飲食店を開業したい人のなかには、銀行や信用金庫などの金融機関から開業資金の融資を受けたいと考えている人もいますよね。とくに、自己資金かなくても融資を受けられるか気になっている人もいるでしょう。
当記事では、飲食店を開業する際に自己資金なしでも金融機関から融資を受けられるのかを解説します。自己資金がない場合の解決策として初期費用を抑える方法も紹介するので、飲食店を開業したい人は参考にしてみましょう。
自己資金がない人は融資を受けられない可能性がある
自己資金がない人は融資を受けられない可能性があります。自己資金がない状況は、銀行や信用金庫などの金融機関から開業準備が不足していると判断されやすいためです。
たとえば、政府系金融機関である日本政策金融公庫の「創業の手引+」によると、融資を受けた飲食店の自己資金の平均額は309万円でした。この金額は開業資金総額の29.8%を占めるので、開業資金の約3割が自己資金から出ていることがわかります。
また、同資料からは「計画的に資金が貯められることも経営者として求められる能力の一つです。金融機関はそうした努力を評価しています」という旨の記載を確認できるので、自己資金を貯めている人は金融機関から一定の評価を受けられる可能性があります。
自己資金は金融機関が融資審査で確認している要素のひとつです。自己資金として認められるお金について知りたい人は「融資を受けるための自己資金とは?通帳原本をチェック?」を参考にしてみましょう。
自己資金の要件を設けている金融機関もある
融資を受ける際の前提条件として、自己資金の要件を設けている金融機関もあります。その場合、融資に申し込むために一定の自己資金を用意する必要があります。
たとえば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用する場合は原則として開業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。そのため、開業資金総額が1000万円の人なら100万円以上の自己資金を用意する必要があります。
金融機関によって自己資金の要件を設けているかどうかは異なるので、融資を受ける前に金融機関の窓口へ問い合わせておくのがよいでしょう。
なお、現状用意している自己資金の金額で飲食店の開業時に銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けられるかどうか知りたい人は、当サイトで無料診断ができます。
金融機関から融資を受ける際は、自己資金のほかに経験も加味される可能性があるので、自己資金がない方からのお問い合わせも承ります。
株式会社SoLaboがこれまで4,500件以上支援してきた資金調達実績から、資金調達支援のプロが診断します。
自己資金がない場合は初期費用を抑える方法を検討する
自己資金がない場合は、飲食店を開業するための初期費用を抑えることも検討しましょう。初期費用を抑えられれば、自己資金が足りなくても飲食店を開業できる可能性があります。
【飲食店開業時の初期費用を抑える方法】
- キッチンカーや移動販売を行う
- 店舗を間借りして営業する
初期費用を抑えられるかどうかは提供する料理や営業日、営業時間によっても異なるので、飲食店を開業する予定の人はそれぞれの方法についてみていきましょう。
キッチンカーや移動販売を行う
初期費用を抑える方法のひとつはキッチンカーや移動販売を行うことです。キッチンカーや移動販売は車両を置く場所さえ確保できれば店舗を構えずに営業できるので、実店舗を構えて営業するよりも初期費用を抑えられます。
たとえば、日本政策金融公庫の資料「創業の手引+」によると、実店舗のある飲食店の開業資金総額は平均952万円で、そのうちテナントの賃借にかかった費用は125万円でした。店舗の内外装工事費用は平均445万円と開業資金総額の約50%を占めています。
一方、日本政策金融公庫の調査月報(2013年1月)によると、キッチンカーや移動販売の開業費用は約100万円~約500万円の間に収まる傾向があります。そのため、実店舗を開業するよりもキッチンカーや移動販売の方が初期費用を抑えられます。
商品 | 開業費用総額 | 内訳 |
---|---|---|
ラップサンド(やわらかいパンで具材を巻いた食べ物) | 約150万円 | 車両取得費(約220万)、改装費など諸経費(約100万)、運転資金(約30万) |
カレー | 約480万円 | 車両取得費(約300万)、改装費(約100万)、什器・備品費(約50万)、仕入れ費(約30万) |
カフェ① | 約90万円 | 内装費(約50万)、什器・備品費(約40万) |
カフェ② | 約380万円 | 車両取得費(整備費含む)(360万)、内装費、什器・備品費(20万) |
※日本政策金融公庫の調査月報(2013年1月)をもとに株式会社SoLaboが作成
什器や備品にかかる費用は提供する料理によっても異なるので、調理道具や持ち帰り用の容器などにどのくらい費用がかかるか確認する必要があります。
なお、車両はレンタル専門業者から借りることもできます。キッチンカーや移動販売車のレンタルを検討したい人は当サイトの姉妹サイト「資金調達ノート」の「キッチンカーをレンタルするときの料金相場と営業スタイルを解説」も参考にしてみましょう。
店舗を間借りして営業する
初期費用を抑える方法のひとつは既存の店舗を間借りして営業することです。既存の店舗の空きスペースや営業時間外の飲食店を借りて営業するので、店舗の契約料や改装、設備にかかる初期費用を抑えられます。
たとえば、夜間営業のバーを間借りした場合、ランチタイムなど夜間以外の時間帯に飲食店を営業できます。既存の店舗を利用するので店舗の契約料や改装費用はかかりません。
店舗側の許可を得られれば、調理用の設備やテーブル、イスなどの備品も利用できるので、備品購入費も抑えられる可能性があります。
賃料や光熱費などの利用料と共用できるスペースや設備の範囲は間借りする店舗によって異なりますが、店舗の持ち主と相談しながら進められる可能性もあるので、自己資金が足りない人は既存店舗の間借りを検討してみるのもよいでしょう。
開業する前に必要資金の総額を確認しておく
飲食店を開業するための自己資金が不足している人は、開業前に必要資金の総額を確認しておきましょう。必要資金の内訳を確認しておけば、用意する自己資金の目安がわかるためです。
たとえば、飲食店で仕入れや売上管理の経験がある人は実務経験から必要資金をイメージしやすいです。そのため、店舗の賃料や仕入れ費などの運転資金の内訳を具体的に想定できる可能性があります。
また、店舗の内装や設備にこだわりたい人は、希望する内装や設備にどのくらいの金額がかかるのかあらかじめ見積もっておくことで、どこまでが実現可能でどこから妥協する必要があるのかを事前に知ることができます。
料理のジャンルや業態によっても必要資金は異なるので、飲食店の開業資金の目安を知りたい人は、当サイトの姉妹サイトである資金調達ノートの「10坪の小さな飲食店を開業する方法 カフェ・居酒屋などの開業資金はいくら必要か?」も参考にしてみましょう。
まとめ
飲食店が銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける場合、自己資金がなければ融資を受けられない可能性があります。飲食店を開業したい人は融資を受ける前に自己資金を貯めておくようにしましょう。
飲食店を開業するためには、店舗の契約料や賃料、内装工事費や什器、備品の購入費などの資金が必要です。キッチンカーや移動販売のほか、既存店舗を間借りするなど、開業資金を軽減する営業方法もあります。
また、飲食店を開業したい人は飲食業で経験と実績を積むことで、金融機関から一定の評価を受ける可能性があります。調理や接客だけでなく、店長職などで飲食店の運営を経験するなど、開業に生かせる実務経験を積むことを意識しましょう。