ファクタリングとは事業者が保有している売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に手数料を支払うことで買い取ってもらい、通常の支払いよりも短期間で現金を受け取ることが出来る資金調達方法です。
ファクタリングは資金繰りが苦しい中でも、社員の給与などを担保するために現金が必要な経営者に重宝する仕組みです。短期間で手元に現金を得られる分、売掛金の10%前後と高い手数料がかかる資金調達方法です。
そこで今回は、ファクタリングの概要、メリットとデメリット、現金化までの具体的な手段について解説します。
資金調達のために銀行などの金融機関からの融資を利用する場合、審査や手続きは最短でも1か月かかってしまいます。資金調達が間に合わない方で、売掛金がある方は、ファクタリングで資金調達する方法も検討してみましょう。

目次
1.ファクタリングの定義と2つの契約方法
ファクタリングは売掛債権を利用した資金調達の方法です。買取と保証の2つのタイプがありますが、金融機関からの融資とは異なり返済の必要はありません。
-ファクタリングを検討する前に注意してもらいたいこと-ファクタリングの利用には手数料が発生します。未回収の売掛金が100万円ある場合、入金日を待てば100万円が振り込まれます。 しかし、ファクタリングを利用すると手数料を差し引いた金額がファクタリング業者から入金されます。本来の売上金よりも低い金額が入金されることになるため、注意しましょう。 ファクタリングは契約方法によって手数料が異なりますが、金融機関からの融資と比較すると手数料は高くなります。
事業用資金での資金調達は、時間に余裕がある場合は、日本政策金融公庫や民間の金融機関などの融資の利用をおすすめします。 |
(1)「買取」と「保証」2つのタイプのファクタリング
ファクタリングには「買取」と「保証」の2つのタイプがあります。
「買取ファクタリング」は、売掛債権などをファクタリング会社に売却し、手数料を引いた金額が入金されます。売掛金等の入金日よりも早く現金を手にすることができます。
「保証ファクタリング」は、売掛先の信用力が低い場合に貸し倒れのリスクを防ぐことを目的としています。売掛先が倒産してしまった場合、未回収の売掛金をファクタリング会社が保証する代わりに、その対価として保証金を支払うという方法です。
一般的に用いられているファクタリングの多くは「買取ファクタリング」に該当するため、この記事では買取ファクタリング(以下、ファクタリング)について詳しく記載していきます。
ファクタリングの種類
売掛債権の買い取りによるファクタリングは「一括ファクタリング」という種類に該当します。一括ファクタリング以外にも、商品在庫ファクタリング、家賃収入ファクタリング、医療報酬ファクタリング、国際ファクタリングなど様々な種類があります。
ファクタリングの種類 | 買取の対象 |
一括ファクタリング | 売掛金などの翌月以降の未回収債権 |
商品在庫ファクタリング | 商品在庫 |
家賃収入ファクタリング | 翌月以降の家賃収入 |
医療報酬ファクタリング | 医療報酬 |
国際ファクタリング | 海外の取引先の売掛金等 |
2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社の2社間でファクタリング契約を行います。2社間ファクタリングの大きな特徴は、取引先にファクタリングを利用していることを知られずにすむという点です。
ただし、2社間ファクタリングは次に説明する3社間ファクタリングと比較して、手数料が高いです。(平均手数料10.0%~20.0%)
「ファクタリングを利用したいがファクタリングで資金調達したことを顧客に知られたくない」という場合は、手数料が高くなりますが、2社間ファクタリングを選ぶと良いでしょう。ただし、手数料が高いということをしっかりと理解し、一時的な利用にとどめましょう
。繰り返し利用することはキャッシュフローを悪化させる原因となります。
3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社、取引先の3社間でファクタリング契約を行います。3社間ファクタリングは、取引先からのファクタリング利用に関する承諾が得られているという点で、信頼が担保されています。そのため、2社間ファクタリングよりも手数料が低い(平均1.0%~9.0%)という特徴があります。どうしてもファクタリングを利用しなかればならず、手数料は抑えたいという場合には、3社間ファクタリングを選びましょう。
一方で、取引先にファクタリングを利用していることを知られると「資金繰りに困っている会社」と判断され、取引が渋られる場合もあるので注意が必要です。
