自己資金なしの場合は日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのか?

飲食店や美容室など、独立開業を目指している人の中には、日本政策金融公庫から創業融資を受けることを検討している人もいますよね。その際、自己資金なしの場合は日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのかどうかを知りたい人もいるのではないでしょうか。

当記事では、自己資金なしの場合は日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのかどうかを解説します。自己資金の目安も解説するため、自己資金なしの場合は日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのかどうかを知りたい人は参考にしてみてください。

自己資金なしの場合は創業融資を受けられない可能性がある

自己資金なしの場合は日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があります。とくに、自己資金ゼロの人は所定の審査に通らず、創業融資を受けられない可能性があるため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人はその前提を踏まえておきましょう。

創業融資における自己資金とは、事業に使用する予定の資金のことです。事業に使用する予定のない資金は原則として自己資金に含まれず、創業融資における自己資金は運転資金や設備資金などの事業に使用する予定の資金を指しています。

そして、自己資金は日本政策金融公庫の担当者が融資の可否を決める判断材料のひとつです。融資の可否は申込者の情報から総合的に判断されますが、自己資金は融資の可否を決める判断材料のひとつになるため、自己資金ゼロの場合は審査にマイナスの影響を与えます。

実際、日本政策金融公庫の担当者に「自己資金が少ないのですが、自己資金がない人も創業融資を受けられますか?」と質問したところ、「自己資金がない人も申し込めますが、自己資金があるほうが望ましいです」という回答でした。

自己資金ゼロの人は所定の審査に通らず、日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があります。日本政策金融公庫から創業融資を受けるならば、自己資金があるほうが望ましいため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人は留意しておきましょう。

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日本政策金融公庫から融資は受けられる?
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創業者向けの融資制度の場合は自己資金に関する要件がない

日本政策金融公庫の創業者向けの融資制度の場合、自己資金に関する要件はありません。自己資金は融資の可否を決める判断材料のひとつですが、融資制度の要件としては定められていないため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

日本政策金融公庫の創業者向けの融資制度は「新規開業・スタートアップ支援資金」です。新規事業を始める人や事業開始後おおむね7年以内の人が対象となるため、日本政策金融公庫から創業融資を受ける場合は選択肢のひとつとして検討することになります。

そして、日本政策金融公庫の公式サイトにある「新規開業・スタートアップ支援資金」には、「創業資金総額の1/10以上の自己資金」などの自己資金に関する内容は記載されておらず、融資制度の要件としては定められていないことが分かります。

創業者向けの融資制度となる「新規開業・スタートアップ支援資金」には、自己資金に関する要件はありません。自己資金はあるほうが望ましいですが、融資制度の要件としては定められていないため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

以前は自己資金に関する要件があった

無担保無保証人による創業融資を希望する場合、以前は自己資金に関する要件を満たしている必要がありました。現在とは異なる点となるため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は予備知識として覚えておきましょう。

無担保無保証人による創業融資を希望する場合、以前は「新創業融資制度」を併用する必要がありました。「新創業融資制度」を利用するには、「創業資金総額の1/10以上の自己資金」という要件を満たさなければならず、自己資金を貯めるときの目安となっていました。

しかし、「新創業融資制度」は令和6年3月31日に廃止されました。「新創業融資制度」は日本政策金融公庫を代表する融資制度でしたが、令和6年3月31日に取り扱いを終了し、現在は「新規開業・スタートアップ支援資金」として生まれ変わった背景があります。

新創業融資制度の廃止により、現在は自己資金に関する要件がなくなりました。自己資金はあるほうが望ましいですが、以前よりも日本政策金融公庫を検討しやすい状況になったと言えるため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は予備知識として覚えておきましょう。

なお、日本政策金融公庫の新創業融資制度に関する情報が知りたい人は「取り扱いを終了?日本政策金融公庫の新創業融資制度を解説」を参考にしてみてください。

創業融資における自己資金の目安は2割から3割と言われる

創業融資における自己資金の目安は創業融資金総額の2割から3割と言われます。必要となる自己資金は一概に言えませんが、創業融資金総額の2割から3割を目安とする考え方があるため、まずは日本政策金融公庫総合研究所による調査結果を確認してみましょう。

【日本政策金融公庫総合研究所による新規開業実態調査のアンケート結果】

参照元 開業時の資金調達額の平均 平均調達額に占める自己資金の割合
2020年新規開業実態調査 平均1,194万円 22.2%(平均266万円)
2021年新規開業実態調査 平均1,177万円 23.9%(平均282万円)
2022年新規開業実態調査 平均1,274万円 21.3%(平均271万円)
2023年新規開業実態調査 平均1,180万円 23.8%(平均280万円)
2024年新規開業実態調査 平均1,197万円 24.5%(平均293万円)
2025年新規開業実態調査 平均1,219万円 22.9%(平均279万円)

