設備資金として融資を受ける場合のポイント

創業準備のために設備や物品などを書き出してみた人の中には、予想以上に設備資金が必要になることに気付いた人もいますよね。その際、自己資金が足りない人は、設備資金として金融機関から借り入れることも視野に入れている人もいるのではないでしょうか。

当記事では、設備資金として融資を受ける場合のポイントを解説します。借入先となる金融機関に加え、返済期間や融資を受ける際の注意点も解説しているので、金融機関から設備資金として融資を受けることを検討中の人は参考にしてみてください。

どの金融機関も設備資金の融資を行っている

創業時や事業拡大時は設備資金が必要になるため、どの金融機関も設備資金の融資に対応しています。設備資金として融資を受けたい人は、まずは借入先となる金融機関を確認してみましょう。

設備資金として融資を受ける際、借入先の候補となる金融機関は、公的金融機関と民間金融機関です。具体的には、「日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関」と「都市銀行や信用金庫などの民間金融機関」に分けられます。

【借入先の候補となる金融機関】
種別
公的金融機関 ・日本政策金融公庫 ・沖縄振興開発金融公庫 ・商工組合中央金庫 ・日本政策投資銀行 ・国際協力銀行
民間金融機関 ・都市銀行:みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行など ・地方銀行:北海道銀行、横浜銀行、福岡銀行など ・信用金庫:北海道信用金庫、東京シティ信用金庫、福岡信用金庫など ・信用組合:札幌中央信用組合、第一勧業信用組合、福岡県信用組合など ・ネット銀行:セブン銀行、東京スター銀行、ソニー銀行など

たとえば、長野県を拠点とする地方銀行の八十二銀行では、融資限度額の上限が3億円となる「長期事業ローン」を用意しています。法人向けとなりますが、設備資金と長期運転資金に利用できるため、事業拡大時や設備投資に向いています。

また、公的金融機関の日本政策金融公庫では、設備資金と運転資金で利用できる「新規開業資金」を用意しています。新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人なら利用できるので、創業を考えている人や創業間もない経営者に向いています。

なお、設備資金の融資に関する相談をした場合、申込者ごとに案内が異なる場合もあります。担当者に事情を説明する必要があるため、設備資金として融資を受けたい人は、用途と必要金額を明確にしてから金融機関の窓口に問い合わせることを検討してみましょう。

設備資金は運転資金よりも返済期間が長い傾向がある

設備資金は運転資金よりも返済期間が長い傾向があります。設備資金と運転資金を比較した場合、借入金額は運転資金よりも設備資金のほうが高めになる傾向があるからです。

【金融機関から融資を受ける際の返済期間の例】
金融機関名 融資商品・サービス名 設備資金の返済期間 運転資金の返済期間
日本政策金融公庫 一般貸付 10年以内 7年以内
しののめ信用金庫 成長企業サポート資金「ライズ」 10年以内(耐用年数を目安とする) 5年以内
上越信用金庫 新規開業支援資金 15年以内 7年以内
きらぼし銀行 知的財産評価融資制度「知財のチカラ」 10年以内 5年以内
八十二銀行 長期事業ローン 1年超20年以内 1年超7年以内

たとえば、公的金融機関である日本政策金融公庫の融資制度「一般貸付」の場合、設備資金は10年以内、運転資金は7年以内の返済期間が設けられています。取扱商品や業種変更のための設備資金は「特定設備資金」と呼ばれ、20年以内の返済期間が設けられています。

また、民間金融機関である上越信用金庫の「新規開業支援資金」の場合、設備資金は15年以内、運転資金は7年以内の返済期間が設けられています。 ただし、設備資金の返済期間は金融機関ごとに異なります。また、実際の返済期間は借入金額や設備の種類によっても異なります。

「返済期間を短くすることにより月々の返済負担が重くなる」「返済期間を長くすることにより支払総額が増える」といった点もあるため、設備資金として融資を受ける際には、金融機関の担当者に相談しながら返済期間を決めることを検討してみましょう。

