本当に必要?固定資産を購入するときは固定比率と固定長期適合率で安全性を見る

会社を開業する際には、設備や車両など、少なからず固定資産を購入します。

また、会社を大きくすれば追加設備や事業所も必要になり、固定資産が増加します。

今保有している固定資産はバランスよく投資されていますか?固定比率や固定長期適合率で会社の安全性を分析してみましょう!

1.固定比率とは

固定比率とは、会社が保有している固定資産を返済義務のない自己資本でどれだけまかなえているかを示した指標です。会社の長期的な安全性を分析します。

2.固定比率の算定式

 

※ 固定資産 … 企業の事業のために購入し、長期的に使用するもの

例:土地、建物、設備、車両など

自己資本 … 返済義務のないお金

例:資本金、準備金、利益剰余金など

3.固定比率は低い方が良い!計算例とその比較

① 固定比率は低い方ほど安全性が高いといえる

会社は、事業を進めるために必要な土地、建物、設備、車両等の固定資産を購入します。

固定資産は長期的に使用することを目的に購入されますので、その期間中、ここに投下された資金は拘束されていることになります。これらの資産を、返済義務のない自己資本で全てまかなえていれば、会社の財政は安全性が高いといえます。

仮に負債で固定資産を購入したら?

ここで、自己資本を原資とせず、銀行から融資を受けて固定資産を購入するとします。借入金等の負債には返済義務があり、借入にともなう利息の支払いも発生します。ここに投下された資金は、固定資産を利用し利益を得ることで長期にわたって資金を回収していきますが、資金の回収より資金の支払が先行する場合など、借入金等の元本返済や利息の支払いが会社の財政を圧迫することもあります。

固定資産はリスクの低い原資で購入すべき! 

一方、固定資産の取得を返済義務のない自己資本で全てまかなえていれば、資金の支払が資金の回収に先行することはないため、会社の財政状態は安全といえるのです。

② 固定比率の比較

2つの会社の固定比率を比較してみます。話を単純にするために、資産は流動資産と固定資産しかないとします。

 

A社は自己資本の範囲内で固定資産をまかなっており、安全性が高いことがわかります。B社は固定比率が100%を大きく上回っています。固定資産を自己資本でまかないきれておらず、負債の利用が大きいことを表しています。

4.固定比率の基準は?指標の考え方と問題点

実際には、企業の固定比率が100%を下回るケースはかなり少ないです。会社がどんどん大きくなり、事業を拡大していく過程には、大規模な設備投資が必要となります。企業が大きくなるにつれ、店舗を増加したり大型の機械を購入する事が出てくるからです。

このような場合、資金繰りは銀行などから借入をするのが一般的です。借入金によって固定資産を購入すれば、固定比率が上がります。一時的に固定比率が上がり、仮に100%を上回ったからといって、会社の安全性が低いと判断するのは適当ではありません。重要なのは、資金の回収と支払の期間が対応しているかどうかなのです。

そこで、固定比率とあわせて見たいのが、固定長期適合率という指標です。

5.固定長期適合率とは

固定長期適合率とは、会社が保有している固定資産を「自己資本+固定負債」でどれだけまかなえているかを示した指標です。固定負債は、長期間で返済する借入金などの負債です。

資金の回収が長期間にわたる固定資産への投下資本を、自己資本だけでまかなうことが出来なくても、資金の支払が長期間にわたる固定負債でまかなう事が出来ていれば、すぐに資金繰りを苦しくすることはないだろうというわけです。

6.固定長期適合率の計算式

※ 固定負債 … 支払い期限が1年超の負債

例:長期金銭負債、社債など

7.固定長期適合率100%超えは危険信号!!

固定比率と同様に、固定長期適合率は数値が低い方ほど安全性が高いといえます。長期的な安全性を考えれば、固定長期適合率が100%を下回るのが理想です。固定長期適合率が100%を超えている企業は要注意です。

固定長期適合率が100%を超えている企業は、固定資産を固定負債と自己資本でもまかないきれておらず、固定資産を購入するために流動負債を充当している、いわば下図のような状態を意味します。

流動負債は、簡単にいえば短期間に支払い期限が到来する負債です。

(例:支払手形、買掛金、短期借入金、未払金等)

この状態では、流動負債の返済で財政が圧迫され、資金繰りの問題が発生してくる可能性は非常に高いでしょう。固定長期適合率が100%を超えて悪い状態は、言い換えれば流動比率が100%を下回り、短期の支払い能力も悪い状態を意味していますね。

企業の業績が悪化し、保有している固定資産ではうまくキャッシュが生めておらず、自己資本の一部である留保利益が減少していることも考えられます。固定長期適合率が100%を超えるようなら、もう新規に固定資産を購入すべきではないかもしれません。また、現有の固定資産の要否や取替も再検討する必要があるのではないでしょうか。

8.まとめ

〇 固定比率=固定資産÷自己資本×100

〇 固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100

〇 固定比率と固定長期適合率は低いほど安全性が高い

〇 固定長期適合率が100%を超えるようなら固定資産への投資は行うべきではない

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