信用金庫の融資を受けるためには審査に通らなければいけません。そのため、信用金庫がどのような基準で審査をしているのか不安な人もいるのではないでしょうか?
信用金庫の審査では事業者に返済能力があるのかという点を事業計画書や預金通帳といった提出書類から審査しており、その基準は甘くありません。信用金庫に融資を申し込む前に審査基準を満たしているのかを確認しておくと良いでしょう。
当記事では信用金庫の融資申込を検討している人に向けて、信用金庫の審査基準を解説します。
信用金庫の融資審査は甘くない
信用金庫の融資審査は甘くありません。信用金庫は申し込んだ事業者が将来的に融資を返済できるか厳しく審査しており、返済できないと判断した場合融資を行わないためです。
返済が困難になって融資を回収できない場合は損失となるため、信用金庫は事業者の返済能力を厳しく審査しています。そのほかにも、不適切な融資を行うことで借り手が返済できないと借り手自身の経済的困窮につながるため、信用金庫は将来返済できると判断した人のみに融資を行っています。
しかし、信用金庫は地域の中小企業向けの融資によって地域の発展を目指しているため、都市銀行や地方銀行と比較して、実績のない創業時でも親身に話を聞いてくれる可能性があります。信用金庫の審査基準を確認し、融資の申し込みに向けて準備していきましょう。
信用金庫の審査基準
信用金庫の審査基準は主に4点あります。
【信用金庫の審査基準】
- 経営者の信用力
- 自己資金
- 資金の使い道と金額
- 事業計画書の妥当性
信用金庫はこれら4点の審査基準から総合的に融資の可否と融資額を判断しているため、すべての審査基準に当てはまらなくても審査に通る可能性もあります。たとえば、自己資金が基準を満たしていなくても、経営者の信用力が高く事業計画等に妥当性があると判断された場合融資を受けられる可能性があります。
一方で、審査基準のいずれかを満たしていないことで、審査が否決になるもしくは融資希望額から減額される可能性もあります。たとえば、自己資金や事業計画等が審査基準を満たしていても、経営者の信用力において審査基準を満たさない場合、返済能力がないと判断され、審査に通らない可能性があります。
それぞれの審査の基準を確認して準備を進め、条件を満たすようにしてから申込みの準備を行いましょう。
経営者の信用力
信用金庫の審査基準の1つはこれまでの支払いや返済における経営者の信用力です。経営者の信用力はこれまでのさまざまな返済に問題がないかという点から審査されます。
経営者の信用力において、確認される内容は主に2つです。
- 信用情報に問題がないか
- カードローンやキャッシングの利用履歴があるか
信用情報に遅延や債務整理などの異動情報が残っている場合や自己資金に対するカードローンやキャッシングの残債が多い場合は融資に通らない可能性があります。
信用情報に問題がないか
経営者の信用を確認する上で、信用情報に異動情報がないかを見られます。信用情報に異動情報がある場合、これまでに返済しなかった前歴があることから返済能力がないと判断されます。
信用情報における異動情報とは返済に関するトラブルがあった際に、信用情報機関に登録される事故情報のことを指します。具体的には過去に3ヵ月以上の支払いの延滞、自己破産、個人再生や債務整理を行うと信用情報機関に異動情報が登録されます。
異動情報は一定期間を経て解消されます。登録される情報や異動情報が解消される期間は管理している信用情報機関によって異なるため、下記の表を参考にしてみてください。
信用情報機関名 | 分類 | 遅延 | 任意整理 | 自己破産 | 強制解約 |
株式会社CIC
(CIC) |
主にクレジットカード会社関連の信用情報 | 5年 | 5年 | 5年 | 記載なし |
日本信用情報機構
(JICC) |
主に消費者金融関連の信用情報 | 1年 | 5年 | 5年 | 5年 |
全国銀行個人信用情報センター
(KSC) |
主に銀行に関連する信用情報 | 5年 | 5年 | 7年 | 5年 |
最も短いものでJICCに記録される遅延の1年、最も長いものでKSCに登録される自己破産の7年です。信用金庫の審査において、返済する能力があると示すために、異動情報が残っている場合は抹消されてから申し込みましょう。
カードローンやキャッシングを利用しているか
経営者の信用を確認する上で、カードローンやキャッシングの利用状況が確認されます。個人のカードローンやキャッシングは使用用途に制限が無く金利が高い借り入れのため、利用額が多いと資金繰りが厳しく融資の返済が見込めないと判断されます。
