不動産業向けの創業計画書の記入例と書き方を解説

不動産業で開業予定の人の中には、日本政策金融公庫の創業融資を利用することを検討している人もいますよね。

当記事では、不動産仲介向けの創業計画書の記入例と書き方を解説します。不動産販売や不動産管理などの創業計画書を作成する際も同様の書き方となるため、不動産業向けの創業計画書の記入例と書き方が知りたい人は参考にしてみてください。

なお、日本政策金融公庫の創業融資を利用する人は、まずは日本政策金融公庫の公式サイトから「創業計画書」のテンプレート(Excelファイル)をダウンロードしましょう。

不動産業向けの創業計画書は業界経験を伝えることがポイント

創業計画書
引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

不動産業向けの創業計画書は業界経験を伝えることがポイントです。不動産業は、数ある事業の中でも事業を運営するための業界経験がとくに重要だと考えられるためです。

不動産業の創業計画書を作成する人は、①~⑧までの項目を通して、「市場に出る前の情報を早く仕入れるための人脈」や「顧客のニーズに応えられるスキル」など、事業に活かせる業界経験があることを伝えていくことになります。

【創業計画書の項目】
項目 概要
①創業の動機 創業の目的や動機を記載
②経営者の略歴等 勤務先や業務内容、役職や経験を記載
③取扱商品・サービス 商品やターゲット、競合や市場を記載
④取引先・取引関係等 販売先や仕入先、外注先を記載
⑤従業員 雇用予定の従業員人数を記載
⑥お借入の状況 既存の借入状況を記載
⑦必要な資金と調達方法 資金の調達方法と利用用途を記載
⑧事業の見通し(月平均) 売上高や経費、利益を記載

不動産業で開業予定の人は、これから紹介する各項目の記入例を参考に、業界経験があることをアピールしましょう。

なお、日本政策金融公庫の公式サイトにも「創業計画書記入例(PDF)」はあるものの、記入例には大まかな内容しか書いていません。実際に不動産業の創業計画書を作成するときは、事業者の状況に合わせて、詳細な創業計画書を作成する必要があります。

「①創業の動機」は計画性を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「①創業の動機」は、事業をはじめるための計画性を伝えるところです。何の準備もなく「創業のために融資を受けたいです」と言っても、不動産業の開業希望者は融資を受けられません。

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「①創業の動機」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

 【①創業の動機の記入例】
約20年間、不動産業に携わらせて頂き不動産営業のスキルを磨いてきました。主にファミリー層向けの都内物件を担当し、様々なお客様のニーズに対応する力を身につけました。現在の勤務先では、エリア部長として、全体の数字管理、新人教育にも携わってきました。かねてから、独立したいと考え、資格の取得や自己資金の準備をしてまいりましたが、この度、自己資金の目標金額が貯まったため、創業を決意致しました。

記入例では、業界の経験年数や積み上げてきた経験などから、開業準備をしてきたことが分かります。「①創業の動機」を作成する人は、不動産業の開業のために準備してきた内容を記入しましょう。

記入する前に経験や開業準備について振り返る

不動産業向けの「①創業の動機」を作成する人は、記入する前に経験や開業準備について振り返ると、創業の動機が書きやすくなるかもしれません。改めて経験やスキルについて整理することは、自分の強みに気づくことにつながるからです

たとえば、経験や開業準備について振り返るときの視点として挙げられるのは、次の項目です。

【経験や開業準備について振り返るときの視点】

  • 業界の経験年数
  • 営業や企画などのメイン業務に必要な業務経験
  • マネジメントや数字管理などの経営に必要な業務経験
  • これまでの営業成績や表彰経験
  • 資格や許認可などの取得状況
  • 開業場所探しや自己資金などの開業準備

「①創業の動機」を作成する人は、不動産業の経験や開業準備について、事前に振り返ってみましょう。

「②経営者の略歴等」は経験や実績を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「②経営者の略歴等」は、経験や実績を伝えるところです。「②経営者の略歴等」では、「いつ」の経験や実績なのかについて具体的に記載していきます。

