起業して1年以内に倒産する確率は約60%。100社あれば、そのうちの60社は倒産していると言われております。
起業から5年で85%、10年では94%の会社が倒産しているとのこと。このデータを見ただけでも、いかに経営が難しいかがわかります。
倒産する理由は様々ですが、その一つに資金不足も大きな要因です。運転資金は経営の生命線であり、どれだけ素晴らしい事業計画があっても資金がなければ実現できないでしょう。
独立して間もない起業1年目の人は資金繰りで失敗するケースも多いようです。今回は、起業1年目の人が知っておきたい事業資金を調達する方法についてご紹介します。
1.設立直後でも融資を受けることができる?
会社を設立して直ぐに金融機関から融資を受けることは可能でしょうか。答えはYESです。
「実績がないと借りられない」、「1年目では経営状況が不透明だから無理」と思っている人もいるようですが、すべてがそうではありません。
確かにメガバンクなら断られる可能性が高いでしょうが、公的金融機関であれば融資を受けることができる可能性はあります。
その代表例として、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」があります。この制度のポイントは「無担保・無保証・低金利」という点です。
2.新創業融資制度のポイント
1)利用できる人
新たに事業を始める、または事業を開始してから税務申告を2期終えていない人
2)自己資金の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
3)融資の目的
新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
4)融資の限度額
3,000万円(うち運転資金1,500万円)
5)利息
基準金利2.46~2.85%(令和2年8月3日現在)
6)担保・保証人
原則、必要なし
7)返済期間
運転資金は5年~7年以内。設備資金は5年~10年以内など。
そのほかにも決められた審査条件や注意事項がありますが、詳しい内容は日本政策金融公庫のホームページで確認できるのでチェックしてみましょう。
また、「新規開業資金」や「新事業活動促進資金」、「IT活用促進資金」や「ソーシャルビジネス支援資金」など様々な融資制度があり、それによっても条件が異なってきます。
そして、なぜ「自己資金を用意しなければいけないか」というと、融資する側は「支援する」という立場で将来性を見るからです。
起業して自己資金ゼロで多額の借入ができたとしても、毎月の返済で苦しくなる可能性が考えられます。せっかく融資して行き詰まってしまえば意味がありません。
さらに、日本政策金融公庫は、お金を借りる方が、創業するまでにどれだけ準備をしてきたのかを確認します。
自己資金があればあるだけ、創業するために準備してきたことが証明できるため、自己資金を用意することが大切になります。
日本政策金融公庫で融資を受けたいと考えた場合、成功確率をあげたい!と思われるはずです。
確実に成功させるためにどんな準備をすればよいかを動画で解説しております。
3.信用保証協会付きの融資制度
日本政策金融公庫の新創業融資制度のほかにも、起業1年目に借りられる融資制度として各都道府県の「信用保証協会付きの融資(保証付融資)」があります。
たとえば東京信用保証協会に「創業融資」という保証制度があります。融資を受ける条件は各都道府県の信用保証協会によって異なりますが、東京信用保証協会では限度額は3,500万円です。
こちらも原則的には無担保・低金利となっており、返済期間も長期で計画できるため、運転資金を工面したい人に役立つので覚えておくと便利です。
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」と「信用保証協会付きの融資(保証付融資)」は、起業して間もない経営者の資金調達方法として有効と言えるでしょう。
4.信用保証協会とは
信用保証協会とは、中小企業の事業者が金融機関に事業資金の融資を申し込む際、信用保証協会が保証人になって融資を受けやすくなるようサポートする公的機関です。
起業1年目では経営実績が乏しく、金融機関に融資を申し込んでも融資を受けられる可能性が低いことはご存知かと思います。
融資する側としては、起業1年目の会社に融資したところで本当に返済してもらえるか心配になりますし、たとえ保証人を立てたところで必ず回収できるとは限りません。
そこで、「保証付融資」では、借主が返済を滞った場合に信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行うのです。そして、この制度を利用するためには、信用保証料を支払う必要があります。
日本政策金融公庫と保証協会付きの融資をどちらを利用すればよいかを動画で解説しておりますので、ぜひご参照ください。
5.2つの創業支援融資
日本の全企業(約358.9万者)のうち、99.7%が中小企業・小規模事業者(約357.8万者)であり、中小企業・小規模事業者のうち34.1%(約122.1万者)が信用保証協会を利用しています。
参考 信用保証協会のパンフレット
また日本政策金融公庫(国民生活事業)の融資先数は88万先となっており、一定数の方は公的金融機関から融資を受けることができています。
参考 日本政策金融公庫のホームページ
しかし、公的金融機関だからといって、誰でも審査が通るというわけではありません。融資を受けるためには、十分な準備が必要になります。
準備不足などにより融資が受けられなかったという結果にならないためにも、資金調達の専門家に相談することをオススメします。その際は、くれぐれも実績のない業者や専門家と名乗る悪質な業者に騙されないよう注意しましょう。
資金調達の専門家を選ぶ際のポイントを以下の記事でまとめましたので、とりあえず相談したい!という方も一度ご覧ください。
以下のポイントをご確認いただいた後に、相談する先を確定させてください。