創業計画書の「事業の見通し」の項目は、経営者として、適正な見通しが立てられるのかどうかを確認するための項目です。
自身が行おうとしている事業をどれだけ理解し、現実を見て、利益向上の為にどのような計画を持ち、進めていくのかを問われる可能性もあります。
今回の記事では、創業計画書における「事業の見通し」を解説します。
創業計画書の「事業の見通し」とは
事業の見通しとは、創業してから軌道に乗るまでの売上高や売上原価、経費を記入する欄です。
記入する項目は、
▪月平均の「創業当初」と「軌道に乗った後」の
▪①~③の計算の根拠(創業当初・軌道に乗った後の各項目の計算方法)
また、別途書類としてエクセルで作成した1年分の事業の見通し(損益計算表)を用意しましょう。創業当初~軌道に乗るまでの売上高などの流れを説明する資料になります。
作成時の注意点と各項目の計算方法
各項目の計算で大切なことは、根拠に基づいていることと、実現可能性があるということです。
特に軌道に乗った後の項目では、ご自身の経験などを参考にし、根拠のない数字を書かないように気を付けてください。
〔悪い例〕
創業当初100万円だった月売上高が、もしかしたらお店が爆発的に人気になって軌道に乗った1年後には1000万円になると思うので記入。 ➡創業から1年後の売上高が10倍になるのは、通常ではあり得ません! |
売上高
売上高は業種によって、計算の仕方が違います。
また別途書類で1~12月の各月の売上高を計算する場合、季節による売上の増減・営業日数の増減なども踏まえて計算しましょう。
【コンビニエンスストアなどの販売業】
〔例〕
《コンビニエンスストアを例に・・・》 ▪1㎡あたりの月売上高:20万円 ▪売り場面積:50㎡ の場合
月の売上高は、20万円×50㎡=1000万円 |
【飲食業・理容美容業などのサービス関係業】
〔例〕
《美容業を例に・・・》 ▪客単価:5000円 ▪設備単位数(椅子):3台 ▪1日椅子1台当たりの回転数:3.5回転 ▪月の稼働日数:25日 の場合
月の売上は、5000円×3台×3.5回転×25日=131万2500円 |
【自動車販売・化粧品販売などの、人間による労働力の業務の割合が大きい業種】
〔例〕
《自転車販売業を例に・・・》 ▪従業員一人当たりの月売上高:250万円 ▪従業員数:5名 の場合
月の売上高は250万円×5名=1250万円 |
【部品加工・印刷業などの、設備に依存する面が大きい業種】
〔例〕
《部品加工業を例に・・・》 ▪1つ当たりの加工賃:50円 ▪1台当たりの生産能力:1日8時間稼働で500個 ▪施盤:3台 ▪月の稼働日数:25日 の場合
月の売上高は、50円×500個×3台×25日=187万5千円 |
売上原価(仕入原価)
売上原価は、で計算しましょう。
経費
人件費
正社員を雇う場合→月給額、法人の場合は自分の役員報酬も計算
アルバイト・バイトを雇う場合→想定される労働時間×時給で計算
個人事業主で創業する場合→人件費は計算しません
家賃
契約している・契約予定物件の月の家賃金額を記入しましょう。
管理費や積立金もある場合は、月の家賃金額+管理費・積立金を計算して記入。
支払利息
借入予定額・金利の年間の支払額を月割にして、計算しましょう。
〔例〕
借入額600万円、金利3%の場合 年間支払利息は、600万円×3%=18万円 よって、月の支払利息は18万円÷12ヵ月=1万5千円 |
その他
運営に必要な経費(水道光熱費、交通費、通信費、消耗品、広告費など)を、経費ごとに計算して記入しましょう。
利益
利益は、で計算しましょう。
まとめ
根拠に基づき、かつ実現可能性のある事業の見通しを作成することが重要です。
もしどうしても自分で作成することが難しい場合、お近くの税理士や認定支援機関などの、融資に詳しい専門家に相談するのも選択肢のひとつです。