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「②経営者の略歴等」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【②経営者の略歴等の記入例】
年月 内容
平成◯年△月 □□大学 卒業
平成◯年△月 株)〇〇不動産 入社 賃貸営業(宅建士取得)(5年
平成◯年△月 賃貸営業部門 売上1位獲得
平成◯年△月 ××株式会社 入社 不動産管理(3年)
平成◯年△月 △△株式会社 入社 エリア部長として仲介部門担当(15年)
平成◯年△月 株式会社●● 設立 代表取締役就任

記入例では、業務経験や受賞歴などから「専門スキル」や「経営に活かせるスキル」があると分かります。「②経営者の略歴等」を作成する人は、事業者の強みとして経験をアピールしていきましょう。

なお、法人を立ち上げた場合は、最後に法人を設立した年月や会社名も記入します。

宅地建物取引士の資格や宅建業の許認可がある人は忘れずに記入する

宅地建物取引士(宅建士)の資格や宅地建物取引業(宅建業)の許認可がある人は、忘れずに「取得資格」に記入してください。事業に必要な許認可がない場合は事業をはじめられないため、融資を受けられない可能性があるからです。

たとえば、不動産業の場合は、宅地建物取引業(宅建業)の許認可がなければ事業をはじめられません。そのため、少なくとも融資申込みの時点で許認可に申請をしている必要があります。

なお、不動産鑑定士やファイナンシャルプランナーなど、他にも資格を持っている人は、自分の持っている全ての資格について記入しましょう。

「③取扱商品・サービス」は事業の特徴や強みの根拠を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「③取扱商品・サービス」は、事業の特徴や強みの根拠を伝えるところです。「取扱いサービス」「ターゲット」などから、どのような形態で事業を実施するのかを伝えることができます。

「③取扱商品・サービス」では、次の項目を通して事業の特徴や強みの根拠を伝えます。

【③取扱商品・サービスの項目の記入例】
項目 ポイント
取扱商品・サービスの内容 仲介や売買、管理などを記載
セールスポイント 販売力や業界経験で得た人脈など、不動産業を営む上で強みとなる点を記載
販売ターゲット・販売戦略 ターゲットの属性やターゲットにあわせた商品の仕入れ方法や販促方法を記載
競合・市場など企業を取り巻く状況 市場の動向を踏まえ、どのように対応していくのかを記載

「③取扱商品・サービス」を作成する人は、一つひとつの項目として部分的に考えるのではなく、全体を通して事業の特徴や強みの根拠が伝わるよう意識して記入してみましょう。

「取扱商品・サービスの内容」はサービスの構成比を伝えるところ

「取扱商品・サービスの内容」は、サービスの構成比を伝えるところです。不動産業を開業したい人は、サービスと売上シェアから事業の全体像を融資担当者に伝えることができます

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「取扱商品・サービスの内容」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【取扱商品・サービスの内容の記入例】
取扱商品・サービスの内容 ①不動産仲介業    (売上シェア 90%)
②不動産管理業    (売上シェア 10%)
③          (売上シェア     %)

記入例では、不動産仲介業をメインとして、不動産管理業にも取り組む予定であることが分かります。不動産仲介業や不動産管理業の他にも、不動産販売業や不動産賃貸業をしている場合もあります。「取扱商品・サービスの内容」を作成する人は事業にあわせて記入しましょう。

なお、マンションやアパートの貸出など、賃貸不動産賃貸業について興味のある人は「不動産投資(賃貸業)を始める方必見!日本政策金融公庫から不動産融資を受けるには」を参考にしてみてください。

