起業を考えている方に向けて会社設立までの流れを解説

会社を設立したいと漠然と思っていても、何から始めたらいいのか、何を準備したらいいのかとお悩みではないですか?

今回の記事では会社設立までの流れを解説します。

会社設立の具体的な流れ

さて、本題の会社を設立するための流れを見ていきましょう。

会社設立のための準備

商号(会社名)を決める

これから新しく会社を設立するのには、まずは会社の名前である「商号」を決めていく必要があります。名前は自由につける事が可能ですが、いくつか気をつけておかなければならないポイントがあります。商号(会社名)を登記し、決定すると、次の2つの権利が発生します。

  • 商号使用権:自らの商号(会社名)を他人から妨害されずに利用することが出来る権利
  • 商号専用権:自らの商号(会社名)と誤解される恐れのある商号(会社名)を他人が不正に用いることを排除する権利

印鑑を作る

会社を設立するためには「登記手続」を行います。「登記手続」をするために提出する書類には会社の代表印を押す必要があります。

印鑑の作成には出来上がるまでに時間がかかる場合もありますので、類似商号のチェックが完了したら、すぐに作成をお願いしましょう。

設立登記の際には代表社印(法人実印)の届出義務がありますので、最低1つは必要ですが、実際には最低でも3種類の印鑑を準備しておきましょう。

  • 代表者印(法人実印):形態に規則はないようですが、一般的には直径18mmの丸印が多いようです。
  • 銀行印:銀行の口座(法人用)開設時などに使用する印鑑です。代表印より少し小さいものが一般的です。
  • 社員(角印):見積書や請求書、領収書など、代表印を押すほどの重要性はない書類に使用します。

役員報酬額を決める

役員報酬によって「法人税の納税額」が変わってきます。

法人税法ではある一定のもの以外は経費(損金)として認められていません。ですから、この経費(損金)として認められる範囲でさらに、個人の所得税や社会保険料等を総合的に判断することが重要かと思います。ちなみに、経費(損金)として認められるための支払い方法は下記の3つがあります。

  • 定期同額給与:1ヶ月以下、一定期間毎に支払われ、各事業年度で支払われる報酬金額が同額である給与
  • 事前確定届出給与:あらかじめ所轄の税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出し、届出書に記載した支給日に記載金額を支払う役員賞与
  • 利益連動給与:同族会社以外の法人の場合、利益に関する指標(有価証券報告書記載内容)を基準にして業務執行役員に支払う給与

役員報酬を決める際の注意点は次の①~⑤の通りです。

①役員報酬額が少ないと法人税が増える
会社には「法人税」があります。これは会社の所得(益金一損金)にかかる税金です。会社報酬を少なくしてしまうと、会社の所得は増えるので、法人税が増えることになります。

②役員報酬を増やすと社会保険料が上がる
役員報酬には社会保険料がかかります。社会保険料は所得が増えると金額も上がるので、役員報酬をあげる→個人の所得が増える→社会保険料が上がるという変化が起こるでしょう。社会保険料は会社と個人双方が負担するものなので、どちらにも影響します。

③損益計画はしっかり立てる
毎年の役員報酬の金額を変更できる期間は、原則機種から3ヵ月以内となっています。期首にたてた損益計画よりも売上が伸びるとその分利益も上がるので、納税率は高くなります。1年間にかかる役員報酬以外の経費(損金)部分をしっかり計画して役員報酬を決める必要があります。

④定期同額給与は後から変更できない
左記にも述べたように、役員報酬の金額の変更は期首から3ヵ月以内ですが、変更後に支払われる給与はそれぞれ同額ではならないので、3ヵ月後に役員報酬を増やした場合は、残りの9ヵ月も増やした金額を払い続けなければなりません。

⑤従業員兼務役員で支払いに幅を持たせられる
部課長などの法人の従業員として立場も兼務している、常時従業員として職務に従事している、代表取締役や副社長などの一定の役員ではない場合は、役員部分に対する給与(役員報酬)と従業員部分に対する給与(給与手当)を支払うことができます。役員報酬部分に関しては、定期同額給与のみ認められています。

資本金額を決める

資本金とは会社を運営するために発行される“株式”と交換することで集めたお金を言います。事業に必要な資金なので、事業に関係することであれば全てに使用することが出来るお金です。資本金額の考え方は以下の5つです。

