美容室開業のための創業計画書の書き方

美容室開業のための創業計画書の書き方
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

日本政策金融公庫の融資を受けるためには、自己資金・借りたお金の利用用途証明・借入申込書などを用意しなくてはなりませんが、融資判断の肝となるのが創業計画書です。

創業計画書とは、事業計画書の一種です。日本政策金融公庫の創業融資を受けるために作成する事業計画書のことを「創業計画書」と呼びます

創業者は創業計画書を通じて、事業内容・資金繰り計画など事業の全体像を融資担当者に示し、融資可否を判断してもらいます。美容室の開業融資においては、特に事業継続力をアピールすることが重要です。

事業継続力の指標となるのは、業界経験年数や店長として経営に携わったことがあるかなどの「経験値」と、開業後来店いただける「見込み客の多さ」が挙げられます。

厚生労働省の統計によると、美容室・美容師の数は年々増えており、そのうち6割の店舗が1年以内に廃業するといわれています。美容室が、その状況下でも毎月売上利益を計上し、返済を継続していくには、安定した収入源を確保するための顧客リストが必要です。

本記事では、実際に開業融資を受けることができた美容室の創業計画書を見本として、融資を通すために融資担当者に伝えるべきポイント・実際の作成時に意識すべきことを説明します。

1.創業計画書の入手方法

日本政策金融公庫の融資申込に必要な創業計画書は、日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできます。次のリンクにアクセスし、No.3の創業計画書をダウンロードしてください。

各種書式ダウンロード|国民生活事業|日本政策金融公庫

美容室開業のための創業計画書の書き方

 日本政策金融公庫のWebサイトには業界業態別の創業計画書記入例が公開されていますが、そのまま参考にしても融資を受けることは困難といわれています。融資を受けるためには、創業者の強み・売上の立て方・返済計画などをより具体的に記述する必要があるためです。

2.美容室開業において創業計画書に記載すべきポイント

創業計画書の作成では、融資担当者に事業の成功イメージを伝えられるようにすることが大切になります。創業者の事業が成功しないかぎり、日本政策金融公庫としては融資の返済を受けることができないためです。融資担当者に事業の成功イメージを持ってもらうために創業計画書に記載すべき要素は次の4点です。

(1)創業者の強み
(2)競合店舗との競争戦略
(3)自己資金の準備
(4)開業後の売上見込み

(1)創業者の強み

創業者はどのような強みを有していて、その強みをどのように事業に活かせるのかを融資担当者に伝える必要があります。

通常、融資希望者への融資判断は融資先の業績により行われますが、開業時には会社としての業績が存在しないため、創業者自身の勤務時代の経験・実績が融資判断材料となります

美容室の開業において融資担当者に訴求できるのは、たとえば以下のような経験・実績です。

強みとなる経験・実績が、開業後の集客力に寄与することを示すことが大切になります。融資担当者がいちばん気にするのは創業者の返済能力であり、その返済は集客による売上からまかなわれるためです。

経験・実績例実績からわかる創業者の強み
店長・マネージャーをしていた店舗経営能力(人事・労務・経理スキル)がある/技術力がある
スタッフの技術指導をしていた技術力がある/人材育成スキルがある
10年間勤続していた時間をかけて磨かれた技術力がある/忍耐力がある
コンテスト入賞経験がある突出した技術力がある
固定客が〇〇人いた開業後も安定して集客できる見込みがある
指名率・リピート率が高い開業後も安定して集客できる見込みがある/技術力がある/コミュニケーション能力が高い
新規客数・新規再来率が高い開業後も安定して集客できる見込みがある/技術力がある/コミュニケーション能力が高い
SNSフォロワー数が多い美容業界への影響力が強い/自らトレンドをつくれる
女性客(男性客)が多いレディースカット(メンズカット)に強い

競合店舗との競争戦略

周囲の競合店舗とどのように競争して、集客・売上を立てていくのかという戦略を融資担当者に伝える必要があります。

開業した店舗を長期にわたって存続させるには、競合店舗とのシェア争いに勝ち、顧客を囲い込むことが必須だと考えられているためです。競合店舗との差別化要素としては、事業ターゲット・サービス内容・価格など様々な切り口があり、自社のコンセプトに合うように考えることがポイントです。

