金融機関を探している人の中には、銀行以外の金融機関を探している人もいるのではないでしょうか。その際、労働金庫と信用金庫の違いがわからず、それぞれの特徴が気になっている人もいますよね。
労働金庫と信用金庫では、組織構造や会員資格に違いがあります。提供している商品やサービスは似ていますが、それぞれ特徴が異なります。
当記事では、労働金庫と信用金庫の違いを解説していきます。類似点についても説明していくため、労働金庫と信用金庫の違いが気になる人はぜひ参考にしてみてください。
労働金庫と信用金庫の違い
労働金庫と信用金庫の異なる点は3つあります。
・関係する法律が違う
・組織構造や会員構成が違う ・支援対象が違う |
労働金庫と信用金庫では、関係する法律や組織構造が異なります。扱う商品やサービスは似ていますが、関係する法律や組織構造が異なるため、まずはそれぞれの違いを確認していきましょう。
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関係する法律が違う
労働金庫と信用金庫では、根拠となる法律が異なります。
労働金庫は労働金庫法に基づいた協同組織の金融機関です。労働金庫法は労働組合、消費生活協同組合、その他労働者の団体が行う福利共済活動の推進や、労働者の経済的地位の向上を目的に制定されています。
労働金庫法第5条には、「非営利の原則」「会員に対する直接奉仕の原則」「政治的中立の原則」という3つの原則が規定され、労働金庫はこれに基づいて運営されています。そのため、労働金庫は営利目的ではなく、公平かつ民主的に運営されている組織となります。
一方、信用金庫は信用金庫法を根拠とする協同組織です。信用金庫法は「地域で集めた資金を同じ地域の個人や中小企業に還元し、地域社会の発展に貢献する」という目的で制定されています。
なお、営業地域は一定の地域に限定され、取引先は中小企業や地域住民です。そして、信用金庫は、会員や地域社会の利益が優先される非営利組織になります。
組織構造や会員構成が違う
労働金庫と信用金庫は根拠となる法律や目的が異なりますが、それに関係して組織構造や会員構成も異なります。まずは、組織構造の違いを見てみましょう。
労働金庫は全国に13金庫あり、中央機関である一般社団法人全国労働金庫協会により指導・管理され、同じ中央機関の労働金庫連合会により資金の需給調整や運用が行われています。
一方、信用金庫は地域の相互扶助という理念に基づいた、地域ごとの協同組織です。地域の相互扶助という観点から営業範囲は一定の地域に限定され、地域で集めた資金は地域に還元されます。
また、信用金庫の最高議決機関は総会もしくは総代会です。会員または総代が1人1票の議決権を持ちます。総会(総代会)では、理事および監事が選任され、信用金庫の日常業務は理事によって構成される理事会の決定により行われるのが特徴です。
なお、会員構成には、次のような違いがあります。
労働金庫の会員は、出資をしている労働組合や生活協同組合、その他の労働者により組織・運営される共済会 ・ 互助会です。団体に加入している個人は直接の会員ではなく、労働金庫を間接的に構成する成員を意味する「間接構成員」と呼ばれ、組合等の団体に加入していない個人も出資することにより間接構成員になることが可能です。
信用金庫は地域ごとの協同組織であるため、会員は地域の居住者か勤務者、事業者に限定されています。事業者については条件があり、従業員が300人以下もしくは資本金が9億円以下の中小企業でなければなりません。
支援対象が違う
労働金庫と信用金庫は会員が異なるため、支援対象も異なります。
労働金庫の支援対象は、労働組合や生活協同組合などの団体および団体に加入している個人とその家族です。また、労働組合や生活協同組合に加入していない場合でも、「ろうきん友の会」の加入者や個人会員として出資していれば、支援対象になります。
一方、信用金庫は管轄地域の中小企業や個人が支援対象です。相互扶助を目的とするため、銀行では難しい小規模の中小企業も融資を受けやすい傾向があります。同じ地域であっても大企業は支援対象にならないため、その点は注意が必要です。
労働金庫と信用金庫の類似点
労働金庫と信用金庫の類似点は2つあります。
・サービス内容は預金と融資
・労働金庫と信用金庫は営利目的の組織ではない |
労働金庫と信用金庫は根拠となる法律や組織構造、会員資格などに違いがありますが、金融機関としての商品やサービスは似ている傾向があります。商品やサービスなど、労働金庫と信用金庫の類似する点を説明していきましょう。
サービス内容は預金と融資
労働金庫と信用金庫では、どちらも金融機関として預金と融資の業務を行います。
預金業務は、預入れや払戻し、公共料金の口座引落しなどの手続きです。企業や個人からお金を預かり、運用した利息を預金者に提供します。事務処理だけではなく、預金商品の説明、資産運用の相談など、幅広く対応する業務となります。
融資業務は、住宅やマイカー購入の資金、教育資金など、生活に必要なあらゆる資金について相談し、審査・実行を行う手続きです。労働金庫では、営業担当者が会員の労働組合・互助会から受けた相談案件の審査・実行も行います。
信用金庫での融資業務は、地域の中小企業への融資を通じ、地域に貢献する役割も果たします。中小企業の需要に応じ、長期・短期の融資制度に加え、信用金庫と地方公共団体、信用保証協会の三者が協調して行う制度融資にも対応しています。また、信用金庫が日本政策金融公庫や事業団等の代理人となって政府資金の長期融資を行う代理貸付もあります。
店舗によっては為替業務も取り扱っており、振込による送金や口座間の資金移動、手形や小切手による支払いの決済、公共料金、クレジットカードの利用料金などの口座振替が業務の対象です。また、国外への送金などの外国為替業務も行います。
預金や融資など、基本業務のほかにも証券業務や保険業務にも対応しています。具体的には、公社債や投資信託の販売、生命保険や損害保険の販売などを行なっている店舗もあります。
労働金庫と信用金庫は営利目的の組織ではない
銀行は営利目的の株式会社ですが、労働金庫と信用金庫は営利を目的とする組織ではありません。出資者である会員の利益を第一に考えて運営される労金や信金は非営利組織になります。
労働金庫は労働組合や生活協同組合などの会員がお互いを助けるため、資金を出し合っている組織です。働く仲間の暮らしを支え、快適で過ごしやすい社会作りを目的にしています。
一方、信用金庫は地域社会の発展を目的にしており、地域で集めた資金を地域の中小企業と個人に還元している組織です。相互扶助の精神に基づいて運営されています。
まとめ
労働金庫と信用金庫の違いに加え、類似点についても紹介してきました。両者は根拠となる法律が違い、それぞれ目的も異なります。また、労働金庫は中央機関により組織されているのに対し、信用金庫は地域ごとの協同組織となります。
しかし、どちらも扱う業務は類似しており、非営利組織という共通点もあります。労働金と信用金庫の違いが気になる人は、ぜひ参考にしてみてください。