不動産業の中でも、不動産仲介業(賃貸仲介や、売買仲介業)は条件に合致していれば、日本政策金融公庫から融資を受かりやすい業種ですが、不動産投資(賃貸業)は、融資を受けることができるのでしょうか?
※当社株式会社SoLabo(ソラボ)では、日本政策金融公庫の融資支援実績3,700件以上ある中で、融資が受かりやすい業種かどうかをご説明いたします。
また不動産投資(賃貸業)を行う際に融資を受けられるのであれば、融資を受けられる条件や、融資限度額と金利、借入期間、融資を受けるに当たって気をつけたいこと、融資が通りやすくなる創業計画書の書き方をご紹介します。
1. 日本政策金融公庫から不動産投資(賃貸業)目的の融資を受けられるのか?
(1)融資を受けられる不動産投資(賃貸業)の条件
不動産投資(賃貸業)目的の融資は、かなり条件が厳しいですが、融資に受かるケースもあります。
【融資の対象になっているもの】
・投資用の不動産(アパートやマンション)を購入するための資金の融資(購入後、不動産を貸すことを想定)
・すでに保有している賃貸マンションやアパートの修繕を実施するための資金の融資
などは、融資の対象になります。
【厳しい条件】
日本政策金融公庫で不動産投資(賃貸業)で融資を受ける場合には、
- 担保提供できるものがあるか
- 返済期間が10年でも収支がプラスになるか
- 自己資金を潤沢に保有しているか
- 不動産賃貸物件をすでに保有しているかどうか
などの条件を複数クリアしていると、融資審査に通過する可能性があります。
以前は、給料が高く、購入物件で赤字になったとしても、給料で補填できるレベルで高給取りの方であれば、日本政策金融公庫で融資を受けられる時代もありましたが、年々審査が厳しくなり、現状ではかなり厳しい条件を複数クリアしていないと融資が受けられなくなっています。
また、日本政策金融公庫の支店や、担当によって、対応するかどうかも変わってきます。
民間の金融機関では不動産投資(賃貸業)目的の融資を受ける上で、総投資額の20%以上の自己資金を保有していなければ融資しない!という金融機関も出てきています。
日本政策金融公庫でも同様に、自己資金の蓄積がなければ、不動産投資(賃貸業)の融資は非常に厳しい状況になっています。
※弊社では、不動産投資(賃貸業)を行うための融資を何度も通してきましたが、年々審査が厳しくなることを実感しております。やはり、公庫としては、雇用の創出をする事業へお金を貸したい!という背景があるため、今後もさらに厳しくなっていくことが予想されます。
※厳しい審査の中でも融資が比較的通りやすい事例
事例① すでに賃貸物件を保有しているケース
・すでに数件の賃貸物件を保有しており、その物件で確定申告書上、収支がプラス。この方が保有している物件を修繕するために1,000万円の融資を希望するケースです。
1,000万円借りたとしても、現在保有している物件を賃貸することで、収支がプラスであれば融資は受けやすいです。
事例② 賃貸物件を初めて購入するケース
賃貸物件を初めて購入するケースで融資が通るのは、自己資金がおおよそ500万円以上で年収も高い。このような方であれば、融資に通るケースもあります。
ただし、借入額1,000万円程度で、返済期間も10年以内で確定することが多いです。
※こちらは、弊社の融資支援実績をもとに解説しております。
※担保提供可能であれば、1,000万円を超えた融資を受けられるケースもありますが、かなり難しいとお考え下さい。
事例③担保提供可能な方ケース
担保があるから必ず融資に受かるわけではないですが、担保提供できる物件をすでに保有している場合、融資が受かりやすいケースが多いです。
(2)不動産投資(賃貸業)への融資限度額と金利、借入期間
2020年7月時点、一般的な不動産投資(賃貸業)での融資を受けた場合、融資限度額4800万円、金利は0.31〜2.85 %となります。
※担保提供するか、どの制度に当てはまるか等の条件次第で金利差が出てきます。
また、借入期間は、最大で20年以内になる可能性はありますが、優遇される属性の方でも適用されるのはレアケースで、弊社実績でご説明させて頂くと10年以内で考えた方が無難です。
2. 不動産融資を受けるのに必要なものは?
