個人事業主として、起業を検討している方にぜひ知って頂きたい資金調達方法をまとめました。
個人事業主の方が利用できる資金調達方法をおすすめ順にご紹介していきます。
なお、個人事業主が融資を受けるためのポイントについては「個人事業主でも、創業してすぐに融資を受けられます!」で詳しく解説しておりますのでぜひ合わせてご一読ください。
目次
0.個人事業主が資金調達する方法一覧
個人事業主が資金調達する手段として代表的なのは、日本政策金融公庫や信用金庫から融資を受ける、補助金・助成金を受給する、友人・投資家から調達するという手段です。各資金調達方法の特徴は、下表に示す通りです。
資金調達方法 | 主な特徴 |
日本政策金融公庫 |
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信用金庫 |
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補助金・助成金 |
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友人・投資家 |
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ビジネスローン |
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まとまった資金をなるべく早く、低金利で調達したいなら、まずはじめに日本政策金融公庫の融資を検討するのがおすすめです。
また、申請から資金が手元に来るまでに1年半と時間は掛かりますが、補助金や助成金であれば、融資と違って返済不要で利用できます。要件を満たす場合は、申請を検討してみて下さい。
1.日本政策金融公庫からの借入
個人事業主の方が利用できる資金調達方法としてもっともおすすめなのが、日本政策金融公庫からの借入です。
(1)日本政策金融公庫からの借入がおすすめな理由
理由1:高額融資を受けやすい
日本政策金融公庫は、個人事業主や中小企業をサポートするために政府が100%出資している金融機関です。民間金融機関からの融資を受けにくい事業者でも融資が受けやすく、もちろん、個人事業主の方も借入れることが出来ます。
事業開始から2期以内でであれば、最大限度額3,000万円の創業融資を受けられます。
もちろん、3,000万円は限度額であり、実際は準備した自己資金の10倍までの融資になります。しかし、計画的に準備してきた人なら、事業実績なしでも数百万円単位で融資を受けられます。
理由2:金利が低めで融資までの時間が短い
政府系金融機関である日本政策金融公庫は金利が低いという特徴があります。
〇 創業時(税務申告2回終わるまで)に利用できる『新創業融資制度』
個人事業主が日本政策金融公庫から借入をする際には、基本的には基準金利が適応されます。特別利率の適応は申込者の年齢や性別、事業内容によって決まります。例えば、特別利率Aは女性・35歳以下の若者・55歳以上の方の申し込みに適応されます。そのため、融資を受ける側が自分で特別利率を選ぶことは出来ません。
銀行のプロパー融資などより低金利な借入もありますが、銀行融資は事業実績が好調でないと受けるのは厳しいです。そのため、開業まもなくで低金利の融資を受けるなら、日本政策金融公庫の利用をするのが良いでしょう。
また、日本政策金融公庫は、金利が2.0%前後の融資の中では、申込から借入までの期間が1,2か月程度と早めに借入が可能です。
ただし、日本政策金融公庫に個人で申込をすると、準備の手間がかかります。申込するなら、認定支援機関を利用すると、書類作成を代行してもらえるだけでなく、面談サポートも受けられるので、事業に専念しながら融資をスムーズに受けられます。
理由3:担保が不要!
上記で紹介している「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金」はどちらも、担保不要で融資を受けることが出来ます。
理由4:保証人なし
『新創業融資制度』『中小企業経営力強化資金』の2つの制度を利用した場合には、保証人も不要です。代表者の保証も不要ですので、お金を借りやすいです。
信用金庫などの金融機関からお金を借りる際には、基本的に保証人は必須となりますので、公庫の方が有利といえるでしょう。
理由5:5年以上借りられる

日本政策金融公庫の返済は、5年以上から選択となります。長い期間借りられた方が、1回あたりの返済額が少なくて済みますので、利用しやすいでしょう。
創業時は、運転資金を借りる場合には、5年から7年以内に返済、設備資金を借りる場合には、5年から10年以内に返済することとなります。
理由6:公庫から融資を受けると他の金融機関からも融資を受けやすくなる