※日本政策金融公庫総合研究所の「新規開業実態調査」をもとに株式会社SoLabo(ソラボ)作成

たとえば、日本政策金融公庫総合研究所の「2024年新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」によると、平均調達額に占める自己資金の割合は24.5%でした。あくまでも同調査の結果ですが、平均調達額に占める自己資金の割合は約2割ということが分かります。

また、日本政策金融公庫総合研究所の「2025年新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」によると、平均調達額に占める自己資金の割合は22.9%でした。あくまでも同調査の結果ですが、平均調達額に占める自己資金の割合は約2割ということが分かります。

日本政策金融公庫総合研究所の調査結果を踏まえ、創業融資における自己資金の目安は2割から3割とする考え方があります。独立開業の条件は申込者ごとに異なるため、必要となる自己資金は一概に言えませんが、自己資金の目安が知りたい人は参考にしてみましょう。

創業資金総額から自己資金を引いた金額を借り入れることになる

日本政策金融公庫から創業融資を受けるならば、原則として創業資金総額から自己資金を引いた金額を借り入れることになります。創業資金総額と自己資金の差分を借り入れることになるため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

創業資金総額とは、創業時に使用する予定の資金総額のことです。「店舗内装費や機械購入費などの設備資金」や「人件費や原材料費などの運転資金」を含めた資金総額となるため、創業資金総額は創業時に使用する予定の合計資金を指しています。

そして、原則として創業資金総額から自己資金を引いた金額を借り入れることになるため、「自己資金の何倍まで借りられるのか?」を考えるのではなく、「創業資金総額から自己資金を引いた金額はいくらなのか?」を考えることがポイントになります。

【創業資金総額から考える借入額の目安】

創業資金総額 自己資金 借入額
創業資金総額500万円 自己資金100万円 借入額400万円
創業資金総額800万円 自己資金200万円 借入額600万円
創業資金総額1,000万円 自己資金300万円 借入額700万円
創業資金総額1,400万円 自己資金400万円 借入額1,000万円
創業資金総額2,000万円 自己資金500万円 借入額1,500万円

たとえば、「創業資金総額500万円」「自己資金100万円」の条件だった場合、借入額の目安は「500万円-100万円=400万円」です。創業資金総額500万円から自己資金100万円を引いた金額を借り入れることになるため、借入額の目安は400万円になる計算です。

また、「創業資金総額800万円」「自己資金200万円」の条件だった場合、借入額の目安は「800万円-200万円=600万円」です。創業資金総額800万円から自己資金200万円を引いた金額を借り入れることになるため、借入額の目安は600万円になる計算です。

ポイントは「自己資金の何倍まで借りられるのか?」を考えるのではなく、「創業資金総額から自己資金を引いた金額はいくらなのか?」を考えることです。自己資金の考え方になるため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

創業融資を受けたい人は自己資金として評価されるものを把握しておく

日本政策金融公庫の担当者に自己資金として評価されない場合、自己資金ゼロと判断され、所定の審査に落ちる可能性があります。日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人はその前提を踏まえ、事前に自己資金として評価されるものを把握しておきましょう。

【自己資金として評価される傾向があるもの】

項目 具体例
自己資金として評価される傾向があるもの ・預貯金
・資本金
・退職金
・みなし自己資金
・第三者割当増資
・資産売却した資金
自己資金として評価されない傾向があるもの ・タンス預金
・親からの贈与
・返済義務のあるお金

たとえば、「預貯金」の場合、自己資金として評価される傾向があります。親からの贈与は自己資金として評価されない可能性もありますが、コツコツと貯めた預貯金は自己資金として評価され、日本政策金融公庫の審査にプラスの影響を与える可能性があります。

また、「退職金」の場合、自己資金として評価される傾向があります。親の退職金は自己資金として評価されない可能性もありますが、自身の退職金は自己資金として評価され、日本政策金融公庫の審査にプラスの影響を与える可能性があります。

なお、「生命保険や学資保険などの解約返戻金」や「株式や債券などの有価証券」など、資産売却したお金は担当者の判断次第です。資産売却前の場合は換金時間を尋ねられる可能性もあるため、気になる人は日本政策金融公庫の担当者に確認してみましょう。

出所不明のお金は自己資金として認められない

日本政策金融公庫から創業融資を受ける場合、出所不明のお金は自己資金として認められません。出所を証明できないお金は資金の透明性を危惧され、自己資金として認められない傾向があるため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