(1)提出書類を用意しよう
日本政策金融公庫の融資を受けるのに必要な書類は次の通りです。
- 借入申込書
- 通帳コピー
- 創業計画書
- 借入金のある場合は、支払明細書(現在の借入残高、月々の支払額がわかるもの)
- 不動産の賃貸借契約書(店舗・自宅分)
- 営業許可書、資格または免許を証明するもの
- 見積書、工事請負契約書(設備投資する方のみ必要)
- 運転免許証コピー
- 関連企業の確定申告書及び決算書(別で会社を経営されている方のみ必要です)
- 印鑑証明書
- 代表のご自宅分の水道光熱費の支払い状況がわかる資料
- 個人の源泉徴収票又は確定申告書2年分
(2)創業計画を立てよう
不動産投資(賃貸業)で融資を受けたものの返済できなくなったケースの増加、それによる金融機関へのダメージが社会問題となっています。
そのため、日本政策金融公庫でも不動産投資(賃貸業)への融資審査が年々厳しくなっています。
審査は厳しくなっていますが、計画性をアピールすることで、融資の成功確率があがるケースがあります。
あなたは賃貸業を続け、無事に完済し、最後にその不動産を手放すときまでをしっかりイメージできているでしょうか。
もし賃貸物件に空室が続いた場合、返済はどうなりますか。もし物件や入居者にトラブルが起こったとき、どう対応しますか。
不動産投資(賃貸業)は万全のリスク管理をしてこそ安定した利益を生みます。
あらゆる「もし」を想定した上での返済計画をたて、創業計画につなげることが重要です。
事業の展望を語る「創業計画書」は、日本政策金融公庫の融資を左右する書類です。
不動産投資(賃貸業)というと、住居用の家を貸す大家さん、その管理をする賃貸業者というのが一般的なイメージで、それの創業計画の書類を書けと言われても…と思われるかもしれませんが、近年、複合的な事業展開が出てきています。
例えば、サービス付き高齢者住宅。
介護や生活支援サービスのついた高齢者向けの賃貸です。
高齢社会と呼ばれて久しい日本ですが、通常の賃貸では入居を断られるシニアに対し、グループホームとは異なる選択肢として需要があり、今後も伸びる複合事業と言えるでしょう。
民泊。一般の住宅に宿泊することを指し、東京オリンピックでの宿泊施設不足の緩和策として話題になっています。
現状の法令や条例では事業化には旅館業の許可が必要で、近隣とのトラブルや不法滞在や犯罪の温床になりかねないことから、現時点ではハイリスクハイリターンな事業と言えるでしょう。
シェアハウス。自室とは別に共同利用できる空間のある、若者や外国人に人気のある賃貸住宅です。
従来の賃貸と違って、キッチン、風呂、トイレを共同にするため、設備コストを下げつつ部屋数を増やすことができます。
また、それに伴い、賃料も安くできます。利回りのよさで、都市部を中心に今後も増えていくと予想されます。
昨今、シェア・レンタルといった「所有しない」ことをよしとする風潮があります。そういう意味で不動産投資の事業展開に対して世間的な追い風があると言ってもいいでしょう。
複合的な事業展開にして「新規性」があると認められれば、一般の方でも金利を優遇条件よりも低くすることもできるため、賃貸事業にプラスアルファでの創業を考えることはおすすめできます。
3. 不動産投資(賃貸業)における創業計画書の書き方
実際に日本政策金融公庫の融資を受けることができた創業計画書をもとに、融資担当者に評価されやすいポイント・創業計画書の書き方をご紹介します。
融資担当者に評価されやすい創業計画書のポイント
創業計画書を作成するうえで大切なことは、日本政策金融公庫の融資担当者から評価されやすいポイントを理解し、創業計画書に反映させることです。日本政策金融公庫の融資審査は減点方式ではなく加点方式で行われるためです。
融資担当者に評価されるポイントを押さえた創業計画書を作成しないと加点されず、融資審査を通ることは難しくなります。不動産投資(賃貸業)の創業融資を受けたい場合に融資担当者から評価されやすいのは、次の2点です。
①不動産業界での勤続経験
不動産業界での勤続経験は融資担当者から評価されやすいです。業界経験があるから、最適な物件を選ぶことができるというプレゼンができれば、評価を上げることが可能です。
②利益の根拠を明記する
不動産投資(賃貸業)の場合、買った物件をただ誰かに貸すだけであれば、借主のスペックと物件のスペックで判断されます。どんなに、創業計画書を工夫しても、合否の判断がわかる可能性はかなり低いです。
不動産の賃貸をする上で、通常の賃貸と【違うサービス付き高齢者住宅】【シェアオフィス】などの場合には、なぜそれをあなたが行い利益を生み出すことができるのか?を明記する必要があります。
まとめ
2018年夏に発覚したスルガ銀行の不正融資問題によって、投資用不動産向けの融資に対する監視が強化されるとの行政方針が発表されました。
以降、日本政策金融公庫の不動産投資(賃貸業)への融資の審査が年々厳しくなっています。
そもそも融資が受けられるかどうか?というご心配があれば、一度弊社にお電話ください。
当社株式会社SoLaboは、国の認定支援機関としてこれまでに3,700件以上の公庫融資をサポートしてきました。
そもそも借りられる可能性があるのかや、審査に通るのか等、ご質問あれば遠慮なくご相談ください。