「出資」「融資」「投資」の違いとトラブルを避けるコツ

「出資」「融資」「投資」の違いとトラブルを避けるコツ
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

「出資」「融資」「投資」の違いをきちんと説明できるでしょうか。いずれも「資金を集める」という言葉ですが、出資金と融資金とでは、返済有無があるかなどの違いがあります。

また、資金調達の手段として大きな存在感を見せているクラウドファンディングは、その種類によって、出資であったり融資であったりします。

この記事では、出資、融資、投資の違いと特性を理解して、トラブルを避けて資金調達する方法について解説します。

1.出資とは

◆出資と投資、融資の違い

出資とは、投資家が資金提供者となり、出資先の株式と引き換えに資金を出すことです。出資を受けた者には返済義務はありません。

なお、出資は投資の一種です。投資とは、何らかの利益を目的として第三者に資金を融通すること全般を指します。投資には、出資以外に、融資も含まれます。

融資とは、銀行などの金融機関が資金提供者となり、資金を融通することです。融資を受けた者には返済義務が生じます。

大きく、出資と融資とでは資金の返済義務の有無という違いがありますが、他にも、資金提供者の目的や重視するポイント、貸借対照表(バランスシート)での扱いも違います。まとめると、次の表の通りです。

投資
出資融資
資金提供者投資家

(ベンチャーキャピタル・個人投資家など)

金融機関

(民間銀行や日本政策金融公庫など)

資金提供者の目的株式の売買差益(キャピタルゲイン)、経営参加、配当/優待など支払い利息
返済の義務なしあり
貸借対照表(バランスシート)

での扱い

純資産負債
資金提供者が重視するポイント事業の成長性返済の確実性

◆出資のメリット・デメリット

出資のメリットとデメリットをおさえておきましょう。
出資を受けるメリット

  • 資金を自己資本にでき、返済する必要がない。
  • 出資者から事業拡大に向けた助言やノウハウの提供を受けられる。
  • 経営者の個人信用情報に左右されずに資金調達することができる。

出資を受けるデメリット

  • 出資は難易度が高く、事業の成長性や採算性を認められる必要がある。
  • 出資者から経営に干渉されたり、会社を買収されたりする可能性がある。
  • 事業が成長すると多額の配当金を提供しなくてはいけなくなる場合がある。

出資は、主にベンチャーキャピタルや、エンジェル投資家などの個人投資家から資金を調達します。

出資によって得た資金は自己資本となり返済義務がない上、出資者から助言やノウハウの提供を受けられます。融資の成否は、経営者個人の信用情報に左右されますが、その点、出資は気にする必要がありません。

ただし、出資を受けるのは、そもそも難易度が高いので、注意が必要です。出資を受ける企業が自社事業の成長性や採算性を出資者に認めてもらえないかぎり、出資を受けることはできないのです。

また、出資を受けるときは、どんな人にどの程度の株式を渡すのかをしっかりと検討・把握しておくことが重要です。出資者に対して出資額に応じた株式(株主総会の議決権)を渡すことになるため、出資者から経営に干渉されたり、会社を買収されたりするおそれもあります。

議決権を渡したくない場合、普通株式ではなく種類株式で「議決権制限付株式」を発行する方法もあります。

また、ネットを経由して多数の出資者から募るクラウドファンディングを利用する場合、議決権が分散しすぎて、収集がつかなくなることもあるので、注意が必要です。

なお、事業が成長すると、出資者に対して多額の配当金を提供しなくてはいけなくなる場合があるので、融資の前に返済プランを練るのと同じように、出資を受けるときは今後のビジネスプランをよく練りましょう。

◆出資による経営トラブルを避けるコツ

株式の67%(3分の2)以上は自身で保有

出資での資金調達方法にもいくつかありますが、トラブルにならないよう出資を受けるコツは1点。株式を渡す出資のケースでは、株式の67%、つまり3分の2以上を自身で保有する、ということです。

出資者から経営に干渉されても、重要な決議(*議決権の過半数を持つ株主の出席と、3分の2以上の賛成が必要となる「特別決議」)を自身の裁量で決められるのであれば、経営を左右されることはないでしょう。

