経営革新計画の承認によって得られるメリット(補助金編)

新事業や新サービスの提供を開始する際に経営革新計画を作成することで、中小企業新事業活動促進法に基づき様々な事業サポートを受けることが可能になります。

たとえば、補助金や助成金を利用するときに、審査点や補助率の増加になるケースがあります。

事業サポートを受けるには、経営革新計画を作成するだけでなく、受けたい事業サポートごとの手続きが必要です。

この記事では、経営革新計画の概要や、関連する補助金・助成金について説明します。

経営革新計画とは

経営革新計画とは、中小企業が新事業に取り組み、経営向上を図ることを目標に立てる中長期的な計画書のことです。

経営革新計画の対象は、下記のような事業です。

1 新しい商品の開発や生産
2 新しいサービスの開発や提供
3 商品の新たな生産または販売の方式の導入
4 役務の新たな提供の方式の導入
5 その他の新たな事業活動のどれか

上記の内容に取り組み、経営向上を図ることを目標に立てる中長期的な計画書のことです。

経営革新計画を作成し、知事の承認を得ると、税や融資の優遇や補助金、助成金などの様々な支援を受けることができます。

経営革新計画の承認を受けるには、今までの事業とは明確に違う事業計画であり、他社との差別化ができる根拠の具体的記載が必要です。

また、事業計画の目標として、中小企業庁が定めた目標数値の要件を満たす必要があります。

作成した計画終了時における目標数値の要件

事業計画の実施期間  【付加価値額】又は【一人当たりの付加価値額】の伸び率 【経常利益】の伸び率
3年計画 9%以上 3%以上
4年計画 12%以上 4%以上
5年計画 15%以上 5%以上

※付加価値額の計算式

付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

※一人当たりの付加価値額の計算式

一人当たりの付加価値額=付加価値額÷従業員数

補助金・助成金の違い

経営革新計画によって受けられる補助金について説明する前に、補助金と助成金の違いについて説明します。

助成金 補助金
国・地方公共団体に申請し、条件を満たしていれば、基本的には受けることができる資金 国・地方公共団体に申請しても、審査に通過しなければ受けることができない資金

助成金は、受給条件を満たし、申請することで資金を受け取ることができますが、補助金は条件を満たした上で、申請をして審査を通過する必要があります。

また、補助金を受給するための審査に通るためには

  • 実施する事業が、補助金の目的に沿った事業内容であることをアピールする
  • 実施する事業に必要な資金額を証明する書類を整備する

などのポイントをクリアしなければなりません。

申請する補助金の種類によって申請の時期や必要な種類が異なるので、各地方自治体のwebサイトで事前にチェックしておくようにしましょう。

経営革新計画によって受けやすくなる補助金制度

中小企業が新事業や新役務を開始する際に経営革新計画を作成し、事業の目標や課題、対策を明確にすることで、経営の向上を見込むことできます。

また、経営向上のために作成した経営革新計画を国や都道府県に承認してもらうことで、達成する可能性が高い事業の計画であると判断されるため、利用しやすくなる補助金制度があります。

ものづくり補助金

作成した経営革新計画が国や都道府県から承認されることで受けやすくなる補助金の1つが、ものづくり補助金です。

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者などが、生産性の向上や地域経済の活性化を目指して、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うために必要な設備投資資金などを支援する制度です。

ものづくり補助金では、国や都道府県からの承認を受けた経営革新計画を作成していることで、審査の加点対象となります。

中小経営者の強い味方「ものづくり補助金」に必要な「認定支援機関確認書」を入手するには?

ものづくり補助金の詳しい申請内容などについては上記の記事でご確認ください。

都道府県が運営する補助金制度

作成した経営革新計画が国や都道府県から承認されると、各都道府県が実施している補助金の制度を利用できるケースがあります。

都道府県別で実施されている経営革新計画の承認によって利用できる補助金制度をいくつかご紹介します。

都道府県 制度名 主な応募要件
静岡県 経営革新補助金
  • 経営革新計画の承認を受けた事業
  • 経営革新計画に記載され、かつ経営革新計画の起案内に実施される事業
  • 前回の募集で採択を受けた事業者でないこと
長野県 中小企業経営革新支援対策費補助金 中小企業経営革新計画新支援法に基づき、都道府県から経営革新計画の承認を受け、経営革新のための新事業を実施する中小企業・組合などが下記の補助対象となる事業を実施すること。

  1. 新事業同行等調査
  2. 新商品又は新技術開発
  3. 販路開拓
  4. 人材育成
青森県 青森県指導経営革新支援事業費補助金※終了 指導経営革新計画を作成し、県からの承認を得た中長期業事業者または組合であること
福岡県 福岡県経営革新実行支援補助金 福岡県から次のいずれかにおいて経営革新計画の承認を受けた事業を実施する中小企業であること

