フェスやイベントなどでフード販売している車のことを「キッチンカー」と言います。店舗のように扉がないため、ユーザーは気軽に購入できる、近くまで来てくれるというメリットがあります。
一方、販売する側としても、キッチンカーでの販売は「店舗を出すよりも不動産取得料(家賃など)がかからない」という大きな利点があります。




キッチンカーで移動販売をするのは、飲食店の店を開くより初期費用が安く済みます。とは言っても、数十万円でスタートできるわけはないので、ある程度の資金が必要です。
今回の記事では、キッチンカー(移動販売車)を購入するための資金調達を融資でする方法について、できるだけ具体的にわかりやすくご説明したいと思います。
1.キッチンカーで融資を受けるとは、具体的にどういうこと?
融資とは、金融機関に対して「ビジネスをするから、足りない分を貸して」と申し込む一連の事柄を指します。キッチンカーで融資を受ける方法をご説明する前に、キッチンカーで融資を受けることがどんなことなのか、簡単にご説明いたします。
①キッチンカーで何を販売するのかを決める=「事業内容の決定」
キッチンカーは、別名:フードトラックとも言われ、クレープやハンバーガーやたこ焼きやケバブなど、ありとあらゆる食べ物を調理して販売できる車です。

キッチンカーで起業するには、どのメニューを売るのかを最初に決めるとスムーズです。お店の利益の核となる重要な戦略なので、メニュー選択には時間をかけてもいいでしょう。

そうなんです。キッチンカーと一言で言っても、さまざまな種類があります。安くて、そのままではすぐに使えない状態の軽トラックでも、50万円はします。
買ってすぐに「あ、これじゃなくて、やっぱりオーブンつきのキッチンカーがいい~」と思っても、ドラえもんがいる訳ではないので、「オーブンつきのキッチンカ~!!」(※効果音を想像してください)と新しい車に即・買い替えはできません。
また、キッチンカーで販売するメニューを決めるということは、融資の用語で言い換えると、「事業内容を決定する」という大切な部分になります。
②購入するキッチンカーの種類を決める=「設備資金」額を決定する

はい。キッチンカーの種類とだいたいの予算を、以下の表にまとめてみました。
キッチンカーの種類(貨物自動車) | どんな車か | 購入する際の予算※車情報サイトを参照 |
軽バン | ・660ccと小排気量 ・乗用車としてキャンピングカーにも使える ・スズキ エブリイ、ホンダ N-VAN、ダイハツ ハイゼットが国産御三家 | ・【中古価格】48万円~75万円 ・【新車価格】134万円~166万円 |
軽トラック | ・660ccと小排気量 ・トラックの簡易版(車両価格や維持費や保険が安い) ・荷物の置き場所はオープン(屋根なし) ・ダイハツ ハイゼットやホンダ アクティなとが人気 | ・【中古価格】34~180万円 ・【新車価格】69~320万円
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ワンボックスバン | ・排気量1,000~1,500cc ・箱型ボディでボンネットがない(または短い)車種 ・キッチンカーとしてよく見かける車種 ・商用車としてはトヨタの「タウンエース」と「ライト」がよく知られる | ・【中古価格】110~340万円 ・【新車価格】200~443万円 |
クイックデリバリー(廃盤) | ・「クイックデリバリー」はトヨタ社の車の名称 ・クロネコヤマトのトラックのように、天井が高く、内部で人間が腰をかがめずに作業できる車種 ・2011年に一般向け車両生産が終了 ・キャンピングカーのような外観 | ・【中古価格】98.8万円~352万円 |

良いところに気が付きましたね。キッチンカーの価格を決めることは、融資を受ける時の「設備資金」を決めることになります。
後ほどご説明しますが、融資を受ける際には「運転資金」と「設備資金」という2種類のお金の計算を書き表した、「創業計画書」という計画書を提出しなければいけません。
運転資金とは、キッチンカーで販売を続けるために必要な電気代や食材の仕入れ代などのコストを言います。
設備資金とは、ビジネスをする上で必要なお店(例、不動産)や機械(例、プレス機)などのことを言います。キッチンカーで融資を受ける場合は、車両購入価格とそれに関わる費用(改装費)が設備資金となります。


2.融資を受けるためのステップ
①キッチンカーで移動販売をするには、どれぐらいのお金がかかるか計算する
融資を受けるには、キッチンカーの車両購入価格と改装費などの費用を決める必要があるとお伝えしました。具体的には、中古車販売店などに問合せをして、見積を取りまくるという作業が必要になります。
但し、キッチンカーでの起業はキッチンカーだけを手に入れればそれで終わりではありません。クレープやたこ焼きを作る材料(食材)を仕入れる費用もかかりますし、ガソリン代、光熱費代など諸々の費用がかかります。

ざっくり言えば、150万円ほどが目安になります。その内訳は、以下の通りです。
保健所等の許可取得費用 (食品衛生管理者資格も必要) | 5万円 |
仕込み・駐車場利用料 (仕込み場所の届出要) | 50万円 |
料理機器購入・販売促進費 | 50万円 |
開業後の運転資金 | 50万円 |
上記の資金を用意せずにいきなりキッチンカー・ビジネスをスタートすると、すぐに資金切れで息切れしてしまう可能性もあります。
キッチンカー開業で失敗しない4つのコツも別の記事でまとめていますので、よろしければ以下の記事もあわせてご覧ください!
キッチンカー(移動販売)で融資を受けよう!開業で失敗しない4つのコツ
②どの金融機関から融資をしてもらうかを検討する
次に、キッチンカー購入のための資金を融資してくれる金融機関を探します。事業融資をしてくれる金融機関としては、都市銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合などがあります。また、最近ではクラウドファンディングで資金調達する方も少なくありません。
しかし、キッチンカーでビジネスをするのがまったく初めての方であれば、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」が最もオススメです。なぜなら、基本的にビジネスがはじめての方でも、無担保・無保証人で2%台という低金利で融資を受けられるからです。


