飲食店向けの創業計画書の記入例と書き方を解説

飲食店を開業予定の人の中には、日本政策金融公庫の創業融資を利用することを検討している人もいますよね。

当記事では、飲食店向けの創業計画書の記入例と書き方を解説します。飲食店を開業予定の人は参考にしてみてください。

なお、日本政策金融公庫の創業融資を利用する人は、まずは日本政策金融公庫の公式サイトから「創業計画書」のテンプレート(Excelファイル)をダウンロードしましょう。

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飲食店向けの創業計画書はお店の強みを伝えることがポイント

創業計画書
引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

飲食店向けの創業計画書は、お店の強みやコンセプトを伝えることがポイントです。開業するお店の強みやコンセプトが担当者に伝わらないと、融資を受けられない傾向があるからです。

創業計画書を作成する人は、①~⑧までの項目を通して、お店の強みやコンセプトを伝えていきます。

【創業計画書の項目】
項目 概要
①創業の動機 創業の目的や動機を記載
②経営者の略歴等 勤務先や業務内容、役職や経験を記載
③取扱商品・サービス 商品やターゲット、競合や市場を記載
④取引先・取引関係等 販売先や仕入先、外注先を記載
⑤従業員 雇用予定の従業員人数を記載
⑥お借入の状況 既存の借入状況を記載
⑦必要な資金と調達方法 資金の調達方法と利用用途を記載
⑧事業の見通し(月平均) 売上高や経費、利益を記載

一口に飲食店と言っても、和食や中華、高単価や低単価など、お店の強みやコンセプトは様々です。創業計画書を作成する人は、これから紹介する各項目の記入例を参考に、お店の強みやコンセプトの伝え方を考えていきましょう。

なお、日本政策金融公庫の公式サイトにも「創業計画書記入例(PDF)」はあるものの、記入例には大まかな内容しか書いていません。実際に創業計画書を作成するときは、お店や事業者の状況に合わせて、詳細な創業計画書を作成する必要があります。

「①創業の動機」は計画性を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「①創業の動機」は、事業をはじめるための計画性を伝えるところです。何の準備もなく「創業のために融資を受けたいです」と言っても、飲食店の開業希望者は融資を受けられません。

たとえば、創業計画書の「①創業の動機」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

 【①創業の動機の記入例】
約7年間、飲食業に携わらせて頂き、主にシェフとして料理の腕を磨いてきました。現在の勤務先では、料理担当から店長までを経験し仕入れや経営にも携わってきました。かねてから、自分の店を持ちたいと考え、創業に向けて料理や経営、自己資金の準備をしてまいりました。
今回、自宅周辺で店舗物件を探した結果、納得のいく物件が見つかったため、この度の創業を決意致しました。

記入例では、業界の経験年数や積み上げてきた経験などから、開業準備を整えてきたことが分かります。「①創業の動機」を作成する人は、飲食店の開業のために準備してきた内容を記入しましょう。

記入する前に経験や開業準備について振り返る

「①創業の動機」を作成する人は、記入する前に経験や開業準備について振り返ると、創業の動機が書きやすくなるかもしれません。改めて経験やスキルについて整理することは、自分の強みに気づくことにつながるからです

たとえば、経験や開業準備について振り返るときの視点として挙げられるのは、次の項目です。

【経験や開業準備について振り返るときの視点】

  •  仕入れやマネジメントなどの業務経験
  •  業界年数
  •  資格や許認可
  •  受賞経験
  •  開業場所探しや自己資金などの開業準備

「①創業の動機」を作成する人は、飲食業の経験や開業準備について、事前に振り返ってみましょう。

「②経営者の略歴等」は経験や実績を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「②経営者の略歴等」は、経験や実績を伝えるところです。「②経営者の略歴等」では、「いつ」の経験や実績かについて具体的に記載していきます。

たとえば、創業計画書の「②経営者の略歴等」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【②経営者の略歴等の記入例】
年月 内容
平成◯年△月 □□大学卒業(調理師免許取得
平成◯年△月 株式会社□□ホテル入社 厨房和食担当3年
平成◯年△月 □□ホテル料理コンテスト 優秀賞受賞
平成◯年△月 ××株式会社 入社 調理兼ホールスタッフ2年
平成◯年△月 同社 〇〇駅店 店長兼料理長に就任2年

