会社設立の流れとは?どんな手続きがあるのか?

「会社を設立!!」と決めたのはいいものの、何から手をつけたらいいのか、分からないままでは何も進みません。この記事では、会社設立をするための流れや、必要な手続きなど、会社設立に関する基本を紹介します。基本をしっかりと理解し、スムーズに会社設立の手続きを進めていきましょう。

1.会社設立の前に会社の種類を決める

会社には「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4つがあります。なお、以前は「有限会社」と呼ばれる会社もありましたが、平成18年に施行された新会社法により有限会社の新規設立が出来なくなりました。

会社を設立するにあたり、どの種類の会社を設立するのかを決めておく必要があります。

(1)株式会社

株式会社は、株式を発行することで経営資金を確保する会社形態です。株式会社は株式を公開しているか、していないかによって取締役の人数等が異なります。株式を保有する株主は出資者となり、会社に万が一の事があった場合、出資者は出資金の範囲内での有限責任となります。

基本的な経営は取締役が行うことになりますが、最終的な意思決定は株主総会によって決定される形となる、所有と経営の分離が特徴です。

■ 株式会社の設立費用

定款認証手数料 50,000円
定款印紙代 40,000円
定款謄本交付手数料 おおよそ2,000円(1ページ250円)
登録免許税 150,000円または資本金の7/100のいずれか大きい方
242,000円

上記の設立費用はご自身で手続きする場合の費用目安です。司法書士や行政書士などに手続きの代行を依頼する場合には上記の金額とは異なる金額になります。

■ 手続きにかかる期間

おおよそ2週間前後(登記完了まで1週間~10日前後かかります)

■ 株式会社の設立が向いている人

一般的に社会的な信用度が高い傾向にあるため、取引先や顧客からの信用度を高められる場合があります。株式会社以外とは取引をしないという企業も存在するため、BtoBのビジネスを検討されている場合には株式会社が良いでしょう。

(2)合同会社

合同会社は新会社法の施行で新たに設置された会社形態です。会社の所有と経営が同一で、出資者=経営者という形です。出資者全員が有限責任社員となります。会社の業務を執行するためには出資者全員の同意を得ることが前提となります。株式会社のように出資者が別に存在する形ではないため、株主総会などは必要ありません。

■ 合同会社の設立費用

定款印紙代 40,000円
登録免許税 60,000円
100,000円

上記の設立費用はご自身で手続きする場合の費用目安です。司法書士や行政書士などに手続きの代行を依頼する場合には上記の金額とは異なる金額になります。

■ 手続きにかかる期間

おおよそ10日前後(定款認証がないため株式会社よりも日数が短い)

■ 合同会社の設立が向いている人

設立にかかるコストを抑えることができるため、個人事業主の法人成りに向いていると言えます。一方で、合同会社は新会社法の施行に伴い、新しくできた会社形態となるため、株式会社と比較すると認知度の低さから信用度が下がる可能性があります。

また、企業によっては、株式会社でないと取引しないというケースも存在するため、BtoCなど株式会社にこだわりのないビジネスで、設立費用を抑えたいという場合には合同会社が良いでしょう。

(3)合資会社/合名会社

合資会社は、有限責任社員と無限責任社員の両方で構成されるという点が大きな特徴です。有限責任社員は支援者という立場にあり、基本的な経営は無限責任社員が行います。有限責任社員と無限責任社員の双方が必要となることから、会社を設立するためには2人以上必要となります。

合名会社は、無限責任社員のみで構成されている会社形態です。社員のすべてが出資者となります。会社に何かあった時には、すべての社員が責任を負うことになるため、親族など関係性の深い人で構成されているケースがあります。

-有限責任社員と無限責任社員とは-

有限責任社員は、会社に万が一のことがあった場合、出資した金額分で返済責任を負う必要があります。責任を負う範囲が決まっていることから有限責任社員と呼ばれます。

一方、無限責任社員は会社の債務に対して全面的に責任を負う必要があります。会社に万が一の事があり、会社の資産だけでは弁済が困難な場合には、個人の資産を弁済に充てる必要があります。

■ 合資会社/合名会社の設立費用

定款印紙代 40,000円
登録免許税 60,000円
100,000円

上記の設立費用はご自身で手続きする場合の費用目安です。司法書士や行政書士などに手続きの代行を依頼する場合には上記の金額とは異なる金額になります。

■ 手続きにかかる期間

おおよそ10日前後(定款認証がないため株式会社よりも日数が短い)

