今の時期に開業して大丈夫?起業するタイミングについて解説

今の時期に開業して大丈夫?起業するタイミングについて解説
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

事業経営を考えている方にとって、開業・起業する時期は気にかかる要素の1つでしょう。コロナ禍であっても開業・起業をする方はいますが、ビジネスを成功させるうえで少しでも有利に事が運ぶのなら、タイミングははかるべきですよね。

今回は、今の時期に開業しても大丈夫なのか?ということから、起業するタイミングまでご紹介します。

開業するのによい時期はある?

開業するのによい時期はあるのでしょうか。それを知るためにはまずはほかの人たちがいつ開業しているのかを調べてみましょう。

みんなの開業時期はいつ?国の統計で年ごとの推移をチェック

多くの経営者がいつ開業しているかは開業率(*)から判断できます。2019年までの統計から、最も多くの人が開業していたのは1988年とわかります。88年と言えばバブル全盛期なのでそういった要因が開業を後押ししたのでしょう。

その後開業率は減少傾向に転じていますが、2006年の会社法改正の施行以後、ゆるやかに上昇傾向にありました。

1つ注目したいのは2018年には開業率が急激な下降に転じていることです。これには2017年のGDP(国内総生産)成長率の減少が関係していると考えられます。GDP成長率が高いときは国内の景気がよく、消費行動も活発に行われるので、開業しやすい環境が揃っていることを表します。GDP成長率と開業率には正の相関があるのです。GDP成長率が上がれば開業率も上がる一方で、GDP成長率が減少すると消費行動も消極的になっていると考えられ、開業には不向きとされます。

開業時期に迷っているならGDP成長率をヒントにしてみてもいいでしょう。

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2020年中小企業庁白書による開業率・廃業率の推移

(*)開業率:中小企業庁が公開している中小企業庁白書などで確認できます。白書にまとめられる項目は年度によって異なります。

開業するのにベストな時期はない

年度推移では開業の波が来ているのかどうかはわかっても、実際に開業するのに適した月日まではわかりません。月ごとの開業数を見たい場合は「雇用保険事業月報・年報」を参照しましょう。

雇用保険事業月報・年報は中小企業庁白書の統計結果のもとになっているデータで、月ごとの開業数も公開されています。

雇用保険事業月報・年報によると4月は少し割合が高くなっていますが、これは単純に新年度であるためです。そのことを考慮すると、1月から12月までおおよそまんべんなく一定数の開業数を維持しています。開業するのにベストな時期があれば、数が増えているのが確認できるはずですので、開業にベストな時期というものはないと言ってよいでしょう。

今の時期に開業して大丈夫?起業するタイミングについて解説

画像素材:創業融資ガイド 令和2年度雇用保険事業月報・年報より作成

コロナ禍で開業しても大丈夫?

コロナ禍にある今、そしてwithコロナ時代として今の生活様式が当たり前になるとしても、現在の状況で開業する決断は、勇気のいることでしょう。中には「コロナが落ち着くまで開業を待つべきだ」と考える方もいるはずです。

しかし実は、今、開業することが追い風になるケースもあるのです。業種別に状況を解説しましょう。

オンライン上でのやり取りできる業種には追い風

現在、多くの企業がリモートワークに導入していますが、多くの企業は今後もリスク分散の観点でリモートワークを続けるでしょう。

オンライン上でのやり取りと親和性の高い業種には、現状は追い風です。例えば、フリーのシステムエンジニア(SE)やネットショップ、クリエイターなどが代表的な業種ですが、起業を待つ必要はないでしょう。

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一人で開業できる仕事12選 副業にもおすすめの職業

2021.04.22

飲食店や美容室など接客業は厳しい

一方、飲食店や美容室のような接客業など、人と人との接触が前提の非対面型ビジネスモデルにするのが難しい業態は、コロナ禍での起業は大変厳しいでしょう。理由は3つあります。

理由1:集客が見込みにくい

事業継続のためには、できるだけ多くのリピート客を確保しなければいけませんが、密になる状況を避けるコロナ禍では、対面でのビジネスは難しくなっています。

また、リモートワークが盛んになったことで、人通りも少なく、立地による恩恵も得にくい状況もあり、どれほど集客が見込めるのか、予測が立てづらいのです。

理由2:融資の手続きが込み合っている

手続上の問題として、融資の手続きが込み合っているのもあります。現在、日本政策金融公庫では新型コロナウイルスの感染拡大の影響を鑑みて、既存事業主の方々に向けてコロナ融資を行っているのですが、多くの事業者がコロナ融資を利用しようと殺到したため、人手が足りず、しばらくの間通常の創業融資審査に遅れが生じていました。

2021年4月現在は、昨年よりは状況が改善しているようですが、コロナの感染状況によっては再び混雑し、資金繰りが苦しくなっても、融資が間に合わないことも考えられます。

理由3:融資が受けづらい

開業当初はお客さんも少なく、安定的に売上を上げて事業を運営できるようになるまでの間は、店舗家賃や光熱費などの費用が大変重くのしかかってきます。

そういった費用をすべて融資による資金で賄おうとするのは無謀です。なにより日本政策金融公庫などで創業融資を受ける際に重要視されるのが自己資金の有無です。自己資金が少なければ融資を受けること自体難しくなります。コロナ禍で以前ほどの集客が見込めなければなおさらです。

もしあなたが自己資金を用意できていないのなら、まずは自己資金を貯めることから始めることをおすすめします。

起業のタイミングをはかるには?