①運転資金から考える
会社設立に必要な経費をシミュレーションし、売上が全くない状態でも最低3ヵ月は会社を運営できる金額を資本金に設定しましょう。

②税金負担額から考える
資本金額は1,000万円以上か以下かで税金に大きな差が出ます。会社にはさまざまな税金があり、赤字でも払わなければいけない税金もあります。この辺りを考慮して資本金額を設定しましょう。

③信用面から考える
資本金は会社の信用にも影響があります。設立する会社の取引先や仕入先となる企業の規模を考えて資本金を設定しましょう。

④許認可を取得するための金額で考える
事業の中には許認可が必要なものがあります。設立を考えている事業が許認可が必要であればそのために必要な金額から資本金を設定しましょう。

⑤資金調達面から考える
将来的に金融機関から融資をしてもらう可能性がある場合は、資本金額によって受けられる融資の金額が変わる可能性があります。先の事まで考えたうえで資本金を設定しましょう。

資本金に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

また、資本金は現金以外にも「現物出資」という形も選択できますので、興味のある人はこちらもご覧ください。

定款の作成

定款とは会社を運営するために必要なルールを定めた、会社内で適用する法律のようなものです。会社を設立するにはこの定款を作成し、法務局に登記の申請を行います。

定款には「絶対的記載事項」という必ず記載しなければならない事項があります。

この「絶対的記載事項」の記載がない場合、せっかく作成した定款全体が無効になってしまう可能性がありますので、注意が必要です。

それでは記載すべき項目を確認しましょう。

事業目的

定款に記載してない事業を行うことは出来ません。つまり、設立時の当面の間だけ行う事業のみではなく、会社が将来的に行う可能性がある事業も記載しておいた方がよいということです。

定款に記載する際には「前各号に付帯または関連する一切の事業」の一文を追加しておくと、新しい事業を始める時にも、目的に関連していれば定款を変更する必要がなくなります。

本社所在地

本社所在地は最小行政区画まで記載する必要がありますので、東京23区の場合は区までの記載が必要です。住所すべてを記載しても問題はありません。

注意事項は次の2点です。

  • 自宅を本社する場合:賃貸の場合、契約書に「法人不可」の記載がないことを確認しましょう。
  • 新規にオフィスを借りる場合:「会社設立目的で借りる」ということの承諾を得て契約しましょう。

どちらも、目的外利用とされてしまうと賃貸契約を解除されてしまう可能性があります。

設立に際して出資財産額もしくは出資最低額

株式会社を設立する場合は、「株式」の数ではなく、出資財産額か出資最低額のどちらかを記載する必要があります。

発起人の氏名又は名称及び住所

株式会社設立には発起人が必要です。発起人とは資本金を出資し、定款の作成などの会社設立の手続きを行う人のことで、会社法上の用語です。

発起人の氏名(または名称)と住所は定款に必ず記載する必要があります。発起人は最低1株を引受けて、会社設立の事務を行っていきます。

発行可能株式総数

基本的には定款認証時に定めておかなくても会社設立までに定めた定款に変更すれば問題はありません。

設立時発行可能株式総数は、発行可能株式総数の1/4を下回ることはありません。(非公開会社の場合は除きます)

さて、①~⑤までの内容を記載した定款を作成したら、その定款の記載が正しいかどうかを第三者に証明してもらう「定款認証」を行います。「定款認証」は本社所在地を管轄する法務局の「公証役場」にて行いましょう。

定款認証には収入印紙代として4万円が必要です。電子定款の場合は不要となります。

登記書類の作成

資本金の払込

資本金は振込の必要がありますので、以下のような流れで振込みます。

1.自分名義の口座に自分名義で振込む
2.通帳の表紙・1ページ目・振り込みをしたページのコピーを取る
3.振込証明書と通帳のコピーを綴り、継ぎ目に会社代表印を捺印する
4.法人設立の完了後、法人名義口座を開設し、資本金を個人名義から法人名義へ移す

発起人が複数いる場合は、「代表取締役になる人」の個人の預金通帳に振込みます。このとき、必ず振込金額と氏名がわかるように個人名で振込んでもらいます。

各種申請書類作成

設立する会社のタイプ(発起人の人数、取締役の人数、監査役の有無など)によって、作成する書類の種類が変わります。

どんな場合でも必要な書類は「取締役就任承諾書」と「印鑑届出書」です。また、「登記すべき事項」を保存した磁気ディスク(CD-ROM/CD-R/DVD-R/DVD-ROM)も提出します。磁気ディスクのデータは、別途印刷する必要はありません。

