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カフェ開業は小さなカフェから!開業タイプ診断・資金・資格・届出

「カフェ開業」という夢を叶えるために、知っておきたいこと、考えておきたいこととして、コロナ禍で苦境に立たされる飲食業界事情から始まり、あなたにあったカフェ開業タイプの診断、タイプ別の成功のコツと開業資金の目安、おすすめの資金調達方法、必要な資格や届出についてご紹介します。

1.あなたにあったタイプがわかる カフェ開業タイプ診断

まずは、あなた自身がカフェ開業を目指す理由を見つめて、どのようなカフェ経営を行うのが適しているか、次の「カフェ開業タイプ診断」をやってみましょう。

次のフローチャートをたどるだけで、あなたにあったカフェ開業タイプがわかります。

カフェ開業タイプ診断

カフェ開業タイプ診断フローチャート
あなたはどのタイプでしたか?

カフェ開業に何を求めているか、あなた自身の望みを把握しないまま、カフェ開業してしまうと「こんなつもりでは…」と後悔することになるので、気をつけましょう。

それぞれ、カフェ開業タイプを説明します。

【タイプA:オーソドックスな王道カフェ経営】が向いているあなたは「ゆくゆくは有名カフェブランドとなるようなオーソドックスなカフェを開業したい」と考えています。カフェ開業はあなた自身の自己表現の手段であり、野望です。有名カフェブランドにするには、宣伝と拡大戦略が大切だとわかっています。小さなカフェから開業しても、王道のカフェ店舗を構え、ステップアップしていくタイプです。

【タイプB:リスクをとらない事業形態のカフェ経営】が向いているあなたは「開業するカフェは集金手段にすぎない」と冷静に考えています。とにかくお金を稼ぎたいと思っているので、自身のカフェブランドや店舗の早期売却なども視野に入れているでしょう。そのために、自分の名声が宣伝効果となり、拡大戦略を取りやすくなることもわかっています。

小さなカフェから開業しても、立地リスクを解消しやすいキッチンカーでのカフェ経営など、できるだけリスクをとらないよう、カフェを柔軟に見られるタイプです。先々の売却も考えて、コロナ禍でも好調なフランチャイズのカフェ経営も向いているでしょう。

【タイプC:副業的な趣味人カフェ経営】が向いているあなたは「カフェ経営は趣味」ととらえています。どちらかというと、もうけは二の次、同じ趣味の人が集まるニッチな場づくりをしたいと考えています。

開業した小さなカフェの規模を維持し、自宅カフェや週末カフェを含めた副業的なカフェ経営をし続けるのも向いているでしょう。世間の副業ニーズや小さなカフェニーズを踏まえて、自身のノウハウを売り出すフランチャイズやコンサルティング事業を展開するのも、よいでしょう。

2.カフェ開業タイプ別:失敗しないためのコツ

よくある失敗からコツを学ぶ

カフェ開業タイプ別に、カフェ開業で失敗しないためのコツを見ていきましょう。

【タイプA:オーソドックスな王道カフェ経営】で気をつけること

  • 他のカフェの強みや弱み、競合分析をしっかりしていない
  • カフェのメニューが客層とあっていない
  • 店舗の立地の特性、客層や客足をしっかり把握できていない

オーソドックスな王道カフェ経営での、よくある失敗例は上の3つ。

小さなカフェから開業したとき、競合分析が不十分で、多少の失敗を重ねてもダメージはありません。本格的に店舗を構えたときに、競合分析が甘いと巻き返すのは大変です。苦境の中でオーソドックスな王道カフェを経営するからには、競合のカフェよりも強みのあるカフェメニューにまで持っていけている方は多いですが、カフェを訪れる客に響かなければ、強みは発揮できません。