◆出資での主な資金調達方法

出資での主な資金調達方法は、ベンチャーキャピタル、個人投資家(エンジェル投資家)の2つです。

[出資1]ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業やスタートアップ企業に対して出資する投資専門企業や組織です。

成長著しいベンチャー(Venture)企業に資金(キャピタル:Capital)を提供するベンチャーキャピタルの頭文字から「VC(ブイシー)」とも呼ばれます。

ベンチャーキャピタルは、得意とする出資先や出資母体などから独立系、政府系・大学系、金融機関系、事業会社系など、大きく4つに分類されます。

一般的に、ベンチャーキャピタルでは、最低1億円程度の資金からが対象のケースが多いとされるため、出資を受けるには一定の規模と成長性が必須条件です。

ベンチャーキャピタルの投資目的は、投資対象のベンチャー企業・スタートアップ企業の上場したタイミングで株式を売り、その売却益(キャピタルゲイン)を得ることにあります。

そのため、出資だけで終わるのではなく、役員の派遣や経営支援など、出資先の企業の価値を高めるサポートも行う特徴があります。

ベンチャーキャピタルで出資を受けるには、まずベンチャーキャピタルとのコネクション(つながり)を作ることです。直接ベンチャーキャピタルに連絡したり、起業家や経営者の知人・友人の紹介を受けたり、ビジネス関連イベントやピッチに参加したりして、ベンチャーキャピタルとつながりましょう。

詳しくは、次の記事をご覧ください。

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[出資2]個人投資家(エンジェル投資家)

個人投資家(エンジェル投資家)とは、創業間もない起業家にお金を出資してくれる個人のことです。1億円以下の出資を受けたいなら、個人投資家からの出資も選択肢の一つでしょう。

ベンチャーキャピタルや銀行の融資担当者が会ってもくれないような資本金や規模、成長性の低い企業であっても、個人投資家(エンジェル投資家)なら、出資してくれる可能性があります。

個人投資家の目的も、ベンチャーキャピタルと同様、投資対象のベンチャー企業・スタートアップ企業の上場したタイミングで株式を売り、その売却益(キャピタルゲイン)を得ることにありますが、個人投資家自身の人情や、企業や市場への期待など、感情面の手心が加わることも多いようです。

個人投資家から出資を受けるには、起業家&投資家マッチングサイトから投資家を探すのが一般的です。考え方によっては、次の項目の「寄付型クラウドファンディング」も、多くの個人の出資者を集めるという点で、個人投資家の出資と見る人もいるでしょう。

詳しくは、次の記事をご覧ください。

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2.融資とは

一部、繰り返しの説明になりますが、融資とは、都市銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などの金融機関が資金提供者となり、資金を融通することです。

多くの融資では、融資を受けるときに自己資金や保証人、土地や不動産などの担保を必要とします。融資を受けた企業は、銀行などの金融機関に対して、融資された資金と同額の資金(元本)と利息を返済します。

返済できなかった場合には、保証人に返済義務が発生したり、担保を金融機関に差し押さえられたりします。

◆融資のメリット・デメリット

融資のメリットとデメリットをおさえておきましょう。

融資を受けるメリット

  • カードローンやフリーローン、消費者金融と比較すると、低金利で借りられる。
  • 金融機関に返済したという実績が作れることで信用力が高まり、次回の融資審査も通りやすくなる。
  • 資金提供者から経営に干渉されることがない。

融資を受けるデメリット

  • 決められた返済期間で元本を支払い、利息を返済する必要がある。
  • 融資審査を通らなければならない。融資制度によっては自己資金や担保、保証人(主に経営者保証)が必要。
  • 経営者の個人信用情報によっては審査に落ちる可能性がある。

融資のメリットは、まずカードローンやフリーローン、消費者金融からの借入と比較すると、低金利で借りられる点が挙げられます。

さらに、「金融機関から融資を受け、返済した」という実績が作れることで金融機関からの評価が高まり、次回の融資審査も通りやすくなる傾向があります。

また、融資は、出資のように資金と引き換えに株式(議決権)を渡すわけではないため、金融機関に相談に乗ってもらう経営支援はあっても、経営に干渉されることはありません。