記入例では、業務経験や受賞歴などから「専門スキル」や「経営に活かせるスキル」があると分かります。「②経営者の略歴等」を作成する人は、事業者の強みとして経験をアピールしていきましょう。

食品衛生責任者や防火管理者などの資格や許認可がある人は忘れずに記入する

食品衛生責任者や防火管理者などの資格や許認可がある人は、忘れずに「取得資格」に記入していきます。資格や許認可を得ようと準備していることも評価につながる可能性があるためです。

たとえば、資格には食品衛生責任者、防火管理者、調理師などがあります。また、簿記など飲食店経営に関係がないような資格でも「経営に関連する」と判断される場合もあります。

資格を持っている人は、自分の持っている全ての資格について記入しましょう。

「③取扱商品・サービス」はお店のコンセプトを伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「③取扱商品・サービス」は、お店のコンセプトを伝えるところです。「取扱いサービス」「ターゲット」などから、どのようなお店にしたいのかを伝えることができます。

「③取扱商品・サービス」では、次の項目を通してお店の強みやコンセプトを伝えます。

【③取扱商品・サービスの項目の記入例】
項目 ポイント
取扱商品・サービスの内容 ランチ、ディナー、物販など販売するサービスを分けて記載
セールスポイント メニュー内容や、こだわりのポイントを記載
販売ターゲット・販売戦略 ターゲットの属性やターゲットに合わせた販促方法を記載
競合・市場など企業を取り巻く状況 立地や交通量、他店の価格帯や営業時間などを記載

「③取扱商品・サービス」を作成する人は、一つひとつの項目として部分的に考えるのではなく、全体を通してお店の強みやコンセプトが伝わるよう意識して記入してみましょう。

「取扱商品・サービスの内容」はサービスの構成比を伝えるところ

「取扱商品・サービスの内容」は、サービスの構成比を伝えるところです。飲食店を開業したい人は、サービスと売上シェアから事業の全体像を融資担当者に伝えることができます

たとえば、創業計画書の「取扱商品・サービスの内容」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【取扱商品・サービスの内容の記入例】
取扱商品・サービスの内容 ①ランチ      (売上シェア 30%)
②ディナー     (売上シェア 50%)
③テイクアウト   (売上シェア 20%)

記入例では、「ランチ」「ディナー」「テイクアウト」のサービスがあり、ランチよりもディナーに比重をおいていることが分かります。

ランチやディナーの他にも、お店で提供するサービスには、デリバリーやネット物販なども挙げられます。「取扱商品・サービスの内容」を作成する人は、お店の商品やサービスにあわせて記入しましょう。

「セールスポイント」は商品・サービスの詳細を伝えるところ

「セールスポイント」は、商品・サービスの詳細を伝えるところです。セールスポイントでは、「とくにお店の強みとして強調したいこと」を記入します。

たとえば、創業計画書の「セールスポイント」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【セールスポイントの記入例】
セールスポイント 周辺住民のお客様が気兼ねなく入れるお店をコンセプトにします。国産の食材にこだわったホテル仕込みの創作料理を提供します。1,000円ランチを提供予定です。ディナーではこだわりのお酒と料理をなごやかな雰囲気で楽しんでいただきます。

記入例では、略歴にあったホテルでの経験を活かしていることや、1,000円ランチの提供サービスにこだわっていることが分かります。

取扱商品・サービスの内容を考えるときは、他にも、お店の内装や提供スピードなど、お店の強みやコンセプトとなるこだわりのポイントを記入しましょう。

「販売ターゲット・販売戦略」は誰にどうやって販売するかを伝えるところ

「販売ターゲット・販売戦略」は、誰にどうやって販売するかを伝えるところです。「販売ターゲット・販売戦略」では、お客様にお店を認知してもらう方法や、リピーターの獲得方法などを記入します

