日本政策金融公庫について調べていると、中小企業金融公庫という名前にたどり着くことがあります。中小企業金融公庫と日本政策金融公庫はどのような関係なのでしょうか?
中小企業金融公庫とは
中小企業金融公庫は日本政策金融公庫の前身の一つです。中小企業法に基づき1953年に発足し、1958年からは信用保険業務も併せて別部門を立ち上げ行っています。信用保険とは、例えば中小企業が取引先から請求したお金を回収できない場合などに保険金がおりる保険商品です。
中小企業に融資を行うこと、中小企業へ信用保険を提供すること以外にも、信用保証協会にお金を貸すことも中小企業公庫が行っていました。なお、中小企業ではなく国民向けの貸し付けは「国民金融公庫(=略して国金)」が行っていました。
中小企業などが金融機関からお金を借りる場合、上記のように金融機関はリスクヘッジのため信用保証協会を通して融資を行う場合が多々あります。中小企業金融公庫は、中小企業の信用保証を行う信用保証協会に対してお金を貸すという立ち位置にありました。
保険部門は1999年に中小企業統合事業団に統合
1999年に中小企業金融公庫の中の一部である保険部門は「中小企業統合事業団」として統合されました。中小企業統合事業団は、現在、独立行政法人・中小企業基盤整備機構(略して中小機構)として活動しています。
一方、行政改革の一環として同年に国民金融公庫と環境衛生金融公庫が統合した「国民生活金融公庫」が発足します。名称の国民金融公庫に「生活」という文字が入ったわけです。
1999年当初は飲食店や美容室などへの「環境衛生貸付」と国民向けの貸付を行う「国民金融貸付」を行っていた国民生活金融公庫。その後の2008年、中小企業金融公庫の請け負っていた中小企業向けの小口融資業務も担当することになります。2008年、これら3つの公庫が統合され現在の「日本政策金融公庫」となりました。(上記の図の国民生活金融公庫という名前は、その後日本政策金融公庫に変更します)
中小企業金融公庫の現在
繰り返しになりますが、中小企業金融公庫の中の一部である保険部門は現在、中小機構として受け継がれています。また、中小企業向けの小口融資に関しては日本政策金融公庫が受け継いでいます。
また、日本政策金融公庫では公的機関と金融機関という強みを生かして「ソーシャルビジネス」についても推進しています。ソーシャルビジネスとは、社会の問題をビジネスで解決しようという試みです。
例えば、高齢者の介護・商店街の空き店舗対策・被災地復興など。これらの社会的問題を全て公的税金のみで解決するのではなく、日本国家とわたしたち市民が共にビジネスを通じて解決するという考え方です。
まとめ
中小企業金融公庫は2008年に統合された日本政策金融公庫の前身です。中小企業向けの融資業務のみでなく、信用保険や中小企業支援を実施していました政策金融機関でした。
現在、中小企業金融公庫の実質業務は日本政策金融公庫と中小機構が受け継いでいます。