新しく事業を展開する際には是非覚えておいてほしい「経営革新計画」、皆さんはご存知でしょうか?
これは主に中小企業を対象とした計画で、各都道府県がこの計画を実行しています。今回の記事では経営革新計画の内容やメリットについて解説していきます。
経営革新計画とは
経営革新計画とは、既に事業を経営している中小企業が、新しく事業を展開するために立てた中期的な計画です。
中小企業が立案した計画の内容に対して、各都道府県が「この計画は実行かどうか」の判断をし、承認が下りた中小企業者はいくつかの支援を受けることが出来るのです。
その支援の内容は下表のとおりです。
低利融資制度 | 政府系の金融機関において低金利で融資を受けられる |
信用保証の特例 | 信用保証において一般枠と別で同じ額の保証枠が使えるようになる |
特許関係料金減免制度 | 特許料や調査手数料等の納付の減免が受けられる |
販路開拓コーディネート事業 | 首都圏の市場へ販路を広げることができる |
上記表の「信用保証の特例」に関しては、通常の限度枠とは別に利用することが可能なので民間の銀行からの融資も通りやすくなることが期待できるでしょう。
また、計画の承認を受けた企業にとって、補助金採択においても良い方向に働くものと推測されます。
その理由として、「新ものづくり補助金」において、その申請書の中に「経営革新計画の承認の有無」というチェック欄があるためです。
経営革新計画の注意点
経営革新計画を利用する上での注意点は下記の「承認申請の条件」にあります。
- 経営実績が直近で3年間ある方
- 創業後3年未満の場合は、直近で1年間の経営実績があり、尚且つこの期間内に税務署に申告済みの決算を終了している方
上記の内容は東京都における案内資料となりますが、これを見ると創業したての人は申請ができないという事になります。
申請を行うには、1期分の決算書が無くてはならないという事です。つまり、1期分の決算書があれば申請することは可能となり、実際に同じ条件で承認となった中小企業者もいます。
経営革新計画でのポイント
経営革新計画を申請し、承認を受けるには、定められた点がいくつかあり、その点をクリアしていなければ承認を受けることはできません。
その定められた点というのが以下の通りになります。
新事業の種類
経営革新計画を申請するにあたり事業の種類を問わないわけではありません。
申請しようとしている新事業が以下の4つの中のどれかに当てはまる場合にのみ承認を受けることが出来ます。
- 新しく商品を開発・生産
- 新しい任務(人のために行うサービス)の開発・提供
- 現在ある商品の生産・販売方法の導入
- 現在ある役務の新しい提供方法の導入・その他の新しい事業活動
目標とする数値
この計画には期間があり、それぞれ3年・4年・5年となっています。
この各年数には達成しなければならない目標数値があり、この目標数値を達成できる計画を考えなければなりません。
計画の終了年数 | 「付加価値額」「一人当たりの付加価値額」の伸び率 | 「経営利益」の伸び率 |
---|---|---|
3年の計画 | 9%以上 | 3%以上 |
4年の計画 | 12%以上 | 4%以上 |
5年の計画 | 15%以上 | 5%以上 |
新事業の革新性
この事業は経営革新計画と言われるものであるため、「すでに行っている事業と新事業との決定的な違い」「今まで見たことのないような革新的な新事業」というように、誰が見ても分かるような違いであったり、世の中には存在していない新しい事業であったり、経営革新計画の名前にもふさわしい事業内容を考えることが望ましいと言えるでしょう。
新事業の実現の可能性
新事業を考え申請するとしても、その新事業が本当に実行可能なのかどうか、明らかにしたうえで申請を行うことが望ましいでしょう。
既に行っている事業があるならば、それを元に新しいことを考える、などの実現できる可能性が高いものを申請する方がいいと言えます。
市場において、調査やテストマーケティングを実施し、見通しをつけておくのもよいでしょう。
承認申請書の数字の一貫性
経営革新計画を申請する際に承認申請書(3枚)をダウンロードし、記入をしますが、その用紙は数字を多く使い記入するものとなります。
3枚あるため、記入した数字のズレがあったり、矛盾があったりしないものが重要でしょう。
まとめ
今回は経営革新計画についてご説明しました。
条件はありますが、1期分の決算書があれば申請可能となるため、計画の仕組みを知るためにも一度は申請してみるのもよいでしょう。