「セールスポイント」は事業の強みを伝えるところ

「セールスポイント」は、事業の強みを伝えるところです。事業者は取扱物件の特徴や顧客対応力など強みを記載すると、業界での経験やノウハウをアピールできます。

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「セールスポイント」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【セールスポイントの記入例】
セールスポイント 不動産仲介、管理と不動産業に携わってまいりました。営業として表彰経験もあり、営業力に自信があります。また、前職ではマネジメントにも従事し、売上規模の拡大のための企画立案や、社員教育にも携わってきました。仕入れ・仲介・管理で営業活動が可能です。

記入例では、略歴にあった社内表彰されるほどの高い営業力を有していることや、マネジメントや営業のための企画経験があることが分かります。

「取扱商品やサービスの内容」を考えるときは、営業力や仕入れのノウハウなど、業界経験をアピールできるポイントを記入しましょう。

「販売ターゲット・販売戦略」は誰にどうやって販売するかを伝えるところ

「販売ターゲット・販売戦略」は、誰にどうやって販売するかを伝えるところです。「販売ターゲット・販売戦略」では、集客方法や、仕入れのノウハウなどを記入します

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「販売ターゲット・販売戦略」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【販売ターゲット・販売戦略の記入例】
販売ターゲット・販売戦略 〇〇地域に特化した不動産仲介や管理を行います。これまでの人脈からのご紹介を中心に、賃貸物件に特化したポータルサイトを利用しての集客にも力を入れていきます。今後更に人脈を広げていくために、お客様に寄り添った対応を心がけ、紹介案件を増やして参ります。

記入例では、既存顧客からの紹介をメインの集客方法として考え、賃貸物件に特化したポータルサイトを利用して認知を広げていくことが分かります。

「販売ターゲット・販売戦略」を考えるときは、他にも、Google Map、YouTube、オウンドメディアの運用など、ターゲットにあった販売戦略を記入していきましょう。

「競合・市場など企業を取り巻く状況」はなぜ選ばれるかを伝えるところ

「競合・市場など企業を取り巻く状況」は、なぜ選ばれるかを伝えるところです。「競合・市場など企業を取り巻く状況」では、市場の動向や、地域特性などを記入します。

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「競合・市場など企業を取り巻く状況」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【競合・市場など企業を取り巻く状況の記入例】
競合・市場など企業を取り巻く状況 コロナウイルス感染症拡大の影響によって家庭環境を見直す方が増え、お客様の暮らしに合わせた住まい選びが重視されるようになりました。特に〇〇に地域は、自然に囲まれたファミリー層の物件が多く、問い合わせ件数も増えています。お客様のライフスタイルに合わせたご提案を心がけて参ります。

記入例では、市場の動向や地域特性から新規案件が増えていることや、お客様への対応で競合と差別化していくことが分かります。

「競合・市場など企業を取り巻く状況」を考えるときは、他にも仕入れで利用できる人脈など、差別化できるポイントを記入しましょう。

「④取引先・取引関係等」は取引先や仕入先を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「④取引先・取引関係等」は、取引先や仕入先を伝えるところです。不動産業では、販売先も仕入先も流動的になるかもしれません。もし不動産業者や懇意にしている大家さんなど、継続的なお付き合いがある場合は、優先的に記載していきましょう。

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「④取引先・取引関係等」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【④取引先・取引関係等の記入例】
取引先名(所在地) シェア 掛取引の割合 回収・支払の条件
販売先 一般個人(現金) 0% 日〆 即日回収
一般個人(クレジット) 100% 日〆  日回収
仕入先 株式会社□□
(△△県×市)
60% 100% 末日〆 翌25日支払
一般個人 40% 末日〆 翌25日支払
外注先 日〆  日支払
日〆  日支払
人件費の支払  末日〆   翌 日支払い

記入例では、「株式会社□□」がメインの仕入先として確保できていることが分かります。

なお、個人のお客様と取引する場合は、「一般個人」と記入しましょう。

「⑤従業員」は運営体制を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「⑤従業員」は、運営体制を伝えるところです。事業者は、従業員数を記入する前に、事業を運営するのに何人必要か予め想定しておく必要があります。従業員数は採用費や人件費とも結びつくため、事業者は収益との兼ね合いも考えながら事業計画を立てなければならないからです。

