日本政策金融公庫で設備資金として融資を受けるためのポイントと注意点

日本政策金融公庫で設備資金として融資を受けるためのポイントと注意点
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

金融機関に借入を申込み、融資を受けたい方は、「運転資金」と「設備資金」という言葉をご存知だと思います。

今回の記事では、日本政策金融公庫で設備資金の融資を受けるためのポイントと注意点をお伝えします。

設備資金とは

設備資金とは、開業時および事業拡大やメンテナンスにかかるお金です。開業時に準備する必要がある、機械や事業用車両などの購入、店舗・工場・事務所などの増改築等、事業の設備を購入するために用意する資金を指します。

主な設備資金は下記です。

  • 土地・建物の購入
  • 賃貸物件の移転・入居費用(保証金など)
  • 店舗・事務所の内外装費用
  • 営業車両の購入
  • パソコンなどの備品の購入
  • 機械・厨房機器・什器の購入

具体的には、製造業なら「工場の土地」や「建物」「機械」、飲食店なら「内外装工事」「厨房機器」「什器・備品」が設備に該当します。

飲食店などでは厨房機器の不具合による修繕にかかる費用が設備資金に該当する場合もありますが、一般的には店舗やトラックを増やしたり、最新の機械を導入したり、従業員が増えたことによる事務所移転など、事業拡大に伴い需要が生まれる資金です。

設備資金と運転資金の違い

運転資金とは、従業員の人件費や広告宣伝費、家賃、光熱費の支払いするための費用など、継続的に事業を経営するために必要な資金です。

主な運転資金の例は下記の通りです。

  • 従業員の人件費
  • 広告宣伝費
  • 仕入れ資金
  • 外注費用
  • 家賃・光熱費・消耗品費の支払費用

日本政策金融公庫の融資の観点では、設備資金と運転資金の間で違いがあるのは「返済期間」です。

日本政策金融公庫の一般貸付では設備資金は10年、運転資金は7年以内の返済期間が条件になっています。融資制度によっては、設備資金が20年以内となる場合がありますので、運転資金よりも長期で返済することができます。

返済期間が異なる理由としては、設備資金のほうが高額である場合が多いからです。

運転資金についてはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、ご覧ください。

設備資金と運転資金、どちらが融資を受けやすいのか

運転資金よりも設備資金のほうが、資金使途が明確であるため、融資を受けやすいと一般的に考えられています。

しかし、当然ながら融資審査の可否は申し込んだ方の状況や、事業計画の内容によって異なります。

一般的に、設備資金は運転資金よりも高額である場合が多く、融資金額が大きくなるほど金融機関としては審査が慎重になるでしょう。そのため、申込人の状況によってはそもそも設備資金の融資を受けることが難しいケースもあります。

ご自身の事業で、「どのような資金計画を立てたらよいか分からない」「日本政策金融公庫の借入に申し込む上で何からはじめればよいか知りたい」など、融資に関して知りたい方は、4,500件を超える融資支援実績がある当社株式会社SoLaboへお気軽に問い合わせください。無料で相談を承ります。

日本政策金融公庫で設備資金として融資を受けるためのポイントと注意点

設備資金の融資を受けるための準備

設備資金の融資を受けるための準備は次の通りです。

なぜ設備資金が必要なのか、投資対効果・妥当性を説明する

「なぜ設備資金が必要なのか」、「設備投資によってどのような効果が得られる(投資対効果がある)か」、「どのような設備にいくら必要なのか」、「設備金額は妥当であるか」を日本政策金融公庫に説明できるよう準備しておきましょう。

そのために必要となる主な書類が下記の3つです。

直近2期分の決算書(または確定申告書)

現在の売上規模や利益から見て、設備投資をすることの妥当性や過大な設備投資ではないかを決算書を基に審査します。直近の決算から6か月以上経過している場合には試算表の提出が必要です。

見積書

どういったものにいくら必要なのか、市場の相場的に妥当な金額であるのかを審査しますので、ざっくりした見積書ではなく、内訳書で詳細な内容が確認できるものを業者に依頼して準備しましょう。