■ 合資会社・合名会社の設立が向いている人

合資会社・合同会社は株式会社と比較すると設立にかかる費用を抑えることが出来るというメリットがあります。しかし、経営を行う社員は無限責任となるため、会社に万が一のことがあった場合、負債の返済などすべての責任を負う必要があります。そのため有限責任に比べるとリスクが高いと言えるでしょう。「どうしても合資会社・合名会社の設立が良い。」とお考えの方以外は、合同会社での設立を検討してみましょう。

どの種類の会社でも出来る設立コストの削減方法

設立費用に記載されている定款印紙代(40,000円)は紙の定款の場合に必要となります。電子定款を利用する場合は定款印紙代が不要となります。従って、株式会社の場合の設立費用はおおよそ22万2,000円、合同会社・合名会社・合資会社の場合は60,000円となります。

ただし、電子定款を利用する場合には、専用の機器やソフトウェアが必要となるため、機器の準備に費用がかかります。

2.会社設立の流れ

会社設立の流れは設立する会社の種類によって異なります。実際に日本で設立されている会社のほとんどが「株式会社」と「合同会社」となっていますので、ここでは「株式会社」と「合同会社」の会社設立の流れを紹介します。

株式会社設立の流れ 合同会社設立の流れ

(1)設立準備(株式会社/合同会社)

株式会社・合同会社のどちらで会社設立を行う場合でも、会社設立にために準備すべきことがあります。以下の4つの項目を事前に実施しておきましょう。

準備1)商号の決定

商号は会社の名前です。株式会社の場合は〇〇株式会社や株式会社〇〇、合同会社の場合は〇〇合同会社や合同会社〇〇など「〇〇」に該当する部分です。商号は自由に決めることが可能ですが、注意すべき点が3つあります。

注意1:同じ住所に同じ商号が存在する場合は登記が出来ない

同一住所に同じ商号がすでに使用されている場合、その商号を使うことは出来ません。あらかじめ、本店所在地を管理している法務局で、似ている商号がないかどうかの確認をしましょう。

法務省の登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと・供託ねっと」から登記を確認することが出来ます。

注意2:会社法や不正競争防止法等に注意する

会社法第六条では商号について以下のように定めています。

引用:会社法第六条

(商号)

第六条 会社は、その名称を商号とする

2 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。

3 会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)

上記の3に「他の種類の会社であると認識されるおそれのある」とあります。

例えば、銀行業務を行わない企業が「〇〇銀行」など誤解が生じる商号が該当します。このケースでは会社法違反だけでなく、不正競争防止法違反にも該当する可能性がありますので注意してください。

注意3:使用可能な文字や符号には制限がある

商号として使用できる文字は「漢字」「ひらがな」「カタカナ」「ローマ字」「アラビヤ数字」となり、符号は「&」「‘(アポストロフィー)」「,(コンマ)」「.(ピリオド)」「・(中点)」「-(ハイフン)」のみとなります。

また、符号に関しては原則として商号の先頭や末尾に使うことは出来ません。(ピリオドのみローマ字の直後であれば末尾での使用が可)

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準備2)印鑑の作成

商号に問題がないようであれば、会社の印鑑を作成しましょう。会社の印鑑は登記申請で必要となります。また、当期申請時に印鑑の登録も行う必要があります。

■ 会社の印鑑の種類

代表印、銀行印、社印、ゴム印

代表印は会社の実印のことを指し、記申請書の押印時に必要となります。18mmの丸印で作成されることが一般的ですが、特に形状に関する決まりはありません。

銀行印は口座開設時など金融機関に届出と行う際に使う印鑑となり、実印よりも一回り小さめのサイズで作られることが多いです。銀行印を作らずに実印で対応される事もありますが、紛失や盗難などの心配がありますので銀行印を作成しておく方が良いでしょう。

角印は、実印が必要ない書類に使われる印鑑です。こちらも形状に決まりはありませんが、正方形の四角い物が一般的です。代表印・銀行印・社印は3本セットで注文できる場合もあります。

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 準備3)役員報酬額の設定

役員報酬とは、会社の役員に支払われる報酬のことを言います。株式会社の場合、会社の役員は取締役や監査役など、いわゆる経営陣と呼ばれる人たちが役員に該当することになります。

一方、合同会社の場合、代表社員や業務執行社員の報酬が役員報酬に該当します。役員報酬にはルールがあり、会社設立から3ヶ月以内に設定しなければなりません。そのため、事前に役員報酬を決めておくとスムーズに会社設立を行うことが出来ます。

