総務省統計局が平成30年7月30日に発表した「平成29年就業構造基本調査 結果の概要」によると、日本国内で就業している人のうち、副業をしている人の割合は4.0%であることがわかっています。平成24年の調査では3.6%だったことから、増加傾向にあると言えるでしょう。
また、同調査によると、「追加就業希望者(現在就いている仕事を続けながら,他の仕事もしたいと思っている人)」は、平成24年の5.7%から平成29年は6.4%と0.7%上がっており、副業を希望する人も増えていることがわかります。
さまざまな副業がありますが、業務内容によっては、副業を始めるための「手元資金」をどうやって調達しようかと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、副業で日本政策金融公庫から融資を受けることができるのかどうかを説明していきます。
目次
副業で日本政策金融公庫からの融資を申し込める?
結論からいうと、副業でも日本政策金融公庫から融資を受けることは可能です。
基本的には通常の融資と同様、「事業における経験や実績」「事業計画」「自己資金」「信用情報」などの観点から総合的に審査が行われ、融資が実行されます。
しかし、副業であるが故に気をつけることがありますので、次項で説明する融資を受ける際の注意点を事前にご確認ください。
今の状況でいくらくらい借り入れが可能か知りたい人は、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)の無料診断をお試しください。自己資金や経験といったご状況からどのくらい融資が受けられるのかを診断できます。
副業で日本政策金融公庫の融資に申し込む際の注意点
日本政策金融公庫が創業企業を積極的に支援する理由は「雇用創出を促し、地域経済の活性化を図りたいから」です。そのため、将来的に副業を本業にすることが前提となります。
(1)創業の場合
基本的には通常の創業融資の審査ポイントと変わりはありません。そのため、自己資金、経験、事業計画、個人の信用情報などの観点から総合的に審査が行われます。
また、プラスアルファの要素として本業の勤め先の就業規則で副業を行うことが問題ないことを審査の中で確認されます。
基本的には口頭で確認されますが、場合によっては副業が問題ないことを証明する書類(就業規則など)の提出を求められることがありますので、事前に勤め先に確認しておきましょう。
副業の場合、仕事終わりや休日を中心に事業を行うケースが多いので、時間を確保することができるのかなど、本業との兼ね合いも含めた現実的な事業計画であるのかを面談で質問されます。
また、本業の勤め先の年収が高いことを理由に、返済に関しては問題ないと考える申込者もいます。当然、本業の年収も考慮されますが、基本的には事業での売上で利益を出し、利益のなかから借入金の返済ができるかどうかが審査で問われることになるでしょう。
(2)すでに副業を行っている場合
確定申告を行っていることが前提となり、審査では実績が重視されます。単なるお小遣い稼ぎではなく、事業性があるかどうかという観点も含めて審査されるのです。
なかには副業をしていたけど、所得が20万円以下だったから確定申告していないという方がいらっしゃいます。この場合、日本政策金融公庫からすると本当に副業を行っていたのかどうかを判断できませんし、事業性がないと判断されてしまう可能性もありますので、融資を検討しているのであれば、確定申告をしておくことをおすすめします。
今後事業拡大していく上でどのような計画であるかを明確にし、金融機関の担当者に説明できるようにしましょう。
また、創業時と同様に、本業のお勤め先の就業規則で副業を行うことが問題ないことも確認されます。
副業で日本政策金融公庫融資を受けるの際の注意点(事業別)
当社に副業のための融資に関してご相談いただく際、業種として多いのは、ネット物販、不動産賃貸業、太陽光発電事業、フランチャイズです。各事業別の注意点を確認していきましょう。
(1)ネット物販
仕入れ資金として融資を希望する場合、創業で融資を受けるのは非常に厳しいといえます。理由としてはネット物販は参入しやすいため、競合が多く行き詰ってしまう人が多い状況があるためです。
希少価値の高いものを独自の仕入れルートで確保することができるといったような他社との差別化ができなければ、融資を受けるのは難しいでしょう。もちろん絶対に無理というわけではありませんが、希望する融資金額から減額されることも頭に入れて、しっかりと準備をして申し込みをしましょう。
またすでに事業を行っている場合には在庫状況を確認されます。在庫が管理できているか、どのように管理しているのか、過剰な在庫を抱えていないか、どのような商品を取り扱っているかなどが審査のポイントです。融資を申し込む際には直近の在庫リストを作成しておきましょう。
