日本政策金融公庫の利子補給制度を解説

新規開業資金や小規模事業者経営改善資金(通称:マル経融資)など、日本政策金融公庫の融資制度を調べている人の中には、利子補給制度とは何かを知りたい人もいますよね。また、利子補給制度の対象者や助成額などの条件が知りたい人もいるのではないでしょうか。

当記事では、日本政策金融公庫の利子補給制度を解説します。対象者や助成額などの自治体による利子補給制度の条件も解説するため、日本政策金融公庫の利子補給制度に関する情報が知りたい人は参考にしてみてください。

利子補給制度は利子の一部が助成される制度のこと

利子補給制度とは、利子の一部が助成される制度のことです。行政機関や企業が利子の一部を助成する制度となるため、日本政策金融公庫に限らず、金融機関から融資を受けるときは利子補給制度を活用することにより、利息負担を軽減できる可能性があります。

利子補給制度は対象者の条件が定められています。社会情勢や地域課題に応じて制度が設定される関係上、「売上高が減少した人」や「特定の地域に開業する人」などの条件が定められているため、利子補給制度を活用できるのは所定の条件を満たしている人のみです。

また、利子補給制度は助成額の条件が定められています。利子補給を実施する機関は多岐にわたる関係上、「3年間分の利子全額」や「年1.0%の利子相当額」などの条件は制度ごとに異なるため、利子補給制度を活用するときは助成額の条件を確認することになります。

なお、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付における特別利子補給制度は令和5年8月31日に申請受付を終了しています。利子補給制度は終了する可能性があるため、日本政策金融公庫の利子補給制度を活用したい人は留意しておきましょう。

利子補給制度を活用したい人は手続きの流れを確認しておく

利子補給制度を活用する場合、日本政策金融公庫から融資を受けた後に所定の手続きをする必要があります。手続きの流れは利用する利子補給制度にもよりますが、利子補給制度を活用したい人はひとつの参考として手続きの流れを確認してみましょう。

【利子補給制度の手続きの流れ】

  1. 利子補給の実施機関に書類を提出する
  2. 実施機関から利子補給金を受給する
  3. 日本政策金融公庫に利子を支払う
  4. 利子額と利子補給金額に差異がある場合は清算する

日本政策金融公庫から融資を受けた後、まずは利子補給の実施機関に所定の書類を提出することになります。「利子補給助成金交付申請書」「請求書」「同意書」など、所定の書類を提出した後は申請者の銀行口座に利子補給金が振り込まれます。

利子補給金が銀行口座に振り込まれた後は日本政策金融公庫に利子を支払うことになります。利子額と利子補給金額に差異がある場合は「追加交付」や「利子補給金返還」などの手続きを踏まえ、助成対象期間の終了後に清算することになります。

なお、今回紹介した手続きの流れは一例です。手続きの流れは利用する利子補給制度にもよるため、利子補給制度を活用したい人はその前提を踏まえつつ、利子補給の実施機関に手続きの流れを確認することも検討してみましょう。

自治体の利子補給制度を活用できる可能性がある

日本政策金融公庫から融資を受ける場合、自治体の利子補給制度を活用できる可能性があります。自治体の中には、日本政策金融公庫の融資制度を利子補給の対象にしている自治体があるため、利子補給制度を活用したい人は予備知識として覚えておきましょう。

【日本政策金融公庫の融資制度を利子補給の対象にしている自治体】

  • 日本政策金融公庫の新規開業資金を対象にしている自治体
  • 日本政策金融公庫の小規模事業者経営改善資金を対象にしている自治体

具体例として挙げられるのは「日本政策金融公庫の新規開業資金を対象にしている自治体」と「日本政策金融公庫の小規模事業者経営改善資金を対象にしている自治体」です。自治体の利子補給制度を活用したい人はそれぞれの自治体を確認してみましょう。

日本政策金融公庫の新規開業資金を対象にしている自治体

日本政策金融公庫の新規開業資金を対象にしている自治体ならば、利子補給制度を活用できる可能性があります。新規開業資金は創業者やスタートアップを支援する融資制度となるため、新規開業資金を検討中の人は自治体の利子補給制度を確認してみましょう。

【新規開業資金を対象にしている自治体の具体例】

項目 利子補給金額 利子補給期間
福井県あわら市 「利子全額」または「年1.2%の利子相当額」のいずれか少ない額 5年以内
茨城県稲敷市 年1.0%の利子相当額(利率が1.0%未満の場合は支払済み利子の相当額) 3年以内
滋賀県東近江市 年1.0%の利子相当額 3年以内

たとえば、福井県あわら市の場合、「利子補給金交付制度」があります。市内に住所を有する人や市税を滞納していない人など、所定の要件を満たしている人は「利子全額」または「年1.2%の利子相当額」のいずれか少ない額を助成してもらえる可能性があります。