切り口差別化要素の具体例
事業ターゲット競合店舗とは異なる顧客層をターゲットにする(競合店舗がファミリー・シニア層をターゲットにしているため、自社は10代後半-30代前半の女性をターゲットにする等)
店舗の立地を活かしたターゲットを設定する(店舗が住宅街に立地している場合は、ファミリー層をターゲットにする等)
サービス内容豊富な施術メニューを用意する(パーマの場合:コールドパーマ・デジタルパーマ・エアウェーブ、トリートメントの場合:髪のコンディションに応じた段階別メニュー等)
料金体系のわかりやすさを重視し、提供する施術メニュー数を絞る
高い技術力の施術(カット/カラー/パーマ等)を提供する
その他安価に施術を提供する
高品質な施術を高価格で提供する
特徴的な雰囲気の店舗にする(リラックスできる・誰でも入りやすい・高級感がある等)
SNSフォロワーにトレンドを発信して集客を図る

自己資金の準備

創業にあたって計画性があるとみられる大きな要素となるものが自己資金の有無です。
公庫の創業時の融資「新創業融資制度」では、創業資金の10分の1以上の自己資金があることが融資を受けるための要件となっています。少なくとも50万円~100万円程度の自己資金を用意する必要があります。

場合によって借入可能額は異なりますが、自己資金を200万円以上用意していると、希望に近い金額で借りられる可能性が高くなります。

また、融資審査では総合的に見て判断されるため、申込者の過去の信用情報に傷がある場合には、減額もあり得ます。計画的に自己資金を準備した上で、ご自身の信用情報に問題ないかを確認するようにしてください。

■関連記事:日本政策金融公庫の融資の審査で借金はばれるのか?セーフなのか?

4)開業後の売上見込み

開業独立した後に売上が見込めることを融資担当者に伝える必要があります。

融資を実行する日本政策金融公庫が一番に懸念するのは融資先が売上を上げることができず、返済不可能な状態になることだからです。

融資担当者の不安を払拭し、安心して融資を実行してもらうために、すでにある程度の売上が見込まれることを訴求します。

たとえば、既存顧客で開業後に来てくださるお客様のリストがあると、集客に困らないことが分かり、売上見込みのアピールにつながります。

3.美容室開業における創業計画書の書き方

実際に開業融資に成功した美容室の創業計画書をもとに、美容室の開業に特化した書き方が必要になる「創業の動機」「経営者の略歴等」「取扱商品・サービス」の3項目について書き方を解説します。

自身で記入する際は、融資担当者に事業の成功イメージが伝わるような記載ができているかを確認しながら書いてください。

美容室開業のための創業計画書の書き方

創業計画書の作成において、すべての業界共通で意識すべきポイント・注意点は次のリンクでまとめています。ぜひこちらも参考にしてください。

■関連リンク:https://jfc-guide.com/financing-guide/93/

(1)創業の動機・経営者の略歴等

<創業の動機・経営者の略歴等に入れるべき情報>

・創業者の強み(勤務時代の経歴・実績・スキルなど)

・創業に対する計画性

創業の動機・経営者の略歴等では、創業者の強みと創業に対する計画性を伝えることが重要です。融資担当者は、創業に対する計画性があり、事業継続力がありそうな創業者を評価します。

強み・計画性が感じられない創業動機では、事業が成功するイメージを融資担当者に伝えられないため、創業者は返済リスク有と評価され、印象が悪くなる可能性があります。

実際に融資実績がある創業計画書をもとに、融資担当者に評価されたポイントを解説します。

▼融資実績のある美容室の創業計画書から抜粋

美容室開業のための創業計画書の書き方

①店舗経営能力がある

店長の経験があることから店舗経営能力を有していることがわかります。経営者になると顧客への施術だけでなく、店舗の運営もしなくてはならなくなります。

計数管理・人材管理育成・マーケティングなど店長として経験したことは、経営者となってからも流用可能であり、融資担当者からも評価されます。

ただし、注意すべきなのは、融資担当者に評価されるのは創業者の役職や肩書きではなく、強みであるということです。

たとえば、店長という役職はなくても、計数管理・人材育成等していたのであれば、融資担当者からは評価されます。反対に店長を務めていたとしても、それらの経験が無く肩書だけのものであれば、融資担当者には評価はされません。

②技術力がある

店長の経験があることから施術の技術力があることがわかります。一般的に施術力の高い人が店長を務めるためです。

なお、店長の経験がなくても、以下のような切り口で技術力を訴求することができます。実際に記載する際は、具体的な数字を出すようにしてください。

  • 勤続歴が長い
  • コンテストで入賞したことがある
  • 固定客が多い
  • 指名率・リピート率が高い
  • 新規客数・新規再来率が高い

③開業独立後も売上が見込めている

「担当してからついているお客様へ恩返しをしたい」という記載から、現在の顧客は開業独立後のお店にもついてきてくれることがわかります。開業後もある程度の売上が見込めていることを意味するため、融資担当者としては評価できます。