そして、中古品を扱っている場合には古物商の許可が必須です。もし許可がないのに中古品を取り扱っていると、もちろん融資を受けることはできませんので、ご注意ください。
(2)不動産賃貸業
物件の購入、リフォーム資金として融資を希望する場合、創業であれば自己資金を含めた資産状況がかなり重要です。
注意としては不動産賃貸業への融資(特に創業融資)は年々厳しくなっている印象があります。そのため、事業計画(なぜ数ある物件の中でその物件を購入したいのか、入居者はどのように募集するのか)を含めてより準備が必要です。
すでに事業を行っている場合には、前述の通り、実績を中心とした審査が行われます。
お持ちの物件のキャッシュフローが出ていて、確定申告書で事業が順調にまわっていることが前提で、新たに購入する物件の収支計画を確認されます。
(3)太陽光発電事業
物件の購入として融資を希望する場合、前述の不動産賃貸業と同様、太陽光発電事業も審査が厳しくなっている印象があります。そのため、自己資金、事業計画を含めて準備を入念に行いましょう。
すでに事業を行っている場合には、不動産賃貸業と同様の考え方です。
お持ちの物件のキャッシュフローが出ていて、なおかつ確定申告書上で事業として軌道になっていることが分かる状況で、新たな物件を購入するための融資を申し込みましょう。
(4)フランチャイズ
フランチャイズでは創業する事業が未経験分野であるケースが多いです。
加盟金、内外装費用などの設備資金、運転資金として融資を希望する場合には、なぜあなた(申込人)がその事業を始めたいのか(創業動機)が日本政策金融公庫の担当者が納得できるものであるか、また人を雇用してその人に店長を任せるような、いわゆるオーナー型の場合、雇用する人の目処が立っているのか(決まっていないのであれば、どのように募集するのか)などをしっかりと事業計画に落とし込んでおきましょう。
すでに事業を行っている場合には、不動産賃貸業、太陽光発電事業と同様に実績を中心とした審査が行われます。もし事業が低迷している状況であれば、原因をしっかりと究明し、今後の対応策を練りましょう。
上記の業種のほか、副業で日本政策金融公庫から融資を受けられるかを無料で診断できます。融資の審査に通りそうか、いくら受け取れそうかを知りたい人は診断してみてください。
副業で日本政策金融公庫から融資を受けられないケース
会社員として勤めながら、副業として株やFXなどの投資をしたいと考え、投資のためのお金を借りたいと考える方もいらっしゃいます。
しかし、日本政策金融公庫では、投資用のお金を借りることはできません。
副業で日本政策金融公庫から融資を受けた方の事例
ここでは、当社で融資支援させていただいたお客様の事例をひとつご紹介します。
過去に、広告代理店で会社員として勤務しながら、副業でサイト運営をしているお客様のAさんがいらっしゃいました。 Aさんは、平日の月曜~金曜日は会社員として働いており、 空いている平日の夜と土日祝をサイト運営の時間に充てていました。
Aさんは、副業として行っていたサイト運営の売上が上がってきたので、事業を拡大したいと考え、当社に融資に関する相談をしたうえで、日本政策金融公庫の融資制度に申し込み、希望通り日本政策金融公庫から500万円の融資を受けることができました。
このとき、Aさんは法人を設立して申し込みましたが、仮に法人ではなく、個人事業主のままだったとしても融資を受けることはできたでしょう。
Aさんのように、副業で日本政策金融公庫から融資を受けることは過去事例からもありますので、「副業だから融資制度を利用できないのではないか」と考えている方は、一度当社株式会社SoLaboにご相談ください。
副業を本業にする場合の注意点
副業の場合、ご自身の好きなことをやられているケースが多いです。そのため、本業よりも副業の方が充実することで、楽しくなってしまうこともあるでしょう。
しかし、本業で安定した収入があるからこそ副業ができるということを忘れてはいけません。
本業を辞めて副業で独立する場合には、副業が軌道に乗り、最低限今まで通りの生活が送れる程度の収入が見込めるようになってからにしましょう。
融資を受ける場合にも、副業の実績を確定申告でしっかりと提示できるかどうかが、審査の結果に影響を及ぼす可能性もあります。
まとめ
副業で日本政策金融公庫の融資に申し込むことは可能です。ただし、副業ならでは注意点もありますので、不安に感じることがあれば一度融資に詳しい専門家に相談するのが良いでしょう。
副業からスタートし、軌道に乗っている会社もありますので、副業で起業し、融資を受けることも選択肢のひとつになるでしょう。