創業融資を受けて創業した人の中には、追加融資を検討している人もいるかもしれません。その際、2回目の融資を受けられるのかどうか不安に思っている人もいるでしょう。
当記事では、創業融資を受けたあとに追加融資を受けられるのかどうかを解説します。創業融資を受けて開業したあとに追加融資を検討している人は参考にしてみてください。
目次
1回目の融資から期間が空いていない場合は追加融資を受けられない可能性がある
1回目の融資から期間が空いていない場合、追加融資を受けられない可能性があります。創業融資を受けた直後に追加融資が必要となった場合、期間が空いていないことを理由に追加融資を受けられない可能性があります。
追加融資を断られる理由のひとつは、「元金が減っていないこと」です。1回目の融資から期間が空いていない場合、借入した額の残高が減っていないため、追加融資を受けることによる返済負担の増大を理由に追加融資を断られる可能性があります。
追加融資を断られる理由のひとつは「事業が計画通りに進んでいないこと」です。1回目の融資から期間を空けず追加融資が必要となる背景には、事業が計画通りに進んでいないおそれがあると判断され、追加融資を断られる可能性があります。
なお、追加融資を申し込むときは事前に相談することも検討しましょう。「前回の審査担当者」「相談窓口の担当者」など、事前に状況を担当者に共有しておくことにより、追加融資の可否における意見を早めにもらえる可能性があるため、追加融資を申し込むときは事前相談することを検討してみてください。
追加融資を申し込むタイミングの目安は3割から5割を返済したとき
追加融資を申し込むタイミングの目安は、1回目の借入額を3割から5割まで返済したときとする考え方があります。創業融資を受けた後に追加融資を考えている場合は、1回目の借入を3割から5割程度まで返済することを検討してみましょう。
借入額を3割から5割まで返済することにより、金融機関からの信頼が得られます。遅れなく返済を進めることにより、事業の収益性や資金繰りの健全性を評価してもらえる可能性があります。
借入額を3割から5割まで返済することにより、追加融資分の返済を負担する余力が生まれます。追加融資を受けたとしても、収支と総借入残高のバランスがとれていると判断してもらえる可能性があります。
なお、返済した分の金額は必ず借りられる訳ではありません。「資金の使い道」「事業の実績」などの情報をもとに追加融資の審査をされることになるため、返済した分の金額は必ず借りられるとは限らない点を留意しておきましょう。
追加融資を申し込むときは実績が分かるものを提出する
追加融資を申し込むときは、実績が分かるものを提出します。創業融資の審査では、実績がないため事業計画書の内容をもとに審査されていましたが、追加融資は創業後の実績も審査されることになるため、追加融資を申し込むときはその前提を踏まえておきましょう。
【実績が分かるものの書類例】
- 確定申告書(個人事業主の場合)
- 決算書(法人の場合)
- 試算表
- 月別売上表
- 預金通帳
個人事業主の場合、確定申告書を提出します。確定申告を終えている個人事業主の人が追加融資を申し込む場合は、直近2期分の確定申告書を提出するように依頼される傾向にあります。
法人の場合、決算書を提出します。決算を終えている法人が追加融資を申し込む場合は、直近2期分の決算書を提出するように依頼される傾向にあります。
まだ確定申告や決算を終えていない場合は、試算表や月別売上表を提出することを検討してみましょう。試算表や月別売上表を作成することにより、創業後の実績を金融機関に伝えやすくなる可能性があるため、確定申告書や決算書がない場合は試算表や月別売上表を準備することを検討してみてください。
今後の見通しが分かるものの提出を依頼される場合がある
追加融資の審査では、今後の見通しが分かるものを依頼される場合があります。創業融資と異なり、追加融資の審査では実績をベースとした今後の見通しを聞かれる傾向にあるため、追加融資を申し込むときはその前提を踏まえておきましょう。
たとえば、今後の売上計画が分かるものを求められる場合があります。「これまでの月別の売上高」「受注書」などの資料をもとに売上計画を立てることにより、実績にもとづいた妥当性のある売上計画を作成できる可能性があります。
