に沿って実施した場合や人材育成制度を導入し、労働者に適用した際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度とあります。先に記載した「キャリアアップ助成金」と言葉は似ていますが、目的や方法が異なります。「キャリアアップ助成金」は“非正規雇用者に対するキャリアアップ促進のための助成金”という雇用安定が主となる助成金ですが、この「キャリア形成促進助成金」は“労働者のキャリア形成を促進するための助成金”ということで、職業訓練などを行った費用の助成金になります。それでは具体的な内容を見てみましょう。
①この助成金の示す中小企業の範囲
②助成対象となる訓練・助成額(助成率)
③制度導入コースの最低適用人数
制度導入コースの導入・適用計画届を提出する時に企業全体が雇用する被保険者に報じて最低適用人数以上の人数を適用する必要があります。
*注意事項*
制度導入コースとそれ以外のコースでは「計画期間」と「支給申請期間」に異なる部分がありますので注意が必要です。
(5)雇用調整助成金(厚生労働省)
事業の縮小を考える事態に陥ってしまった時に、従業員の解雇も考えざるを得ない状況になることもあるかと思います。そんな時に解雇ではなく、一時的に休業などの雇用調整によって雇用を維持した場合に受給することができる制度です。対象となる雇用調整は「休業」「教育訓練」「出向」の3つです。各項目の定義については厚生労働省のホームページをご確認ください。
まとめ
今回は主に起業時に役立つ助成金・補助金をご紹介しました。補助金については、都道府県で実施しているものなどもまだまだあります。また、助成金や補助金の給付内容は変更になったり、支給の機会が1回限りのものがあったり、公募期間が短い場合などもありますので、こまめに関係省庁や団体・機関のホームページをチェックしましょう。