構える店舗の規模が大きいほど、経営の継続難易度は跳ね上がるため、客層とカフェのメニューがマッチしているかの見極めが事業継続の成否をわけます。

【タイプB:リスクをとらない事業形態のカフェ経営】で気をつけること

  • あるリスクを避け、別のリスクを発生させてしまう
  • 最後までをトータルで考えた判断をしていない
  • 裏付けや下調べが甘く、思い込みや印象で判断してしまう

リスクをとらない事業形態のカフェ経営での、よくある失敗例は上の3つ。

キッチンカーでのカフェ経営も、立地リスクがないわけではありません。店舗でないことで、地域に密着するようなカフェにはなりにくく、客の囲い込みが難しい点です。SNSでの宣伝で、開店する場所をお知らせすることはできても、SNSを利用しない顧客の囲い込みは難しくなります。

あるリスクを避ければ、別のリスクがあることは覚えておきましょう。また、キッチンカーなどを含め、必要な機材や設備などコストパフォーマンス優先で揃えると、手放すときに厄介になることもあるため、最後までをトータルで考えた判断を心がけましょう。

フランチャイズでのカフェ経営も、リスクが全くないわけではありません。どこの企業を選ぶかによって明暗が分かれることもあるため、判断するときはネット上のレビューチェックだけではなく、同じ事業を行う先輩に話を聞くなどの下調べは必須です。裏付けや下調べが甘く、思い込みや印象で判断すると痛い目にあいます。

【タイプC:副業的な趣味人カフェ経営】で気をつけること

  • 値付け設定が甘く、利益が出ない。
  • こだわりが強すぎ、ニーズの客観的な判断ができず、変化に対応できない
  • プライベートとの線引きが甘いことで対人トラブル発生、常連客頼みになる

副業的な趣味人カフェ経営での、よくある失敗例は上の3つ。利益を度外視にしすぎて経営が成り立たなくなることも多いのが、副業的な趣味人カフェ経営です。値付けは、原価や人件費などの実費だけで設定してしまうと、利益が出ず、事業継続が危うくなるので、気をつけましょう。

カフェメニューの材料やデザインなど、自身のこだわりが強すぎ、経営環境の変化によるニーズの変化に対応できないことが多いのも、副業的な趣味人カフェでよくある失敗です。こだわりはブランディングにもつながりますが、こだわる部分が多すぎるとコストがかかりすぎて収集がつかないので、絶対に譲れない要素以外は客観的な判断をするようにしましょう。

また、自宅カフェをするなら、隣人トラブルに注意です。また、規模の小さなカフェのまま経営すると、常連客ばかりで新規顧客の獲得がおろそかになりがちな点も気をつけましょう。

3.カフェ開業タイプ別:開業資金の内訳と目安

次に開業資金についてです。なお、ご紹介するのはおおよその目安となる金額なので、開業場所や設備によっては変動する可能性があります。

【タイプA:オーソドックスな王道カフェ経営】の開業資金

オーソドックスな王道カフェの開業資金として、坪数5坪以上10坪以下、東京の千代田区内での店舗を構える小さなカフェ開業を例に、表にまとめました。王道のカフェ開業にかかる全ての費用項目を合わせた結果、開業資金として1000万円近くかかることが分かります。

都内の小さなカフェの開業資金の例
  居抜き物件 スケルトン物件
物件取得費 200~550万円 245~335万円
内装・設備工事費 200~400万円 300~600万円
備品・消耗品代 270~410万円
広告・宣伝費 〜30万円
開業後の運転資金 300万円
総合計 970~1,545万円 1,115~1,530万円

それぞれの費用内訳を解説していきます。

物件取得費都内の小さなカフェ開業]

「物件取得費」は、店舗となる物件の契約をする際にかかる費用総額です。開業場所や選択する物件情報によってかかる費用は大きく変わってきます。

また、設備や家具等は付いたままで貸し出されている「居抜き物件」と、家具も内装も何もない、いわゆるコンクリート打ちっ放しと呼ばれる「スケルトン物件」の場合での費用をご紹介します。