また、今後の収益計画が分かるものを求められる場合があります。「これまでの月別の経費」「仕入先との契約書」などの資料をもとに収益計画を立てることにより、実績にもとづいた妥当性のある収益計画を作成できる可能性があります。
なお、創業時に立てた計画とかい離している場合は、かい離した点を補足説明することも検討しましょう。創業時の計画通りに進まなかった点を共有することにより、今後の課題や今回の追加融資の意義が金融機関の担当者に伝わりやすくなる可能性があるため、創業時に立てた事業計画とのかい離点を説明することも検討してみてください。
追加融資を申し込むときは資金が必要な理由を説明する
追加融資を申し込むときは、資金が必要な理由を説明しましょう。追加融資では、資金が必要な理由も審査の可否を決める要素のひとつになる可能性があるからです。
たとえば、事業が不調のため資金が必要な場合、審査においてマイナスの印象を与えるおそれがあります。「赤字を補てんしたい」「売上が伸びていない」などの理由から追加融資を希望する場合は、審査に不利な影響を与える可能性があります。
一方、事業が好調のため資金が必要な場合は、審査においてプラスの印象を与える可能性があります。「売上が好調のため人員を増やしたい」「店舗を拡大したい」などの理由から追加融資を希望する場合は、審査に有利な影響を与える可能性があります。
事業が不調のため資金が必要な場合は、今後の事業の見通しを伝えることを検討しましょう。今後は事業が伸びる見通しを伝えることにより、追加融資の必要性があると判断してもらえる可能性があるため、今後の見通しを具体的に伝えることを検討してみてください。
追加融資を申し込むときは資金の使い道も説明する
追加融資を申し込むときは、資金の使い道も説明することになります。資金の使い道は審査担当者に伝えることになるため、資金が必要な理由と合わせて伝えられるように準備しておきましょう。
たとえば、運転資金が必要な場合、時期と金額を明確にします。「仕入れの増加に伴い、毎月〇万円の運転資金が必要」「人員増加により、月々の人件費が〇万円増加」など、数字を示しながら説明することにより、資金の使い道を明確に伝えることができます。
また、設備資金が必要な場合、設備の見積書を提出します。「相見積もりを取得する」「設備の仕様を明記する」などの準備をすることにより、購入する設備の必要性や実現性を伝えることができます。
資金の使い道は明確に伝えられるよう準備しておきましょう。「資金の内訳」「資金を使う時期」などの予定を伝えることにより、追加融資の必要性や計画性を審査担当者に理解してもらえる可能性があるため、資金の使い道は具体的に説明することを検討してみてください。
2回目の融資が受けられない場合は他行からの借入を検討する
2回目の融資が受けられない場合は、他行からの借入を検討してみましょう。創業融資を受けた金融機関から追加融資が受けられなかった場合は、他の金融機関に相談することも検討の余地があります。
融資の方針は、金融機関によって異なる可能性があります。創業融資を受けた金融機関では、借入負担の増加を懸念する考えであったとしても、別の金融機関では、事業の成長性を見込んで融資してくれる可能性があります。
また、金融機関の地域における競争環境も影響する可能性があります。新規融資先を積極的に獲得したい金融機関の場合は、他行との取引実績がある事業者へ融資を行いたい方針のもと、融資してくれる可能性があります。
複数の金融機関と取引実績をもつことは、資金調達の候補を増やせるメリットがあります。資金繰りの管理が複雑になるデメリットはありますが、資金が必要になった場合の相談先が増えるメリットがあるため、創業融資を受けた後に追加融資を考えている人は、他行から借入することも検討してみてください。
まとめ
1回目の融資から期間が空いていない場合、追加融資を受けられない可能性があります。創業融資を受けた直後に追加融資が必要となった場合、期間が空いていないことを理由に追加融資を受けられない可能性があります。
追加融資を申し込むときは、実績が分かるものを提出します。創業融資の審査では、実績がないため事業計画書の内容をもとに審査されていましたが、追加融資は創業後の実績も審査されることになるため、追加融資を申し込むときはその前提を踏まえておきましょう。
2回目の融資が受けられない場合は、他行からの借入を検討してみましょう。創業融資を受けた金融機関から追加融資が受けられなかった場合は、他の金融機関に相談することも検討の余地があります。