それ以外に必要な書類は以下の通りです。

  • 発起人が1名の場合は「発起人決議書」、2名以上の場合は「発起人会議事録」
  • 取締役が2名以上の場合は「代表取締役選定書」
  • 監査役を設置する場合は「監査役就任承諾書」

会社設立登記

登記書類の準備が整ったら、いよいよ会社設立登記です。記申請は資本金振込後2週間以内に法務局で行います。会社設立登記の申請は代表取締役が行います。

  • 登記申請には収入印紙を貼り付ける

登記申請書に貼り付ける収入印紙は通常15万円となかなか高額です。事前に貼り付けることも可能ですが、書類に不備があっては大変です。

法務局には販売所がありますので、書類を確認してもらい、提出直前に貼り付けることをおすすめします。

  • 登記申請書提出日が会社の設立記念日

会社設立の手続きは数日かかります。会社設立日は手続き完了日ではなく申請書を提出した日が会社設立日となります。ちなみに、登記申請は郵送も可能ですが、この場合「書類が法務局に到着した日」が会社設立日となるのでご注意ください。

*申請書の左上には申請人の連絡先を鉛筆で記載しておきましょう*

提出場付近に登録申請の完了日が表示されています。書類内容に修正が必要な場合、完了予定日前に連絡が来ます。連絡が来なければ手続きは無事完了となります。この時に連絡してもらう連絡先を忘れずに申請書の左上に鉛筆で記載しておいてください。

設立後の手続き

法務局での手続き

登記申請を郵送で行った方も、今回は法務局に行かないとできない手続きです。

法務局は日中比較的混雑しているので、まとめて手続きを終わらせてしまいましょう。

  • 印鑑カードの取得

登記書類作成の際作成した「印鑑届出書」で届け出た印鑑カードが、会社設立完了時に出来上がっています。印鑑カードは会社の印鑑証明を取得する時に窓口で呈示する必要があります。「印鑑カード交付申請書」を作成し、印鑑カードを取得しましょう。

  • 印鑑証明と登記簿謄本を交付してもらう

印鑑カードを取得したら、早速使ってみましょう。印鑑証明は口座開設など様々な場面で必要となりますので、複数枚まとめてもらっておきましょう。

また、印鑑カードは関係ないですが、あわせて「登記簿謄本(登記事項証明書)」ももらっておくとよいでしょう。

登記簿謄本も印鑑証明と同じく様々な場面で求められます。

税務署での手続き

税務署での手続きは主に以下の6つです。税務署での手続きが完了したら、各都道府県税事務所、市町村役場にも「法人設立届」を提出します。

①法人設立届
設立から2ヵ月以内に必ず提出する必要がある書類です。
登記簿謄本(登記事項証明書)・定款(コピー可)・株主名簿・設立時の貸借対照表などが添付書類として必要です。
登記簿謄本と定款以外の書類は管轄税務署によって変わる場合があるので、事前に確認しておきましょう。

②青色申告の承認申請書
青色申告制度(複式簿記による会計処理を行う代わりに税務上の赤字繰越が認められるなどの特典が受けられる制度)の適用を受けるための申請書です。適用を受ける場合は3ヵ月以内の提出が必要です。

③給与支払事務所等の解説届出書
役員(社長を含む)と従業員に給与を支払う予定の場合は必ず提出する書類です。

④源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書
源泉徴収の手続きを半年に1回にすることができる申請です。給与支給者が10人以内の会社であれば申請することが可能です。

⑤棚卸資産の評価方法届書
棚卸資産の評価方法を選定して届け出る場合の手続きです。

*棚卸資産とは、事業に関わる商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、その他の資産(有価証券や山林を除く)のことです。
*評価方法は「原価法」と「低下法」に分かれます。

⑥減価償却資産の償却方法届出書
減価償却の計算方法を決定させる書類です。減価償却資産を所有していなければ届出は不要です。提出期限は第1期目の確定申告提出期限までとなります。

*減価償却とはパソコンや車両など、使用する期間が1年以上になる場合、購入したときに購入代金全額を経費にすることができないため、購入代金を使用する期間で徐々に経費として落としていくという処理を指しています。
*会社設立後、今まで持っていなかった減価償却資産を取得した場合の提出期限は、取得日の属する事業年度の確定申告提出期限までとなります。

まとめ

会社を設立するにはさまざまな準備と手続きが必要です。自分ですべての手続きすることも可能ですが、部分的にでも専門家にお願いするのも一手です。お金は後から回収することが出来るかもしれませんが、時間は回収することができないので、お金と時間をうまく活用することが大切になるでしょう。

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