銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けたことがない人は、創業融資に必要な書類が分かりにくいと感じるかもしれません。創業融資の必要書類は、金融機関や融資方法によって異なるためです。
当記事では、「創業融資の必要書類」を解説していきます。どの金融機関でも共通する必要書類や金融機関ごとに必要な書類も解説しているため、創業融資を検討中の人は参考にしてみてください。
創業融資で共通する必要書類
創業融資を受ける際、どの金融機関でも共通する必要書類は「事業計画書」「本人確認書類」「登記簿謄本(法人の場合)」です。銀行や信用金庫などの金融機関は、「事業計画書」「本人確認書類」「登記簿謄本(法人の場合)」から事業者と事業の概要を把握しています。
書類の種類 | 概要 |
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事業計画書 | どのような事業をするか説明するための書類 |
本人確認書類 | 免許証コピーやパスポートコピーなど、身分を証明するための書類 |
登記簿謄本(法人の場合) | 法人の基本的な情報が記載されている書類 |
たとえば、事業計画書は金融機関や融資方法によってフォーマットが異なります。そのため、事業計画書を用意する際は金融機関や自治体の公式サイトからダウンロードする必要があります。
本人確認書類は、身分を証明するための書類です。創業融資を申し込む事業者は、免許証やマイナンバーカード、パスポートなどの資料をコピーして用意することになります。
登記簿謄本は、履歴事項全部証明書とも呼ばれます。登記簿謄本は、法人で創業融資を申し込む場合のみ必要な書類です。
共通する必要書類以外にも、各金融機関で必要な書類があるため、創業融資を検討する事業者は、各金融機関の書類を確認してみましょう。
民間の金融機関の必要書類は融資方法によって異なる
銀行や信用金庫、信用組合などの民間の金融機関の場合、必要となる書類は融資方法によって異なります。民間の金融機関の融資方法は、「プロパー融資」「信用保証協会付き融資」「自治体の制度融資」に分けられます。
融資方法 | 概要 | 必要書類 |
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プロパー融資 | 「事業者」「銀行や信用金庫などの金融機関」の2者間で取引する融資方法 |
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信用保証協会付き融資 | 「事業者」「信用保証協会」「銀行や信用金庫などの金融機関」の3者間で取引する融資方法 |
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自治体の制度融資 | 「事業者」「自治体」「信用保証協会」「銀行や信用金庫などの金融機関」の4者間で取引する融資方法 |
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プロパー融資は、事業者と銀行や信用金庫などの金融機関の2者間で取引する融資方法です。そのため、用意する必要書類は、申込先の金融機関が提示する必要書類のみ揃えることになります。
一方で、信用保証協会付き融資や自治体の制度融資のように複数の金融機関が関係する場合は、それぞれの金融機関で審査があります。信用保証協会付き融資や自治体の制度融資で申し込む事業者は、各金融機関の審査で必要な書類を用意することになります。
たとえば、自治体の制度融資では、1つの金融機関の必要資料を揃えても、すべての金融機関で融資手続きができるわけではありません。そのため、自治体の制度融資では、自治体に加え、銀行や信用保証協会の必要書類も用意することになります。
自治体、銀行や信用金庫などの金融機関の必要資料は、それぞれの公式サイトから確認できます。創業予定の人は、創業地の自治体や信用保証協会、銀行の公式サイトを確認してみましょう。
信用保証協会を利用するときの必要書類
「信用保証協会付きの融資」「自治体の制度融資」を利用する事業者は、信用保証協会の書類を準備する必要があります。どのような書類が必要になるのかを確認しておきましょう。
東京都信用保証協会の創業保証の場合、必要となる書類は以下のようなものです。
書類の種類 | 概要 |
---|---|
登記簿謄本(法人の場合) | 法人の基本的な情報が記載されている書類 |
定款(法人の場合) | 法人の組織・活動についての根本規則を記した書類 |
印鑑証明書 | 事業用の印鑑として登録された証明書 |
課税証明書 | 課税額が記載された書類 |
設備資金の見積書 | 借入金で購入予定の設備に関する見積書 |
事務所・店舗の賃貸契約書 | 賃貸物件を借りるための契約書 |