-役員報酬を決める際のポイントー

役員報酬は、報酬金額の設定によって法人税額に影響を与えます。そのため、「経費算入が可能な形をとる」という事がポイントです。

役員報酬を経費算入するためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

条件1:報酬金額が妥当であること 条件2:法人税法に従った支払い方法にしていること 条件3:役員報酬額、支払い方法の変更は一定のルールに基づいて行うこと

支払いに関する法人税法のルールとして、以下の3つのいずれかの形をとる必要があります。

定額同額給与 毎月同じ金額の給与が支払われる
事前確定届出給与 決められた時期に支払う給与。事前に誰にいつ支払うかを税務署に届ける必要がある。
利益連動給与 利益が出た場合に支払われる給与。(同族会社は対象外となり一定の要件を満たす必要がある)
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準備4)資本金額の決定

平成18年5月に新会社法が施行され、最低資本金額(株式会社が1,000万円以上、有限会社が300万円以上)が撤廃されました。

最低資本金額撤廃により、資本金1円から会社設立が可能となりました。とは言え、資本金1円で会社をスタートさせることは現実的ではありません。その理由は資本金が何かを理解しておく必要があります。

資本金=業務遂行のための資金

株式会社の資本金は「株式と交換して集めた資金」、合同会社の資本金は「出資者から集めた資金」となり、会社の業務に使うことができる資金となります。と、考えると1円で業務を行うことは現実的ではありません。

-資本金額の決め方-

資本金を決める際には「3ヶ月程度の運転資金額+開業資金」や「税金負担」を意識することが大切です。

また、あまりにも低い金額で設定してしまうと、体力のない会社という見方をされる可能性があり、会社の信用にも影響が出ます。特に、企業を相手にしたBtoBビジネスの場合には、取引先が会社の資本状況を確認し、信用できる会社かどうかの判断をすることがあるため、資本金額が事業に影響が出る可能性もあります。

ご自身の事業の状況に合わせて、最適な資本金額をしっかりと検討しましょう。

資本金を決める際には以下の3つのルールを理解しておきましょう。

ルール1:金額は1円以上 ・設定した金額が実際にないと登記できない ・現金以外での出資も可(現物出資)

※資本金は現物出資という方法をとることも可能です。現物出資についての詳細は下記をご覧ください。

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(2)定款作成(株式会社/合同会社)

定款は会社を運営する上で、必要となるルールや規則のことを言います。会社の憲法という呼ばれ方をすることがあります。定款には必ず記載しなければいけない絶対的記載事項があります。株式会社と合同会社の絶対的記載事項は以下の通りです。

【株式会社の絶対的記載事項】 【合同会社の絶対的記載事項】
  • 商号
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  • 発起人の氏名又は名称及び住所
  • 発行可能株式総数
  • 商号
  • 事業目的
  • 本店所在地
  • 出資社員の氏名・住所
  • 出資社員の会社債務への責任について
  • 出資金もしくは現物出資の内容

上記以外に、相対的記載事項(決定した場合に定款に記載する必要がある項目)・任意的記載事項(定款への記載は自由)など必要に応じて記載する項目があります。

定款の作成方法は下記サイトに詳しい作成方法、雛形が掲載されています。是非、ご確認ください。

inQup「合同会社の定款作成法:穴埋めするだけで作れる雛形と項目の解説

(3)定款認証(株式会社)

株式会社を設立する場合には、作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があります。定款認証を行う公証役場は、会社の本店所在地を管轄する公証役場です。

管轄の公証役場は日本公証人連合会ホームページから検索することが出来ます。

日本公証人連合会「公証役場一覧」

■  事前チェック可能ならチェックしてもらいましょう。

公証役場で定款認証を行う前に、定款をチェックしてもらうことが出来るケースがあります。(事前に定款認証を行う公証役場に確認してください。)もし、チェックしてもらうことができるようであれば、事前に確認してもらうことで手続きがスムーズになります。

■  定款認証時の必要書類

公証役場で定款認証をしてもらう場合には、以下の書類等が必要となります。

【必要書類】
  • 定款3通
  • 発起人全員の印鑑証明 各1通
  • 謄本交付手数料:250円×ページ数(おおよそ2,000円程度)
  • 収入印紙(40,000円)
  • 公証人への手数料(50,000円)
  • 代理人が定款認証を行う場合は委任状

