会社を設立し、順調に進んでいくと従業員を雇用するようになります。その際に、様々な手続きなどがありますが、忘れがちな事が「健康診断の義務」です。
事業主は、たとえ従業員が1人だとしても健康診断を受けさせる義務があります。この記事では、どんな健康診断を誰に受けさせれば良いのかをまとめておきます。
目次
1.健康診断は事業主の義務です!
健康診断が義務でることは、労働安全衛生法第66条で決められています。
健康診断の実施については、「従業員数が何名以上」などの規定はありません。大企業でも中小企業でも、従業員を雇っていれば実施の必要があります。
また、従業員も、会社が実施する健康診断を受ける義務があります。
2.健康診断は社員だけ?パート・アルバイトはどうなるの?
健康診断の受診の対象者は主に『常時使用する労働者』です。パート・アルバイトの方も一定の条件を満たしている場合には対象となります。
*パート・アルバイトの条件*
1週間の所定労働時間が、正社員の3/4以上の場合は対象です。1/2以上3/4未満の場合は実施を推奨されています。
3.実施しなければいけない健康診断の詳細
(1)雇用時の健康診断(労働安全衛生法第43条)
雇用時(入社時)に実施する健康診断です。
(2)定期健康診断(労働安全衛生法第44条)
1年に1回、定期的に行う健康診断です。会社によっては35歳以上の社員に対して生活習慣病予防検診を実施しているところもありますが、これは協会けんぽが保険業務の一環として実施しており、費用の一部を協会けんぽが負担しています。生活習慣病予防検診の中で一般検診を実施している場合は定期健康診断の代用として扱うことが可能です。
(3)特定業務従事者の健康診断(安全衛生法第45条)
労働安全衛生規則で掲げられている業務に従事している人が対象となり、6ヶ月に1回の実施が必要です。
特定業務従事者とは、深夜業を含む場合、重量物の取り扱いなど重激な業務やとても暑い環境などでの業務をいいます。
詳細は厚生労働省HPをご確認ください。
4.費用負担と検査結果について
健康診断の費用に関しては、事業主が負担することになります。
万が一、健康診断で異常が発見された場合は、業務に従事できるかなど医師の意見を聞く必要があります。また、検査結果は健康診断個人票を作成し、5年間保管しておく必要があります。さらに、常時50人以上の従業員がいる場合は、労働総基準監督署に健康診断の結果の報告義務があります。
5.健康診断をうけないと罰金を支払うことに?
従業員に健康診断を受けされることは義務となるので、その義務を果たしていないと判断されると50万円以下の罰金を払わなければならない場合があります。
6.健康診断を取り入れると助成金が貰える?
有期契約や短時間の労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者を対象に、会社内でのキャリアアップを促進するために、「正社員化」「人材育成」「処遇改善」などの取組を実施した
事業主に助成金が支払われる「キャリアアップ助成金」という制度があります。その制度の中に「健康診断制度コース」というコースがあります。
要件は非正規雇用労働者(パートタイム含む)を対象とする、法定外の健康診断制度を新しく規定し、延べ4人以上に実施した場合に1事業所あたり約40万円(中小企業以外は約30万円)が1事業所1回のみ助成されます。
キャリアアップ助成金の制度コースの1つとなるので、事前にキャリアアップ計画書の作成・認定が必要です。
助成金についてはこちらのサイトに詳しく掲載されていますので参考にしてみてください。
まとめ
従業員を1人でも雇用している場合の健康診断は法令で義務付けられています。
従業員が健康に業務を遂行できる環境をつくることも事業主としては大切なことです。定期的に健康診断を実施して健康な会社を作りましょう。