ただし、融資は、決められた返済期間で元本と利息を返済する必要があるので、しっかりした事業計画と返済計画の提出が求められます。

他にも、融資制度によっては、自己資金や担保、保証人(主に経営者保証)が必要になる制約があります。

経営者の個人信用情報によっては審査に落ちる可能性があることも、覚えておきましょう。具体的には、返済延滞などの金融事故があると、かなり審査落ちの確率が高くなります。

◆融資による経営トラブルを避けるコツ

資本金に余裕を持たせた事業計画を立てる

融資での資金調達方法にも、金融機関の違い以外にもいくつかの種類はありますが、トラブルにならないよう融資を受けるコツは1点。資本金に余裕を持たせた事業計画を立てる、ということに尽きます。

事業経営をしていれば、常に未知のリスクにさらされます。大抵のケースでは、対応や施策は、お金があれば解決するので、資本金に余裕を持たせるのは経営の基本です。もちろん、コロナ禍のような業態転換も視野に入るリスクは予測は難しいですが、資本金に余裕を持たせて、返済が滞ることのないように対応しましょう。

また、もし返済が難しくなった場合、金融機関の融資担当に相談し、返済計画の見直し(通称:リスケジュール)を依頼するなど、できるだけ先手を打つように行動しましょう。

◆融資での主な資金調達方法

融資での主な資金調達方法は、公的融資、銀行融資、信用金庫の保証協会付き融資、ノンバンク融資、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の5つです。

[融資1]日本政策金融公庫などの金融機関からの公的融資

公的融資とは、政府に属する公的機関である日本政策金融公庫や地方自治体が行う融資のことです。

日本政策金融公庫や地方自治体などの公的機関は、雇用創出や地方活性化、景気上昇に繋がりやすい創業する事業者・事業拡大を目指す事業者に対して、積極的な支援を行っています。

実績がなくても融資を受けやすかったり、低金利で融資を受けられたりすることから、融資を考えるならまず公的融資となる事業者が多く見られます。ただし、融資を申し込んでから融資が決定するまでに時間がかかるのがネックです。

公的融資を受けたいなら、まずは自分にあった融資制度を見つけることからはじめましょう。

創業したい個人事業主向けの公的融資なら、日本政策金融公庫の「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」、「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」がおすすめです。

東京都の事業者なら、自治体の東京都が行う「小規模特別(事業一般)」や「創業融資:創業」もよいでしょう。

創業したい企業法人向けの公的融資制度なら、日本政策金融公庫の「新事業育成資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」がおすすめです。東京都の企業なら、「一般事業融資:事業一般」や「創業融資:創業」もよいでしょう。

はじめての融資で悩んだり、融資制度選びに迷ったりする方は、直接融資を申し込むよりも、認定支援機関(正式名:認定経営革新等支援機関)という中小企業や小規模事業者の経営課題の相談やサポートを得意とする専門家に相談するようにしましょう。

本サイトを運営する株式会社SoLaboも、国の認定支援機関として日本政策金融公庫の融資サポートをしております。具体的には、事業計画書等の資料作成や、金融機関とのやり取りの代行、面談対策の実施など、融資審査成功のための支援が可能です。

相談は無料で承りますので、お気軽にお問い合わせください。

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[融資2]銀行系の金融機関からの銀行融資

銀行融資とは、都市銀行や地方銀行など、銀行系の金融機関が行う融資のことです。

銀行は、資金を貸すときに利息をつけることで利益を出しています。もちろん、融資の種類によっても審査の厳しさは変わりますが、融資条件を満たした上で、安定した収入があり、返済能力がある、と評価されれば、銀行融資の審査に通るでしょう。