(4)資本金の振込(株式会社/合同会社)

定款作成・定款認証が完了したら資本金の払込を行います。

1:個人口座の準備→2:資本金の振込→3:通帳コピー→4:振込証明書の作成→5:通帳コピーと振込証明書をまとめる

① 個人口座の準備

会社の口座(法人口座)の開設は会社が設立した後となるため、資本金振込時は会社の口座が無い状態です。そのため、発起人となる方の個人口座を準備する必要があります。

会社設立後、法人口座を開設したら、資本金はそちらに移すことになりますので、個人口座を新たに開設する必要はありません。発起人が複数いる場合には、誰の口座に振り込むかを決めておきましょう。

② 資本金の払込

振込先となる口座が決まったら、その口座に資本金・出資金を振込ます株式会社の場合には、定款認証をした日以降に振り込みをする必要があります。

-振込時の注意点-

口座残高をそのまま資本金・出資金にすることは出来ない

資本金は、発起人がきちんと振込をしているということを証明する必要があります。そのため、口座の所有者の方も、改めて振込する必要があります。

振込をした人と発起人(出資者)が一致していること

定款には発起人や出資者の氏名を記載しています。資本金や出資金の振込を行った方が発起人や出資者と同じであることが証明できるようするために、発起人・出資者の個人口座から振込をしてもらいましょう。

③ 通帳コピー

通帳コピーは通帳の表紙、1ページ目、振込の記載があるページのコピーを取ります。

④ 払込証明書の作成

払込証明書は以下のような形で作成し、会社の代表者印(会社の実印)を押印します。

株式会社と合同会社の振込証明書イメージ図

⑤ 通帳コピーと振込証明書をまとめる

通帳コピーと振込証明書を図のようにまとめて左端をホチキスで止めます。

振込証明書と通帳コピーのまとめ方

ページのつなぎ目に契印を押しておきましょう。

契印

会社設立が完了し、法人口座を開設したら、すみやかに資本金を法人口座に移しましょう。

(5)登記書類の準備(株式会社/合同会社)

資本金の振込が完了したら、いよいよ会社を設立するための登記申請です。登記申請を行うためには登記書類の準備が必要です。

■  株式会社の登記申請書類

  • 登記申請書
  • 登録免許税の収入印紙を貼付したA4用紙
  • 登記すべき事項を保存したCD-R,DVD-R
  • 定款
  • 就任承諾書※
  • 振込を証明する書面
  • 印鑑届出書
  • 取締役全員の印鑑証明書※2

※ 就任承諾書は、取締役が複数いる場合は「代表取締役就任承諾書」「取締役就任承諾書」を準備する。監査役を設置する場合には「監査役就任承諾書」が必要。
※2 取締役会を設置する場合は、代表取締役の印鑑のみ

■  合同会社の登記申請書類

  • 合同会社設立登記申請書
  • 登記用紙と同一の用紙
  • 定款2部
  • 払込証明書
  • 印鑑届出書
  • 代表者印の印鑑証明書
  • 代表者印就任承諾書※
  • 本店所在地及び資本金決定書※2

※ 定款に代表者印を実名で記載している場合には不要です。
※2 定款の本店所在地が最小行政区画(市区町村)ではなく住所を最後まで記載している場合には不要です。(例:東京都〇〇区〇〇一丁目1番1号)

下記サイトに詳しい作成方法、雛形が掲載されています。是非、ご確認ください。

inQup「株式会社設立|初めての人でも1週間で会社を作り起業する為の全手順

inQup「合同会社の設立に必要な書類のリストとそれぞれの書類の作成手順

(6)登記申請(株式会社/合同会社)

登記に必要な書類の準備ができたら、いよいよ登記申請です。登記申請は、株式会社の場合は代表取締役が、合同会社の場合は代表社員が手続きを行います。登記申請は会社の本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。

管轄の法務局は法務局のホームページから確認することが出来ます。

法務局ホームページ「管轄のご案内」

手続きの方法は「法務局窓口(商業登記)」「郵送」「オンライン」のいずれかの方法で行うことが出来ます。どの方法で登記申請を行ったとしても、不備がなければ1週間~10日程度で登記が完了します。

■ 登記申請の2つの注意点

注意点1:登記申請日=設立日

登記申請日が会社の設立日となります。設立日は会社の誕生日となるため、思い入れのある日に設定したいなどの希望もあると思います。希望日がある場合には、その日に登記申請を行いましょう。

