先日、Amazonが利用事業主対象の短期融資を行っていると当サイトの資金調達ニュースカテゴリで少し触れました。今回のニュースでも、それに関連したAI融資について触れていきたいと思います。
目次
1.ついに三菱UFJ銀行までも・・!AI審査を来週にも導入
2019年春に向け、三菱東京UFJ銀行が人口知能(AI)を利用した融資審査を行うと2018年春に発表しました。実施まで半年をきった中、このニュースを報道した毎日新聞のツイートには以下のような感想が見受けられました。
「杓子定規な融資審査になりかねないね。経営者の人となりなどの定性評価がAIにできるのか?」
確かに、これまで銀行や信金相手に親密な関係を築いたことで資金調達を可能にした経営者も多いことでしょう。AI審査は人情や人付き合いとは無縁の、むしろ対極にある審査方法です。
2.銀行での入出金記録をAIに読み込ませ融資審査に活用
AIという言葉が流行っていますが、融資審査ではどのように利用するのでしょうか?三菱東京UFJ銀行の場合は、対象事業所の口座の入出金記録をAIがデータとして読み込み、その内容をスコア化して融資の審査を短縮化するとの方法が取られるようです。
これまでの融資審査では決算書という年1回の書類提出を求め、銀行の融資担当者が目視で書類を確認し、提出された内容をPCに打ち込むといった事務作業に時間を取られていました。そのため、スピード重視のスタートアップ企業やベンチャー企業には不向きなシステムとなっていたのです。
3.スコアリング融資はクレジットカード審査にも似ている
AIを使った融資審査は事業主のお金の流れを点数化するため、クレジットカードの審査とも似ているという声も挙げられています。確かに、最近のクレジットカードでは最短翌日や数日のうちに審査結果がわかるものが多くなってきています。このシステムもカード申込者の信用情報をスコア化している原理から成り立っています。
個人の場合は生活費の決済でクレジットカードを利用するため、個人の信用情報を元に審査すればいいのです。けれども、事業用融資の場合はもう少し話は複雑です。AIを使って融資審査の簡略化することで、これまで融資に通っていた事業主が融資に落ち、逆にこれまで融資に落ちていた事業主が審査に通る、というケースが起こりえるのです。
AI融資で「事業主の本当の信用度は図れるのか」といった疑問の声も少なからず寄せられています。
4.AIを利用すれば金融機関や資金調達ビジネスは儲かる
冒頭のAmazonでの短期融資や今回ご紹介している三菱東京UFJ銀行のAI融資審査は何が理由でAIを利用しているのでしょうか?それは、高金利が目的という背景があります。
金融機関も長期低金利のため、あの手この手(投資信託や外貨など)の他の方法で資金を稼がなくてはいけません。金融機関や金融系ビジネスを行う会社にとって融資ビジネスは手数料が定期的に入ってくる魅力的なビジネスです。
また、同様に事業主にとってもAI融資の恩恵を受けられる方はいらっしゃいます。これまで決算書重視で融資を断られ続けた方でも、AI融資では融資の審査がおりる、という結果になる可能性もあるからです。
まとめ
三菱東京UFJ銀行と言ったメガバンクが融資審査にAIを利用するというのは、融資業界にとって大きなニュースです。このニュースに追随し、他の金融機関や銀行もAI融資をスタートする可能性もあるでしょう。事業主としてできるのは、入出金記録を「明確に」「不要に怪しまれないような」内容として整えること。そして、何よりキャッシュフローの健全化です。