④創業に対する計画性がある

「いずれは自身で店舗を持ちたいと考えていた」という言葉があり、美容師としても10年以上の勤務歴があることから、創業に対する計画性があることがわかります。

融資担当者は創業に計画性のある人を評価します。たとえば、会社勤めが嫌になったから独立したい、業界業態未経験だが興味あるから独立したい等の動機では、計画性が全く伝わらず、事業が成功するイメージも湧きづらいため、融資担当者には評価されません。

創業の動機については、次のリンクで細かく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

■関連リンク:https://jfc-guide.com/financing/13476/

(2)取扱商品・サービス

<取扱商品・サービスに入れるべき情報>

・競合店舗との競争戦略

・開業後の売上見込み

取扱商品・サービスでは、競合店舗との差別化要素と集客方法を伝えることが重要になります。

融資担当者の一番の関心事は、融資したお金が約束どおりに返済されることであり、その返済のために創業者は競合店舗との競争に勝ち、毎月売上利益を出し続けることが必要であるためです。

実際に融資実績がある創業計画書をもとに、融資担当者に評価されたポイントを解説します。

▼融資実績のある美容室の創業計画書から抜粋

美容室開業のための創業計画書の書き方

①競合店舗との差別化戦略がある(事業ターゲットを絞っている)

セールスポイントと販売ターゲット・販売戦略に記載された「女性・男性に偏りがない」「学生から主婦層を含めた20代~40代」から、事業のターゲットを明確に定めていることがわかります。

競合との差別化を考えるうえで、事業ターゲットの設定は必須です。具体的には、以下をすべて考えたうえで差別化戦略を立てます。

  • 事業ターゲット(利用者の性別・年齢・属性(学生・主婦・ビジネスマン等))
  • サービス内容
  • 価格
  • 立地(周囲の競合店舗の数・人通りの多さ・最寄り駅からの距離等)

たとえば、周囲すべての競合店舗が男女両方をターゲットにしている場合、自社は女性に特化した事業をすることで差別化することができます。

豊富なパーマ・トリートメントメニューを用意する、カットとトリートメントセットの特別価格メニューをつくる、内装外装は緑が多い落ち着いたデザインにする、レディースカットに強いスタイリストを採用する等の工夫をすることで、特色のあるお店ができます。

なお、競合調査情報については、創業計画書本紙は記入スペースが小さく、記入することが難しいため別紙を用意して説明するようにしましょう。

■関連リンク:https://jfc-guide.com/financing-guide/104/

②見込み客・固定客の多さ

セールスポイントの「月平均120名ほどのカットを行っており、新店舗へ来ていただける方々も多くおります」という記載から、すでに見込客がいる、つまり開業後の売上見込みがあることがわかります。

本件では見込み客が固定客でもあることから、安定した売上源になることも予想され、創業者の返済能力を示すことができています。

反対に、見込み客ゼロの状態で開業することは、売上確保の観点で非常にリスクが高く、金融機関としては貸し倒れになることを危惧するため、融資は通りづらいと言われています。

③新規の集客戦略がある

販売ターゲット・販売戦略に記載された「近隣の理美容業と連携を図り、相互集客を行う」「家族を通じた集客を見込む」から、新規集客施策にも積極的に取り組もうとしていることがわかります。

事業継続のためには、固定客だけではなく新規客の獲得も必要であるため、集客戦略の立案は必要不可欠です。

通常、集客施策は店舗ごとに行うものですが、本件では近隣の店舗と共同で実施することがポイントであり、融資担当者にも評価されます。

個社対応よりも複数店舗で連携して対応するほうが集客効果は高く、なにより開業前にこのような集客体制を構築するにはかなりの労力が掛かるためです。

融資担当者には、開業独立のために綿密な準備をしてきたことが伝わります。

まとめ

融資担当者に事業計画内容を理解してもらい、創業者に返済能力があることを訴求できれば、融資審査の通過確率は上がります。

しかし、融資審査は書類を提出して終わりではなく融資担当者との面談を受ける必要があります。

創業計画書の内容を深堀される形式になりますが、初めて融資を受ける人にとっては融資担当者が何を聞きたいのかわからないため、融資通過の難易度は高いでしょう。

少しでも融資審査に不安を感じる人は、当社株式会社SoLaboのような認定支援機関への相談をおすすめします。

認定支援機関とは、国の認定を受けた中小企業経営支援の専門家です。融資書類作成のための助言・面談への同席など、融資希望者が融資を受けられるように全面的な支援を行っています。

当社は、相談無料、着手金もゼロで審査が無事通過した場合にのみ報酬をいただく完全成功報酬でお客様の融資をサポートさせていただきます。これまで日本政策金融公庫の融資を2,400件以上サポートしてきた実績があるので、ノウハウも豊富です。まずはお気軽にご相談ください。

■関連リンク:https://jfc-guide.com/basic-knowledge/12249/

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