たとえば、創業計画書の「販売ターゲット・販売戦略」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【販売ターゲット・販売戦略の記入例】
販売ターゲット・販売戦略 お店のある駅周辺に住む方をターゲットとしています。1,000円で食べられるランチで認知を広げます。来店されたお客様にLINEへの登録を依頼し、LINEでディナー限定クーポンを発行することで、単価の高いディナーの集客へとつなげます。

記入例では、低単価のランチで認知を広げ、高単価のディナーでリピーターを獲得する販売戦略にしていることが分かります。

販売ターゲット・販売戦略を考えるときは、他にも、SNSやGoogle Map、口コミサイトの活用など、ターゲットにあわせて販売戦略を記入しましょう。

「競合・市場など企業を取り巻く状況」はなぜ選ばれるかを伝えるところ

「競合・市場など企業を取り巻く状況」は、なぜ選ばれるかを伝えるところです。「競合・市場など企業を取り巻く状況」では、他の飲食店との差別化ポイントや、地域特性などを記入します。

たとえば、創業計画書の「競合・市場など企業を取り巻く状況」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【競合・市場など企業を取り巻く状況の記入例】
競合・市場など企業を取り巻く状況 駅の南側は住宅街に面している立地です。生活圏が駅周辺に揃っているため、通勤時だけでなく休日も人通りが多いです。近隣は、居酒屋などの飲食店は多いものの、1,000円以下でランチを提供しているお店はありません

記入例では、人通りの量から見込み客がいることや、競合とランチで差別化できることが分かります。

競合・市場など企業を取り巻く状況を考えるときは、他にも、競合の営業時間やサービス内容などを調査し、差別化できるポイントを記入しましょう。

「④取引先・取引関係等」は取引先や仕入先を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「④取引先・取引関係等」は、取引先や仕入先を伝えるところです。「④取引先・取引関係等」では、安定して鮮度のよい商品や、低価格の商品を安定的に仕入れられる取引先を確保していることをアピールします。

たとえば、創業計画書の「④取引先・取引関係等」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【④取引先・取引関係等の記入例】
取引先名(所在地) シェア 掛取引の割合 回収・支払の条件
販売先 一般個人(現金) 0% 日〆 即日回収
一般個人(クレジット) 100% 日〆  日回収
仕入先 株式会社△△
(□県◯市)
60% 100% 末日〆 翌25日支払
株式会社××
(□県◯市)
40% 日〆 即日支払
外注先 日〆  日支払
日〆  日支払
人件費の支払  末日〆   翌25日支払い

記入例では、「株式会社△△」と「株式会社××」の2社が仕入先として確保できていることが分かります。

なお、個人のお客様を対象としている場合は、販売先に「一般個人」と記入しましょう。

法人のお客様を対象としている場合は販売先に記載する

法人のお客様を対象としている場合は、販売先に記載します。とくに、定期的に納品できる法人のお客様がいる場合は、一定の売上を確保できることを伝えられるため、取引先に全て記入しましょう。

たとえば、定期的な納品とは、介護施設へのお弁当販売や企業での社食委託などです。すでに契約ができている場合は、契約書や発注書から販売先が確保できていると示すことができます。

なお、まだ契約まで至っていない場合は、契約を予定していることがわかるメール文などを複写して別途資料を用意しましょう。

「⑤従業員」は運営体制を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「⑤従業員」は、運営体制を伝えるところです。飲食店は、キッチンやサービスなど業務が多岐にわたるため、事業者一人で運営できない場合もあります。飲食店を開業したい人は、どれくらいの人数で運営したいと考えているかを伝える必要があります

たとえば、創業計画書の「⑤従業員」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【⑤従業員の記入例】
常勤役員の人数 0人 従業員数 3人 うち家族従業員  1人
うちパート従業員 2人

記入例では、従業員3人のうち、1人は家族、2人はアルバイトを雇う予定でいることが分かります。

事業者自身も含めて、お店を運営するために必要な人数を記載しましょう。

お店を運営するのに何人必要か予め想定しておく

事業者は、従業員数を記入する前に、お店を運営するのに何人必要か予め想定しておく必要があります。加えて、従業員の採用費や人件費とも結びつくため、収益との兼ね合いも考えながら事業計画をたてなければなりません。