一度も融資を受けていない方と、公庫からお金を借りて、期日通りにしっかり返済ができている方では、公庫からお金を借りている方の方が、他の金融機関からの評価が高くなります。
そのため、他の金融機関からも融資を受けやすくなります。
(2)日本政策金融公庫のデメリット
日本政策金融公庫は低金利で融資条件が良い分、デメリットも存在します。
デメリット1:申込に必要な書類が多い
日本政策金融公庫から融資を受ける場合、申込時に準備する書類が多いです。
対象者 | 必要書類 |
全ての方 | ・借入申込書 ・直近6か月分の通帳コピー ・身分証明書(運転免許証もしくはパスポート) ・支払い明細書(借入がある方) ・不動産の賃貸借契約書(店舗/事務所・自宅) ・営業許可、資格又は免許を証明するもの ・見積書、工事請負契約書 ・固定資産税の領収書及び固定資産税課税明細書(持ち家の方) ・住宅ローンの返済予定表(持ち家の方) |
創業予定者 事業開始から1年以内の方 | ・創業計画書 ・水道光熱費等の支払い状況のわかる書類 ・直近2年分の確定申告書又は源泉徴収票 |
事業開始から 1年を経過している方 | ・企業概要書 ・各種税金の領収書 ・売上の根拠を示すことが出来る書類 ・直近2年分の確定申告書、青色申告決算書もしくは収支内訳書 |
融資が確定した後に印鑑証明書も必要となります。借入申込書や創業計画書、企業概要書など、記入や作成が必要となる書類があるため、書類準備に時間がかかります。
デメリット2:個人で申し込むと審査が厳しい
日本政策金融公庫から融資を受ける場合、所定の審査が必要です。日本政策金融公庫の審査は、金利が低い分、厳しく行われます。創業時、創業直後の融資審査で重視される項目の1つが「自己資金」です。自己資金が重視されるのは、返済実績のない申込者の評価基準に自己資金以外を設定しにくいからです。
とくに、個人で申し込みをする場合は新創業融資制度を利用して融資を受けることになりますが、新創業融資制度は「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」という要件があります。そのため、自己資金がゼロでは融資を受けることは非常に難しいです。
(3)認定支援機関を経由すると融資をスムーズに受けられる
日本政策金融公庫に申込する際には、認定支援機関を経由するとスムーズに融資を受けられます。
【認定支援機関を経由するメリット】
- 書類の作成の時間コスト削減
- 専門家が支援しているので信頼が向上
- 個人で申し込むより金利を下げられる可能性あり
とくに個人事業主の人は、稼働時間を書類作成など公庫の申込準備に充てるのは、事業の機会損失をしているとも言えます。認定支援機関を利用すれば、書類作成を代行しますので、事業に専念できるメリットが大きいと思います。
当サイトを運営するSoLaboも、融資のサポート実績が3,700件を超える認定支援機関です。日本政策金融公庫の融資に関して質問や不安がある人は、まずはお気軽に当社にご相談ください。

2.信用金庫からの借入
個人事業の方が利用できる資金調達方法に信用金庫からの借入があります。
日本政策金融公庫と信用金庫で比べてしまうと、日本政策金融公庫の方が借りやすく金利も安いため、日本政策金融公庫の方がおすすめではありますが、日本政策金融公庫では融資を受けることができなかった方でも信用金庫ではお金を借りられたというケースもあります。
信用金庫からの借入は、公庫に比べ、金利が少し高く、借りるまでに時間がかかります。
■関連記事
信用金庫から融資を受ける流れとは?
3.補助金、助成金を利用した資金調達
補助金、助成金は、先にお金をもらえるのではなく、お金を支払った後に、入金される資金調達方法です。
助成金は、要件を満たした場合には、必ず受け取ることが出来ます。補助金は、要件を満たした方で、かつ、審査を通過した方が、受け取ることができます。
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要件を満たせばタダでもらえる助成金をご存知でしょうか?
4.友人や投資家から借りる
融資を受けるためには、自己資金が必要になります。
自己資金がなければ、どこの金融機関であっても融資を受けるのは厳しくなるでしょう。自己資金を用意できていない場合には、友人や投資家から出資を受けるという方法もあります。
すでにビジネスを成功させており、お金に余裕がある方であれば、お金を出してくれるケースもあります。
5.ビジネスローンを利用した資金調達方法
ビジネスローンは、融資速度に特化した資金調達方法です。銀行や消費者金融など、様々な金融機関の商品があります。ビジネスローンの融資額は基本的には50万円以下で、年率15.0%前後という条件での借り入れになるのが一般的です。
ビジネスローンは長くても3日程度で融資を受けられるので、急な資金のショートを解消するために利用されることが多いです。ただし、高金利のため利息負担は大きく、継続的に利用すると資金繰りを返って悪化させる恐れがあります。
また、ビジネスローンの借入残高があると、日本政策金融公庫や銀行のプロパー融資など、低金利の大口融資を受けにくくなるデメリットもあります。
そのため、事業をする上でビジネスローンはなるべく利用しない方が良いです。すぐに完済できるアテがあり、緊急で資金繰りをしなければならない時のみ、利用を検討してください。
参考:金利による利息負担の差
日本政策金融公庫や信用金庫の金利2.0%で融資を受けた場合と、ビジネスローンや消費者金融の金利15.0%で融資を受けた場合、それぞれ5年間で返済した場合の利息負担をまとめました。
借入額 | 金利2.0%の利息 | 金利15.0%の利息 | 利息差 |
50万円 | 25,833円 | 213,698円 | 187,865円 |
100万円 | 51,666円 | 427,396円 | 375,730円 |
200万円 | 103,332円 | 854,792円 | 751,460円 |
300万円 | 154,998円 | 1,282,188円 | 1,127,190円 |
500万円 | 258,330円 | 2,136,980円 | 1,878,650円 |
800万円 | 413,328円 | 3,419,168円 | 3,005,840円 |
ビジネスローンや消費者金融を利用する場合と日本政策金融公庫を利用する場合では、100万円の借入で37万円ほど利息負担が変わります。
ビジネスローンは長くても3日程度で融資を受けられるので、急な資金のショートを解消するために利用されることが多いですが、利息の支払いを抑えるなら金利の低い日本政策金融公庫からの融資を受けることが良いでしょう。
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資金調達方法の一つとしてビジネスローンを利用するべきか?
まとめ
個人事業主の方が利用できる資金調達のなかで最もおすすめの方法は、日本政策金融公庫から融資を受けることです。
日本政策金融公庫の創業融資は低金利・無担保・無保証での借入が可能で、資金面で事業に与える負荷が小さいというメリットがあります。
個人事業の方で、資金調達を検討しているのであれば、政府が100%出資して運営している日本政策金融公庫から検討を始めてみるとよいでしょう。
日本政策金融公庫での融資を検討している方は、一度融資の専門家に相談するのがおすすめです。
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