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「⑤従業員」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【⑤従業員の記入例】
常勤役員の人数 1人 従業員数 1人 うち家族従業員  1人
うちパート従業員 0人

記入例では、事業者自身が法人の役員として入っていることと、家族から従業員を1人雇う予定でいることが分かります。

他にも不動産業では、経理や営業アシスタントなどを採用する場合もあります。事業者自身も含めて、事業を運営するために必要な人数を記載しましょう。

「⑥お借入の状況」は既存借入を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「⑥お借入の状況」は、既存借入を伝えるところです。融資担当者は既存借入から返済の負担を確認します

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「⑥お借入の状況」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【⑥お借入の状況の記入例】
お借入先名 お使いみち お借入残高 年間返済額
〇〇銀行 □事業✓住宅□車□教育□カード□その他 1,500万円 72万円
〇〇カーローン □事業□住宅✓車□教育□カード□その他 72万円 6万円
□事業□住宅□車□教育□カード□その他 万円 万円

記入例では、住宅と車のローンがあり、年間の返済総額は72+6万円で78万円、平均で月に6.5万円の返済をしていることが分かります。

なお、消費者金融などから借入がある場合、日本政策金融公庫の担当者から借り換えを懸念されるときもあります。日本政策金融公庫では、借り換え目的の融資はできないことを認識しておきましょう。

事業に関わらない車ローンや住宅ローンについても書く

「⑥お借入の状況」では、事業に関わらない車ローンや住宅ローンについても書きます。とくに、個人事業主の場合は、事業収入から生活費と融資の返済費を捻出するため、個人的な借入についても知らせておかなければなりません。

たとえば、事業以外の借入には次のようなものがあります。

【事業に関わらない借入の一例】

  • 住宅ローン
  • 車のローン
  • 学資(教育)ローン
  • カードローン
  • ブライダルローン

全ての借入について把握し、月にどれくらいの返済をしているか確認しておきましょう。また、借入がある場合は、返済予定表の用意も必要です。

「⑦必要な資金と調達方法」は借入希望額と資金用途を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「⑦必要な資金と調達方法」は借入希望額と資金用途を伝えるところです。融資を受けるには、どのようにお金を準備して、何にお金使うか、説明する必要があります。

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「⑦事業の見通し(月平均)」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【⑦事業の見通し(月平均)の記入例】
必要な資金 見積先 金額 調達の方法 金額
設備資金 内装費
車両費
HP作成費
複合機
PC・スマホ
机・椅子
〇〇株式会社
〇〇株式会社
〇〇株式会社
〇〇株式会社
〇〇株式会社
〇〇株式会社
500万円
100
150
100
50
50
50
自己資金 300万円
親、兄弟、知人、友人等からの借入 万円
日本政策金融公庫からの借入 450万円
運転資金 (内訳)
地代家賃+礼金+仲介手数料
広告費(3ヶ月)
光熱費、通信費等(3ヶ月)
備品費
250万円
150
45
30
25
他の金融機関からの借入 万円
合計 750万円 合計 750万円

記入例では、必要な資金の合計額と調達方法の合計額が750万円で揃っていることが分かります。必要な資金と調達方法する資金がズレている場合は、「調達の方法」と「必要な資金」の詳細を見直しましょう