物件取得費 居抜き物件 スケルトン物件
賃料(管理費込) 20万円~42万円 22~28万円
保証金 8~10か月 200~250万円
礼金 1~2か月 1~2か月
仲介手数料 1か月 1か月
合計 200~550万円 245~335万円

内装・設備工事費都内の小さなカフェ開業]

店舗の床、壁、電気、ガス、厨房など、内装に関わる全てのものが「内装・設備工事費」です。内装の設計を行うことやデザインを施す場合、それらも費用に含まれるため、どのような店舗にしたいかで費用に大きな差が出ます。

1坪あたりの工事費の目安は、居抜き物件とスケルトン物件で変わってきます。また、居抜き物件の場合に残されている内装(厨房・空調等の設備)を、次の人が利用や買い取るための「造作譲渡料」がかかるということを覚えておきましょう。

食品衛生法に基づいて最低限設置しなければならない設備があるため、スケルトン物件は、事前に保健所へ相談をするか、設計前のチェックが必要です。

内装・設備工事費 居抜き物件 スケルトン物件
1坪当たりの工事費 10~30万円 30~60万円
造作譲渡料(物件の所有者が決める) 100万円前後 不要
合計 200~400万円 300~600万円

備品・消耗品代[都内の小さなカフェ開業]

カフェの雰囲気を印象付けるものでもある椅子やテーブル、食器や棚、カフェに必要な「備品」を揃えなければなりません。一つ一つの金額は高くなくても、揃えなければならないものが多いとそれなりに金額も高くなります。

「消耗品」は、お手ふきや紙ナプキン、紙コップ、ストロー、食品包材などですが、一種の宣伝費ととらえて、オリジナルのロゴなどのカフェ用品を発注することが一般的です。

冷蔵庫やレジなどは中古品、椅子やテーブルなどはDIY(手作り)したり、棚などは居抜き物件で前のオーナーから買い取ったり、節約できる備品もあります。開業費用がかからないよう、レンタル・リースを活用するのも一つの手です。

備品・消耗品代 おおよその目安
椅子(16席分) 20~50万円
テーブル(8個分) 10~25万円
照明器具(8個分) 5~15万円
食器類 10~20万円
厨房機器(冷蔵庫・冷凍庫・レンジ・製氷機 など) 120~150万円
調理機器 40~50万円
1~5万円
レジ 3~10万円
消耗品(オリジナルロゴ入) 30~50万円
その他/予備 30万円
合計 270~410万円

広告・宣伝費都内の小さなカフェ開業]

集客のために、カフェを宣伝しなくてはなりません。期間限定で特典(クーポンやプレゼント)を付けるなど、多くのお客さんを集めるための戦略も大切です。SNSは使い方によっては、顧客のコミュニティ化の囲い込みができます。最低でも、カフェの店名を検索したとき、Googleの地図に正しい情報が載っているようにしておきましょう。

広告・宣伝費 費用名 おおよその目安
フリーペーパー内に掲載 5~20万円(掲載サイズによる)
グルメサイトに掲載 1~10万円
SNS開設&宣伝 無料(外部委託する場合は委託料)
チラシやショップカード配布 2~3万円/3,000部(A3で両面カラー:ネット印刷のラクスルの場合)

開業後の運転資金都内の小さなカフェ開業]

経営を軌道に乗せるまでにはある程度の資金を確保しておくことが必要です。これを運転資金と言いますが、運転資金をしっかり確保しておくことで、もしも赤字が続くことがあったとして事業継続できます。

運転資金として確保すべき資金の目安は、店舗の家賃の10か月分と言われています。

開業後の運転資金 おおよその目安
運転資金 家賃の10か月分(家賃30万円として計算)
合計 300万円

 

【タイプB:リスクをとらない事業形態のカフェ経営】の開業資金

リスクをとらない事業形態のカフェの開業資金として、立地リスクを避けたキッチンカーでのカフェ開業を例に、表にまとめました。キッチンカーでのカフェ開業にかかる全ての費用項目を合わせた結果、開業資金として400〜500万円近くかかることが分かります。