融資を受けるには審査に通過する必要がある

設備資金に限らず、金融機関から融資を受けるには、所定の審査に通過する必要があります。いずれも審査内容や審査基準は非公開ですが、公式サイトの調査や電話による調査により、融資の可否は申込者の情報から総合的に判断している傾向があります。

たとえば、日本政策金融公庫の公式サイトにある「よくあるご質問」には、「これまでの業績、これからの事業見通し、業界の動向、申込計画などから総合的にご融資の可否を判断させていただいております」という旨が記載されています。

具体的には、事業計画の内容に加え、自己資金の有無や信用情報の状況など、申込者の情報から総合的に判断していると推測できます。また、融資の可否を決める判断材料として、クレジットカードや消費者金融など、既存の借入状況も確認していると考えられます。

そのため、融資を受けられるかどうか不安な人は、融資サポートが可能な認定支援機関に相談することも検討してみましょう。認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けている機関です。

当社株式会社SoLabo(ソラボ)も認定支援機関として融資サポートを実施しています。過去に4,500件以上の融資をサポートしてきた実績があるので、さまざまな業種や業界に対応可能です。相談は無料で承っているので、お気軽にお問い合わせください。

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なお、最寄りの認定支援機関が知りたい人は、中小企業庁が公開している「認定経営革新等支援機関検索システム」を利用してください。

資金使途と投資対効果を確認する傾向がある

設備資金に限らず、金融機関側は審査の一環として資金使途と投資対効果を確認する傾向があります。その際、判断材料として担当者から書類提出を求められるため、設備資金の融資を受けたい人は提出書類を確認しておきましょう。

【金融機関が提出を求める書類】
金融機関が提出を求める書類 書類の概要
直近2期分の決算書(法人の場合) 一定期間の経営成績や財務状態等を明らかにするために作成される書類で、財務諸表のことを指している。貸借対照表と損益計算書と株主資本等変動計算書とキャッシュ・フロー計算書が財務諸表に該当する
確定申告書(個人事業主の場合) 個人事業主がその年の所得を計算して申告するための書類
見積書 購入予定の設備や物品などを見積もった書類
事業計画書 事業の目標や目的を実現するための指標として作成する計画書。どのような方向性で事業を進めていくのかを明確にするための資料
資金繰り表 一定期間における企業・個人の資金の収入・支出を表にしたもの。過去の実績を元に作成する「資金繰り実績表」と、これからの資金繰りを予想する「資金繰り予定表」の2種類がある

たとえば、決算書は一定期間内の経営成績や財務状態などを明らかにする書類です。法人の場合は決算書から事業の利益率や会社の資産額を確認されますが、個人事業主の場合は決算書の代わりに確定申告書から利益率や資産額を確認されることになります。

また、見積書は、購入予定の設備や物品などを見積もった書類です。見積書から借入金額の妥当性を確認されますが、その際は相場と照らし合わせながら借入金額を確認されることになります。

設備資金の融資を受ける場合、金融機関側は審査の一環として資金使途と投資対効果を確認する傾向があります。設備資金の融資を受けたい人は、担当者に資金使途と投資対効果を理解してもらえるように提出書類の抜け漏れがないようにしましょう。

設備資金の融資を受けたい人は注意点を確認しておく

設備資金の融資を受けたい人は、金融機関に申し込む前に注意点を確認しておきましょう。あらかじめ注意点を確認しておけば、落ち着いて準備を進められるからです。

【金融機関に申し込む前の注意点】
・不動産物件を購入する場合は担保を求められる
・借りたい物件がある場合は不動産屋に仮押さえしておく
・私生活に利用する乗用車は設備に含まれない
・運転資金への流用は資金使途違反になる

設備資金として融資を受けることを検討中の人は、それぞれの注意点を押さえておきましょう。

不動産物件を購入する場合は担保を求められる

土地や建物を購入する目的として融資を受ける場合、原則として金融機関の担当者から購入した土地や建物を担保にすることを求められる傾向があります。万が一、貸倒れとなった場合、金融機関側が債権を回収できなくなるおそれがあるからです。