設備にかかる費用は「設備資金」に記入する

設備にかかる費用は、「設備資金」に記入します。事業をするために購入が必要な設備は、全て記入します。

設備資金には、次のようなものが入ります。

【設備資金の一例】

  • 物件の保証金
  • 物件の内装
  • 営業車などの車両
  • ホームページ
  • 冷暖房設備
  • PC・スマホなどの機器
  • 机・椅子

あらかじめ、必要なものをリストアップし、必要な設備にいくらかかるのか計算しておきましょう。

なお、設備資金にはすべて見積書が必要です。見積書は、購入先に依頼して作成してもらえます。

運営にかかる費用は「運転資金」に記入する

事業の運営にかかる費用は、「運転資金」に記入します。中小機構の運営するJ-Net21にも記載がありますが、運転資金は2~3ヶ月分を目安に借入を検討しましょう

運転資金には、次のようなものが入ります。

【運転資金の一例】
項目 主な用途
人件費 従業員の給与や賞与など
家賃 店舗の家賃や駐車場の料金など
支払利息 借入金の利息
広告費 ポータルサイトサイトの掲載費やSNSでの宣伝費用など
備品費 コピー紙、名刺、スリッパなど
水道光熱費 水道代、電気代、ガス代など
通信費 インターネットなどの通信料

不動産業を開業する人は、事業を運営する上でかかる費用を洗い出して、1ヶ月あたりどれくらい必要かを確認しましょう。

「⑧事業の見通し(月平均)」は収益性を伝えるところ

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引用元:日本政策金融公庫の公式サイト「https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf」

「⑧事業の見通し(月平均)」は、収益性を伝えるところです。融資担当者は、事業の収益や、収益から返済ができるかを確認します。「⑧事業の見通し(月平均)」では、売上の根拠を明らかにして、事業計画を伝える必要があります

たとえば、不動産業向けの創業計画書の「⑧事業の見通し(月平均)」を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。

【⑧事業の見通し(月平均)の記入例】
創業当初 軌道に乗った後 売上高
売上高① 70万円 85万円 【創業当初】
売上:700,000円
仲介@15万円×4件=60万円
管理@2万円×5件=10万円
人件費:30万円(役員1名、家族社員1名雇用)
その他:広告宣伝費15万円、旅費交通費5万円、家賃15万円など
【軌道に乗った後】
売上:850,000円
仲介@15万円×5件=75万円
管理@2万円×5件=10万円
人件費:35万円(役員1名、家族社員1名雇用)
その他:広告宣伝費15万円、旅費交通費6万円、家賃15万円など
売上原価② 0万円 0万円
経費 人件費 30万円 35万円
家賃 15万円 15万円
支払利息 2万円 2万円
その他 20万円 22万円
合計③ 67万円 74万円
利益①-②-③ 3万円 11万円

記入例では、創業当初、売上70万円に対して、経費67万円がかかるため、3万円の利益になることが分かります。また同様に考えると、軌道に乗った後の利益は11万円です。法人は、利益から借入金の返済ができるか確認しましょう

なお、法人の場合は、人件費に自分の給与が入ります。

売上の根拠が分かるように計算式を記入する

不動産業向けの創業計画書の「⑧事業の見通し(月平均)」では、売上の根拠が分かるように計算式を記入します。売上の根拠が曖昧だと、事業計画が不十分だとみなされる傾向があります。そのため、「⑧事業の見通し(月平均)」を記入するときは、計算式を使って、どのように売上を算出しているかを説明する必要があります。

たとえば、不動産業の売上は、「案件単価✕月ごとの案件数」から計算できます。

【不動産業における売上計算方法の一例】

  • 案件単価:15万円
  • 月ごとの案件数:4件
  • 売上:15万円✕4件=60万円

また、不動産業の売上の根拠を記入する人は、「仲介と管理などのサービス構成」で分けて計算するとより具体的に売上を記入できます。

【サービス構成ごとの売上の記入例】
仲介:@15万✕4件=60万円
管理:@2万✕5件=10万円

「⑧事業の見通し(月平均)」を作成する人は、不動産業の事業実態にあわせて「サービス構成」で分けて計算式を記入しましょう。

まとめ

不動産業向けの創業計画書は、業界経験を伝えることがポイントです。不動産業向けの創業計画書を作成する人は、①~⑧の項目全体を通して、業界経験で得た不動産業を運営するためのノウハウや人脈が伝わるよう意識して記入してみましょう。

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