キッチンカーのカフェの開業資金の例
  改造を依頼 DIYで改造 購入 ンタル
移動販売車代 100~130万円 50万円 200〜250万円 18万円/週
備品・消耗品代 100~300万円
広告・宣伝費 〜10万円
開業後の運転資金 120万円
総合計 330~560万円 280~480万円 430〜680万円 248万円〜

それぞれの費用内訳を解説していきます。

移動販売車代[キッチンカーのカフェ開業]

「移動販売車代」は、店舗となるキッチンカー(フードトラック)を用意するのにかかる費用です。キッチンカーでの移動販売は、都度、許可を取り、必要な場合は出店手数料を支払う必要がありますが、それは移動販売車代には含みません。

キッチンカーの調達には4つ方法があります。

  1. 自身が保有する車両の改造を依頼する
  2. 保有する車両をDIYで改造する
  3. 既製品の移動販売車を購入する
  4. 既製品の移動販売車をレンタルする

保有した車両を使う改造の1と2の方法は、車両の取得費用が含まれないので、安く済むように見えます。

移動販売車代 ①自身が保有する車両の改造を依頼する ②保有する車両をDIYで改造する
工具購入費用 右の費用に外注した工費を上乗せする 2万円
水道・シンク周り 6万円
電源 30万円
調理台・棚・収納用品 2万円
調理用品 6万円
冷蔵庫・冷凍庫 4万円
合計 100~130万円 50万円

3のケースは、オプションの機能や車の大きさにより、車両の費用は前後します。改造にしろ購入にしろ、車両の取得までには約2~3週間はかかります。店舗でいうところの内装工事や設備の費用がセットになっていると考えましょう。

また、4のレンタルは一見安く見えますが、スポット的に週末だけの営業などの特殊な営業条件下でない限り、トータルで高くつくので注意です。

移動販売車代 ③既製品の移動販売車を購入する ④既製品の移動販売車をレンタルする
ベースの車両費 110万円 9万円/2日(都内)
18万円/週(都内)
オールステンレスキッチン 120万円
作業台・冷蔵庫・冷凍庫 20万円
合計 200〜250万円 18万円/週〜

備品・消耗品代[キッチンカーのカフェ開業]

店舗のように椅子やテーブルを用意する必要はありませんが、テイクアウト用の食器類など、移動販売カフェに必要な「備品・消耗品」を揃えなければなりません。なお、厨房機器や調理器具などは、車両の備え付けでない限り、備品として購入することになります。

「消耗品」は、お手ふきや紙ナプキン、紙コップ、ストロー、食品包材などですが、店舗を構えるときと同様、一種の宣伝費ととらえて、オリジナルのロゴなどのカフェ用品を発注することが一般的です。

なお、レジについては店舗と異なり、一般的なレジにこだわる必要はありません。タブレットのレジアプリと金庫をセットで使うのもよいでしょう。また、出店場所や客層は選びますが、現金決済をせず、キャッシュレスにしぼるやり方も、リスクを減らすアイデアと言えます。

備品・消耗品代 おおよその目安
テイクアウト用の食器類 10~20万円
厨房機器(レンジ・製氷機 など) 50万円
調理機器 40~50万円
レジ 3~10万円
消耗品(オリジナルロゴ入) 30~50万円
その他/予備 30万円
合計 270~410万円

広告・宣伝費[キッチンカーのカフェ開業]

集客のために、カフェを宣伝しなくてはならないのは、キッチンカーでのカフェでも同様です。ただし、店舗を構えているわけではないので、フリーペーパーやグルメサイトへの掲載は、難しいでしょう。

Webサイトの用意は必須です。看板やチラシなどで目の前を通る客にアピールするのも大切ですが、できるだけSNSを使って、積極的に顧客の囲い込みを行うようにしましょう。

