創業前や創業直後事業者が民間の金融機関から融資を受ける場合、信用保証協会を利用するのが一般的です。
信用保証協会は、民間金融機関に対して信用保証を行うため、業績のない事業者も借入を利用しやすくなります。
また、借入に申し込む際、「保証人や連帯保証人を用意したくない」「連帯保証人になるリスクを回避したい」と考える方も少なくないでしょう。
今回の記事では、保証協会付き融資に保証人・連帯保証人を用意する必要があるかどうか解説していきます。
保証協会付き融資で保証人・連帯保証人は必要か
保証人について
保証協会付き融資の連帯保証人は、個人事業主の場合、原則不要になります。
法人の場合も、代表者以外の連帯保証人は不要です。
これまでは中小企業や小規模事業者が融資を受ける際、経営者自身が保証人になることで、資金調達が円滑に進むメリットがありましたが、その反面、思い切った事業展開や経営が窮境に陥った時の早期の事業再生がしにくくなるデメリットがありました。
こうした課題を受けて「経営者保証に関するガイドライン」が設けられ、平成30年4月1日から経営者の保証に依存しない融資が促されています。
ただし、例外的に、法人の代表者以外の人で連帯保証人が必要になるケースがあります。
それは以下の通りです。
- 実質的な経営権を持っている者、営業許可名義人または申込人(法人の場合はその代表者)とともに当該事業に従事する配偶者が連帯保証人となる場合
- 本人または代表者が健康上の理由のため、事業継承予定者が連帯保証人となる場合
- 財務内容や経営の状況等総合的に判断して、通常の保証許容額を超える保証依頼がある場合で、当該事業の協力者や支援者から積極的に連帯保証の申出があった場合
- 組合の場合 、原則として代表理事にお願いしますが、個々の実情に応じて他の理事を連帯保証人とすることができます。 なお、転貸資金※については、代表理事のほか、転貸先組合員(または組合員が法人の場合はその代表者)を連帯保証人とします。
※転貸資金とは、金融機関から借りてきたお金を別の人や法人に貸すときの資金のことを指します。そのような場合、転貸先つまり、組合がお金を貸している個人や法人の代表者などが連帯保証人になる場合があります。
第三者を保証人にする必要はない
信用保証協会では、事業に関係していない第三者が保証人になるのは原則として禁止されています。
以前は、第三者の保証人を用意しないといけないケースがありました。
しかし、連帯保証人が主債務者に代わって多額の借金返済をするトラブルが頻繁に発生したため、平成18年の4月から信用保証協会では、事業に関係しない第三者の保証人が原則として禁止となっています。
そのため、信用保証協会を経由して融資を申し込む場合、原則、事業に関係しない第三者を保証人として用意する必要はありません。
保証協会付き融資以外で保証人・連帯保証人が要らない融資制度とは?
保証協会付き融資は、個人事業主の場合は連帯保証人不要、法人の場合は代表者のみが連帯保証人になるケースが多いです。
そのため、保証人や連帯保証人をつけたくないと考えている事業者の選択肢のひとつになるでしょう。
しかし、保証協会付き融資は法人の場合、代表者が連帯保証人にならなければいけないケースが多いです。一方で、日本政策金融公庫の新創業融資制度は個人・法人に関わらず保証人は不要で借入に申し込むことができます。
日本政策金融公庫の新創業融資制度の概要
日本政策金融公庫の新創業融資制度は、新たに事業を始める人、税務申告を2期終えていない人が対象で、融資限度額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)です。
利率は令和2年7月1日時点で次の通りになっています。
【新創業融資制度の利率】※令和2年7月1日現在
基準利率 | 特別利率A | 特別利率B | 特別利率C |
2.46
~ 2.85 |
2.06
~ 2.45 |
1.81
~ 2.20 |
1.56
~ 1.95 |
金利は、基本的には基準金利が適用されます。基準金利の中でも2.46~2.85%と幅がありますが、返済期間を7年以内に設定すれば、低いほうの金利が適用されるケースがほとんどです。
特別利率が適用になるかどうかは、借入申込者の性別や年齢、業種などから決まるため、希望する利率を自分で選ぶことはできません。
当サイトでは日本政策金融公庫での借入に関する無料診断を行っています。日本政策金融公庫の融資審査に詳しい専門の担当者がご状況をお伺いした上で、どのような準備が必要かをご説明いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
新創業融資制度の保証人の有無
新創業融資制度は、原則無担保・無保証人です。保証協会付き融資と違い、法人の場合でも、代表者個人の負担が重くならないようになっています。
法人の代表者が連帯保証人になる必要はありませんが、希望すれば新創業融資制度でも代表者が連帯保証人になることができます。代表者が連帯保証人になる場合、金利を0.1%減らすことが可能です。
まとめ
保証協会付き融資の保証人は、個人事業主の場合は原則不要、法人の場合には、代表者が連帯保証人にならなければいけない傾向があります。
また、日本政策金融公庫の新創業融資制度は個人・法人に関わらず原則無担保・無保証人となっており、法人の方の場合でも代表者が保証人になる必要はありません。
保証協会付き融資を受けることを検討している方で、まだ新創業融資制度を利用していない方は、日本政策金融公庫の新創業融資制度も選択肢のひとつになるでしょう。