個人事業主とは?基礎知識・メリット・デメリットをわかりやすく解説

個人事業主とは?基礎知識・メリット・デメリットをわかりやすく解説
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

個人として独立して事業を行う「個人事業主」について、改めてしっかり定義を説明できない方が実は多いのではないでしょうか。

今回は個人事業主になるために知っておくべき基礎知識とメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

個人事業主とは

個人事業主とは個人で事業を行っている人のこと

「個人事業主」とは、会社や組織に所属するのではなく、個人として独立して事業を行う人のことをいいます。

個人事業主としての開業はいたって簡単です。税務署に「開業届」を提出し、事業の開始を申請することで、法律上は個人事業主として開業したことになります。

会社と言えば株式会社などの法人を思い浮かべる方が多いかと思いますが、実際のところ日本国内に存在する企業の中で個人事業主はどのくらいの割合を占めているのでしょうか。

残念ながら個人事業主に関する統計データはありませんが、平成26年度に総務局統計局が発表の、個人事業主を含む「個人企業」の企業推移の統計データを参考にすると、日本国内の全企業数413万社のうち、個人企業は218万社に上り、その割合は全体の52.7%を占めていて、国内企業の半数以上は個人企業であることがわります。

出典:統計Today No.82|総務省統計局

個人事業主とフリーランスの違い

会社や組織から独立して事業を行っている中には、フリーランスと呼ばれる人々もいます。

個人事業主もフリーランスの人々も働き方に大きな違いはありません。飲食店の家族経営や士業など同一の事業を継続・反復している人であれば、個人事業主あるいはフリーランスと呼ばれます。

一番の違いは「開業届」の有無

個人事業主とフリーランスの違いを生んでいるのは「開業届を出しているか・いないか」です。フリーランスは開業届を出していません。これにより、税務上の区分がなされているのです。

開業届を出すと「青色申告特別控除」という税金上の優遇を受けることが可能になります。そのため最初はフリーランスとして活動し、開業届を提出して個人事業主となるのが一般的です。

個人事業主と法人の違い

法人とは、法律上で人と同じ権利が認められたものを指します。

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1人で事業を運営していても法人となることはできますが、個人事業主と法人では「開業手続」「税金」「社会的信用」に違いがあります。

  • 開業手続

個人事業主が開業届を提出するだけで手続き費用がかからないのに対し、法人では資本金を用意し、定款の作成と認証といった煩雑な手続きが必要で、費用もかかります。例えば、株式会社の場合、登記申請に約25万円の費用がかかります。

  • 税金

法人は個人事業主よりも経費に計上できる範囲が広がるため、税金対策の上では有利になります。そのため、個人事業主として事業が軌道に乗った段階で、法人化(法人成り)する方もいます。

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  • 社会的信用

個人事業主は事業の運営資金が生活費と同じ口座で管理されていて、区別されにくいという特徴があります。そのため法人と比べて、融資などを受けるときに信用を得にくいことがあります。

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個人事業主と個人企業の違い

個人企業とは、法人登記しない、個人による経営活動グループのことです。

会社になっていなければ飲食店、美容室、学習塾、税理士なども個人企業ですし、個人事業主やフリーランスも個人企業と言えます。

個人企業と個人事業主に大きな意味の違いはありませんが、個人事業主は「人・メンバー」を指し、個人企業は「グループ」を指すという違いがあります。

個人事業主の職種と平均年収

個人事業主には様々な職種があります。ここでは個人事業主として選ばれやすい職種と平均年収をご紹介します。

飲食業

個人事業主として飲食業を営まれている方の平均年収は600万円前後と言われています。行列のできる人気店であれば年収1,000万円を超えることも珍しくはありませんが、すべての個人事業主がそんなに稼げるわけではありません。

小売業

小売業には店舗を構えて商品を売るものもあれば、ネットショップで物販を行うものまでさまざまなものがあります。軌道にのれば高い年収を得ることもできるかもしれませんが、平均年収は220万円前後です。

理容・美容系事業

理容・美容系事業もピンキリの業種ですが、平均年収は300万円前後と言われています。顧客の獲得に成功すれば高収入が見込めますが、それは一握りです。

教育関連事業

一概に断言することはできませんが、教育関連事業の平均年収は500万円~200万円の間と言われています。一般的に年収は顧客の人数によって上下するため、特に個人塾や趣味などを教える塾を運営する場合は生徒数がそのまま収入に直結します。

コンサル事業・士業

コンサル事業や士業の平均年収は500万円~800万円と言われています。中には専門性を生かして年収2,000万円を超える方もいます。組織に所属しているケースと個人事業主のケースで平均年収の差はあまりありません。

クリエイティブ系事業

個人の技能によって収入が大きく左右されるのがクリエイティブ系事業です。Webデザイナーや動画クリエイター、ゲームクリエイターなどの平均年収は300万円~500万円と言われています。案件をどれだけこなせるかによっても収入が変わるので、仕事を安定的に多くこなせる方は収入も増えます。

個人事業主になれない人がいる?