広告・宣伝費  おおよその目安
SNS開設&宣伝 無料(外部委託する場合は委託料)
チラシやショップカード配布 2~3万円/3,000部(A3で両面カラー:ネット印刷のラクスルの場合)
看板(A型スタンド式) 3,000~20,000円

開業後の運転資金[キッチンカーのカフェ開業]

経営を軌道に乗せるまでにはある程度の資金、運転資金をしっかり確保しておきましょう。運転資金の目安は、家賃の10か月分が目安と言われるため、キッチンカーの場合は車両保守費用と出店費用の合計として算出しています。

車両保守の費用の内訳は、移動販売車の駐車場代が月ごとに2~6万円、保険料は年ごとに4~7万円、車検代は2年ごとに4~7万円程度で、毎月5~7万円程度かかる試算です。

また、出店料については、無料のケース、固定で払うケース、売上の歩合で支払うケース、固定の金額と売上の歩合を合わせて支払うケースがあります。

ビルや店の前の出店は、出店料が無料のケースが多いです。イベントなどでの出店は平日なら3000円程度、土日祝の場合は1万円程度の出店料がかかります。ただし、開業しばらくは土日祝日を固定で払うイベントのみ出店という想定で、毎月5~7万円程度かかるとします。

費用名 おおよその目安
運転資金 車両保守・出店費10か月分(月12万円として計算)
合計 120万円

 

【タイプC:副業的な趣味人カフェ経営】の開業資金

副業的な趣味人カフェの開業資金として、知人の店舗を間借りする形の週末カフェ開業を例に、表にまとめました。間借りの週末カフェ開業にかかる全ての費用項目を合わせた結果、開業資金として105〜145万円近くかかることが分かります。

間借りの週末カフェの開業資金の例
備品・消耗品代 100~140万円
広告・宣伝費 〜5万円
総合計 105~145万円

それぞれの費用内訳を解説していきます。

なお、間借りするときの利用条件にもよりますが、一般的には、今ある設備を利用するため、物件取得費や内装・設備工事費などはかかりません。

また、一般的に、経営を軌道に乗せるまでにはある程度の資金(運転資金)を確保しておくことが必要と言われますが、副業的な位置付けで週末カフェをはじめる場合、それほど気負う必要はありません。健康と意欲さえあれば、備品・消耗品代の中の予備費だけでも、何とかやりくりできるでしょう。

備品・消耗品代[間借りの週末カフェ開業]

冷蔵庫・冷凍庫・レンジ・製氷機など基本的な厨房機器、椅子やテーブル、棚などは、あるものを使用すれば問題ありませんが、食器類やコーヒーメーカーのような調理機器など、カフェに必要な「備品・消耗品」を揃えなければなりません。なお、高額な機器であれば、開業費用がかからないよう、レンタル・リースを活用するのも一つの手です。

「消耗品」は、オリジナルのロゴ入りのお手ふきや紙ナプキン、紙コップ、ストローなどを発注したいところですが、既存の店舗にあるものを流用することもあるため、ロゴ入りにするとしても紙ナプキンだけ、などの一部のカフェ用品のみにして、あとは既製品にとどめます。

レジについては既存の店舗と別にする必要がありますが、一般的なレジにこだわる必要はありません。タブレットのレジアプリと金庫をセットで使うのもよいでしょう。

備品・消耗品代  おおよその目安
食器類 10~20万円
調理機器 40~50万円
レジ 3~10万円
消耗品(既製品) 10~30万円
その他/予備 30万円
合計 100~140万円

広告・宣伝費[間借りの週末カフェ開業]

集客のために、カフェを宣伝しなくてはいけませんが、店舗に問い合わせが行くと迷惑をかけるので、間借りしている以上、フリーペーパーやグルメサイトへの掲載は、難しいでしょう。