また、滋賀県東近江市の場合、「新規開業支援資金利子補給制度」があります。市内に住所を有する人や市内に登記を有する法人など、所定の要件を満たしている人は「年1.0%の利子相当額」を助成してもらえる可能性があります。

なお、今回紹介した利子補給制度は一例です。自治体の制度は予算次第となる関係上、利子補給制度の募集終了や規程変更も考えられるため、日本政策金融公庫の新規開業資金が対象となる利子補給制度を活用したい人は各自治体の公式サイトを確認してみましょう。

日本政策金融公庫の新規開業資金に関する情報が知りたい人は「日本政策金融公庫の新規開業資金を解説」を参考にしてみてください。

日本政策金融公庫の小規模事業者経営改善資金を対象にしている自治体

日本政策金融公庫の小規模事業者経営改善資金(通称:マル経融資)を対象にしている自治体ならば、利子補給制度を活用できる可能性があります。小規模事業者経営改善資金は商工会や商工会議所から推薦を受けた商工業者が対象となるため、該当する人は自治体の利子補給制度を確認してみましょう。

【小規模事業者経営改善資金を対象にしている自治体の具体例】

項目 利子補給率 利子補給期間
東京都中野区 支払い済み利子の50%(令和4年度~令和6年度は利子全額) 36か月以内
東京都新宿区 支払い済み利子の30% 36か月以内
千葉県印西市 融資年利率から年1.0%を引いた率(年2.0%が上限) 5年以内

たとえば、東京都中野区の場合、「小規模事業者経営改善資金に対する利子補給」があります。主たる事業所が区内にある人や東京商工会議所中野支部の推薦を受けている人など、所定の要件を満たしている人は支払い済み利子の50%を助成してもらえる可能性があります。

また、千葉県印西市の場合、「小規模事業者経営改善資金利子補給金制度」があります。市内に事業所を有する人や1年以上継続して同一事業を営んでいる人など、所定の要件を満たしている人は融資年利率から年1.0%を引いた率を助成してもらえる可能性があります。

なお、今回紹介した利子補給制度は一例です。自治体の制度は予算次第となる関係上、利子補給制度の募集終了や規程変更も考えられるため、日本政策金融公庫の小規模事業者経営改善資金が対象となる利子補給制度を活用したい人は各自治体の公式サイトを確認してみましょう。

利子補給制度を活用したい人は利子補給金の仕訳を確認しておく

日本政策金融公庫から融資を受ける際に利子補給制度を活用したい人は利子補給金の仕訳を確認してみてください。仕訳を確認することにより、会計処理がしやすくなる可能性があるため、利子補給制度を活用したい人は利子補給金の仕訳を押さえておきましょう。

【利子補給金における仕訳の具体例】

項目 借方 貸方
100万円の利子補給金を受給した場合 現預金 :1,000,000円 前受金:1,000,000円
利息として30万円支払った場合 支払利息:   300,000円 現預金:   300,000円
前受金 :   300,000円 雑収入:   300,000円

利子補給金を仕訳する場合、「前受金」として計上する方法があります。一括受給の利子補給金は原則として受給した事業年度の収益とせず、利息を支払った事業年度に収益計上するため、受給時の勘定科目を前受金にすることは仕訳するときのひとつの方法です。

また、利子補給金を仕訳する場合、「雑収入」として計上する方法もあります。一括受給の利子補給金は原則として利息を支払った事業年度に支払利息と同額を収益計上するため、利息の支払い時の勘定科目を雑収入にすることは仕訳するときのひとつの方法です。

なお、今回紹介した仕訳は一例です。「利子の支払い後に利子補給金を受給する場合」「利子補給金を返還する場合」「利子補給金の追加交付を受ける場合」など、取引に応じた仕訳が必要となるため、利子補給制度を活用したい人はその前提を踏まえておきましょう。

まとめ

利子補給制度とは、利子の一部が助成される制度のことです。行政機関や企業が利子の一部を助成する制度となるため、日本政策金融公庫に限らず、金融機関から融資を受けるときは利子補給制度を活用することにより、利息負担を軽減できる可能性があります。

また、日本政策金融公庫から融資を受ける場合、自治体の利子補給制度を活用できる可能性があります。自治体の中には、日本政策金融公庫の融資制度を利子補給の対象にしている自治体があるため、利子補給制度を活用したい人は予備知識として覚えておきましょう。

なお、日本政策金融公庫から融資を受ける際に利子補給制度を活用したい人は利子補給金の仕訳を確認してみてください。仕訳を確認することにより、会計処理がしやすくなる可能性があるため、利子補給制度を活用したい人は利子補給金の仕訳を押さえておきましょう。

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