日本政策金融公庫から融資を受けてフランチャイズオーナーになりたい!と考えている方も多いのではないでしょうか。今回の記事では、フランチャイズに加盟して開業する場合に、利用できる日本政策金融公庫の融資制度についてご紹介してきます。
1.フランチャイズの開業で利用できる融資制度とは?
創業時に融資を受ける場合には、基本的に信用金庫か、日本政策金融公庫からになります。その中で原則無担保無保証で融資を受けることができる、日本政策金融公庫の『新創業融資制度』があります。
(1)新創業融資制度の金利は?
基準利率2.41%(令和2年10月1日現在)
(2)新創業融資制度の融資限度額
日本政策金融公庫のホームページには、融資限度額が3,000万円までとなっておりますが、基本的には1,000万円以内で考えましょう。理由としては1,000万円以上の申し込みの場合、支店での決済の後に本店で決済をしなければならないため、ハードルがかなり高く、融資を受けられる可能性は低いといえます。
しかし、フランチャイズに加盟して事業を始める場合、加盟金などの費用がかかり1,000万円以上融資を受けたいということもあると思います。そのような際には信用金庫の保証付き融資も利用した「協調融資」という方法もあります。
協調融資に関しては下記動画で解説しておりますので、ご確認ください。
(3)担保は必要か?
新創業融資制度は、原則として無担保、無保証人の融資制度となります。
※法人の場合、代表者が連帯保証人となることも可能です。その場合は利率が0.1%低減されます。
(4)許認可前でも融資を受けることが可能!
日本政策金融公庫では、許認可の取得前であっても融資の受けることが可能です。事後条件として許認可が確認できる書類の提出は必要になりますので、ご注意ください。民間の金融機関では、許認可が必要な場合、許認可を取得しないと基本的に融資を受けることができません。
2.融資を受けるための必要書類とは?
個人事業主の方が日本政策金融公庫から融資を受ける場合に必要となる資料をご紹介していきます。
(1)借入申込書
(2)通帳コピー
※直近半年以上の入出金を確認されます。 ご結婚されている場合には、配偶者の方の通帳コピーも提出することで、融資にはプラスに働く場合があります。
(3)創業計画書
(4)車のローンなど、何かしら借入がある場合は、支払明細書(現在の借入残高、月々の支払額がわかるもの)
(5)不動産の賃貸借契約書(店舗・自宅分)
※店舗を仮押さえしている場合には、借りる予定の不動産の契約条件がわかる書類
(6)営業許可書、資格または免許を証明するもの
※業種によって、不要な場合もあります。
(7)見積書
※設備資金として融資を受ける場合に必要になります。
(8)運転免許証コピー
※運転免許証がない場合にはパスポートやマイナンバーカードでも問題ありません。
(9)関連企業の確定申告書及び決算書(別で会社を経営されている方のみ必要です)
(10)印鑑証明書
※融資が決まった際に必要になります。
(11)代表者のご自宅分の水道光熱費の支払い状況がわかる資料
(12)直近2年分の確定申告または源泉徴収票
(13)加盟するフランチャイズに関する資料(契約書など)
法人で申し込むのであれば、上記に追加して法人の履歴事項全部証明書が必要になります。
3.融資を通しやすくするために必要なこととは?
フランチャイズに加盟するから、融資を受けやすいとお考えの方もいらっしゃるようですが、フランチャイズに加盟しても融資を受けられない方も多くいらっしゃいます。理由としては未経験業種での創業の場合が多いためです。「未経験だから、フランチャイズに加盟して事業を始める」という理屈は分かりますが、日本政策金融公庫から融資を受ける際には自己資金、経験、信用情報などを総合的に判断します。そのため、未経験の場合が絶対に融資を受けることができないわけではありませんが、非常に難しいといえます。
では、融資を通しやすくするには、何が必要なのかをご説明していきます。
(1)自己資金をより多く準備する
フランチャイズで融資を受ける場合には、より多くの自己資金を準備する必要があります。未経験業種であればなおさらです。自身名義の通帳だけでなく、可能であれば配偶者やお子さん名義の通帳も準備しましょう。また、両親や兄弟、親族からの支援も可能であるか確認するのも良いでしょう。
つまり、フランチャイズで融資を受けるにはある程度の資金力を提示することが融資成功のポイントになります。
次に融資を通しやすくするには、補足資料(別紙)をつけることが非常に大切になります。飲食店の開業を例に説明していきます。
(2)別紙資料を作成する
①経歴の作成方法
創業する事業につながる経歴を中心に記載しましょう。
【ダメな経歴の書き方】
【上手な経歴の書き方】