事業計画、資金繰り表

設備投資をすることで事業拡大や効率化につながることはもちろん、問題なく融資の返済できることがわかる計画が必要です。

製造業の場合、新たな機械を導入したことによる生産能力(売上)の向上だけでなく、機械の維持・稼動コスト(売上原価、必要な人員など)を考慮した事業計画を作成しましょう。

飲食店の場合でも、店舗を増やすと売上の増加につながると思いますが、同時に人件費や家賃、仕入れ資金など経費(ランニングコスト)も増加します。

そのため、事業を継続するには現状よりも運転資金が必要です。加えて融資の返済を行わなければならないので、設備投資に見合った事業計画を作成しましょう。

これから創業するのであれば、日本政策金融公庫の場合、創業計画書が必要です。創業計画書の書き方・ポイントについては業種別に記事がありますので、ご覧ください。

カフェ開業のための創業計画書の書き方

美容室開業のための創業計画書の書き方

介護事業で創業融資を受けるための創業計画書の書き方

ソフトウェア開発業で融資を受けるための創業計画書の書き方

不動産仲介業で日本政策金融公庫から融資を受けるには?創業計画書の書き方も紹介

不動産担保を提供する

土地や建物を購入する場合には、通常金融機関は土地・建物を担保として要求します(抵当権を設定します)。

日本政策金融公庫の場合、創業融資であれば原則、無担保・無保証人で融資を受けられます。また税務申告を2期以上行っている方であれば、融資限度額が4,800万円以内ではありますが、担保不要で融資を受けることができます。

しかし、申込人の状況によっては担保が必要になる場合がありますので、ご注意ください。

不動産物件がある場合は仮押さえしておく

日本政策金融公庫の場合、物件の契約までは必要でなく、物件の目星がついていれば融資を申し込むことができます。しかし、店舗を借りたいと考えている場合には不動産屋さんに融資のことを伝え、可能であれば仮押さえをしておきましょう。

なぜなら、特に創業時に多いのですが、せっかく融資の話が進んでいたのに目星をつけていた物件が他の人に取られてしまった、というケースが多数あるからです。

物件を変更した場合、審査は最初からやり直しとなりますので、ご注意ください。

自己資金を1/3程度入れる

必要な設備資金すべてを融資でまかなう計画は、審査において厳しく見られる可能性があります。

特に創業時においては自己資金要件がありますので、自己資金の準備が必要です。すでに事業を行っている場合であっても、事業が順調であれば、手元資金があるはずです。

お金がないから融資を受けたいのは分かりますが、自己資金を全く用意できない事業者だと融資を受けにくいのが現状です。

目安は融資希望金額の1/3です。もちろん申込人の状況(業種や業績など)によりますので、あくまで目安としてお考えください。

設備資金の融資を受ける際の注意点

使い道を変更しない

設備資金として融資を受けた場合には提出した見積もり通りの設備を購入する必要があります。決して運転資金や他の設備のために流用してはいけません。

もし、他の使い道をしていたことが金融機関に知れてしまうと、資金使途違反として融資の返還を求められるケースや今後の融資が受けられなくなってしまう可能性があります。

設備投資したことが確認できる領収書は残しておく

日本政策金融公庫では高額な設備資金の場合、事後要件として領収書の提出を求めることがあります。もし領収書を提出できない場合、一括返済を求められる可能性がありますので、ご注意ください。

日本政策金融公庫以外の金融機関ですと、基本的に融資実行と同時に設備の購入先(支払先)へ振り込みを行うことが多いです。

金融機関に正しく設備を購入したことを証明できるように、領収書は残しておきましょう。

現実的で無理のない返済計画、事業計画を立てる

過大な設備投資を行うことで、将来的に支障をきたす可能性がありえます。

創業時は特に事業が軌道に乗るのに想定よりも時間がかかるケースが考えられます。そのため、最初から設備に高額を投資するのではなく、最低限度の設備で事業をスタートし、売上が安定してきたところで徐々に設備を整えていくのも手です。

まとめ

高額な設備資金で融資を受けることによって事業を大きくできる場合もありますし、逆に経営悪化につながる可能性もあります。

設備資金については重要な経営判断になりますので、融資も慎重に進めるのが良いでしょう。

融資に詳しい資金調達の専門家に一度相談してみるのも選択肢のひとつです。

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