Webサイトは必ず用意しましょう。看板やチラシなどで目の前を通る客にアピールすること、できるだけSNSを使って、積極的に顧客の囲い込みを行うことが基本戦略です。

広告・宣伝費  おおよその目安
SNS開設&宣伝 無料(外部委託する場合は委託料)
チラシやショップカード配布 2~3万円/3,000部(A3で両面カラー:ネット印刷のラクスルの場合)
看板(A型スタンド式) 3,000~20,000円

4.カフェ開業におすすめの資金調達方法

貯めた自己資金は情熱を図る物差し

まずは自己資金を貯めてみる

カフェを開業するには少なくても数百万円、何も考えずに費用を積み上げると、ケースによっては1000万円を超える開業資金を用意しなければいけない試算になるでしょう。まず、手作りや中古購入、レンタル・リースで開業費用を小さくすることを考えましょう。

自身に開業資金をまかなえる充分な貯蓄があれば問題ないですが、多くは生活費用になり、事業に回せるお金がないケースがほとんどです。開業資金を得るために、融資を受けることを考えると思いますが、ほとんどの銀行などの金融機関では「自己資金がある=事業に対する意欲あり、社会的信頼あり」と審査されます。お金があるということは、働いて稼ぐことができる人です。100万円でいいので、カフェ開業のために自己資金を貯めることをはじめてみましょう。

もしカフェ開業の前に、カフェの勤務経験がないのであれば、実際にライバルとなる店舗の従業員を体験するのもおすすめです。大手カフェチェーン店や、個人経営のカフェなどのアルバイトを通して、強みやこだわりなどを発見できると、自身のカフェ経営に活かせる経験となるはずです。

また、融資を受ける前に、小さなカフェでのスモールスタートを通して「自身がカフェ経営に向いているかどうか」「メニューやコンセプトが世間のニーズにあっているのか」を確かめつつ、自己資金を貯めてみるのもいいでしょう。

金融機関や自治体の融資(補助金・助成金)に申し込んでみる

開業資金が足りない場合は、日本政策金融公庫などの公的金融機関の融資や補助金を申し込みましょう。

自己資金がない場合、無担保の融資制度や返済不要の補助金・助成金もあるので、活用を考えてもいいでしょう。ただし、自己資金がある場合と比べて、審査基準が厳しい傾向があるため、画期的なビジネスプランでないと、融資審査が通らず、融資が受けられない可能性も高くなります。

そもそも、公的金融機関の融資を受けるためには「この事業は成功する・信頼できる」と認められないといけません。提出する事業計画書の内容は、「現実的」かつ「根拠が明確」となっていることが重要です。

業績の推移・資金繰りなど、申込書に必須の数字も、根拠のある現実的なものでなければいけません。事業を創る創業の融資は、事業の実績を証明できるような根拠がないため、「自身の今までの経験や経歴」、「創業への準備や計画」をまとめ、提出することになります。

融資や創業に不安がある方は、信頼できる相談先として、事業計画書の作成や経営相談を行える、国が認める公的機関「認定支援機関」を活用するのもおすすめです。

なお、自身だけで融資の申し込みをする場合、準備の前に、コロナ禍に伴い、新規受付を一時停止している場合があるため、受付窓口に必ず確認してから行うことをおすすめします。

カフェ開業向けの日本政策金融公庫の融資制度と、補助金・助成金を、表でまとめました。

カフェ開業向けの日本政策金融公庫の融資制度 〈2021年1月現在〉

融資制度名 最大融資金額 返済期間 融資対象
新規開業資金 7200万円(うち運転資金4800万円) 20年以内(運転資金7年以内) Uターン等で雇用の創出を伴う事業を始める方、現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方 など
女性、若者/シニア起業家支援金 7200万円(うち運転資金4800万円) 20年以内(運転資金7年以内) 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内
中小企業経営力強化資金 7200万円(うち運転資金4800万円) 20年以内(運転資金7年以内) 認定経営革新等支援機関の指導や助言を受けて新事業分野の開拓等を行う方、ある会計指針に従った会計処理を行う方 など
新創業融資制度 3000万円(うち運転資金1500万円) 各種融資制度で定める返済期間内 無担保・無保証人での融資を望む、新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方