たとえば、タンス預金の場合、その出所を証明できなければ、自己資金として認められない傾向があります。「金庫のお金」や「貯金箱のお金」など、出所を証明できないタンス預金は資金の透明性を危惧され、自己資金として認められない可能性があります。

また、親からの贈与の場合、その出所を証明できなければ、自己資金として認められない傾向があります。「父親からの援助」や「母親からの援助」など、出所を証明できない親からの贈与は資金の透明性を危惧され、自己資金として認められない可能性があります。

通帳原本から振込履歴を確認できるならば、自己資金として認められる可能性もありますが、タンス預金や親からの贈与は自己資金として評価されにくい傾向があります。担当者の判断次第となるため、気になる人は日本政策金融公庫の担当者に相談してみましょう。

見せかけのお金は自己資金として認められない

日本政策金融公庫から創業融資を受ける場合、見せかけのお金は自己資金として認められません。見せかけのお金は見せ金と呼ばれ、担当者を欺こうとする悪質な行為となるため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

日本政策金融公庫から創業融資を受ける場合、担当者から記帳した通帳原本の提示を求められます。その際、6か月程度の入出金が記帳された通帳原本の提示を求められるため、一時的な見せ金は通用せず、見せ金かどうかはすぐにバレてしまうことになります。

また、見せ金は悪質な行為として詐欺罪に問われるおそれもあります。詐欺罪は「刑法第二百四十六条」により規定され、刑罰は10年以下の懲役となるため、見せ金により詐欺罪に問われてしまえば、10年以下の懲役となることも考えられます。

日本政策金融公庫から創業融資を受ける場合、6か月程度の入出金が記帳された通帳原本の提示を求められます。見せ金は通用せず、一時的な自己資金はすぐにバレてしまうことになるため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

日本政策金融公庫における自己資金のQ&A

今回は日本政策金融公庫における自己資金の内容をQ&A形式の一覧表にまとめました。申込者の条件や担当者の判断によっても異なる可能性はありますが、傾向として言えるものを回答しているため、自己資金に関する疑問や不安がある人は参考にしてみてください。

【日本政策金融公庫における自己資金のQ&A】

項目 回答
無職の場合は自己資金の条件が厳しいですか? 「無職の場合は自己資金の条件が厳しくなる」といったことはなく、あくまでも創業融資金総額に対する自己資金の割合から判断される。ただし、自己資金ゼロの状況に加え、無職により無収入の状況にあるならば、計画性に疑問を持たれ、審査にマイナスの影響を与えることが考えられる。
個人事業主の場合は自己資金の条件が厳しいですか? 「個人事業主の場合は自己資金の条件が厳しくなる」といったことはなく、あくまでも創業融資金総額に対する自己資金の割合から判断される。ただし、生活費と自己資金を分けておらず、生活費と自己資金の線引きが曖昧な場合、審査にマイナスの影響を与える可能性もある。
妻の口座にあるお金は自己資金として認められますか? 奥さんの口座にあるお金をそのまま申告しても自己資金として認められない可能性がある。ただし、奥さんとの共同経営の場合や奥さんの口座を給与受取にしている場合など、何かしらの理由があるならば、その理由を説明することにより、自己資金として認められる可能性もある。
NISA口座にある投資資金は自己資金として認められますか? NISA口座にある投資資金は利益未確定の状態となるため、そのまま申告しても自己資金として認められない可能性がある。ただし、売却済みの場合や売却予定の場合など、現金化または現金化できる状態にあるならば、その旨を説明することにより、自己資金として認められる可能性もある。

融資の可否は申込者の情報から総合的に判断されますが、自己資金の有無は融資の可否を決める判断材料のひとつです。審査に影響を与える要素となるため、自己資金に関する疑問や不安がある人は日本政策金融公庫の担当者に相談することを検討してみましょう。

まとめ

自己資金なしの場合は日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があります。とくに、自己資金ゼロの人は所定の審査に通らず、創業融資を受けられない可能性があるため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人はその前提を踏まえておきましょう。

また、日本政策金融公庫から創業融資を受けるならば、原則として創業資金総額から自己資金を引いた金額を借り入れることになります。創業資金総額と自己資金の差分を借り入れることになるため、日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

なお、日本政策金融公庫の担当者に自己資金として評価されない場合、自己資金ゼロと判断され、所定の審査に落ちる可能性があります。日本政策金融公庫から創業融資を受けたい人はその前提を踏まえ、事前に自己資金として評価されるものを把握しておきましょう。

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