※いくつかの店舗で勤務している方であれば、それぞれのお店で何を習得したかを記載すべきでしょう。アピールするための資料となりますので、役職や社内で表彰された経験などを積極的に記載しましょう。
②資格を保有している場合のアピール方法
飲食店を開業される場合、調理師免許や、利酒師、ワインソムリエなどの資格を保有している方もいらっしゃるでしょう。アピールできる資格があるのであれば、〇〇をするために勉強して資格を取ったことを別紙に記載しましょう。
(例)ワインソムリエの資格を持っている方の場合
店舗で、お肉料理をメインに提供することを予定していたため、2014年にワインソムリエの資格を取得した。
資格を保有しているだけでも、融資の加点要素になりますが、何のために資格を取ったのかを記載するとさらなるアピールになります。
冒頭でもご説明しましたが、準備をして開業する方にお金を貸したいという考え方がありますので、開業までの準備で資格を取得していることが評価されます。
③創業動機
『創業計画書』でも創業動機を記載しますが、書くスペースが少なく、創業動機が伝わらない可能性があります。すべてを伝えるために創業動機を別紙で作成しましょう。
なぜあなたがフランチャイズに加盟して創業をしたいのかという熱い思いを日本政策金融公庫の担当者に伝えるために、創業動機をしっかり記載しましょう。
④ターゲット設定
飲食店を開業するのであれば、どのような方をターゲットにするかを決めて開業するでしょう。例えば、立ち飲み居酒屋であれば、サラリーマンがターゲットでしょうし、カフェであれば、女性をターゲットに開業する方も多いでしょう。そのため、ターゲットをどのような方にするのかをまとめましょう。 ターゲットが確定したら、そのターゲットを集客するためにどのような工夫をしているのかを記載すると、日本政策金融公庫の担当者に伝わりやすいでしょう。
(例) ターゲット⇒子供連れからご年配のファミリー層・近隣に通勤するサラリーマンやOL の場合
子連れやファミリー層をターゲットにしているため、店内は掘りごたつ式の座敷やテーブル席を設けた店にします。 近隣に勤務するサラリーマンやOLもターゲットになりますので、軽く飲んで帰りたい方のためのメニューを豊富に取り揃えます。
⑤店舗立地
(記載例)
※近隣に何があるかを記載しておくことでアピールにつながります! また、ターゲットと関連することを記載すると良いです。
例えば、サラリーマンをターゲットにしているため、オフィス街を選んだなどと記載するとよいでしょう。
⑥通行量調査
通行量別紙の記載例
《店舗前通行量調査》
※別紙を作成する際、出店予定地の通行量などの別紙につけると、融資を受けやすくなります。売上イメージを湧きやすくする資料を別紙につけるのがポイントとなります。フランチャイズ本部が作成してあることもあるかと思いますので、参考にご自身で作成するのが良いでしょう。
⑦提供するメニュー
飲食店の場合、フランチャイズ本部に依頼し、メニュー表を準備しましょう。また独自のメニューを提供できるのであれば、簡単でいいので、メニュー表を作成しましょう。
⑧競合調査
近隣の店舗の調査をするとよいでしょう。近隣にどのようなお店があって、同業種が近くにどれだけあるのかを分析する資料を作成するとよいでしょう。通行量調査と同様、フランチャイズ本部が作成してあることもあるかと思いますので、参考にご自身で作成するのが良いでしょう。
⑨どのようなプロモーション(集客)をするの
・新規客 ・リピート客 ・常連客 それぞれのお客様を増やすために何をやっていくのかを記載すると良いでしょう。融資を受けるために作成するものですが、将来失敗しないためにもしっかり考えておくと将来の役に立つので、時間をかけて考えておきましょう。フランチャイズ本部に依存しすぎるのではなく、独自の集客方法などを考えておきましょう。
⑩創業から2~3年の業績推移表を作成
下記の勘定科目で、どれくらいの売上、経費になるのかを検討してみましょう。
【売上高】
【売上原価】
【経費内訳】
給与手当
租税公課
荷造運賃手数料
水道光熱費
旅費交通費
通信費
交際費
消耗品費
福利厚生費
地代家賃
広告宣伝費
支払手数料
リース料
会議費
諸会費
支払報酬料
その他経費
上記の項目で毎月どれくらいかかるのかをエクセルでまとめ、どれだけ利益が出るのかを検討して、業績推移表を作成してみましょう。通行量調査、競合調査同様にフランチャイズ本部が作成してあるかと思いますが、あくまで参考程度にし、ご自身で作成するようにしましょう。
まとめ
融資を受けてフランチャイズオーナーになることは、簡単なことではありませんが、しっかり事前の準備をした方であれば、融資を受けられる可能性は高いでしょう。
日本政策金融公庫の融資審査に落ちないためにも、落ちてしまう理由を把握しておくべきです。
以下の記事で、審査に落ちてしまう理由をUPしておきますので、ご参照ください。