-ファクタリング利用時に覚えておくべき「償還請求権(リコース)」について-
ファクタリングでは、売掛先の倒産などによってファクタリングの対象となった売掛金が回収できない場合に、未回収の売掛金をファクタリング利用者とファクタリング会社のどちらが負担するのかという問題があります。
償還請求権とは、売掛先の倒産などにより買い取った売掛債権が回収できない場合に、ファクタリング会社がファクタリング利用会社に、未回収の売掛債権を請求する権利のことを言います。
ファクタリングには「ノンリコース(償還請求権なし)」と「リコース(償還請求権あり)」の2つがあります。リコースのファクタリングの場合、手数料が低い傾向にあります。日本のファクタリングはノンリコースが多いですが、ファクタリング契約を結ぶ前にノンリコースかリコースかの確認をしっかりと行っておきましょう。
2.ファクタリングの条件
ファクタリングを行うための条件は、大きく分けて2つあります。
1)売掛先が法人であること
ファクタリングを利用する場合には、売掛先が法人であることが第一条件です。個人事業主の場合はファクタリングが出来ないケースもあります。
売掛金の信用度の低さや個人事業主自体の信用度の問題で、結果的に審査に落ちてしまう可能性が高い為、一般的には法人でなければファクタリングを利用することは難しいでしょう。
2)断続して売掛金が入ってくること
ファクタリングで資金を調達するための前提として、断続して売掛金がないとファクタリングを行うことはできません。最低でも3~6ヵ月ほど断続して取引している会社の売掛金がないと審査に通らない可能性が高くなります。
3.現金化までの期間と限度額
期 間
ファクタリングを利用して現金化までにかかる期間は、2社間と3社間で異なり、2社間の場合は平均して2日~1週間、審査が通ってしまえばスムーズに進むため、ファクタリング会社によっては申し込んだその日に入金、ということもあります。
3社間の場合は、取引先とのやり取りが間に入るために、2社間よりは少し長く、1~2週間が平均とされています。
現金化までの期間は、ファクタリング会社との契約内容によっても変わってくるのでご注意ください。
限度額
限度額はファクタリング会社によって大きな違いがあり、1,000万円と設定されている会社もあれば、3億円と設定している会社もあります。
しかし、ここで注意してほしい点が、1社あたりの限度額なのか、1契約あたりの限度額なのか、ということです。
1社あたり1,000万円の限度額であれば、複数社の売掛金を同時にファクタリング利用することで、1,000万円以上の資金調達が可能となります。1契約あたり1,000万円の限度額であれば、複数社の売掛金を同時にファクタリング利用することが出来たとしても、合わせて1,000万円以内に抑えなければならなくなります。
限度額の設定が「1社」なのか「1契約」なのかによって大きく変わってくるため、契約の前に確認するようにしましょう。
4.ファクタリングのメリットとデメリット
ファクタリングの基本的な概要を解説しましたが、メリットとデメリットも必ず確認しておきましょう。
1)メリット
①通常の入金よりも 短期間で売掛金を現金化可能
前もって申込に必要な書類の準備、希望条件や希望金額を明確にしておくことで、数日で現金化できることもあり得ます。早めに資金調達したい方にとってはメリットと言えるでしょう。
②取引先に知られないで売却金を売却できる
2社間ファクタリングの場合、自社とファクタリング会社のみの取引になるので取引先に知られずに資金調達でき、取引先に資金繰りが悪いという印象を持たれずに取引を行うことが可能になります。
③ キャッシュフロー(資金繰り)の改善
ファクタリングを利用することによりキャッシュフロー(資金繰り)を改善できるケースもあります。お金を借りて資金調達する場合には、負債計上されますが、ファクタリングは、借入ではなく、債権の売却ですので、負債に計上されることはありません。そのため、貸借対照表がスリム化するという考え方もできます。
ファクタリングを利用した場合、企業がどのような仕訳をするのかは、下記サイトでご確認ください。
④借り入れではない
ファクタリングを使った資金調達は、融資ではなく売掛金の売買であるため負債にならず、信用情報への影響もありません。ファクタリングを使うことで信用情報に傷がつかないためファクタリングを利用した後でも、融資を利用することができる場合があります。
また、ファクタリングの場合には、自社に担保請求されないため、他の融資と比較して資金調達がしやすくなります。
⑤ 売掛金 ( 取引先 ) が倒産しても支払い義務は発生しない