創業計画書 | 信用保証協会フォーマットの創業に関する事業計画書 |
たとえば、設備資金の見積書は、実際の購入先に見積もりを作成してもらいます。融資が決まれば、必ず購入することになるため、創業者は何を購入するかを検討したのち、見積を準備しなければなりません。
また、創業計画書は、信用保証協会の公式サイトからダウンロードできます。創業融資を受けたい事業者は、創業計画書の書式に合わせて事業内容を記入することになります。
ただし、各地域の信用保証協会によって必要書類は異なります。信用保証協会に保証を依頼したい事業者は、事業をする地域の信用保証協会の公式サイトから必要書類を確認してみてください。なお、各地域の信用保証協会は「お近くの信用保証協会一覧」から検索できます。
なお、信用保証協会の必要書類について知りたい人は、「信用保証協会の創業融資を利用する際に必要な書類を解説」も参考にしてみましょう。
政府系の金融機関である日本政策金融公庫の必要書類
政府系の金融機関には、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などがあります。必要書類は金融機関ごとに異なるため、今回はその一例として日本政策金融公庫の創業融資を利用する際に必要となる書類を参考にしてみましょう。
書類の種類 | 概要 |
---|---|
登記簿謄本または、履歴事項全部証明書(法人の場合) | 法人の基本的な情報が記載されている書類 |
確定申告書・決算書(すでに事業を開始している場合) | 個人事業主の場合は確定申告書、法人の場合は確定申告書・決算書(決算後6ヶ月以上経過している場合は試算表も必要) |
許認可証のコピー※1 | 事業に必要な許可や届出などの書類 |
設備資金の見積書 | 借入金で購入予定の設備に関する見積書 |
運転免許証またはパスポートのコピー | 身分証明書になる書類 |
借入申込書※2 | 日本政策金融公庫の借入申込みに必要な書類 |
創業計画書 | 信用保証協会フォーマットの創業に関する事業計画書 |
※1 飲食店・運送など許認可が必要な事業の場合
※2 郵送で申し込む場合
たとえば、許認可証は特定の事業をすることを許可、認可されたことを証明するための書類です。飲食店の営業許可や美容室の美容師免許など、事業をする上で許認可が必要な事業者は、許認可証のコピーを提出することになります。
許認可証がなければ事業はできず、事業が始められなければ、事業者は融資を受けても返済ができません。そのため、日本政策金融公庫の融資担当者は、必ず許認可証の有無を確認します。
なお、賃貸契約書や通帳の写しなど、事業者によっては用意した方がよい書類もあります。気になる人は「日本政策金融公庫で借入を申し込む際の必要書類」も参考にしてみましょう。
協調融資の場合は民間の金融機関の書類も必要
複数の金融機関が協力して融資する協調融資を利用する場合は、日本政策金融公庫の必要書類に加え、民間の金融機関の書類も必要です。そのため、協調融資の利用を検討する事業者は、民間の金融機関の書類も公式サイトから確認する必要があります。
たとえば、日本政策金融公庫と信用金庫の協調融資を利用する事業者は、日本政策金融公庫の必要書類と信用金庫の必要書類の両方を用意します。
また、事業者は信用金庫を利用する際、信用保証協会が保証人になる「信用保証協会付き融資」を申込む場合もあります。信用保証協会付き融資から協調融資を利用する場合は、日本政策金融公庫、信用金庫、信用保証協会の3つの機関の書類が必要です。
協調融資を考えている事業者は、協調融資を利用する際に必要となる書類も準備しておきましょう。
提出書類から今後の事業性を判断される
金融機関から融資を受ける際、担当者は提出書類から今後の事業性を判断することになります。とくに、既存事業者とは異なり、事業をはじめていない創業者は目に見える事業実績がないため、創業融資を受けたい事業者は入念に提出書類を準備しましょう。
事業をはじめていない創業者の場合、目に見える事業実績がありません。事業実績がない以上、各金融機関の担当者は提出書類から今後の事業性を判断することになるため、事業計画書や経歴書などの書類から今後の事業性をアピールする必要があります。
そのため、創業融資を受けることを検討中の人は、規定の書類に加え、今後の事業性をアピールできる資料として「前職での経験や営業実績が記載されている書類」や「顧客リストが記載されている書類」を別途用意しておきましょう。
まとめ
創業融資の必要書類は、金融機関や融資方法によって異なります。創業融資を検討している事業者は、融資方法に加え、各金融機関の公式サイトから必要となる書類を調べてみましょう。
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