法律の施行や時勢によって、多くの人が一斉に起業したり、しなかったりする時期はあっても、起業にベストな時期というものはありません。結局のところ、自分自身の中で「ここだ!」というタイミングで起業するのが一番です。

「ここだ!」というタイミングを見つけるには次の5つのステップを通して、自身の状況をチェックしてみるのがおすすめです。

ステップ1:「いついつまでに起業する」と期限を設ける

「いまでに起業するのか」の期限を定めましょう。

具体的な期限を定めることで、実現に向けて具体的な行動を起こせます。定めた期限までにビジネスプランを考えたり、必要な知識やノウハウを見つけたり計画的に準備できます。

ステップ2:資金繰りの計画を立てる

会社に現金や預金、有価証券などの資金が無くなれば、それは倒産の危機をもたらします。そうならないために、会社の支出と収入のバランスをコントロールし、資金がゼロにならないようにすることを「資金繰り」と言います。

資金繰りの計画を立てるためにはまず、手元にある資金を確認しましょう。そして商品の仕入れや設備投資にいくらくらいの支出が発生し、どの時点でどのくらいの収入があるのか、未来の事業の流れを想像します。その過程で資金がゼロになってしまう可能性があると感じたなら、無駄な経費がないかを考え、できるだけ支出を抑えるようにし、資産を資金化したり、資金調達の計画を立てるようにしましょう。

起業タイミングをはかるコツ:副業で事業を運営してみよう

副業で事業を運営してみましょう。副業で事業を展開してしばらくすると、ひと月にどれくらいの売上がどのくらいで、起業後の見込み客がどの程度いるのかなどが見えてくるはずです。専業でもやっていける目処が立ったら、起業に踏み切るのもタイミングをはかる1つのやり方です。

ステップ3:時流を見極める

起業して事業拡大を考えているなら、時流に乗っているサービスを提供できるか、という観点は大切です。社会で流行している価値観やニーズを、SNSやテレビなどの情報をこまめにチェックし、自社の製品・サービスにマッチしているのかを確認しましょう。

もしマッチしていないと感じるのであれば、ビジネスプランからもう一度考え直す必要があります。

ステップ4:協力を依頼する専門家の繁忙期を確認する

起業するとき、多くの方は自分ですべてを解決しようと考えがちです。

経営者の多くは一定の分野には詳しくても会社設立に必要な手続きには明るくありません。登記申請の手続きの中には煩雑なものもあり、すべてを1人で解決しようとすれば本来、専念すべきことに専念できなくなります。

例えば、会社設立であれば行政書士や弁護士、節税などの相談は税理士に、といったように専門家に頼みましょう。

なお、専門家に頼む場合、繁忙期かどうかの確認は必要です。繁忙期に相談すると、対応がおざなりにされることがあるため、気をつけましょう。

ステップ5:起業の最終決断をする

ステップ1~ステップ4を振り返って問題がないかを確認しましょう。もし問題があればなぜ問題なのかを考えたうえで、改めて計画を立て直すようにしてください。

起業してはいけない人?タイミングをのがしやすい人へのアドバイス

起業を考えている方の中には、起業のタイミングを逃しやすい人もいます。そんな方に向けてここでは3つ、アドバイスします。

心配性な人

心配性な人は資金や顧客が揃ってきても「まだ足りない」「リスクがある」と起業に踏み切れないことがあります。起業にノーリスクはあり得ません。思い切って一歩を踏み出しましょう。

期限を定めない人

人間、期限がなければ「いつかやる」レベルの考えに収まってしまうものです。まず創業の期限を定め、それまでに必要な細々とした期限を確認しましょう。小さく期限を区切ることで、目標に向かって一歩一歩、行動に移せるようになるでしょう。

元手となるお金が足りない人

多くの人は、起業のためにまとまった資金が必要です。事業に必要なまとまった資金を、日本政策金融公庫や銀行などの金融機関からの融資でまかなうなら、元手となる自己資金が必要です。まずは最低限の資金をため、それから融資にチャレンジするようにしてみましょう!

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2019.06.12

まとめ

今の時期に開業しても大丈夫なのか?ということから、起業するタイミングまでご紹介しました。

結論、開業に適した時期というのはありません。自身に適したタイミングでの起業がベストです。

とはいえ、起業するタイミングを決めるのには様々な要素があります。時流を見ながら慎重に判断しましょう。

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