たとえば、お店の大きさや、営業日数、営業時間、サービス提供方法によっても、必要な従業員数は変わります。また、売上に対して従業員が多すぎる場合は、収益を圧迫する可能性もあります。

運営体制や売上を考えてから、必要な従業員数を割り出しましょう。

「⑥お借入の状況」は既存借入を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「⑥お借入の状況」は、既存借入を伝えるところです。融資担当者は既存借入から返済の負担を確認します

たとえば、創業計画書の「⑥お借入の状況」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【⑥お借入の状況の記入例】
お借入先名 お使いみち お借入残高 年間返済額
〇〇銀行 □事業✓住宅□車□教育□カード□その他 360万円 60万円
〇〇カーローン □事業□住宅✓車□教育□カード□その他 80万円 12万円
□事業□住宅□車□教育□カード□その他 万円 万円

記入例では、住宅と車のローンがあり、年間の返済総額は60+12万円で72万円、平均で月に6万円の返済をしていることが分かります。

なお、消費者金融などから借入がある場合、日本政策金融公庫の担当者から借り換えを懸念されるときもあります。日本政策金融公庫では、借り換え目的の融資はできないことを認識しておきましょう。

事業に関わらない車ローンや住宅ローンについても書く

「⑥お借入の状況」では、事業に関わらない車ローンや住宅ローンについても書きます。とくに、個人事業主の場合は、事業収入から生活費と融資の返済費を捻出するため、個人的な借入についても知らせておかなければなりません。

たとえば、事業以外の借入には次のようなものがあります。

【事業に関わらない借入の一例】

  • 車のローン
  • 学資(教育)ローン
  • 住宅ローン
  • カードローン
  • ブライダルローン

全ての借入について把握し、月にどれくらいの返済をしているか確認しておきましょう。また、借入がある場合は、返済予定表の用意も必要です。

「⑦必要な資金と調達方法」は借入希望額と資金用途を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「⑦必要な資金と調達方法」は借入希望額と資金用途を伝えるところです。融資を受けるには、どのようにお金を準備して、何にお金使うか、説明する必要があります。

たとえば、創業計画書の「⑦事業の見通し(月平均)」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【⑦事業の見通し(月平均)の記入例】
必要な資金 見積先 金額 調達の方法 金額
設備資金 保証金
厨房機器
内装費
〇〇株式会社
〇〇株式会社
〇〇株式会社
548万円
60
88
400
自己資金 100万円
親、兄弟、知人、友人等からの借入 万円
日本政策金融公庫からの借入 900万円
運転資金 (内訳)
初期仕入費用
礼金、仲介手数料、前家賃
備品
人件費(3ヶ月)
光熱費、通信費等(3ヶ月)
452万円
79
148
33
72
120
他の金融機関からの借入 万円
合計 1,000万円 合計 1,000万円

記入例では、必要な資金の合計額と調達方法の合計額が1,000万円で揃っていることが分かります。必要な資金と調達方法する資金がズレている場合は、「調達の方法」と「必要な資金」の詳細を見直しましょう。

設備にかかる費用は「設備資金」に記入する

設備にかかる費用は、「設備資金」に記入します。事業をするために購入が必要な設備は、全て記入します。

設備資金には、次のようなものが入ります。

【設備資金の一例】

  • 物件の保証金
  • 物件の内装費
  • 厨房の調理機器
  • ホームページ作成費
  • 冷暖房設備
  • 看板・のれん
  • レジ
  • 机・椅子

あらかじめ、必要なものをリストアップし、必要な設備にいくらかかるのか計算しておきましょう。

なお、設備資金にはすべて見積書が必要です。見積書は、購入先に依頼して作成してもらえます。

運営にかかる費用は「運転資金」に記入する

事業の運営にかかる費用は、「運転資金」に記入します。中小機構の運営するJ-Net21にも記載がありますが、運転資金は2~3ヶ月分を目安に借入を検討しましょう

運転資金には、次のようなものが入ります。

【運転資金の一例】
項目 主な用途
人件費 従業員の給与や賞与など
家賃 店舗の家賃や駐車場の料金など
支払利息 借入金の利息
広告費 口コミサイトへの登録料やSNSでの宣伝費用など
備品費 箸や調味料入れ、トイレットペーパーなど
水道光熱費 水道代、電気代、ガス代など
通信費 インターネットなどの通信料

