ソフトウェア開発業で融資を受けるための創業計画書の書き方

令和の時代に入り、IT分野の成長は著しく、インターネットはもはや私たちの生活に欠かせないインフラになりました。

2017年の総務省の調査によると、情報通信産業の国内生産額は97.5兆円と全産業の9.7%を占めるまでに大きな市場規模に成長しています。

業界の成長にわせて、日本政策金融公庫は、IT系の事業について知見を深めています。そのため、新規事業でも「新規性」「技術力」「経験値」「収益化」をアピールできれば、融資で通る可能性もあるでしょう。

本記事では、ソフトウェア開発業において日本政策金融公庫の創業融資を受けるために必要な事業計画書の書き方を解説します。

1.IT業界の融資の傾向

①個人向け事業より法人向け事業のほうが融資は通りやすい

IT業界と一言で言っても、その範囲は非常に幅広いものです。企業のインフラを開発するSIer(システムインテグレーター)やITコンサルのように法人向け(BtoB)の事業もあれば、ECサイト運営(お店寄り)やゲーム開発のように個人向け(BtoC)の事業もあります。

IT業界では、法人向け事業の方が個人向け事業よりも融資は通りやすいです。融資担当者は法人向け事業のほうが収益を上げやすく、返済能力も高いと判断するためです。

個人向けの事業の場合は、どれほどユーザーがいるのか、収益はどのぐらい上がりそうかを根拠立てて説明した書類という証拠書類を融資担当者に提示できれば融資を受けられる可能性は上がります。

②副業の融資は通りづらい

WEBサービスやECサイトの事業でも副業を印象づける事業、特にアフィリエイトなどの事業の場合は融資に通る可能性はほぼありません。本業の片手間で取り組んでいるレベルでは事業とは言えないからです。

また、ネット通販でせどり(安く買って高く売る)を始める方が多いですが、誰でもできて、過去実績が少ないまま副業的にスタートする人が多いため、日本政策金融公庫ではネット通販に関する融資の審査が厳しくなっています。

今は副業だとしても、「将来的に副業を本業にする」という覚悟を持って準備を進めているということをアピールしてきましょう。

事業として成立し、借入金を返済できるだけの売上見込みが立つのか、今後従業員を雇う予定はあるのか、自己資金を準備しているか、といった部分を満たすかどうかが融資では重要です。

すでにWebデザイナーやエンジニアとしてフリーランスの形態で事業を行っている場合は、これまでの受注履歴や取引先リストなどをまとめた書類を出すとよいでしょう。より事業として認められやすくなり融資審査に通りやすくなります。

なお、副業での融資については当サイトの以下既存記事も是非あわせてご参照ください。

2.ソフトウェア開発業における創業計画書の書き方

実際の創業融資を受けることができた創業計画書の記入例をもとに、創業計画書でアピールすべきポイント3点の内容を見ていきましょう。

①受注が確定した案件を持っている

これから新しく事業をはじめる場合、まだ実績が無い状態のため、売上見込みが立つかどうかも未知数です。
日本政策金融公庫としては、「貸したお金を返済できるかどうか」を見極めています。今後売上が立つ根拠として、既に受注が確定した案件を持っていることを提示できることは、審査でプラスの要素になります。

案件の資料は、取引先・提携先との契約書や請求書といった<契約があることを証明できる書類>を準備しておくことが望ましいです。口約束ではなく、確実に受注していることを証明できるからです。

創業準備の一環として、ぜひ書面の準備を検討してください。

②事業がスモールスタートである

「スモールスタート」とは、日本語に直訳すれば「小さく始める」を意味します。新しい事業を立ち上げるとき、はじめは機能・サービスを最小限に展開するところから始めて、需要が増えるにつれて事業の規模を拡大させていくことを指す言葉です。

お金を貸す側からすると、着実な成長を求めます。大きなチャレンジはその分リスクも大きいためです。

創業融資の場合、経営者としてはいわば”1年生”で創業当初は実績もありません。
いわば、「何に投資すれば成果がでるか」の判断もまだまだ未熟な場合もあるでしょう。

最小限からスタートすれば、仮に多少失敗してしまっても、軌道修正がしやすいというメリットがあります。設備資金を最小限に押さえられるソフトウェア開発業は、スモールスタートであることを担当者に伝えることが重要です。

③勤務時代に知名度の高い案件に携わっていた

エンジニアとしてソフトウェア開発の仕事に取り組むなかで、過去に知名度の高い案件に携わっていたのであれば、加点要素になります。
たとえば、その開発がニュースリリース等で発表され、インターネット上で話題を集めたという証拠があればよりよいでしょう。

まとめ

IT関連の創業計画書では、創業後に事業がうまく回るというイメージを融資担当者が持てるように、①受注が確定した案件があること、②事業がスモールスタートであること、③勤務時代の経験値をアピールしましょう。

そのなかで、具体的な数字を盛り込み、他社との差別化・比較をした上で「なぜこの資金が必要なのか」を明確にする文章にまとめていきます。

ソフトウエア開発業で自社のシステムやアプリを開発する場合、そのアプリがヒットするかどうかの判断が難しい上、いくら融資すれば儲かるかの判断も難しいため、高額の融資は受けにくい傾向です。

なお、当社で融資サポートしたお客様の中には、多数の実績を積み自己資金も潤沢だったことから1000万円の融資を受けた方もいらっしゃいます。

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