万一取引先が倒産し、売掛金の入金が無くなった場合でもファクタリングを「償還請求権なし」で契約していれば、支払い義務は発生しません。取引先の倒産リスクは、ファクタリング会社が負うこととなります。
※支払い義務が発生しないのは「償還請求権なし」の契約をしている場合です。償還請求権とは、ファクタリング利用した際に、利用期間内に取引先が倒産した場合、売掛金の支払い義務を自社が負うという仕組みになります。
償還請求権についての詳細は、下記サイトをご参照ください。
⑥ 赤字、債務超過でも利用できる可能性がある
ファクタリングはあくまで売掛金の売却であるため、ファクタリング会社に資金を支払うのは取引先であるという区分になります。そのため、会社に売掛金があれば、赤字や債務超過している場合であってもファクタリングを利用することが出来るケースがあります。
⑧ 手数料は消費税が非課税である
消費税の法律では「金銭債権の譲渡」について消費税は非課税取引と決められています。そのため、売却金を譲渡(売却)するファクタリング取引も、金銭債権の譲渡に当たるため、手数料に消費税は発生しません。
2)デメリット
① 売掛金以上の資金調達は出来ない
基本的に会社の支払い能力を超える額の利用は出来ません。売掛金以上の資金が必要な場合、日本政策金融公庫等を利用した公的融資や銀行融資で借入等のサービスを利用する必要があります。
売掛金の範囲内で利用するようにしましょう。
② 事業融資と比較すると手数料が高い
一般的に銀行などの金融機関から融資を受けるよりも手数料が高くなります。ファクタリングの手数料の相場は5~20%くらいです。売却する売掛金の額に5~20%を乗じて計算します。
下記の表にて、50万円を例に年利(返済期間6カ月)と、ファクタリングの手数料をそれぞれ5%として計算した場合のそれぞれの支払う金額について比較した表です。表を見てもわかる通り手数料が5~20%というのは、かなり高額と言えるでしょう。


③ 分割で支払うことが出来ない
基本的には入金されてくる売掛金の金額を分割で支払うことが出来ません。売掛金の入金が見込まれた上でファクタリングを行うので、一括での返済になります。
④ 3社間取引先を利用した場合にはバレてしまう
ファクタリング会社との2社間で行う場合、取引先にファクタリングの利用がバレることはありませんが、3社間で行う場合は、取引先にバレてしまいます。売掛先(取引先)に資金調達したことがバレてしまった場合に会社の経営力を疑われ、今後の取引を断られてしまうこともあるかもしれません。
5.ファクタリングを利用するための具体的な流れ
ファクタリングを利用するためには、まずは利用したいファクタリング会社への相談から始めます。
一般的には、電話・メール・WEBにて相談の対応を行っている会社が多数です。相談の際に、売掛金・取引先・必要な金額・現金化の希望期日、等を伝えておくとその後がスムーズに進みます。相談後に申し込みを行いますが、申し込み後に必要となる書類の準備を前もって確認しておきましょう。書類の提出後、ファクタリング会社による審査が始まり、審査が通った後に契約書を交わした本契約へと進みます。
ファクタリング会社によって必要書類は異なりますが、一般的に必要とされている書類は表のとおりです。
ー必要書類ー
|
6.悪徳ファクタリング業者の見分け方
大手の業者から民間の業者まで、現在では数多くのファクタリング業者が存在するため、中には悪徳なファクタリング業者も存在するのが現実です。悪徳ファクタリング業者を見分けるポイントとして、以下のことに気を付けましょう。
金融庁のサイト内でも「違法な金融業者にご注意!」という注意喚起があり、ファクタリングを装ったヤミ金融の可能性について触れています。
- 直接会ったり面談を行わない業者
- 振込の口座名が会社名と異なる業者
- 携帯電話でのやり取りを提案してくる業者
ファクタリング会社を利用する前に、ネットユーザーの口コミを見ておくことも重要です。実際の利用者からの評判が役立ち、ファクタリング会社選択の近道にもなります。
大手メガバンクと提携しており手数料も抑えられるOLTA
OLTAクラウドファクタリングは手数料が2.0%~9.0%で資金調達ができます。
当サイトはOLTAと提携してます。質問や相談だけでも問題ありませんでの、以下の問い合わせフォームからお問い合わせください。

まとめ
今回はファクタリングの概要とそのメリットとデメリットについてご説明しました。
ファクタリングは本来の売上から手数料が引かれて入金されます。繰り返し利用するとキャッシュフローが悪化し、金融機関からの融資なども難しくなる可能性があります。
事業用資金の資金調達は、時間が許すのであれば、日本政策金融公庫や民間の金融機関などから計画的に融資を受け方が金利が安くすむ傾向があります。
計画的に資金調達の施策を考えていきましょう。