飲食店を開業する人は、お店を運営する上でかかる費用を洗い出して、1ヶ月あたりどれくらい必要か確認しましょう。

「⑧事業の見通し(月平均)」は収益性を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「⑧事業の見通し(月平均)」は、収益性を伝えるところです。融資担当者は、事業の収益や、収益から返済ができるかを確認します。「⑧事業の見通し(月平均)」では、売上の根拠を明らかにして、事業計画を伝える必要があります

たとえば、創業計画書の「⑧事業の見通し(月平均)」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【⑧事業の見通し(月平均)の記入例】
創業当初 軌道に乗った後 売上高
売上高① 148万円 195万円 【創業当初】
売上高1,482,000円(原価率33%)
ランチ:@1,000✕20席✕26日✕1回転=520,000円
ディナー:@4,000✕20席✕26日✕0.4回転=832,000円
テイクアウト:@1,000✕5食✕26日=130,000円
人件費:240,000円、家賃:150,000円
その他:光熱費、通信費、消耗品費、支払手数料など
【軌道に乗った後】
売上高1,950,000円(原価率33%)
ランチ:@1,000✕20席✕26日✕1回転=520,000円
ディナー:@4,000✕20席✕26日✕0.6回転=1,248,000円
テイクアウト:@1,000✕7食✕26日=182,000円
人件費:320,000円、家賃:150,000円
その他:光熱費、通信費、消耗品費、支払手数料など
売上原価② 49万円 65万円
経費 人件費 24万円 32万円
家賃 15万円 15万円
支払利息 2万円 2万円
その他 23万円 36万円
合計③ 64万円 85万円
利益①-②-③ 35万円 45万円

記入例では、創業当初、売上148万円に対して、原価49万円と経費64万円がかかるため、35万円の利益になることが分かります。個人事業主の場合は、利益から生活費や借入金の返済費を工面できるかどうかを確認しましょう。

なお、法人の場合は、人件費に自分の給与が入ります。法人は、利益から借入金の返済ができるかの確認が必要です。

売上の根拠が分かるように計算式を記入する

創業計画書の「⑧事業の見通し(月平均)」では、売上の根拠が分かるように計算式を記入します。売上の根拠が曖昧だと、事業計画が不十分だとみなされる傾向があります。そのため、「⑧事業の見通し(月平均)」を記入するときは、計算式を使って、どのように売上を算出しているかを説明する必要があります。

たとえば、飲食店の売上は、「客単価✕席数✕営業日数✕回転率」から計算できます。

【飲食店における売上計算方法の一例】

  • 客単価:1,000円
  • 席数:20席
  • 営業日数:26日
  • 回転率:1回転
  • 売上:1,000円✕20席✕26日✕1回転=520,000円

また、売上の根拠を記入する人は、「ランチやディナーなどのサービス構成」や「休日や平日などの曜日」で分けて計算するとより具体的に売上を記入できます。

【サービス構成ごとの売上の記入例】
ランチ:@1,000✕20席✕26日✕1回転=520,000円
ディナー:@4,000✕20席✕26日✕0.4回転=832,000円
テイクアウト:@1,000✕5食✕26日=130,000円
【曜日ごとの売上の記入例】
日~水:@4,000✕20席✕18✕0.3回転=432,000円
金土:@4,000✕20席✕8日✕0.6回転=384,000円
※1ヶ月30日、定休日は週1(木曜日)、ディナーのみの営業の場合

「⑧事業の見通し(月平均)」を作成する人は、事業の実態にあわせて「サービス構成」や「曜日」で分けて計算式を記入しましょう。

まとめ

飲食店向けの創業計画書は、お店の強みやコンセプトを伝えることがポイントです。創業計画書を作成する人は、①~⑧の項目全体を通して、お店の強みやコンセプトが伝わるよう意識して記入してみましょう。

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