日本政策金融公庫の「創業融資」など、金融機関と融資制度によっては無担保・無保証人となる場合もありますが、土地や建物を購入する目的として融資を受ける場合には、金融機関の担当者から購入した土地や建物を担保にすることを求められる傾向があります。

設備資金として融資を受けたお金から土地や建物を購入する予定の人は、土地や建物を担保にする可能性がある点を予備知識として覚えておきましょう。

借りたい物件がある場合は不動産屋に仮押さえしておく

借りたい物件がある人は、不動産屋に融資を受ける予定であることを伝え、仮押さえすることも検討してみましょう。場合によっては、気に入った物件が先に契約されてしまう可能性もあるからです。

たとえば、やむを得ない事情により、融資決定後に予定していた物件が変更になった場合、担当者の判断によっては再審査になることも考えらえます。事業によっては物件の立地や人通りが重要になることもあるため、あらためて審査を受ける可能性があります。

借りたい物件がある人は、不動産屋に金融機関から融資を受ける旨を伝え、仮押さえの交渉を進めることも検討してみましょう。

私生活に利用する乗用車は設備に含まれない

私生活に利用する乗用車は設備に含まれないため、設備資金として融資を受けることはできません。あくまでも事業を目的として融資を受けることになるため、私生活に利用する乗用車も考えていた人は注意が必要です。

設備資金の対象になるのは、運送用のトラックやダンプカー、クレーン車、営業車、タクシー、バス、キッチンカーなどの事業用車両です。個人使用を目的としている乗用車は設備資金の対象外です。

なお、事業用車両のために融資を受ける場合、金融機関の担当者から購入予定の車の見積書の提出を求められます。事業用車両を目的として設備資金の融資を受けたい人は、車の販売店に見積もりを用意してもらえるように準備しておきましょう。

運転資金への流用は資金使途違反になる

設備資金として融資を受けたお金を運転資金に流用することは資金使途違反になります。そのため、設備資金として融資を受けたお金を運転資金にも充てることを検討していた人は注意が必要です。

たとえば、日本政策金融公庫の公式サイトにある「設備資金ご利用の場合の留意事項」には、「承認なく計画を変更した場合や資産計上の確認ができない場合は、特別利率を取り消し、貸付当初にさかのぼり基準利率との差額をお支払いいただくとともに、残元金を繰上償還していただきます」といった旨が記載されています。 提出した見積りと同様の設備を購入する必要があるため、それ以外の使途は原則として認められません。

資金使途違反した場合、借入金の返還を求められ、今後融資を受けられなくなる可能性もあります。 また、金融機関によっては、融資実行後に領収書の提出を求められることもあります。領収書を提出できなかった場合も一括返済を求められる可能性があるため、設備資金として購入した事実を証明できるように領収書は処分せずに残しておきましょう。

資金使途を変更したい場合は金融機関に連絡する

設備資金として融資を受けたお金を別の用途に使用したい場合には、借入先の担当者に相談してみましょう。金融機関によっては、別の用途に使用することを認められる可能性があるからです。

たとえば、日本政策金融公庫の公式サイトにある「設備資金ご利用の場合の留意事項」には、「事業計画及び資金計画の変更は、原則として(日本政策金融公庫からの)承認を受けた場合以外は認められません。設備(購入機械等)の変更、用途の変更及び設備金額の増減がある場合は、速やかにご連絡ください」といった旨が記載されています。

やむを得ない事情がある人は、無断で資金使途を変更しないためにも融資を受けた金融機関の担当者に相談してみましょう。

まとめ

融資を受けられるのは審査に通過した人のみですが、創業時や事業拡大時は設備資金が必要になるため、どの金融機関も設備資金の融資に対応しています。

また、運転資金よりも設備資金のほうが返済期間は長くなる傾向があります。返済期間が長ければ長いほど、金利による利息負担が増える傾向があるため、返済期間は金融機関の担当者に相談しながら決めることを検討してみましょう。

なお、設備資金として融資を受けることを検討中の人は、資金調達の専門家に相談してみるのも選択肢のひとつです。当社株式会社SoLabo(ソラボ)も資金調達の専門家として融資をサポートできるため、気になる人はお気軽にお問い合わせください。

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