建設業や飲食業など、独立開業を考えている人の中には、日本政策金融公庫から創業融資を受けることを検討している人もいますよね。その際、ブラックでも日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのかどうかを知りたい人もいるのではないでしょうか。
当記事では、ブラックリストの懸念がある人でも日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのかどうかを解説します。ブラックリストの懸念がある人に向けた対応策も解説するため、日本政策金融公庫から創業融資を受けることを検討中の人は参考にしてみてください。
ブラックリストの懸念がある人は創業融資を受けられない可能性がある
ブラックリストの懸念がある人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があります。とくに、信用情報に傷がある人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があるため、まずはその前提を踏まえておきましょう。
信用情報とは、クレジットカードやローンなどの信用取引における利用情報のことです。信用情報には、信用取引における契約内容や返済状況などの利用情報が登録され、金融機関は融資の可否を決める判断材料のひとつとして信用情報を利用しています。
また、信用情報に傷があるというのは、延滞や滞納などの履歴がある状態(=ブラック)を指しています。ブラックに明確な定義は存在せず、ブラックリストという特定のリストも存在しませんが、信用情報に傷がある状態はブラックや信用ブラックと呼ばれています。
そして、日本政策金融公庫の担当者は審査の一環として申込者の信用情報を確認しています。申込者の信用情報を確認した結果、延滞や滞納などの履歴が見つかれば、申込者の返済能力を危惧し、日本政策金融公庫の担当者は融資を否決する可能性があります。
融資の可否は申込者の情報から総合的に判断されますが、信用情報に傷がある人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があります。ブラックリストの懸念がある人はその前提を踏まえつつ、日本政策金融公庫に申し込むかどうかを再検討してみましょう。
なお、信用情報に関する情報が知りたい人は「日本政策金融公庫の審査における信用情報を解説」を参考にしてみてください。
ブラックリストの懸念がある人は返済能力を超えているおそれがある
ブラックリストの懸念がある人は返済能力を超えているおそれがあります。とくに、延滞や滞納を繰り返している人は返済能力を超えているおそれがあるため、心当たりのある人は日本政策金融公庫に申し込むかどうかを再検討してみましょう。
返済能力とは、債務者の支払能力のことです。返済能力は債務能力とも呼ばれ、「年齢」「収入(年収)」「貯蓄(自己資金)」「借入件数」「借入残高」「借入期間」など、金融機関は申込者の返済能力をあらゆる要素から総合的に判断しています。
たとえば、借入残高の多さは返済能力を測る要素のひとつです。借入残高が多いことにより、月々の返済負担が重い状態にあるならば、自身の返済能力を超えているおそれがあるため、日本政策金融公庫に申し込むかどうかを再検討する余地があります。
また、借入件数の多さは返済能力を測る要素のひとつです。借入件数が多いことにより、延滞や滞納を繰り返している状態にあるならば、自身の返済能力を超えているおそれがあるため、日本政策金融公庫に申し込むかどうかを再検討する余地があります。
融資の可否は申込者の情報から総合的に判断されますが、延滞や滞納を繰り返している人は返済能力を超えているおそれがあります。ブラックリストの懸念がある人はその前提を踏まえつつ、日本政策金融公庫に申し込むかどうかを再検討してみましょう。
なお、延滞や滞納に心当たりのある人は「滞納している人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのか?」を参考にしてみてください。
ブラックリストの懸念がある人は信用情報を開示請求してみる
ブラックは信用情報に傷がある状態を指しています。その前提を踏まえれば、信用情報に傷がない(=ブラックではない)ことも考えられるため、ブラックリストの懸念がある人は日本政策金融公庫に申し込む前に一度、信用情報を開示請求することを検討してみましょう。
【開示請求先】
個人信用情報機関 | 保有している情報の具体例 |
---|---|
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | ・クレジットカード ・スマホ本体代の分割払い |
全国銀行個人信用情報センター(全銀協) | ・奨学金 ・銀行のローン商品 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | ・消費者金融のローン商品 |
たとえば、クレジットカードに関する利用情報が知りたい人は「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」に開示請求することになります。CICに開示請求することにより、クレジットカードに関する利用情報を確認することができます。
また、消費者金融のローン商品に関する利用情報が知りたい人は「株式会社日本信用情報機構(JICC)」に開示請求することになります。JICCに開示請求することにより、消費者金融のローン商品に関する利用情報を確認することができます。
なお、CICとJICCはインターネットから開示請求できますが、全銀協は郵送による開示請求のみです。申込用紙を記入し送付する必要があるため、全銀協に開示請求したい人は「全国銀行協会の公式サイト」から申込用紙をダウンロードしておきましょう。
開示請求を予定している人は信用情報の保有期間を確認しておく
信用情報は即座に削除されることはなく、一定期間保有されることになります。信用情報を開示請求した結果、延滞や滞納に関する履歴があることも考えられるため、信用情報の開示請求を予定している人は信用情報の保有期間を確認しておきましょう。
【信用情報の保有期間】
個人信用情報機関 | 保有期間 |
---|---|
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | ≪延滞等≫ 契約期間中および契約終了後5年以内。 ≪破産等≫ 契約期間中および契約終了後5年以内。 |
全国銀行個人信用情報センター(全銀協) | ≪延滞等≫ 契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間。 ≪破産等≫ 当該決定日から7年を超えない期間。 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | ≪延滞等≫ 契約継続中及び完済日から5年以内。ただし、延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内。 ≪破産等≫ 当該事実の発生日から5年以内。ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内。 |
延滞や滞納の場合、完済日から5年程度は履歴が残ることになります。信用情報の傷として履歴が残ることになるため、金融機関から融資を受けるのは難しく、延滞や滞納に関する履歴がある人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があります。
また、信用情報を開示請求した結果、「異動」の文言がある場合は異動情報として登録されていることになります。異動情報は事故情報とも呼ばれるネガティブな情報となるため、「異動」の文言があるときは原則として日本政策金融公庫から創業融資を受けられません。
なお、日本政策金融公庫の公式サイトにある「プライバシーポリシー」の資料には、「信用情報を返済能力の調査や与信取引上の判断に利用する」といった旨が記載されています。信用情報は必ず確認されるため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人は留意しておきましょう。
まとめ
ブラックリストの懸念がある人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があります。とくに、信用情報に傷がある人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があるため、まずはその前提を踏まえておきましょう。
また、ブラックリストの懸念がある人は返済能力を超えているおそれがあります。とくに、延滞や滞納を繰り返している人は返済能力を超えているおそれがあるため、心当たりのある人は日本政策金融公庫に申し込むかどうかを再検討してみましょう。
なお、信用情報に傷がある状態がブラックと呼ばれています。その前提を踏まえれば、信用情報に傷がない(=ブラックではない)ことも考えられるため、ブラックリストの懸念がある人は日本政策金融公庫に申し込む前に一度、信用情報を開示請求することを検討してみましょう。