だたし、土日、祝日は法務局がお休みとなるため登記申請はできませんので注意してください。

注意点2:登記申請は振込証明書作成日から2週間以内に行う

会社の登記は、第三者が取引を行う際に、取引に必要となる重要事項を公にすることで取引の透明性の確保などを目的としています。そのため、設立登記は会社の義務となっており、登記内容に変更があった場合にはその都度登記申請を行う必要がります。

設立登記は、振込証明書作成日より2週間以内に手続きを行うことが義務付けられており、期間内に申請を行わないと、登記申請後に100万円以下の罰金を取られる可能性があります。

3.設立登記後の手続き

登記が終わったら会社設立が完了!というわけではありません。手続きを行う場所ごとに届出書類・期限をまとめてご紹介します。「必須」と表示のあるものは必ず提出が必要です。それ以外は必要に応じて手続きを行います。

(1)税務署で行う手続き

届出書類 期 限 備 考
法人設立届出書(必須) 設立日(登記申請日)から2ヶ月以内 【添付書類】

  • 定款コピー
  • 株主名簿(株式会社)
  • 設立時貸借対照表
給与支払い事務所等の解説届出書(必須) 設立日(登記申請日)から1ヶ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 適用を受ける月の前月末日まで
青色申告の承認申請書 設立日(登記申請日)から3ヶ月以内または最初の事業年度の末日のいずれか早い方
棚卸資産の評価方法の届出書 設立1期目の確定申告期限まで
減価償却資産の償却方法の届出書 設立1期目の確定申告期限まで

※届出書類をクリックすると雛形をダウンロードすることが出来ます。

税務署で行う手続きは主に国税に関する手続きとなります。提出先税務署は本店所在地を管轄する税務署となります。管轄の税務署は国税庁HPより確認することが出来ます。

国税庁HP「国税庁・税務署を調べる

(2)都道府県・市町村で行う手続き

届出書類 期 限 備 考
法人設立届出書(必須) 東京23区は設立日から15日以内、それ以外は1ヶ月以内(都道府県や市町村によって異なる可能性があります。) 【添付書類】

  • 定款コピー
  • 登記事項証明書 等

※必要書類に関しても事前に確認をお願いします。

都道府県・市区町村で行う手続きは「地方税」のための手続きとなります。そのため、都道府県の税事務所と市町村の役所で手続きを行う必要があります。

(3)年金事務所で行う手続き

届出書類 期 限 備 考
健康保険・厚生年金保険新規適用届(必須) 設立日から5日以内※ 【添付書類】

  • 登記事項証明書
  • 賃貸借証明書のコピー
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 加入要件を満たした日から5日以内
健康保険被保険者(異動)届 事実発生日から5日以内

※健康保険・厚生年金保険新規適用届は登記事項証明書の提出期限については「設立日の5日以内」と記載しましたが、登記が完了しないと登記事項証明書を取得することが出来ません。従って、登記完了後、登記事項証明書を取得したら速やかに手続きを行うようにしましょう。

新規適用届などの届出書類は日本年金機構HPから書式のダウンロードが可能です。

健康保険・厚生年金保険新規適用届

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

健康保険被保険者(異動)届

(4)労働基準監督署・ハローワークで行う手続き

会社を設立する際に、従業員を1人でも雇用する場合には、労働基準監督署、ハローワークで以下の手続きを行う必要があります。

■ 労働基準監督署

届出書類 期 限 備 考
労働保険 保険関係成立届 従業員を雇用した日から10日以内 【添付書類】

  • 登記事項証明書
労働保険 概算保険料申告書 従業員を雇用した日から50日以内

■ ハローワーク

届出書類 期 限 備 考
雇用保険 適用事業所設置届 雇用保険の加入要件を満たした日から10日以内 【添付書類】

  • 労働保険関係成立届事業主控
  • 労働保険概算保険料申告書事業主控
  • 登記事項証明書
  • 事業実態が確認できる書類
雇用保険 被保険者資格取得届(被保険者1人につき1枚) 資格取得の事実があった日の翌月10日まで 【添付書類】

  • 労働者名簿
  • 出勤簿もしくはタイムカード(入社時から直近まで)
  • 賃金台帳もしくは給与明細(入社時から直近まで)
  • 労働条件通知書

4.会社設立の手続きは自分でやる?専門家に依頼する?

