会社設立のための準備。定款の事業目的の考え方と書き方について

定款作成を進めると、「事業目的」を書かくフェーズがきます。
「やりたいことは決まっているけど、事業目的にかけばいいの?」、「事業目的って具体的にはどんなことを書かないといけないの?」という悩みを持つ方もいるかもしれません。

今回の記事では、株式会社などの営利組織の定款にある「事業目的」の考え方と書き方をご説明します!

1.「定款」とは?

定款とは、会社を運営するために必要なルールを定めた、会社内で適用する法律のようなものです。会社を設立するには、この定款を作成し、法務局に登記の申請をします。

定款には「絶対的記載事項」という必ず記載しなければならない事項があります。「絶対的記載事項」の記載がない場合、せっかく作成した定款全体が無効になってしまう可能性があります。この「絶対的記載事項」の一つが、「事業目的」です。

2.なぜ、「事業目的」が絶対的記載事項なのか?

法務局に定款の登記申請を行い、手続きが完了すると法人登記簿謄本が完成します。

定款に記載した内容は、法人登記簿謄本に反映されています。

会社を設立すると、登記簿謄本の提出が必要なケースがあります。その際、見る側が確認していることは、大きくわけて3つです。

さて、では登記簿謄本を見る人はどんな人でしょうか?

さまざまな場面で、さまざまな人たちが登記簿謄本をもとに会社を判断するのですが、その際に「何をする会社なのか」ということがわからないと信用されにくいです。

 3.事業目的を書くときのポイント

(1)何をする会社なのかを明確にかく

上記でも述べたように、定款が記載された登記簿は誰でも閲覧することが出来ます。

取引を始めようと考えている会社が見るということは十分にあり得ます。誰が見てもわかる内容になっているということが重要です。そして、できるだけ具体的に記載しましょう。例えば製造業であれば製造業とかくよりも〇〇の製造など具体的に記載しておくと、見る側にとってもよりわかりやすい情報になります。

(2)設立する会社の許認可や届出の有無を確認しておく

設立する会社の業種によっては許認可や届出が必要な場合があります。許認可に応じた事業目的を定款に記載する必要があります。場合によっては、事業内容だけでなく、根拠となる法律名など細かいところまで指定されていることもあります。

この他にも許認可や届出が必要な事業はたくさんあります。事前に管轄の担当窓口となる機関に確認しておきましょう。

(3)他の会社の事業目的を参考にしてみる

設立する会社の事業と近い、同業他社の事業目的を参考にするというのもひとつです。

登記簿の閲覧は所定の手数料を支払えば、誰でも見ることができます。また、企業のホームページで確認できる場合もありますので参考にしてみましょう。

(4)将来の事業拡大も考慮する

設立後すぐには始められないとしても、ゆくゆくはやっていこうと考えている事業があれば事業目的に記載しておきましょう。

なぜ、すぐに始めない事業まで記載しておくのかというと、定款に事象目的として記載していない事業は、原則として行うことができない決まりになっています。

(事業目的を変更するための手続きを行えば追加変更は可能です。後ほど、ご説明します!)

定款の事業目的の記載数には上限はありませんし、記載した事業を必ず行わなければいけないということもありませんので、事業拡大を考慮して、現在の事業に関連している事業は記載しておきましょう。

(5)最後に加えておきたい一文

事業目的を記載したら、最後に「前各号に付帯関連する一切の事業」という一文を入れておいてください。この一文があることで、事業目的に記載していない事業でも、その事業と関連性がある事業であれば、記載している事業目的の範囲内として認められます。

4.事業目的の注意事項

(1)書きすぎに注意

大手企業や有名なIT会社など、事業内容がたくさんある会社は20~30個、場合によっては60個記載しているということもあります。しかし、設立したばかりの会社では、事業目的を記載しすぎないよう注意が必要です。事業目的が多いと次のような懸念点があります。

① 信用されづらい

設立されたばかりの会社の事業目的がたくさん書いてあった場合、「何がやりたい会社なの?」「ちゃんとやりたいことを考えている会社なの?」と思われてしまう可能性があります。

② 融資が通らない可能性がある

新しい業種の場合、金融機関の審査基準に該当しないケースがあります。その際に、事業目的は判断材料のひとつとして考えられます。事業目的がたくさんあると「事業目的がたくさんあるけれど、怪しい会社ではないか?」と思われて審査が通らない可能性がでてきます。

(2)事業目的として登記できないこと

違法な活動や公序良俗(社会的妥当性)に違反した内容は事業目的として登記できません。また、営利性のない事業目的も登記はできません。

5.事業目的を変更することはできる?

事業目的を変更することは出来ますが、手間とコストがかかります。そのため、最初に事業目的を記載する際に、将来の事業展開も踏まえた事業目的を記載しておくことが重要になります。どうしても事業内容を変更する場合の流れをまとめておきます。

(1)事業目的の変更が必要な場合

  • 定款に記載していない事業を行う場合
  • 許認可や届出が必要な事業を行うことになった場合

また、資本金額に対して事業目的が多く、法人口座開設時に銀行側の判断で口座開設ができないという理由で事業目的を変更するなんてこともあるようです。

(2)事業目的を変更するための流れ

(3)事業目的変更の登記手続き

株主総会で決議が可決された日から、本社所在地の場合は2週間以内、支店所在地の場合は3週間以内に申請の必要があります。

この期間内に登記が出来なかった場合、過料の制裁をうける可能性がありますので注意が必要です。また、事業目的の変更には登録免許税として3万円かかります。

(4)事業目的を変更する際の注意点

事業目的を変更する際には、変更登記申請書を提出します。変更登記申請書に事業目的を記載するわけですが、追加や変更する部分のみ記載するのではなく、変更登記後に登記簿謄本に記載させたい事業目的すべてを記載する必要があります。追加の目的や変更する部分のみで申請すると、もともと記載されていた事業目的が消えてしまいます。

まとめ

定款の絶対的記載事項である「事業目的」についてまとめてみました。事業目的は、すぐには出来ないけれど将来的にはやっていきたい!と考えていることまで記載しておくことで、事業目的の変更のために再度届出をするという手間がなくなります。一方で、事業目的を書きすぎると会社の信用にも関わります。会社の成長を想像し、どう展開させていくかを考えながら「事業目的」を記載してください。

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