銀行融資を受けるなら、まずは銀行を選ぶことから始めます。金利や銀行の規模、融資可能な金額などを検討し、融資条件を満たしましょう。

自ら銀行に訪問して申し込むのもいいですが、はじめての銀行融資であれば、認定支援機関(正式名:認定経営革新等支援機関)という中小企業や小規模事業者の経営課題の相談やサポートを得意とする専門家に相談して進めるのが無難です。

当たり前ですが、同じ融資でも、銀行融資は公的融資とは違い、営利目的です。融資実績のない場合は、審査の目も厳しくなります。認定支援機関という経営サポーターが関わることで、融資審査までの流れがスムーズに進むでしょう。

詳しくは、次の記事をご覧ください。

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[融資3]信用金庫などの金融機関からの融資(保証協会付き融資)

信用金庫からの融資とは、信用金庫が資金を提供し、信用保証協会が保証をする「保証協会付き融資」のことを指すのが一般的です。

信用金庫とは、会員の地域の方を中心に、地域の発展を目的とした協同組織の金融機関です。

信用保証協会とは、金融機関から「事業資金」を調達するとき、小規模事業者・中小企業の保証人となって融資支援する公的機関です。

返済が滞った場合、借主の事業者に代わり、保証人となった信用保証協会が、信用金庫に対して「立て替え払い」をする、という特徴があります。貸し倒れのリスクが抑えられるため、信用金庫では「保証協会付き融資」を推奨しています。

信用金庫からの保証協会付き融資を受けたいなら、信用金庫に申込みをするケースが一般的です。そもそも、どの信用金庫を選べばいいのか迷うなら、認定支援機関(正式名:認定経営革新等支援機関)に相談するとよいでしょう。

詳しくは、次の記事をご覧ください。

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[融資4]ノンバンク系の金融機関からの融資

ノンバンク融資とは、クレジットカードを含めた信販会社や消費者金融、事業者金融会社、不動産金融専門会社、リース会社などが行う融資のことです。

基本的に、公的融資や銀行融資、信用金庫の融資以外の金融機関の融資は、ノンバンク融資と分類されます。

融資の申し込みから融資決定までの期間が短いなどフットワークが軽く、信用情報に多少難ありでも融資が受けられる点が魅力です。ただし、その分、返済されないリスクがあるということで、金利は高めに設定されることが多いため、資金繰りの難易度も高くなります。

ノンバンク融資を受けたいなら、まずどのノンバンク系の金融機関にするかを選びます。しかし、高金利だと利息分以上の売上を確保した返済計画を立てるのに慣れが必要なため、資金調達方法を選ぶときの初手としてはおすすめしません。

[融資5]融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)

融資型クラウドファンディングは、インターネットを通じて、不特定多数の出資者から融資を受けることです。ソーシャルレンディング(Social Lending)とも呼ばれます。

ソーシャルレンディングでは、お金を借りたい人はボロワーと呼ばれ、お金を貸したい人はレンダーと呼ばれます。資金源がレンダーで、金利はソーシャルレンディングサービス運営会社による審査で決まるような、金融機関で行われる融資を一部、置き換えた形態が代表的です。同じクラウドファンディングであっても、先に紹介した出資の寄付型クラウドファンディングと異なり、融資の融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)には返済義務があります。

融資型クラウドファンディングで融資を受けたいなら、ソーシャルレンディングサービスを選ぶことからはじめましょう。なお、高金利でもすぐに資金が必要という場面でのスピーディな調達能力は、他の金融機関を凌ぐものがありますが、まともに資金調達の手段で使えるのは、利益率の高い事業か、資金力がある法人に限られる点に注意してください

詳しくは、次の記事をご覧ください。

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まとめ

出資、融資、投資の違いと特性を理解して、トラブルを避けて資金調達する方法について解説しました。

出資と融資が投資に含まれること、出資と融資とでは資金の返済義務の有無という違いのほかに、資金提供者の目的や重視するポイント、貸借対照表での扱いが違うことは、きちんとおさえておきましょう。

出資にしろ、融資にしろ、トラブルを避けて資金調達するためには、何より計画性が重要です。先々の事業展開や資金繰りを検討した上で、資金調達方法の特性を把握し、慎重におこないましょう。

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