株式会社や合同会社など会社設立に関する手続きはご自身で行うことも可能ですが、手続きを専門家に依頼することも可能です。ご自身で会社設立の手続きを行った場合と専門家に依頼した場合の違いを把握しておきましょう。

(1)会社設立を自分で行う場合

会社設立の手続きをすべてご自身で行う場合には、ここで紹介した会社設立の流れをすべてご自身で進めることになります。ご自身で会社設立を行うメリットは、専門家に支払う報酬がかからないという点です。一方、デメリットとしては手続きが煩雑なため時間がかかる可能性があるという点です。

■ 会社設立を自分で行った場合にかかる費用

会社設立をご自身で全て行った場合、設立登記にかかる費用は株式会社は約242,000円、合同会社・合資会社・合名会社は約100,000円となります。

(2)会社設立を専門家に依頼する場合

会社設立を専門家に依頼する場合、メリットは手続きを任せることができるという点です。デメリットは報酬が発生するため、場合によってはご自身で手続きを行うよりもコストがかかる可能性があるという点です。

「場合によって」と記載した理由は、株式会社設立で専門家が電子定款認証を利用した場合、設立登記にかかる実費が40,000円(定款印紙代)少なくなります。報酬金額が40,000円よりも少ない場合には、専門化に依頼した方がコストを抑えれる可能性もあるからです。

また、会社設立を専門家に依頼する場合には、専門化によって出来る事と出来ない事があるということも把握しておきましょう。

登記手続きを依頼するなら「司法書士」

司法書士は登記や供託の代理を行うことが出来ます。会社を設立するための登記手続きの代行ができるのは司法書士のみとなります。登記手続きに必要な書類作成、登記手続きをすべて依頼することが可能です。

司法書士に依頼すると、登記に関する手続きはすべて任せることができるので、短期間で会社設立を完了することが出来ます。

■ 司法書士の報酬相場

2万円~10万円(事務所によって異なる)

株式会社設立で電子定款を使用した場合は、おおよそ22万円~34万円の費用がかかることになります。

許認可の取得手続きを一緒に依頼するなら「行政書士」

行政書士は官公庁に提出する許認可等の書類作成や提出の代行を行うことが出来ます。会社設立に関して行政書士に依頼できる部分は定款の作成、許認可の申請手続き代行となります。

設立する事業が許認可の必要な事業を行う場合は、会社設立に関する書類作成と許認可の申請手続きを一緒に依頼することが出来ます。

ただし、登記手続きはご自身で行うか司法書士に依頼する必要がありますので注意してください。

■ 行政書士の報酬相場

1万円~10万円(事務所によって異なる)

株式会社設立の場合、おおよそ25万円~34万円の費用がかかることになります。

会社設立後の税務手続きも依頼するなら「税理士」

税理士は税金の申告や申請、税務書類の作成を主としています。会社設立に関しては、書類作成をサポートすることは可能ですが、登記手続きは司法書士の専門業務となるため、登記手続きはご自身で行うか司法書士に依頼する必要があります。

ただし、会社設立後の税務に関する書類作成や手続き代行を依頼することは可能です。また、会社の節税対策や資金調達に関してのサポートも依頼したいという場合には、税理士に相談することも一つの方法です。

■ 税理士の報酬相場

会社設立に関する報酬の相場は3万円~5万円(事務所によって異なる)

ただし、会社の税務に関するサポートを依頼する場合には顧問契約などが必要となる可能性があります。

まとめ

会社を設立するためには様々な手続きが必要であることをご理解いただけましたでしょうか?あらためて、会社設立に関する手続きを登記前・登記後に必要な手続きをまとめておきます。

登記前に行う事

内 容 手続場所
商号確定のための類似商号調査 法務局
会社の印鑑作成 販売店
役員報酬決定
資本金額決定
定款作成
定款承認(株式会社のみ) 公証人役場
資本金振込 金融機関
設立登記申請(設立日となる) 法務局

登記完了後に行う事

内 容 手続場所
登記事項全部証明書/印鑑証明書の取得 法務局
法人設立届出書 税務署/都道府県税事務所/市区町村役所
健康保険・厚生年金保険新規適用届 年金事務所
法人口座開設 金融機関
労働保険 保険関係成立届(必要に応じて) 労働基準監督署
雇用保険 適用事業者設置届(必要に応じて) ハローワーク

会社設立に関する手続きは、ご自身で行うことも専門家に依頼することも可能です。専門家に依頼する場合には、依頼したい内容を明確にし、報酬額をしっかりと確認してから依頼するようにしましょう。

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