開業届を提出すれば、法律上、誰でも個人事業主にはなれます。ただし、性格や能力のうえで個人事業主に向いていない人はいます。

個人事業主として活動していくことを考えている方は以下のチェック項目で当てはまるものがないか確かめてみてください。

向いてないチェック①:こだわりが強い・優柔不断・約束が守れない

どんな事業を行うにしても個人事業主は顧客や取引先と関わっていくことになります。ときには想定していない問題や突発的な依頼が発生することもあるでしょう。そういった事柄に対応するには柔軟性を持って、臨機応変に対応していかなくてはなりません。

自分のやり方に無駄にこだわって仕事の幅が狭まったり、決断するまでに時間がかかったりすれば仕事の期限に間に合わないという事態に発展してしまう可能性もあります。仕事上の約束が守れなければ信用を失ってしまうため、こだわりが強い・優柔不断・約束が守れない方は個人事業主には向いていません。

向いてないチェック②:安定しない収入や仕事に恐怖を感じる

個人事業主として働くことの魅力は、自分の努力や裁量次第でいくらでも稼げることです。

一方で収入が多ければ少ないときもあり、安定しないというのも事実です。収入が不安定な状況を「まだ稼げる!」とポジティブにとらえず、恐怖を感じてしまう人は心理的にストレスになってしまうかもしれません。

向いてないチェック③:直感的でビジネス運営に計画性を持たせられない

個人事業主として事業を運営していくためには、経営者としてビジネスプランを用意しておいた方がいいでしょう。そのためには市場のニーズを調査し、計画的なビジネス運営を考える必要があります。

明確な理由や根拠もなく、直感で物事を考えすぎてしまう人は個人事業主に向いていないでしょう。

副業で個人事業主になった方がいい?

会社や組織に所属しつつ、副業として個人で活動しているケースでも、開業届は出すのがおすすめです。継続して収入がある場合は開業届を出すことが義務となっているためです。

ただし、フリマアプリなどによる一時的な収入のみであれば、開業届を出す必要はありません。

個人事業主のメリット・デメリット

個人事業主として働くうえで知っておくべき基本情報についてご説明してきました。ここからは個人事業主としてのメリットやデメリットについて紹介します。

個人事業主のメリット

働けば働いただけ稼げる

個人事業主に給料はありません。売上から経費を引いた利益が給与に相当するため、働けば働くほど稼ぐことができます。

フリーランスに比べて節税が見込める

開業届を提出するのと同時に青色申告承認申請書を提出すると、青色申告特別控除として最大で65万円の控除を受けることができます。

青色申告は複雑で難しいというイメージがありますが、節税のために活用することをおすすめします。

開業・廃業手続きが簡単にできる

個人事業主は開業届を提出すれば簡単に開業することができ、届出にかかる費用もありません。

法人よりも圧倒的に設立のハードルが低いのです。

個人事業主のデメリット

仕事がなければ収入がなく安定しない

個人事業主は自分で仕事をする以外に収入を得る手段がありません。適当な仕事をすると信用が下がり、仕事が入らなくなるため、仕事の品質を維持する能力と仕事をやり続ける体力が必須です。

法人と比ベて社会的信用度が低い

メリットとデメリットは表裏一体です。個人事業主は開業が簡単で気軽にできる分、法人に比べて社会的信用度が下がるのです。中には個人事業主と契約できない企業もあります。

経費に生活費が混ざりやすく融資審査に通りにくい

事業の運転資金と生活費の境目が曖昧になりやすいのも、個人事業主の特徴です。事業の運転資金をきちんと適切に運用しているかどうかが見えにくいため、融資審査などで不利になりがちです。

融資を受けることを考えているなら、しっかりと事業用と生活用とで口座を切り分けておきましょう。

個人事業主になるには?必要な手続き

個人事業主になるためには大きく5つの手続きを踏みます。

手順①:開業届の提出する

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等の届出書」と言います。所得が発生する事業を開業してから1か月以内に所轄の税務署に提出します。

手順②:青色申告承認申請書の提出する(青色申告特別控除を受けるとき)

個人事業主は青色申告と白色申告のいずれかを選択することができます。もし、青色申告特別控除を受けたいと考えているのなら、開業届とともに青色申告承認申請書を提出しましょう。

注意しなくてはいけないのは、青色申告承認申請書はその年の3月15日までが提出期限となっています。何らかの理由で開業届とともに提出できない場合は期限をすぎないようにしましょう。

手順③:都道府県税事務所に必要書類を提出する

ここまで説明してきた開業届は国税に関するものであるため税務署に提出しなければいけないものでしたが、それとは別に個人事業主になるためには、都道府県税事務所に個人事業税を申告する書類を提出する必要があります。書類の名称は自治体によって異なるので、相談窓口やwebサイトで確認してください。

手順④:国民健康保険・国民年金への加入する

会社員から個人事業主になった場合、退職した日の翌日から14日以内に居住地の市区町村役所で国民健康保険・国民年金への加入手続きをしましょう。

ただし、厚生年金から国民年金に切り替えると将来もらえる年金が減ります。そのため、個人型確定拠出年金の利用も考えておきましょう。

手順⑤:事業用の銀行口座を開設する

個人事業主のデメリットでも説明しましたが、個人事業主は事業の運転資金と生活費を別けておくことが大切です。

屋号を含めた事業用の銀行口座を持っているほうが取引先からの信用を得やすく、プライベート用と事業用の出費の管理が楽になるのでおすすめです。

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年に1回、確定申告を忘れずに!

個人事業主は年に1回、確定申告をしなければいけません。青色申告をする場合は帳簿付けと決算書の提出が必要なので、日ごろからきちんとしておきましょう。

まとめ

今回は個人事業主になるために知っておくべき基礎知識とメリット・デメリットについてわかりやすく解説しました。

個人として独立して事業を行う個人事業主は、個人の能力や仕事量によっても収入が異なります。個人事業主として活躍している人がいる分野でも「人は人、自分は自分」ということを忘れないようにしましょう。

また、個人事業主になって青色申告特別控除をうければ、フリーランスのときよりは節税できます。軌道に乗れば、法人化することを検討してもよいでしょう。

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