カードローンやキャッシングを使用している場合、既存の借入に加えて新たに借りた融資の返済もできるのか、その返済ができるほどの事業実績が見込めるかという部分が審査されます。
カードローンやキャッシングに加えて月々の融資の返済が見込めないと判断された場合は審査に通らないため、カードローンやキャッシングは完済してから申込するのが望ましいです。
ただし、現在返済しているカードローンやキャッシングを問題なく返済できており、かつ新たに借りる融資の月々の返済が見込める場合や、提出書類で創業後に具体的な見込みを示せる場合などはカードローンやキャッシングがあっても融資に通る可能性があります。
当サイトの無料診断を利用すると、カードローンやキャッシングの残高や事業計画といったご状況から信用金庫の融資審査に通るかがわかります。これから信用金庫の融資申込みを検討している人はお試しください。
自己資金
信用金庫の審査基準の1つは自己資金です。開業資金に対してどのくらいの自己資金を貯めておけば良いという基準は公表されていませんが、一般的に開業資金に対して3割程度が必要とされています。
預貯金や親族からの援助、生命保険の解約返戻金などが自己資金としてみなされます。一方、銀行に預けていなかったタンス預金や借りたお金は自己資金としてみなされないので注意しましょう。
自己資金はどれだけ準備したかという金額だけではなく、集め方も審査されています。そのため、親族からの援助よりも計画性や熱量を示せるコツコツと貯めた預貯金の方が良い印象を与えます。
自己資金は多いほど融資希望額を借りられる可能性は高くなり、希望額の3割ほどあれば信用金庫の担当者に事業に対する計画性や熱意を示すことができます。信用金庫の融資を検討している人は今から少しでも預金を増やしていくように意識して、可能なら3割を目指して自己資金を貯めておくと良いでしょう。
資金の使い道と金額
信用金庫の審査基準の1つは資金の使い道と金額です。資金用途が不明確であり、希望融資額が不適切または不明瞭である場合、事業に対する計画性がないと判断されてしまい審査にマイナスの影響を与えます。
信用金庫の融資は事業に必要な分の資金しか借り入れることができません。そのため融資を申し込む際に、設備資金や運転資金にかかる費用を明確にし、申し込んだ金額が事業に必要であることを示す必要があります。
たとえば、物件取得費や内装工事費といった設備資金は事前に見積書など金額がわかる書類を準備し、どのくらいの金額が必要かを見立てておきましょう。
また、人件費や水道光熱費といった運転資金は業種によって異なりますが、一般的に3ヵ月程度の計上が妥当です。どのくらいの費用がかかりそうかを事前に計算し、事業計画書に盛り込みましょう。
見積書や事業計画書などを準備することでその資金が必要である根拠ができます。信用金庫の審査において、計画性があるという評価にもつながるので、資金の使い道や金額は明確にしてから申込みを行いましょう。
事業計画書の妥当性
信用金庫の審査基準の1つは、経験やデータに基づいた妥当性がある事業計画書の提出です。事業計画書に妥当性が無いと、事業に対する経験不足や将来性がないと判断されて審査落ちになる可能性があります。
事業計画書の内容に妥当性があると示すため、顧客数や単価などの数値には根拠のある内容を記載しましょう。たとえば顧客数であれば、前職で獲得したお客様で独立後に利用していただける人が何人いるか、発注見込みのある取引先が何件あるか、など融資を受けた後にどのくらいの売上が見込めるかを示せると良いでしょう。
事業計画書に記載した数値などの根拠をしっかりと説明できるようにすることで、審査に際に事業計画書に妥当性があると示すことができます。具体的な事業計画書の書き方を知りたい人は「【専門家監修】銀行融資を受ける際の事業計画書の書き方を解説|テンプレートも紹介」の記事を参考にしてみてください。
まとめ
信用金庫は融資を申し込まれた際、事業者が将来融資を返済できるかを審査します。将来返済されないと信用金庫の損失となるため、審査は甘くありません。
信用金庫の審査は経営者の信用力や自己資金、資金の使い道と金額、事業計画書の妥当性の4点から総合的に行われます。すべての審査基準に当てはまらなくても審査に通る可能性もあります。一方で、審査基準のいずれかを満たしていないことで、審査が否決になるもしくは融資希望額から減額される可能性もあります。
希望額を借り入れるために、自身が信用金庫の審査基準を満たすよう準備を行ってから申込みましょう。