将来、飲食店で独立をお考えの方もいらっしゃると思います。「雇用経験はアルバイトの経験のみで店舗運営者としての経験はない。」「自己資金も多くを貯めることが出来ていない。」この様な状況で、創業時に融資をしてもらえるのか、融資をしてもらう為にはどのような準備が必要なのかを悩んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回、ご紹介させていただきますSさんにも同じ様な悩みがありました。飲食店での勤務経験はあるものの、雇用形態がアルバイトであったことと、融資希望額(400万円)に対して自己資金(30万円)が少ないのではないかということを不安に感じていらっしゃいました。
しかし、融資希望額400万円満額の融資を成功させることができました。
どの様にして融資を成功させることが出来たのかご紹介いたします。
自己資金は家族すべての通帳と親からの支援で合計80万円
自己資金の要件は、借入希望額の1/10程度があることです。自己資金とは毎月の生活費とは区別されている貯蓄額のことです。日本政策金融公庫の融資の際には毎月きちんと貯蓄していることを証明できる通帳を提示する必要があります。また、ご自身の通帳だけでなくご家族の通帳も自己資金に含めることが出来ます。この際は、ご家族の通帳も提示する必要があります。
Sさんが10年間のアルバイトで得た資金は自身の通帳だけでなく、家族の将来の為にと子供の通帳にも毎月少しずつ貯めていました。これらの通帳を全て集めて30万円でした。
このままでは400万円の融資審査には自己資金の要件としては厳しい状況でしたが、Sさんの父親から50万円の支援をしていただけることになり、合計で80万円の資金を集めることが出来ました。
親からの支援金は自己資金とは見てもらえませんが、親からの支援金で”贈与”という形であれば、この支援金は返済義務がないと判断され、“見なし自己資金”として判断してもらえました。
贈与は、1/1~12/31の1年間に1人から贈与された金額が110万円を超える場合に超えた金額に対して贈与税がかかる為、贈与金額には注意が必要です。
アルバイト経験10年の中で、店舗運営管理能力を身に着けた
これから行おうとする事業において、経験年数が長いことは審査においてプラスとして判断されます。Sさんは飲食店で10年間アルバイト経験があります。この経験を融資の面談時に、日本政策金融公庫の担当者にしっかりとアピールできたことが評価に繋がった部分です。雇用形態がアルバイトでも、創業を予定している業種の経験を積んでいることは融資の面談時にプラスに働きます。これは、経験から得たノウハウをご本人がしっかりと伝えることができるためです。日本政策金融公庫の融資面談では、過去の経験から得た事に関する質問をされることがあります。この際に、具体的な説明を行うことが融資の評価を上げるポイントです。
具体的な創業後の売上見込みを説明できた。
日本政策金融公庫の融資面談には、「事業の計画性」を現実的な売上見込みを具体的な数値を用いて説明できる必要があります。その為に、必要な資料として創業計画書と業績推移(3年分)を融資アドバイザーと一緒に準備を進め、面談に臨みました。
Sさんの場合、創業予定地は競合の居酒屋さんが多数ある場所での出店であったため、他店との差別化を説明できることはもちろんのこと、現実的な売上見込みを説明する際に推せるポイントを複数あったことも審査のうえでプラスでした。
想定している顧客は、その土地特有の昼までに仕事が終わる人向けに営業する店舗としての計画でした。昼の時間帯に創業予定地には想定している顧客がどのくらいの人数いるのか、地域に競合となる他の居酒屋と開店時間とターゲットとしている顧客の差別化を図りました。
その他、
- アルバイトしていたお店から近い地域での創業であった為、以前の勤務先の個人的な顧客を見込める。
- PTA役員をしており、懇談会を自店舗で開催できる見込み。
- 父親が監督をしている野球チームの父母会を開催できる見込み。
- 生まれ育った場所での創業であった為、地元の知り合いが使ってくれる見込み。
など、上記の内容について具体的な顧客リストを融資アドバイザーとともに準備し、現実的な顧客数から具体的な売上見込みを基に月々の収支を算出しました。
日本政策金融公庫の面談担当者には、現実的な事業計画から事業の計画性と返済能力を評価して頂けたことで融資を成功させることが出来ました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。経験年数と身に着けたスキルは本人の研鑽によるものです。しかし、この経験年数や身につけたスキルを日本政策金融公庫の担当者に示す必要があります。今回、融資面談に臨むに際しSさんが頭の中で考えていることを融資アドバイザーに共有して準備を進めました。その結果、「具体的な顧客見込みをリスト化し現実的な売上見込みから事業の計画性を説明することが出来た」と仰っていただけました。
これから創業をお考えの方も、創業融資を得意としている弊社のような認定支援機関に相談しながら、融資面談へ向けた準備を進めてみることをオススメ致します。