カフェ開業向けの補助金・助成金〈2021年1月現在〉

補助金・助成金 内容 補助率・助成率
創業補助金(地域需要創造型等起業・創業促進補助金):経済産業省中小企業庁 女性や若者の地域での起業・創業や、家業を活かす第二創業に、経費の一部を補助 補助率:2/3(地域での起業・創業は上限200万円、第二創業は上限500万円)
家賃支援給付金:経済産業省中小企業庁 家賃の一部を補助 申請日の直前1か月以内に支払った賃料などで算定された金額を給付(法人は最大600万円、個人事業者は最大300万円)
インバウンド対応力強化支援補助金:東京都及び(公財)東京観光財団 カフェに訪れる外国人観光客へのサービス(Wi-Fi・決済機器など)にかかる費用の一部を補助 補助率:1/2(都内の宿泊施設、飲食店、免税店などを対象に上限300万円)
喫煙室の設置等に対する補助金(分煙環境整備補助金):東京都 都内の店舗内分煙化に伴い分煙化に必要な資金の一部を補助 補助率:4/5(上限400万円)
受動喫煙防止対策助成金:厚生労働省 喫煙所や換気装置の設置にかかる費用の一部を助成してくれる制度 助成率:2/3(上限100万円)
キャリアアップ助成金:厚生労働省 アルバイトスタッフなどの非正規雇用労働者のキャリアアップに伴い発生する資金の一部を助成 7コースあり、コースにより助成率は異なる

クラウドファンディングにチャレンジしてみる

クラウドファンディングとは、自分のアイデアをインターネットなどに公開して、そのアイデアを実現するための資金を不特定多数の個人から集める方法です。カフェ開業の場合は「お店のコンセプト」や「他店にはない特徴・メニュー案・店舗のイメージ図」などのアイデアを公開し、そのアイデアに共感した人から資金を集めます。資金集めに成功した場合、資金を提供してもらった方に商品・サービス、あるいは株の配当のような金銭的なリターンを提供することになります。

クラウドファンディングはアイデアが重要視されるので、よほど革新的で注目されるものでないと、資金集めは難しいでしょう。

5.カフェ開業に必要な資格・届出

必要な資格・届出はカフェの個性で決まる

カフェを開業するにあたり、必要となる資格や届出は次のとおりです。(凡例 ★:必須となる資格・届出 □:場合により必要となる資格・届出)

【保健所】食品衛生に関する資格と各種営業許可

カフェの開業には保健所で営業許可の申請が必要です。この営業許可の申請には食品衛生に関わる資格も必要になってきます。

店舗のあるカフェであれば、担当者による施設検査に合格し、営業許可の交付を受ける必要があります。キッチンカーで移動販売する場合は、飲食業の分類は管轄の保健所で異なるため、必要な営業許可も異なります。

どちらにせよ、営業許可の交付を受けるためには食品衛生法に基づく施設基準(*)を満たすことが条件のため、カフェのビジネスモデルの設計段階で保健所に相談しておくとよいでしょう。

食品衛生法の改正(令和元年)で、飲食店営業のうち、簡易な営業については、飲食店営業の施設基準を一部緩和されています。カフェのような「既製品(清涼飲料水、アルコール飲料等)及び既製品以外の自家製ジュース、コーヒー等の飲料を提供する営業」も含まれます。(参考:食品衛生法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政省令の制定について