  • 新サービスの開発または提供
  • 商品の新たな生産または販売方式の導入
  • サービスの新しい提供方法の導入

上記以外の都道府県でも、作成した経営革新計画の承認を受けることで利用できる補助金制度を実施している場合があります。

ご自身の事業を実施する都道府県で利用できる補助金があるか、都道府県のHPをチェックしてみましょう。

経営革新計画承認までの流れ

作成した経営革新計画を国や都道府県から承認してもらうための手順と申請要件を確認しておきましょう。

1 申請対象・要件を確認
2 申請書作成・提出書類準備
3 申請書提出・内容の確認
4 申請書修正・再提出
5 申請書完成
6 審査会
7 審査結果の通知

①申請対象・要件を確認

経営革新計画の申請をする前に、事業規模や実施する新事業の内容が要件を満たしているかを確認しておきましょう。

不明点は、各都道府県の窓口にお問い合わせください。

②申請書作成・提出書類準備

  • 経営革新計画に係る承認申請書
  • 直近二期分の確定申告書類一式
  • 商業登記簿謄本
  • 定款
  • 住民票(個人の場合)

上記の提出書類を作成して準備します。

③申請書提出・内容の確認

これまで実施していた事業と、これから開始する新事業の内容について、各都道府県の窓口で実施されます。

1~2時間で終了しますが、事前に窓口に電話をして予約しておく必要があります。

また、事業内容などについての説明が必要なので、経営者が窓口に行くようにしてください。

申請書の提出は毎月20日頃までが締切りになっています。申請書提出後に内容の修正などが必要になるケースが多いので、可能な限り月の初めに提出した方が良いでしょう。

④申請書修正・再提出

提出した申請書に不備がある場合や、作成した計画の内容が曖昧である場合は修正をして再提出します。

修正や記入漏れの追記などが書類を提出した月に完了しない場合、通常は翌月行う審査の対象外になってしまうので注意が必要です。

⑤申請書完成

月末までに申請書を完成させてください。

月末までに完成した申請書の内容が翌月の審査会での審査対象になります。

月末までに申請書が完成しない場合、経営革新計画の承認審査が翌々月以降になってしまいます。

⑥審査会

書類による審査が、申請書類を提出した翌月の20日頃に実施されます。

作成した経営革新計画が承認されるかどうかは、作成した計画が中小企業等経営強化法の要件を満たしているかどうかで判断されます。

⑦審査結果の通知

審査会での審査が終了すると、申請書類を提出した月の翌々月初旬まで審査結果が書面で届きます。

承認・不承認・保留のいずれかの結果が通知され、保留となった場合は申請した書類の内容に不備があることや記入漏れがあり修正や追記が必要になります。

保留となった場合は申請書類を修正して再提出をし、翌月再審査を受けることで承認を得ることが可能になります。

国や都道府県から作成した経営革新計画の承認を得るためには、いくつかの申請要件を満たしている必要があります。

東京都で申請する場合の企業の要件は下記のURLでご確認ください。

http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/19kisaiyouryou.pdf

また、経営革新計画を作成して承認を得るまでの流れは下記の記事でご確認ください。

https://jfc-guide.com/basic-knowledge/8503/

経営革新計画作成時の注意点

経営革新計画を作成する上で重要なのは、「新規性」と「実現可能性」を伝えることです。

ポイント1「新規性」

世の中にはさまざまな商品やサービスがありますので、すでに似ている商品などが販売されているケースもあるでしょう。

このような場合は自社の商品やサービスと、競合他社の商品やサービスを比較することで、他社にはない独自の強みをアピールすることで「新規性」を示すことが可能です。

ただし、都道府県ごとに競合の数は異なります。自社では新しい取り組みであっても地域によってはすでに多くの企業が取り組んでいる内容かもしれません。そのような場合、承認対象外となりますので注意しましょう。

ポイント2「実現可能性」

まずは顧客ニーズに合っているかどうかが重要です。

どんなにすばらしい商品やサービスを提供しても顧客ターゲットに合っていなかったり、立地条件にマッチしていなかったりしては販路拡大は見込めません。

顧客ターゲットを正しく分析することももちろん大切ですが、可能であれば、販売実績を作ってから申請したほうが実現可能性をアピールできますので承認される可能性は高くなるでしょう。

次に資金です。

新しい商品やサービスを提供するために、莫大な資金や投資が必要な場合、実現可能性は低いと見なされてしまいます。

十分な資金がすでに確保されていることや金融機関などから融資を受け資金調達できていることなどはプラスの要因となりますので、資金がしっかり回ることをアピールしましょう。

「新規性」や「実現可能性」について、必ずしも明確な基準があるわけではなく、判断するのは各都道府県の担当者です。そのため、経営者は各都道府県の担当者が納得する「経営革新計画」を作成することが大切です。

経営革新計画の作成に困ったら専門家に相談しましょう

経営革新計画を作成してスムーズに承認を受けるために、専門家に依頼するのも1つの手段でしょう。

税理士や弁護士、金融機関など、国からの認定を受けた専門家である認定支援機関に依頼することで、経営革新計画の作成から申請までのサポートをしてもらえます

専門家と相談しながら計画を立てることで、より実現可能性の高い経営革新計画を作成できるでしょう。

認定支援機関は次のURLから探すことができます。

全国の経営改善支援センター等一覧

まとめ

経営革新計画の承認によって、補助金が受けやすくなる等の様々な事業サポートがあります。

また、経営革新計画の作成によって、改めて自身の企業・事業について見つめ直すいい機会にもなるでしょう。

経営革新計画の作成について、どうしたらよいか困った場合は、お近くの認定支援機関に相談してみてください。

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