日本政策金融公庫は日本政府が100%出資している金融機関で、もともとは「国民生活金融公庫」という名前で運営されていました。

上記のグラフは、日本政策金融公庫の公式ページで公表されているグラフです。日本政策金融公庫の指名は、創業時や創業後の(個人)事業主へ融資をすることで、日本全体の雇用を増やすことなのです。
公的ではない一般の銀行が相手にするのは、利益を得られるビジネスパートナーのみ。そのため、基本的に大手都市銀行から融資を受けようとするなら、「信用保証付け」といって、第三者の審査を通過しないと、申込みする以前に門前払いをくってしまいます。
【事業融資を受けられる金融機関の種類】
金融機関の種類 | 融資を受けて通過する可能性のある人(例) |
都市銀行(みずほ、三菱UFJ,三井住友など) |
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地方銀行 |
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信用金庫・信用組合 |
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クラウドファンディング |
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日本政策金融公庫 |
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上記は、これから事業融資を受けたい方への資金調達先の候補です。他にも助成金・補助金という選択肢もありますが、助成金・補助金は事業をはじめたあとにアルバイトを正社員化した場合などにもらえるお金なので、今回はカットします。

融資がはじめての人が融資を難しく感じるのは、無理もありません。特殊な学校でなければ、学校の普通科で融資について教えてもらうこともまずないでしょう。
しかし、融資に通るコツは「金融機関に返済できる人間だと思ってもらう」という非常にシンプルなものです。
③金融機関(日本政策金融機関)に提出する書類の種類と申込条件を知る

上記の画像は、日本政策金融公庫の公式ホームぺ^字からダウンロードできる「創業計画書」のフォーマットです。
日本政策金融機関のような金融機関から300~500万円以上の融資を受ける場合、まずは申込書類を準備する必要があります。最も大切かつ作成が簡単ではない書類は「創業計画書」です。(ひとつの事業で2度目の融資の場合や創業後2期を過ぎた場合は事業計画書となります)その他の具体的な書類については、当サイトの以下の記事で詳しくご説明しています。
個人事業主が日本政策金融公庫(公庫)から融資を受ける際の必要書類とは?
また、他の金融機関でもそうですが、日本政策金融公庫で融資に受かるためのひとつの基準として「自己資金」があります。
自己資金とは、事業をする方が事業のためにコツコツと貯めてきた預貯金を言います。ひとつの目安として、融資を受けたい希望額(融資希望額)の10%をお持ちであれば、第一関門としてはクリアでしょう。(500万円借りたい場合は50万円)ただし、事業の経験がない、または浅い場合には、もっと多くの自己資金が必要です。
なぜなら、日本政策金融公庫の融資のスタンスは「事業者が経営に必要な資金の不足分を貸してあげる」というものであり、「事業者が公庫に丸投げ(全額借りる)できるもの」ではないからです。
④日本政策金融公庫に電話をして問い合わせる
必要書類について把握したら、最寄りの支店または開業予定場所に近い日本政策金融公庫に電話で問合せしてみましょう。
事業資金相談ダイヤル:0120-154-505 (平日:9時~17時) |
電話をかけたら、「キッチンカーで販売する事業を始めたくて、融資を受けたいです」というような内容を担当者に伝えます。
電話では、以下の点を聞かれる可能性が高いので、あらかじめ心の準備をしておきましょう。
- これまでのキッチンカーでの事業経験また飲食業での経験
- 自己資金(自分名義の預貯金)はどれぐらいあるのか
- いつ頃事業をスタートしたいのか
- 今現在、クレジットカードなどの借入はどれぐらいあるのか
⑤電話相談や書類準備が問題なさそうであれば、面談日程の調整をしてくれる

面談のスケジュールですが、はじめて電話をして最短で1週間後~10日、休みを挟む場合や繁盛期はそれ以上になる場合もあります。
3.日本政策金融公庫の融資の仲介を「認定支援機関」に依頼することもできる
はじめての融資の場合、「創業計画書をつくったことがない」「経理やったことないから、損益計算書を作れない」といったお悩み事が出てくるかもしれません。
しかし、書類作成を安易に行うと、多くの場合は融資の審査で落とされてしまいます。
そこで、「認定支援機関」という経済産業省に認められた機関を利用して融資にトライされる方もいらっしゃいます。
認定支援機関とは、ひとことで言えば「専門家」です。具体的には、税理士・会計士・弁護士などの肩書と一定の実務経験や研修を受けることで、認められることが可能です。
たた、認定支援機関をして認められながらも、実際に融資の仲介の仕事をあまり経験せずに「相続の相談」が得意分野だという認定支援機関もいたりします。
そのため、融資のサポーターとして認定支援機関を選ぶ際は、融資が得意な認定支援機関を選ぶことが融資の成功率を上げるカギと言えるでしょう。
まとめ
キッチンカーで移動販売をするには、キッチンカーを購入するお金とそれに付随するお金(保健所の許認可取得、仕入れ代金)が150万円ぐらい必要です。
全額を自分のお金で払っていくのは簡単なことではありませんが、日本政策金融公庫の融資を受けるとキッチンカー・ビジネスをスタートするための資金を貸してくれます。
但し、融資では「創業計画書」の提出や自己資金の用意など、満たすべき条件があります。
はじめての融資で不安なのであれば、当サイト(株式会社SoLabo)を始めとする、認定支援機関にご相談ください。SoLaboでは、これまで累計3,700件以上の融資サポート実績に基づき、あなたが融資を受けられるか判断し、適切にサポートいたします。