資格・届出 内容
★食品衛生責任者資格 <食品衛生責任者となることができる方>調理師・製菓衛生士・栄養士・船舶料理士などの代わりとなる資格を持っている方。
<上記資格を持たない方> 下記の食品衛生責任者養成講習会の受講で取得が可能。
講習内容 衛生法規2時間/公衆衛生学1時間/食品衛生学3時間(食品衛生学時間内にテストあり)
受講料 10,000万円
開催日 全国各地で定期的に開催
★各種営業許可 一般的なカフェで必要となる営業許可は「飲食店営業・喫茶店営業・菓子製造業・食料品等販売業」の4つ。
<営業許可を受けるには> ①事前相談 ②書類提出(申請) ③施設検査(施設基準を満たすまで) ④営業許可交付
□水質検査成績書 タンク水とも言われる貯水槽使用水・井戸水などを使用する場合に必要
□動物取扱責任者資格 動物のいるカフェを開く場合に必要
□(営業許可)第一種動物取扱業届

【消防署】火の取り扱いに関する資格・届出

店舗のカフェは、消防法の「防火対象物」にあたります。新たに開業する場合には「誰が入居し、どんな工事をしてどんなお店にするか」はもちろんのこと「消防法によって定められた消防用設備が不十分ではないか」などを届け出る必要があります。使用開始の7日前までに、消防署へ届け出ましょう。

移動販売のカフェでも、営業を行う場所によっては、火災予防条例に基づく届出の義務があることもあるので、注意しましょう。

【税務署】開業届や税に関わる届出

開業するのであれば、税務署への申告も必要です。開業届を出さないことで罰せられることはありませんが、確定申告において65万円の特別控除を受けることができなくなってしまうデメリットがあります。

届出 内容
★個人事業の開廃業等届出書(法人の場合には法人設立届出書) <必要書類>マイナンバーカード・本人確認書類 ※開業してから1か月以内に提出
□所得税の青色申告承認申請書 青色申告する場合
□給与支払事務所等の開設届出書 従業員・スタッフを雇う場合

【法務局】法人を設立する場合の登記

法人を設立するには登記申請が必要です。開業した自社の情報を法務局に告示することを「商業登記」と言いますが、登記申請は会社の設立後2週間以内に行わなくてはならないと法律で定められています。商業登記を行わなかった場合、会社の取締役、あるいは発起人に対して最高100万円の納税が命じられます。

届出 内容
□法人設立の商業登記 <必要書類>
法人登記申請書・定款・発起人の決定書・代表取締役、取締役、監査役の就任承諾書・取締役の印鑑証明書・資本金の払込を証明する書類・印鑑届出書

【労働基準監督署・ハローワーク】スタッフを雇う場合の届出

スタッフを雇う場合、雇用保険と労災保険の2つを指す「労働保険」の加入が法律で定められています。

企業の監督を行う厚生労働省の出先機関・労働基準監督署と、国が運営を行う行政機関・ハローワーク(公共職業安定所、通称:職安)のそれぞれで、手続きを行いましょう。

届出 内容 提出場所 提出期限
□労働保険保険関係成立届 雇用するスタッフの人数などを届け出る 労働基準監督署 *電子申請も可 スタッフの雇用日から10日以内
□労働保険概算保険料申告書 保険料の概算額を届け出る 労働基準監督署(労働局・郵便局でも可能)*電子申請も可 スタッフの雇用日から50日以内 ※「労働保険保険関係成立届」と同時提出も可能
□雇用保険適用事業所設置届 事業店舗住所や労働保険番号などを届け出る ハローワーク*電子申請も可 スタッフの雇用日から10日以内
□雇用保険被保険者資格取得届 スタッフの被保険者資格の取得のために届け出る ハローワーク*電子申請も可 取得日翌月の10日まで

まとめ

カフェ開業をテーマに、あなたにあったカフェ開業タイプの診断、タイプ別の成功のコツと開業資金の目安、おすすめの資金調達方法、必要な資格や届出についてご紹介しました。

失敗しないためのポイントとしては「あなた自身が何を求めてカフェ開業をしようとしているのか」を見極め、タイプにあわせたカフェ経営を行うことです。どんな経営をするにしても、まずは事業規模の小さなカフェからはじめるのも選択肢のひとつです。

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(金融機関のご提案・提出書類の作成支援・面談に向けたアドバイス・スケジュール調整等)

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